『鬼滅の刃』と『すみっコぐらし』が牽引する玩具業界――コロナ禍における売上推移や傾向は?「2020今年のクリスマスおもちゃのトレンド記者発表会」レポート
2020年12月1日(火)、都内某所にて「2020今年のクリスマスおもちゃのトレンド記者発表会」が行われました。本発表会は、東京おもちゃショーを主催することなどで知られる日本玩具協会が、「東京おもちゃショー」「クリスマスおもちゃ見本市」と玩具業界にとって大きな情報発信の場であるイベントが中止になったことを受け、最新トレンドや注目商品などを発表・紹介するために開催。本稿では、そんな注目おもちゃの数々が展示され、2020年の業界動向についても報告された記者発表会の模様をお届けしていきます。
まずは日本玩具協会会長・富山幹太郎さんの挨拶から。12月は玩具業界における年間売上の3割ほどが集中する最重要期であることや、そんなクリスマス商戦に向けての場である東京おもちゃショー・クリスマスおもちゃ見本市が今年はコロナ禍で開催できなかったことについて言及。新しい生活様式に則した情報発信の形態を模索してきたと話すなか、最近ではクリスマス向けおもちゃをテーマとしたテレビ番組等も増えてきたと話しました。店舗休業やインバウンド需要の激減など苦しい状況が続くものの、現状の業界全体における売上は昨年比95%と善戦していることを発表。2014年度には『妖怪ウォッチ』や『アナと雪の女王』に牽引され、初めて市場規模8,000億円を超えた玩具業界ですが、7年連続でその市場規模を維持することは充分可能との見方を明らかにしました。
続く東京玩具人形協同組合理事長・齋藤晴正さんは、日本を代表する玩具メーカー33社よりクリスマス向け新製品や最重点商品のエントリーを募り、それに対して全国の小売業と問屋から「特に売れると思うおもちゃ」「売りたいおもちゃ」へと投票してもらう企画「おもちゃ屋が選んだクリスマスおもちゃ2020」について言及。8部門に分けられた項目に166点ものおもちゃがエントリーされたなか、やはり『鬼滅の刃』と『すみっコぐらし』が人気であると発表しました。内容面では、ジグソーパズルやゲームをして遊べるおもちゃなど、“家で楽しめる”ことを特に重視した商品が目立ったとのことです。
日本玩具協会専門委員/東京玩具人形協同組合トイジャーナル編集長・伊吹文昭さんからは、業界の動向とトレンドについてより詳細な発表がありました。富山さんの挨拶でもあったように、2020年の売上推移は現状で昨年比95%となっていますが、クリスマス商戦では『鬼滅の刃』『すみっコぐらし』など人気IPの勢いに押されて、例年以上の上昇傾向が期待されるとのこと。
また「トミカ」「プラレール」「仮面ライダー」「リカちゃん」「シルバニアファミリー」「アンパンマン」など定番のおもちゃたちも、当初は例年通りのプロモーションが展開できず苦戦していたものの、夏から秋にかけて復調傾向にあると報告されました。そのほか、消しゴムや缶バッチ、ビーズアクセサリーなどを作るアーツ&クラフト、子どもの自宅学習に役立つプログラミングの基礎を学べるおもちゃ、「きめつたまごっち」「すみっコキャッチ」「ポケットモンスター スマホロトム」など液晶画面を使用したおもちゃ、またタブレットやパソコン端末型のおもちゃが人気であり、総じて親子が一緒に楽しめるおもちゃがトレンドであると総括しました。
2020年の2大トレンドとされた『鬼滅の刃』『すみっコぐらし』ですが、IP単位の売上について訪ねてみたところ具体的な集計データはないとのこと。しかしバンダイから発売された「鬼滅の刃 DX日輪刀」は、その年で最も売れたおもちゃに贈られるヒットセールス賞のトップ争いに食い込むと目されているほか、「きめつたまごっち」を始めビーズアクセサリーや缶バッチのクラフト系おもちゃなど女の子向け商品の売り上げも大きく、さらに「ドンジャラ 鬼滅の刃」など家族で楽しめるゲーム系おもちゃの需要もあり、今年一番の売り上げを記録するIPだろうとのことでした。
『すみっコぐらし』については、こちらも同じく玩具業界としての集計データはないとのことですが、IP全体の市場は200億円(18年)、270億円(19年)と拡大しており、今年はなんと460億円にものぼる勢いだとのこと。その要因として、今年は特に低年齢層に人気が拡大したことが挙げられ、玩具業界としても大きなビジネスチャンスとして注目していると回答を得ました。
記者発表会の会場には、「おもちゃ屋が選んだクリスマスおもちゃ2020」8部門ベスト3に輝いた商品のほか、発表されたトレンドに則した商品も数多く展示されていました。まだクリスマスプレゼントを何にするか決まっていない方はぜひチェックを!
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