1983年の同時上映をリバイバル!高橋良輔監督ら登壇の『ドキュメント太陽の牙ダグラム』『チョロQダグラム』『ザブングルグラフィティ』上映トークショーレポート

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2021年10月23日、『ドキュメント太陽の牙ダグラム』『チョロQダグラム』『ザブングルグラフィティ』の一挙上映イベントが「サンライズフェスティバル2021 Regeneration」の一環として行われました。

 

『ドキュメント太陽の牙ダグラム』と『ザブングルグラフィティ』は、それぞれ『太陽の牙ダグラム』と『戦闘メカ ザブングル』をダイジェスト版として再編集した作品で、『チョロQダグラム』はSD作品の元祖とも称されるショートフィルム。いずれも1983年に同時上映され、今回のイベントはそのリバイバルとなりました。

▲トークショーに登壇した『太陽の牙ダグラム』の高橋良輔監督(左)と、両作品の企画、ダグラムの設定などを担当した元サンライズ企画室長の井上幸一氏(右)。「チョロQダグラムの立体的なタイトルロゴは高橋監督の手作りですよね」と話す井上氏に対し、高橋監督は「いや、覚えてないんですよね」と首をひねり、会場の笑いを誘っていました。

 

上映に先立ち、高橋良輔監督と大河原邦男氏によるトークショーが予定されていましたが、大河原氏の体調不良により、急遽ピンチヒッターとして元サンライズ企画室長である井上幸一氏が登壇。

 

高橋監督は冒頭の挨拶で、上映当時の思い出を「会場は新宿だったんですが、そこまでの道を歩いていたら(一緒に舞台挨拶に登壇する)富野監督にばったり会いまして。そのときはいつもの恰好なんですけど、いざ舞台挨拶がはじまったら上下白スーツになってるんですよ。慣れているなと(笑)」と語り、トークショーはスタートしました。

 

テーマがダグラム製作時の話題になると、井上氏は「新しいコンバットアーマーを出すたびに、(共同監督をつとめた)神田武幸監督といろいろなやりとりをしていましたね。実はアイアンフットは、その話数の担当演出さんがイメージスケッチを描いてくれたんですよ。それを持って大河原さんのところにデザインをお願いしにいって……大河原さんからは、とにかく『これをどういうふうに使うの?』と質問されたことを覚えています。同じ2人乗りタイプのコンバットアーマーでいうと、ブロックヘッドを作るときなんかは『上にいるほうのパイロットが戦車でいうところの車長だから、下にいるパイロットを蹴れる位置にレイアウトしてください』と頼みました。芝居つくりのためですね」と、設定担当ならではのエピソードを披露。

 

また、大河原氏の名前があがると、高橋監督は「大河原さんと僕は年齢が4つ違いなんですけど、それくらいの歳の差だと、やはり原体験が似ているんです。つまりは日頃見る兵器、戦後のアメリカ駐留軍のジープなんですけれど、そういったものの存在感みたいなものを話し合わなくても共有できた。そういう点でいつも仕事がやりやすかったですね」と述懐していました。

▲「僕はミリタリーにむしろ弱いくらいなので、そういうところは神田監督におんぶに抱っこでした」と謙遜する高橋監督。井上氏には「とはいえメインロボットを作るときの、監督のこだわりは強いんです。ダグラムは最初にデザインが上がってから、発表するまで一年近くかかりましたから」と返されていました。

 

そしてトークの話題は、作品を象徴するビジュアルである“朽ち果てたダグラム”へ。高橋監督は“朽ちダグ”完成までの経緯を「観る人をパッと掴む、なにかはないだろうかと模索していた」としたうえで、「ダグラムのお話を考えているときにガンダムを観て、そのすばらしさを体をもってうけたんです。とはいえ、富野さんと同じことをするわけにはいかない。ガンダムは海軍と空軍のカッコよさを充分に表現しているんだから、それならば陸軍しかないだろう、陸軍なら汗とホコリだろうと。さらに、そのときに松本零士先生の「戦場まんがシリーズ」を読んで、どうにかこのスピリットをダグラムの中に入れたいと思いました。そうして、いろいろとスケッチをしているうちに“朽ち果てたダグラム”にいきついたわけです。あれにかぶせるナレーションも含めて、自分のなかで『ダグラムという作品はこれでいいだろう』と思える第一歩だったように思います」」と語り、井上氏は「“朽ちダグ”の状態に持っていかないとお話が終わらないわけですが、劇中でなかなか武装がつかなかったり、ターボザックをつけるのに時間がかかったりと……おかげで全75話ありますからね(笑)。もう一度、第1話を観ていただくとわかるんですが、“朽ちダグ”はチェーンガンが設定される前に描かれたので、手の甲にチェーンガンがついていないんですよ。さらに設定的なお話でいうと、ダグラムに乗り降りする昇降装置も実は途中で変更になっています。本当は後頭部の赤いフレームのところが外れて下に降りるためのステップになるはずだったんですが、『これ、ターボザックをつけちゃうと使えませんよね』という話になりまして(笑)。仕方がないから肩のエッジの部分に片足を引っ掛ける昇降機を設定しました。そういうことがあるたびに大河原さんに設定を描きなおしていただいて、ご苦労をおかけしました」と、興味深い製作秘話を披露していました。

▲ダグラム製作時の忘れられない思い出として、アニメ放映開始が迫る中、高橋監督たっての要望で予告編的な第1話を追加することになったというエピソードを披露してくれた井上氏。結局、放映開始が3週ずれこんだとのこと。

 

最後は高橋監督が「いろいろなわがままをサンライズに聞いていただいて、作品に携わってきました。今、ひとつ思うのは、ダグラムで最初に考えたことがずっと自分の中でテーマとしてつながっているなと。ダグラムは自分にとってデビュー作だと思っているので、作り手というのはデビュー作を引きずるところがあるなと振り返っています。そういうことも含めて、40年もたったのに、こういう機会があることに幸せを感じております」と締めくくり、トークショーは終了。その後の一挙上映とあわせ、大ボリュームの充実したイベントとなりました。

 

なお、この3作品は「サンライズフェスティバル2021 REGENERATION」大阪会場(TOHOシネマズ梅田)での上映も決定しており、日時は2021年11月13日(土)、18:00からの開映となります。こちらもチェックです!

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