【平成ガメラスーツアクター3人が揃い踏み】Blu‐rayボックス発売記念!特撮助監督・神谷誠氏とともにトークイベント開催!

更新日:2016年7月20日 12:58

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写真●羽沢正人・中村 哲/文●中村 哲(特撮ライター)

以後の日本の特撮怪獣映画に多大な影響を与えたといわれる、金子修介監督と樋口真嗣特技監督の名コンビが手掛けた平成ガメラ映画の3部作。この3部作と『小さき勇者たち~ガメラ~』の4作品をセットにし、新たに4Kでデジタル復元され、1,000分にもおよぶ映像特典を収録した豪華なBlu‐rayBOXが、7月22日(金)にリリースされることがここに決定!

 

これを記念して、ユナイテッド・シネマ豊洲を会場に、「平成ガメラ 4K デジタル復元版」の4K特別上映が、7月2日(土)~7月22日(金)の3週間のみの期間限定で開催されています。

 

平成ガメラ映画の第一作『ガメラ 大怪獣空中決戦』の上映を終えた現状の上映予定は、7月9日(土)~7月15日(金)が第二作の『ガメラ2 レギオン襲来』、7月16日(土)~7月22日(金)が第三作の『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』のプログラム。各回の上映には、新作『GAMERA』の1分バージョンの特別映像が合わせて上映され、全入場者には、『ガメラ』劇レア〝ポジフィルム〟がプレゼントされるという、ガメラファンなら絶対に見逃せない豪華な内容となっています。

 

さて、『ガメラ 大怪獣空中決戦』の上映に合わせて7月6日(水)に開催された、長峰真弓役の中山忍さんと金子修介監督の豪華な両人による第一回のトークに続き、7月13日(水)20時から開催された第二回は、『ガメラ2 レギオン襲来』の上映前に、真鍋尚晃氏、大橋明氏、福沢博文氏らの3人のスーツアクターと、特撮のチーフ助監督を3作で担当された神谷誠氏の総計4名による、これまたデラックスなトーク。今回もそのトークの中から、主要なものをピックアップしてレポートしましょう。

 

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トークの司会は、岩佐陽一氏が担当されました。

02▲ずらっと勢揃いした、今回のトークメンバー。左より『ガメラ1』ガメラ役の真鍋尚晃氏、『ガメラ2』ガメラ役の大橋明氏、『ガメラ3』ガメラ役の福沢博文氏らの平成ガメラのスーツアクター3人集と、特撮班助監督の神谷誠氏。

 

 

司会まずはそれぞれ、自己紹介をお願いします。

 

真鍋:『ガメラ 大怪獣空中決戦』(以後、『ガメラ1』)でガメラの中身を演じました真鍋尚晃です。

 

大橋:『ガメラ2 レギオン襲来』(以後、『ガメラ2』)でガメラを演じ、『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』(以後、『ガメラ3』)でガメラの敵怪獣イリスをやらせていただいた大橋明です。

 

福沢:『ガメラ3』でガメラを担当した福沢博文です。本日は、よろしくお願いいたします。

 

神谷:本日のトークがスーツアクター縛りなら、『ガメラ1』でギャオスのギニョールを担当し、〝ギニョリスト〟と呼ばれていた神谷誠です(笑)。本来は特撮班のチーフ助監督をやっておりました。

 

03a▲平成ガメラシリーズ初のガメラ役を、巧みにこなした真鍋尚晃氏。現在はホリプロでマネージャー業をこなしつつ、アクション女優の育成にも励んでいる。

 

04b▲この細身で『ガメラ2』のガメラ役を見事に演じた大橋明氏。アクション監督を担当した、特撮テレビドラマ『牙狼<GARO>魔戒烈伝』が好評放送中。

 

05c▲見るからに精悍なイメージの福沢博文氏。現在、日曜の朝に放送中の、戦隊ヒーロー番組『動物戦隊ジュウオウジャー』のアクション監督を担当。

 

06d▲特撮班チーフ助監督の神谷誠氏。最近では『アイアムアヒーロー』や近日公開の『デスノート』の特撮パートを任され、多忙な日々を送られている。

 

 

司会:皆さん、平成ガメラ映画への関わりをお聞かせください。

 

真鍋:当初は俳優を目指して上京し、ATCというアクションチームに所属していました。『ガメラ1』のガメラ役を演じたのは、このATCの先輩で、東宝のゴジラ映画でメカゴジラを演じた福田亘さんからのお話です。当時の自分は役者を目指していましたので、このガメラ役をスーツアクターの仕事の最後にして、悔いがないようにと取り組みました。

 

大橋:僕は元々、『ガメラ2』でレギオンの後ろ足を演じる予定でした(笑)。ところが、当初ガメラを演じる方のスケジュールが合わないので、スタッフから「大橋さん、身長近いですよね」みたいなノリから始まりました。それで急遽、ガメラ役をやることとなりました。

 

福沢:『ガメラ3』のガメラ役は、大きい人を使いたいということで、最初のお話をいただきました。初のガメラ役でしたので、自分にガメラを任せられるかスタッフ間で検討されたようでした。

 

神谷:僕は東宝で、主に川北紘一特技監督作品の助監督をやってました。『ゴジラVSビオランテ』で初採用された、メカニックが入った上半身のアップ用ゴジラを担当していましたので、ギャオスの時も「これは神谷だろう」ということで、ギャオスのギニョールに手を突っ込んで演じました。えっ、この話じゃない?(笑)

 

特撮の樋口さんとは東京消防庁の災害映画を一緒にやったのが縁で、その後「新しいガメラを若い力でやろうと思っているんだけど……」と相談されて、特撮班の助監督をやることとなりました。あの当時のガメラの特撮班のスタッフは「ゴジラに負けないものを作るぞ」との熱気に溢れていました。

 

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司会それぞれの作品に対する、当時の思いをお聞かせください。

 

真鍋:当時は役者を目指していましたので、樋口特技監督やプロデューサーさんには「ガメラという役をやらせていただきたい」とお話しました。ビルひとつを壊すにしても、劇中の愚直なガメラが何で壊さなければならないのかという部分には、自分なりの理由付けをしてやってました。破壊をするにしても、そこに魂をいれなければいけないとの役者心もありました。

 

大橋:僕はスタントマンとしての意識が強かったので、飛んだり跳ねたり、アクションの動きで見せたいとの思いがありました。決して芝居心がないわけではなかったですけどね。

 

司会お二人とも、映画の前半部分は着ぐるみよりもパペットとの戦いのシーンが多かったと思われますが。

 

真鍋:あのパペットは外部からワイヤーが仕込んでありまして、首や目が絶妙に動きまして、ある意味、悔しくて自分の敵はギャオスではなくて、このパペットだと思っていました。

 

司会大橋さんの時は、札幌の市街地でソルジャーレギオンにまとわり付かれる演技がありました。

 

大橋:ガメラの着ぐるみにまとわり付くソルジャーは、ソフビ製でして、ものすごい数を付けられて、死ぬような思いをしました。ガメラの着ぐるみがただでさえ重いのに、さらにソルジャーを付けられて、一回着ぐるみを着たらなかなか脱げないので、本当に大変な思いでした。この状態で周囲のスタッフが会議を始めちゃって、彼らが自分のことを忘れないようにと、たまにアピールをしたりしました(笑)。

 

福沢:僕も大橋さんと一緒で、動きでいろいろやりたいなと思っていたのですが、実際『ガメラ3』の着ぐるみは予想以上にでかくて重くて、それどころではなかったですね。ミニチュアの壊しもあるので、本番ではスタッフに迷惑をかけないようにするのが精一杯でした。猛火に包まれた渋谷の撮影では、防火用のスタントジェルを体じゅうに塗りまくって着ぐるみに入ったのですが、余分なジェルが足元にたまって、一歩目からジェルですべって倒れそうになりました。仕掛けを台なしにしたらいけないと思って、踏ん張って持ちこたえて前進しましたが、結局、最後には転んでしまいました。

 

神谷:あのスタントジェルは、自分がアメリカに行った時に遊びで買ってきたもので、「このジェルを発売して、ワシはアカデミー賞を受賞したんじゃ」(笑)と話すオヤジの店で購入したものでした。

 

司会:『ガメラ3』では、クライマックスの京都駅も大きな見せ場でしたね。

 

大橋:京都駅の内部に着ぐるみで入った際には、とにかく動いたら駅のミニチュアが壊れるから「動くな!」と常に言われました。

 

福沢:駅でのガメラとイリスの待機では、お互い顔を突き合わせて本番を待っていましたね。30分くらいの待ちの時には、たまに声をだして馬鹿話をしていました。

 

神谷:『ガメラ2』の時には、レギオン役の吉田(瑞穂)君が、着ぐるみを着たまま何時間ものセッティングをすることがあったので、もし万が一の時のことを考えて、大人用の紙おむつを買ってきて、「とりあえず、これを履いておいて」と、吉田君に付けてもらいました。結果的には大丈夫だったようです。

 

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司会スーツアクターの現場についてお聞かせください。

 

真鍋:一日に2~3カットを撮影できれば良いほうでしたね。朝、現場に入ったらグレーの全身タイツを付けて、一日中スタンバイです。待ち時間が仕事みたいなものでしたね。

 

神谷:スーツアクターの方には朝イチで来てもらって、着ぐるみを装着してセットに入ってもらい、動きなどの撮影の段取りを確認してから、美術や照明の建て込みが始まるんです。

 

大橋:そういう感じですね。ですから待ち時間はゲームボーイをやったり、プラモデルを作って時間をつぶしてました。プラモの製作については、その道のプロが大勢いたので(笑)、いろいろと教授してもらいました。

 

真鍋:それから『ガメラ1』では、スーツアクターの控え室が造形部で、そこがスプレーのシンナー臭くて、それも大変でした(笑)。

 

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司会樋口特技監督の演出はいかがでしたか?

 

福沢:『ガメラ3』のクライマックスで、ガメラと綾奈が見つめあうのですが、ガメラ的にどういう思いなのか、樋口監督に聞いたんです。そうしたら、「所詮、人間が勝手に思っているだけだから。怪獣だから何を考えているかはわかりません」と言われて。でも、その言葉に自分は感動して、深く考えるのはやめました。

 

神谷:怪獣は一種の災害のメタファーですから、やっぱり自然に発生する台風の気持ちは、誰にもわかりませんからね。

 

司会:1作ごとに技術もアップして行きましたね。

 

神谷:平成ガメラ映画は、旧来の着ぐるみ特撮と最新のCG技術が、ちょうど混ざり合ってできた作品です。『ガメラ1』では回転ジェットと自衛隊のミサイル、『ガメラ2』では先の札幌でガメラに群がるソルジャーのシーンで、初のモーションキャプチャーを駆使して処理し、『ガメラ3』では空中戦やイリスの各シーンに本格的にCGを使うようになりました。ですから、一作ごとに進化していくのが、よくわかると思います。

 

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司会それでは最後に、会場の皆さんに一言お願いします。

 

真鍋:『ガメラ1』でガメラを演じたのも、かれこれ古いお話となりました。自分は、ガメラは一本気な怪獣であると思っています。本日はありがとうございました。

 

大橋:実は本日が、『ガメラ2』の公開から20周年の記念すべき日なんです。子供の頃に見たガメラを、まさか自分が演じることになろうとは夢にも思っていませんでした。ガメラは末永く愛されるキャラクターですので、本当に大事な存在となっています。本日はありがとうございました。

 

福沢:平成ガメラ映画は、何年経っても楽しく見られる作品になっていると思います。できれば何回も見ていただいて、存分にその魅力を楽しんでいただければと存じます。

 

神谷:この前、樋口監督と一緒に飲んだ際に、今回の上映のお話をしたんですが、樋口監督も「自分は来られませんが、来場者の皆さんによろしく」と、どこかで思っていることだと思います。この3部作の製作の当時は、本当に地獄のような現場で、スタッフの皆が死ぬような思いをしながら作った、その情熱が画面から溢れ出ていると思います。本日はこの後の上映をお楽しみくださいませ。

 

司会皆さん、本日はありがとうございました。

 

20 21 22▲平成ガメラのスーツアクターの3人が、それぞれオリジナリティに溢れたガメラのポーズをとっての撮影セッション。満員の観客から、さかんにラブコールが送られた。

 

これらのエピソード満載のトークは、第一回と同様に30分の予定であったトーク時間をオーバーしました。しかし会場に集まった平成ガメラのファンにとっては、普段聞くことのできない貴重なエピソードの数々を生声で聞けるという、実に貴重な経験となりました。

 

23劇場を出ても、その興奮が収まらない平成ガメラのスーツアクターの3人は、ロビーのプロップ展示スペース前でも、ガメラのポーズで「ハイ、チーズ!」。3人の後ろでギニョリストの本領を発揮する神谷氏にも注目!!

 

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なお、第2回のトークに続く、第3回の最後のトークは、7月19日(火)の20時00分から、村川聡氏、松本肇氏、田口清隆監督の3名をゲストに招いて開催されます。平成ガメラトークの有終の美を飾るこちらにも、ぜひともご期待ください。

 

25第一回のトークゲスト、女優の中山忍さんと金子修介監督の、それぞれのサインが入った、貴重な今回の上映記念ポスター。

 

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