電撃30MM情報局 ~真っ茶色なものは汚したくなる~

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BANDAI SPIRITSのオリジナルロボット企画「30MINUTE MISSIONS(30MM)」。電撃ホビーウェブでは随時新製品情報を紹介していますが、この電撃30MM情報局では、サクッとカスタマイズした事例を紹介します。

 

今回は、30MM 1/144 eEXM-17 アルト(陸戦仕様)[ブラウン](発売中 税込1,980円)がテーマです。30MM 1/144 eEXM-17 アルト(空中戦仕様)[ネイビー]や、30MM 1/144 bEXM-15 ポルタノヴァ(宇宙仕様)[グレー](発売中 税込1,980円)など、本体の形状バリエーションも増えてきましたが、今後はラビオットやシエルノヴァ、エグザビークルなど、30MMの世界観がどーんと広がるアイテム目白押しで、ファンとしては忙しい日々が続いて嬉しい限りですね~! 振り返れば、発表当時が懐かしい。

 

さて本題に戻りますが、ブラウンが機体色の陸戦仕様となると、やっぱりウェザリング(汚し)をして遊びたいところ。これまで組み換え遊びや工作をやってきましたが、今回は「お手軽」をモットーに、塗料と筆とティッシュだけで遊べる“塗装”方向で楽しんでみました。

 

まずは完成した状態を見ていただきましょう。こちらです。

 

▲30MM 1/144 eEXM-17 アルト(陸戦仕様)[ブラウン](発売中 税込1,980円)。ウェザリング=汚して遊びました。なお、背部の無限軌道のバックパックは上下逆にしています。いや、最初は間違えていただけなのですが、後ろに「壁」みたいな感じでどーんと目立つので、これでいいかなと。……ホントです。

▲背面。「塗ってない」と言いつつ、すみません、履帯は「黒鉄色」という色で塗っております。ワンポイントで視覚的効果が出てくるかなと。

では、作業していきましょう。

 

▲履帯です。中央に走っているパーティングライン(パーツが成形される過程でつく線のような盛り上がり)をヤスリ(種類はなんでもいいです)で削って、黒鉄色を塗っています。私はエアブラシを使いましたが、このくらいの面積に黒などの暗い色を塗る場合は、筆でもそれほど違和感が出ないと思いますので、筆でいいのでお試しあれ。なお塗料はラッカー系を使いましたが、模型店で売っている塗料であれば水性でも大丈夫かと。その後、銀でドライブラシ(後述)を施しています。

 

と、履帯を塗ったところで下準備です。やることは……。

1 スミ入れ
2 ツヤ消しトップコートのスプレーを吹きかける

の2つです。なお、1と2の順序を逆にしてしまうと、スミがザラザラのツヤ消しの上で滲んでしまうのでご注意ください。

 

▲とりあえず下準備完了! 顔を銀に塗ったことでモールドがハッキリしていますね。バイザーのクリアーパーツをはめ込んでいないのですが、このままでもいい感じです。

 

スミ入れについては、今回は黒のエナメル塗料を薄めて使用しましたが、ガンダムマーカーでもなんでも大丈夫なのではないでしょうか。と、言うよりも、この写真を見ていただければわかるように、これだけでも十分、キットをパチっと組んだだけよりもモールドがハッキリし、プラスチック的なテカりも消えて重厚な感じになったのでは? スミ入れとツヤ消しトップコートだけでもおすすめ。「キレイめなロボが好き!」という方は、ここまでで止めておくのも全然アリかと。

 

そしてこの写真、もうひとつヒミツが。そう、マーキングを施しています。

 

▲コイツを使わずにはいられない! 30MMを買うと手に入る「マーキングシールゲットミッション」のシール(店頭でなくなり次第終了)です。いやぁ! ホントに30MMの世界観は広がるばかりでっ! 自分好みでペタペタ貼るの、チョ~楽しいです!

 

さて、スミ入れとツヤ消しまでやったあとは、ドライブラシを行いました。ドライブラシというのは、筆に塗料を付けたら不織布(ティッシュでもいいかと)で塗料を拭いて、乾いてしまったかな? という頃合いでパーツにこすりつける手法です。筆に残ったほんの僅かな塗料がパーツのエッジに残り、立体感が出たり全体の色調が複雑になったりして、お手軽なのに効果抜群の手法でして、じつは細かいモールドが入っている30MMに施すとめちゃ楽しいんですね。

 

今回は、陸戦仕様自体がブラウン地の明るい色なので、白にほんの少しタン(GSIクレオスのMr.カラー C44番)を混ぜてみました。

 

▲ドライブラシ前のバックパックのパーツ。スミ入れとツヤ消しトップコートを吹いた状態。ちなみに、スミ入れに汚い箇所があるのは、僕がヘタで根性なしだからです。もう少し丁寧に拭き取れば、皆さんもっとキレイにスミ入れできるはず。

 

▲ドライブラシを施した状態。筆の塗料を拭き取る→さらにティッシュなどにシャッシャと筆を擦り付ける→「アレ? 色が出なくなったかな?」というタイミングでパーツを手に持ち、シャシャシャシャシャシャ! っと高速で筆を動かしてパーツを擦っていきます。本当に色が出なくなったら、もう一度塗料を付けて……その繰り返しです。

 

▲顔や腕にもやっていきます。写真左の腕が、まだドライブラシをしていない状態。ドライブラシをすると、かなりエッヂが立ってくるのがわかります。……ええ、やりすぎですよね。このあたりの、「キレイ/キタナイ」は、色のチョイスから筆の動かし方まで、まさに技術の巧拙の部分。ちなみに筆跡が残っているドライブラシ(肩関節をご覧ください)などは、「やっちゃった」部類。プロの作例であれば、意図的なものでないかぎり、こういうことはあんまりないです。

 

▲全体にドライブラシを施しました。「なんか、めちゃくちゃ白くなってません?」とお思いかもしれませんが、まさにその通り。わかりやすくするように、敢えて強めに……しているワケではなく、やればやるほど面白くなってしまい、どんどんやりすぎてしまったわけです。頃合いを見計らってやめ時みたいなものに気を配っていただかないと、こうなります。とくに上腕などの濃いブラウンのパーツが見苦しい……。とはいえ、作業前と比べれば、パーツのエッヂがグッと目立ってきたのはおわかりでしょうか?

 

ドライブラシをしたら、なんだかちょっと真っ白すぎな感じになってしまいましたが、そこは気を取り直して次の工程へ。次はウォッシングというヤツをやってみます。白くしすぎてしまった機体を、なんとか挽回するチャンスでもあるのですが、使ったのはこれ。

 

▲AMMO OF MIG JIMENEZ S.L.の「Brown Wach for German Dark Yellow」。模型店店頭で、800円程度で売られています。

 

この塗料はパーツを塗装するためのものではなくて、汚し(ウェザリング)をするためのものです。同社の製品は模型店店頭などで手に入りますが、詳しい使い方などは公式サイトにマニュアルが上がっているので、英語ですがご一読を。なお、英語の翻訳にGoogleを使う人が多いと思いますが、DeepLという新手のサービスが、精度がよいと評判なので、使ってみるのもおもしろいかもです。

 

コイツをパーツに筆でザッと塗って拭き取ることで、全体の色調を落ち着かせてくれ、さらにモールドなどの凹凸が自然な雰囲気で浮き立ちます。やってみましょう。

※ここで重要なことを。今回使用したウォッシング用の塗料は、サラサラのエナメル塗料です。サラサラのエナメル塗料を、塗装していないパーツに大量につけると、パーツが割れることがあります。とくに圧力がかかっている、パーツを接続するダボのあたりは要注意。流れ込まないように気をつけてください。いきなりパーツが「ポロ」っと割れるので、面白い現象ですし、30MMはキットもお手軽価格なので予備を用意しておいて気にせず作業してもいいかもしれませんが、それまで作業していたパーツがポロッとなると、意外と心にダメージを喰らいます。じつは今回も割ってしまいまして。なお、割れたパーツは接着して事なきを得ました。

 

▲ウォッシング前の、前腕のアーマーパーツ。エッジは立っていますが、白くて白々しい感じがします。

 

▲「Brown Wach for German Dark Yellow」をザザッと筆で塗りました。なんだかエラくヤバい事になっている風ですが……。

 

▲塗った後は乾かないうちにサッと拭き取ります。やる前に比べるとトーンが落ち着いた感じになりました。凹部分は当然暗くなりましたが、平面も色調が複雑になり、メリハリがつきました。そこそこ残して拭き取るか、それともかなり拭き取ってしまうかはお好みで。

 

▲バックパックもやっていきましょう。ずどぉ! と塗っていきます。が、うーん、拭き取り時間を考えると、もう少し部分部分にわけてもいいかもですね。「こっちを拭き取っているとあっちが乾き始めて」みたいな事態は避けたいところ。

 

▲ウォッシングする前(写真上)とした後(写真下)の違い。パーツの向きを逆にして撮影してしまって申し訳ないですが、こちらも前腕のアーマーパーツ同様、平面にもそれなりに濃淡がつきました。ドライブラシだけでも濃淡がつきはするのですが、あわせ技で、より落ち着いた感じになったと思います。

 

と、ここまできて、正直、なんだかな~と。どうも、やっぱりどこか単調ではあるんですよね~。で、なぜ単調なのかなと思ったら、やっぱりブラウンの地に黒いスミ入れ、同系色のドライブラシ、同系色のウォッシングでは、同じ色ばかりで物足りないのかも……。ところどころ、差し色を筆塗りすればまた違うのではないかと思いましたが、今回は部分塗装がテーマでもないので、それは禁じ手に。なので、ちょっと冒険してみることにしました。

 

▲エナメル塗料の緑を、ちょんちょんと。このほか、赤もちょんちょんと。そして生乾き程度になったところで、エナメル溶剤を含ませたティッシュでポンポンと叩いて地になじませます。ちなみに、ドライブラシによってシールが消えかかっちゃってますが(これは失敗の部類。あちゃ~)、後々細い綿棒にラッカー溶剤を付けて、コシコシとなでて復活させています。

 

▲赤と緑をポンポンした後。左前腕のアーマーや、左ヒザなどに、少し緑が残っていますが、言われないと気づかないのでは? 全体的によくわからないムラができました。

 

さて、これにて完成にしてしまってもいいのですが、あと一歩楽しみたいところ(というか、パチ組が終わった時点で「完成」ということでいいですよね。あとはプラスαを気軽に遊ぶ感じで)。そこで模型屋さんをウロウロしていたら、こんなものを見つけました。

 

▲AK interactive S.L.の「WEATHERING PENCILS FOR MODELLING」。実売は1000円程度でした。「え? 鉛筆?」と、面白そうなので買ってみました。様々な色合いが用意されていて、今回は3種買っています。

 

▲開けてみると、ホントに色鉛筆……。うーん、これはプラモデルのウェザリングで使うところの、パステルみたいなものかなあ……。

 

と、どーやって使うのか? 説明書には塗装した模型の上にコイツを塗って、水で湿らせたブラシでなじませろと書いています。最初に茶色系の「RUST & STREAKING EFFECTS SET」という、サビ系のものを使ってみましょう。

 

▲赤い丸で囲んだ部分が使った箇所です。

 

ほほー。なるほど、たしかに色鉛筆だと線を引く感覚で使えて、不器用な私でも筆に比べるとまっすぐ行けるかも。写真では、まだ水を使ってなじませていませんが、これでもいい感じではありますね。お次は銀を使ってみましょうかね。

 

▲履帯の、隙間部分に銀色のペンシルをゴシゴシと。右が作業前、左が作業後です。隙間がテカっているのがわかります。

 

▲履帯の横にもゴシゴシと。上が作業前、下が作業後です。

 

▲さて、全体を見渡してみると、どうにも許せないのが色の濃い上腕だったりお腹周り。調子こいてドライブラシをやりすぎてしまったため、明るい色が悪目立ちしています。ここに、暗めの塗料で再度ドライブラシをして、少し色を落としました。

 

そして、ようやくフィニッシュ間近! 最後は、せっかくの陸戦仕様なので、泥遊びをしました。

 

▲AMMO OF MIG JIMENEZ S.L.製の“ピグメント”と呼ばれる粉(写真右)と、それを溶く溶剤(写真左)。粉を溶き、ドロドロにして模型に塗りたくります(節度を持って)。

 

ミリタリーの模型などで使われるピグメントという粉を使って、足周りの泥汚れを付けていきました。これ、粉々な感じの表現もできるのですが、今回は泥的に厚めに使いました。ただ、強烈なので、やりすぎるとホントにドロドロな感じになってしまいますので、塗るとしても、1/144でいうと人の背の高さの腰くらいまでかなと。ただし輪転に関しては全面的にやってみるか、ということで、ドロドロのピグメントを筆に取り、慎重に足周りに付けていきました。後で気づいたのですが、これ、泥汚れじゃなくてサビ汚れ用の色として販売されていたものでした。まあ、いいか……。

 

▲足と輪転にピグメントを付けた状態。バックパックの、輪転付近にも少し付けています。

 

「輪転がキタナイのに履帯がキレイってのはどういうことだ」というお話もあるわけですが、まあそこはそれ、履帯は金属っぽい雰囲気を残しておいたほうが見栄えいいかなあと。

 

これにて、30MM 1/144 eEXM-17 アルト(陸戦仕様)[ブラウン]は完成!

 

▲改めて、今回の立ちポーズを。一応、下に行けば行くほど汚しを強めています。お好みですが、足周りがやっぱり汚れるかなとか、そういうことを考えながら作業するのも楽しいですよ。

 

▲背面。うーん、佇立している履帯がカッコいいですね! 力強い! やっぱり30MMはよいですな~。

 

▲上から。無塗装のものと比べたら、かなり立体感が出ているのではないでしょうか。

 

▲正面から見ると、バックパックが目立ってカッコいいですよね! 脚部の力強さも魅力です。

 

▲バックパックは足首後ろに接続可能です。これ単体で戦車みたいですよね~。

 

▲スソ付近は、例の色鉛筆を少しこすりつけたりして、ちょっと遊んでみました。

 

▲はい、ポ~ズ! 荒れ地を高速移動しているイメージで。実はこれ、自立しています。バックパックを足首に付けているから、飾るときの安定感が抜群なんですよ。

 

▲こんな不安定なポーズでも飾ることができます。

 

▲跳んでいるようなシーンも。

 

▲足首を前後逆に回転させて、バックパックをアクションベース的に使用してみました。こちらも自立しています。バックパックはホントに、遊ぶ時の使い勝手も抜群です。

 

30MMは、お手軽に組めて、いろいろ組み合わせて遊ぶのが楽しいわけですが、そこはプラモデルなので、ウェザリングをすると満足度が上がりますよ! どの工程も作業時間をそれほど取らずにチャッチャとできてしまいます。さらに、完成後でも気になる箇所に少しだけ影を入れたり雨だれを描きこんだりと、あとからチョイチョイいじり倒すことも楽しいでしょう。

 

ちなみに今回は、ゲート処理や二度切りなども一切していません。パチパチ組んでドバァ! っと汚して大満足。使った道具も、筆と塗料、そしてティッシュのみです。ウェザリングは、上手い人がやると本当にスゴいのですが、ヘタな私でもヘタなりに楽しめる。今回私が作った程度のものならばすぐできますし、模型ならではの楽しみ方なので、未経験の方はぜひとも挑戦してみてください! あ、最後に、今回の記事タイトルは、欅坂46のアルバム『真っ白なものは汚したくなる』が元ネタです。謙虚・優しさ・絆で、これからもキラキラ輝いてほしいなーっと!

(C)BANDAI SPIRITS 2019

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