玩具業界市場規模は9,525億円をマーク、カプセル玩具とあわせて初の1兆円を突破「東京おもちゃショー2023 記者発表会」「日本おもちゃ大賞2023 授賞式」レポート
ここからは「日本おもちゃ大賞2023 授賞式」の模様をレポート。
はじめに日本玩具協会 日本おもちゃ大賞実行委員会 実行委員長・中村幸一さんより、昨今のトレンドにあわせて行った受賞部門の改定についてや、審査に37社325点もの応募があったこと、またこれまで段階的に行われた審査の日程・内容などの振り返りがありました。
「知育・教育・教科学習に役立つ玩具」が該当するエデュケーショナル・トイ部門では、タカラトミーアーツの「赤ちゃんスマイル Honda SOUND SITTER」が大賞を受賞。赤ちゃんが母親の胎内にいる際に聞く音と車のエンジン音が似ているという研究結果に基づき、2018年より開発をスタート。エンジン音を再現する難しさをはじめ、赤ちゃんに優しいデザインの追求、さらに実際に赤ちゃんを安心させる効果が得られるのかどうかといった様々な壁を乗り越えての受賞となりました。
「五感を育む基礎的な玩具」が対象となるベーシック・トイ部門では、メガハウスの「ルービックキューブ ダブルフォーム」が受賞。これまでのルービックキューブとは異なり、形と色でそれぞれ違う揃え方を楽しめる本アイテムは、開発当初は「面白みが伝わらない」という意見が社内から上がったそう。そこから商品の魅力がよりユーザーに伝えられるよう開発を進めたというエピソードが紹介されました。
「アクティブに遊べる玩具」が対象のアクション・トイ部門では、タカラトミー「トミカ スライダーパーキング50」が受賞。「多くのトミカを駐車・発車させたいというお子さまの願望を、どうしたら電池なしで実現できるかということを考えた時、ロングスライダーをつなげ、重力を利用して落とすギミックに行き着きました」と話す開発担当者さん。「2008年の(日本おもちゃ大賞)第1回では、僕の尊敬する、レジェンドともいえる開発マンが手がけた『トミカワールド』という商品が大賞を取ったことがありました。それから数えて、トミカは久々の受賞です。嬉しいですし、子どもたちに自信を持ってオススメできます」と熱いコメントを残しました。
「世代を問わずみんなで遊べる玩具」が対象となるコミュニケーション・トイ部門では、バンダイの「Tamagotchi Uni」が受賞。シリーズ初となるWi-Fi機能を内蔵し、世界中のファンとつながる遊びを体験できる本アイテムは、世界同時発売というチャレンジにも取り組んでいます。
「キャラクターIPを題材にした玩具」が対象のキャラクター・トイ部門では、タカラトミー「カメラでリンク!ポケモン図鑑 スマホロトム」が受賞。「アニメのようにポケモンを見つけるワクワクや、友達とのコミュニケーションのきっかけになれば嬉しい」とコメントがありました。
「大人が楽しめる玩具」が対象のハイターゲット・トイ部門では、BANDAI SPIRITSの「超合金 RZ-041 ライガーゼロ」が受賞。登壇した企画担当者は「ゾイド40周年の歴史に恥じないものを作れたと思います」と胸を張りました。
「目や耳が不自由な子もそうでない子も、障がいの有無に関わらず楽しく遊べるよう配慮が施された玩具」が対象の共遊玩具部門では、セガトイズの「なおしてあげる!こねこのおいしゃさん」が受賞。「◯◯が痛いニャ~」という風に、子猫自身が言葉を発してユーザーとコミュニケーションを取るという仕様について、「初めは子猫がしゃべる予定はありませんでした」と裏話が明かされました。当初の仕様のままでは目が見えない子が遊べないということに着目し、思い切って子猫に言葉をしゃべらせる方針にしたところ、多くのお子さんから好意的な反応が得られたんだとか。登壇者さんは「私が思う共遊玩具の好きなところは、目が見えなかったり、耳が聞こえない子に配慮することで、結果として“みんな”が遊びやすい玩具になるところです」とメッセージを送りました。
また昨年度(2022年4月1日から2023年3月31日まで)において、販売実績が最も優れたアイテムに授与されるヒット・セールス賞はセガトイズの「カメラもIN!マウスできせかえ!すみっコぐらしパソコン プレミアムプラス」が受賞。
日本おもちゃ大賞の応募作品のなかから、特に新しい発想や素材・技術などが顕著な商品に贈られるイノベイティブ特別賞にはタカラトミーの「SORA-Q Flagship Model(ソラキュー フラッグシップモデル)」が輝きました。「ゾイド」や「トランスフォーマー」といった同社人気シリーズ商品に用いられている技術を応用し、宇宙開発と宇宙産業発展に貢献したという本アイテム。2023年8月以降、JAXAの小型月着陸実証機「SLIM」に搭載され、月に向けて打ち上げられる予定だといいます。
授与式の最後には、日本おもちゃ大賞2023 審査委員長の北原照久さんから総評がありました。「審査をしていて、“これを企画している人たちはおもちゃが好きでたまらないんだな”と本当に感じました。最終審査に選ばれたものはどれも素晴らしく、点数をつけるのが難しかった。おもちゃは平和の象徴ですから、これからもどんどん広まってくれたら嬉しいです」とコメントがあり、授与式は終了となりました。
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