【集中連載】大河原邦男展の楽しみ方⑦_蒼き流星SPTレイズナー編 80年代大河原作品の総決算、それがSPT(スーパー・パワード・トレーサー)だ!!
現在、上野の森美術館で開催中のイベント「大河原邦男展」の楽しみ方をお伝えしていく、電撃ホビーウェブ集中連載「大河原邦男展の楽しみ方」! 第7回は『蒼き流星SPTレイズナー』関連の見どころを、アニメーション研究家の五十嵐さんに語っていただきました!
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こんにちは。大河原邦男展の日程も残りわずかになってまいりました。猛暑が去って、過ごしやすい季節ですし、ご覧になっていない方は、ぜひ足を運んでくださいませ!! 今回のお題は『蒼き流星SPTレイズナー』です。
『レイズナー』の展示の内容については、サンライズさんの資料室で大河原さんの原画を見た時に決めました。SPTのデザインを構築する鉛筆の線の魅力。迷いなく引かれた、その線たちの虜になってしまったのです。それらを見た時、モビルスーツ、コンバットアーマー、アーマードトルーパー、ラウンドバーニアンと1980年代を代表するメカニックを生み出した大河原さんの総決算、それがSPT(スーパー・パワード・トレーサー)なのだと感じました。
かくして、大河原邦男展の展示コンセプトはSPTの決定デザインを網羅することにしました。
自分は主人公メカのレイズナーの「顔」に注目しました。本展覧会で展示している『太陽の牙ダグラム』の企画デザインには、頭部がドーム状のキャノピーとなっているものが存在します。大河原さんにはダグラムの頃から、キャノピーをロボットの頭部といかに馴染ませるかという課題があったと思われます。そこで大河原さんが最初に主人公メカとしてデザインしたのは、SPTベイブルでした。
SPTベイブルはユニークなキャノピーの形が、そのままメカとしての個性とリンクする傑作デザインです。しかし、最終的に決定したレイズナーのデザインは、より前に進んだものでした。レイズナーはキャノピーと人間的な記号を持つ顔を両方取り込むという、一種アクロバットなデザインだったのです。普通なら並び立たないと考えてしまいそうな、無表情なキャノピーと、人間の目や顎を思わせるパーツが両立するレイズナー。そのリアリティと個性が同居する顔は、まさに1980年代の大河原デザインの総決算といえるでしょう。
本作の展示コーナーにはSPTだけでなく、MF(マルチフォーム)の原画も展示しています。映像には登場しなかった幻のMFレイズナーMk-IIの原画も展示していますので、見逃せないでくださいね!!
以上、「大河原邦男展の楽しみ方」第7回_蒼き流星SPTレイズナー編でした! 次回は『機動戦士ガンダムSEED』編をお送りいたします。
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<展覧会概要>
メカニックデザイナー 大河原邦男展
■開催日時
開催中~9月27日(日)※休館日なし
10:00~17:00(入館は閉館の30 分前まで)
※9月4日、9月11日、9月18~27日は開館時間を午後7時まで延長
■会場
上野の森美術館 (東京都台東区上野公園 1-2)
■入場料
一般 1,500(1,300)円
高大生 1,200(1,000)円
小中生 500(300)円
※( )内は前売・団体料金。団体は20名より。
※前売券はイープラスほか各プレイガイドにて発売中。
作品を使用した絵柄入りチケットは、エキュート上野チケットショップなどで発売中。
※障がい者は無料。付添いの方は有料。
<関連情報>
メカニックデザイナー大河原邦男展 公式サイト
特設サイト
http://www.sankei.com/special/okawara/
公式 twitter
公式 facebook
http://www.facebook.com/okawaraten
上野の森美術館
電撃ホビーウェブ|【集中連載】大河原邦男展の楽しみ方①
https://hobby.dengeki.com/news/91665/
【集中連載】大河原邦男展の楽しみ方②_前夜祭レポート
https://hobby.dengeki.com/news/94743/
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