『ロウきゅーぶ!』原作者・蒼山サグ先生とPMOA担当A氏の対談再び! 小学生&ウェディングドレスについて語りあおう!
ピーエムオフィスエー(以下、PMOA)と電撃ホビーウェブが進めてきた「ロウきゅーぶ! NEXTフィギュアプロジェクト」から生み出された「湊 智花 ~ウェディングVer.~」。現在好評予約受付中の本アイテムについて、原作者である蒼山サグ先生と、PMOAの企画担当A氏の対談が実現しました!
前回のインタビューもフィギュア業界の内外に多大なインパクトを与えましたが、今回のインタビューもなかなかエッジの効いた内容となっています。インタビューの後半では衝撃の新展開の告知もありますので、紳士淑女の皆様は覚悟して読み進めてください!
【Profile】
蒼山サグ…『ロウきゅーぶ!』で第15回電撃小説大賞<銀賞>を受賞。
代表作は同作および『天使の3P!』(共に電撃文庫)。
企画担当A…ピーエムオフィスエーのキャラクターホビー事業(PLUMブランド)企画担当。
特定の年齢層の女の子が多い同社のフィギュアラインナップを支える。
--前回に続いて第2回目となる『ロウきゅーぶ!』の作者、蒼山サグ先生と、PMOAの企画担当A氏による対談となります。さっそくですがよろしくお願いします。
蒼山サグ先生(以下、蒼山):
えっ。今日ってAさんと僕の対談なんですか? PMOAさんと電撃ホビーさんの担当の方と僕で鼎談になると思っていたんですが(笑)。
PMOA企画担当A氏(以下、担当A):
彼は電撃ホビーウェブの小学生担当ですからね。この前も「ウェディングドレスは小学生に限る」とか書いていましたから。
蒼山:
そうなんですよね。この前も記事に「予約じゃなくて婚約だ」とか書いてあって「何言ってるんだろう?!」って(笑)。
--えー。それは、担当Aさんの熱意を受けて筆が滑ったといいますか……まぁ、それはさておき(苦笑)。さて、いよいよ予約開始となりました「湊 智花 ~ウェディングドレスVer~」についてお話をお伺いさせていただければと思います……。
「ウェディングVer.」イラストと造形について
-- まずはPMOAの担当Aさんに。「ウェディングVer」のイラストができるまでを教えてください。
担当A:
衣装とシチュエーションを読者の皆さんの投票で決める、という企画ですからね、まずは投票結果を見てポージングなどを決める必要があるんです。以前、電撃ホビーウェブの読者の皆さんにはご紹介したんですが、今回の投票企画では『ロウきゅーぶ!』ファンの皆さんから、本当にこだわった沢山の意見が寄せられまして。
(関連記事はこちら⇒「ロウきゅーぶ! NEXTフィギュアプロジェクト」妄想投票をPMOA・企画担当A氏と振り返る!)
それらを整理してみると、振り返りポーズで上目遣いで恥じらって……というものと、元気いっぱいにこちらに駆け寄ってくるというものの、2つのシチュエーションがメインなんですよね。元気いっぱいなのは、智花の妄想の中で! みたいなイメージが多かったですね。
蒼山:
あー、なるほど。
担当A:
どちらも想像してみるとすごく智花らしいな、と。僕も最初は照れながらの振り返りポーズかなーと思っていたんですが、それだとどうしても現在展開中の「うさぎさん」シリーズの「智花」のポーズと被ってしまう。それだったらせっかくのウェディング衣装だし、嬉しそうに駆け寄ってくるイメージにしようと思いました。
そこまで固まれば、後はこれまでも版権イラストを書いていただいていたアニメのスタッフの方にお願いして描いてもらうだけです。もともとアニメを製作されていた方々ですから、もう上がってきたものについては大満足でしたね。投票してくれたファンの皆さんもきっと満足していただけているのではないかな、と思います。
--蒼山先生は発注されたイラストをご覧になっていかがでしたか?
蒼山:
そうですね。この表情がすごくイキイキとした感じがいいですよね。「ああ、本当に嬉しいんだなこの子」(笑)。
-- さて、実際ここにイラストを基にして製作された「ウェディングVer」の彩色見本があるわけですが。こちらの造形をされる際に気をつけたことについて教えてください。
担当A:
前に出した「湊 智花 ~うさぎさんVer~」と全然違うじゃん、といわれないようにするというのは大前提でしたね。もちろん、製作方法も当時は3Dデータと手作業で原型を作っていましたし、作っている人間も違いますけど、そこは同じキャラクターを造形しているわけですから、大きく違うということがないように気をつけました。
あとは……顔ですかね。やはりフィギュアは顔が命ですから。
蒼山:
顔がすごく可愛いですよね。あと、後ろ髪なんかのラインもすごく綺麗で、かなりこだわって製作されていることが伝わってきます。ちゃんと流れを感じさせる造形で、これがベールから透けて見えることで、リアリティが効いているというか。
担当A:
やはり透けていると改めて覗きこみたくなりますから、そういう意味でもベールの透明感と髪の毛にはすごく気をつけて作っていますね。髪型はベールの下にあるとはいえ、不自然な形にならないようになっています。
--なるほど。……あとはやはりプロポーションの話題となるわけですが、このあたりの苦労などお聞かせいただければ。
担当A:
これまでのうさぎさんシリーズと比べると、素肌が見えている部分が多いのでセクシーになりすぎないようにしています。とくに右のお腹のラインには気を遣いましたね。今回のポーズだと少し体をひねっているので、どうしても腰のくびれが強く出ちゃうんですよね。なので、ここはああでもないこうでもないと試行錯誤しています。
-- そういう意味では、たしかに肌の露出がありつつも、可憐さを前面に押し出した造形となっていますね。
担当A:
基本的な造形に関しては男性スタッフが担当しているんですが、全体的な「可愛らしさ」を演出する部分については、うちの女性原型師がかなり頑張ってくれています。彼女は下着の造形にもこだわってくれて、スカートの中、見えない部分までしっかりと作りこんでくれました。残業しながら(笑)。ここはぜひ実際に購入して楽しんでいただければと思います。
--(笑)。蒼山先生はいかがでしょうか? そんなこだわりのボディラインをご覧になった感想は?
蒼山:
お腹まわりももちろんなんですが、今回は特に背中がいいですよね。肩甲骨というか、背中の真ん中のくぼみという。ここはやはり、相当にこだわらないとこうも凹ませないと思うんですよ。まるでモーゼが通った後のような造形です。こうして見るとアニメキャラなのに、きちんと骨格がある、そう見える造形というのは大変素晴らしいと思います。
担当A:
ありがとうございます。なかなかこの年齢層のキャラクターを立体化するメーカーさんは多くないので、参考にできるアイテムも少ないというか。もうウチが独自に進化していくしかない部分ですよね。
蒼山:
あとは、2層になっているドレスの構造とかが素敵ですよね。ここは結構大変だったんじゃないですか?
担当A:
そうですね。イラストとしてはベールもスカートの透明な部分も「可愛いな」という印象だけで良かったのですが、やはり実際に「造形する」となると制作にも相当気をつけなくちゃいけないので(笑)。実際に彩色見本を作るときも結構大変でした。
蒼山:
やはり、クリアパーツが多いと難しいんですか?
担当A:
気泡が入ったりするとごまかせませんからね。塗装も気をつけないと、濁ったり汚くなったりもしますから。そういう部分も気をつけないといけないんです。生産のときもここはしっかりと気をつけて、皆さんにお届けしたいなと思っています。
「ウェディングVer.」特典短編小説について
--短編小説が付属するという珍しいアイテムとなる「ウェディングVer.」。こちら、ウェディングドレスというテーマで短編を執筆なさったわけですが、イラストを見てから製作に入られたんですよね?
蒼山:
ええ、それはもちろん。内容をあわせないといけないですから。
担当A:
実は、原型師達と一緒に「これ一体どういう短編になるんだろう?」と心配していました。小学生がウェディングドレスを着るのか!? という(笑)。
蒼山:
(笑)。それもありますし、衣装の露出も高いですから、これを智花が着る状況というのは、少し難しかったですね。
……考えられるお話としてはこの衣装を「着るまで」のお話か「着た後」のお話かのどちらかです。「着た後」のシチュエーションを考えると、もちろん昴と智花の嬉し恥ずかしな場面を書くことはできるんですが、智花の性格を考えると、そんなに長い間この衣装を着ていられないだろうな……と(笑)。あんまり長いお話にはならないような気がして、そうなると前回のインタビューの際の「しっかりとした物語にしたい」という約束とは違ってきてしまいます。だったら、ということで、今回の付録小説は「智花がこのドレスを着るまでの過程」を描いた、いわゆるプロローグ的なものになっています。
-- フィギュアのプロローグとしての小説ですか……新しいですね。いかにして智花はこの衣装を着ることになったかという。
蒼山:
はい。原作者としての「智花はこの衣装を着て微笑みました!」という、このイラストのシチュエーションに対する証明書みたいな感じですかね(笑)。この後の展開については、ぜひ皆さんに色々と想像してもらえればと思っています。
-- さて、今回の短編ではほかの6年生メンバーも登場します。蒼山先生も慧心女バスの面々を描くのは久しぶりだったと思うのですが、いかがでしたか?
蒼山:
ひさしぶりですから、僕自身もっと戸惑うかな……と思っていましたが、意外にすんなりと書き始められました。意図したわけではないのですが、物語を真帆からスタートしたのも良かったのかな、と。ギアがガツンと入る感じです。5人の中で一番書きやすいのが真帆ですから。
担当A:
僕も、いち読者という立場ですでに今回の原稿を読んだんです。原作の後のお話なんですけど、久井奈さんと真帆が出てくることで、もうすんなりと物語の中に入りこめて。ワクワクして一気に読んでしまいました。そういう意味では読者の立場からしても真帆から入るスタイルはすごくありがたいかも知れません。
蒼山:
真帆の家で、というのはこれまでも何度も使っている展開ですけど、それだけに久しぶりに読んでもらう『ロウきゅーぶ!』の展開としては良かったのかな、と。皆さんに懐かしさと楽しさを感じてもらえれば嬉しいですね。
担当A:
私も一日も早く皆さんに読んでいただきたいですね。
しかもウェディングドレスだけではなく、うちの「うさぎさん」シリーズを買ってくださっている方にとっても嬉しいサプライズもありますよね。
蒼山:
そうですね。「うさぎさん」シリーズもスピンオフ的なアイテムではあるので、ここはせっかくなので同じフィギュアものとして絡めたいな、と。
担当A:
ありがとうございます(笑)。
蒼山:
ただ短編小説の反省点としては……久井奈さんを出しすぎたかな(笑)。僕、あの人のこと結構好きだったんだな、と思いました。
担当A:
いや、でも久井奈さんも結構フィギュア化の要望ありますからね。「バニースーツ着てたじゃない!」という(笑)。『ロウきゅーぶ!』は小学生以外のキャラクターのフィギュア化希望も多いですよ。久井奈さんだけじゃなくて、昴のお母さん(七夕)や、美星とかの立体化希望が結構、お客さんから来ますから。
蒼山:
それは……ぜひ立体化をお願いしたいところですね、シリーズが小学生から離れて良ければですけど(笑)。まぁ、ある意味、癒やしと母性を求めるという意味では、小学生もお母さんも同じようなものなのかもしれませんね。
うさぎさんシリーズの今後の展開について
--さて「うさぎさん」シリーズの話も少し出ましたが。ここで、担当Aさんから重大なお話があるとか?
担当A:
実は……慧心女バスの5年生チームも「うさぎさん」シリーズとして立体化することになりました。
蒼山:
おおー……。えっ、大丈夫なんですか(笑)。原作者としては非常にありがたいんですけど、ご迷惑をおかけしませんか……?
担当A:
もともと5年生の立体化はお客さんからの要望が非常に強かったっていうのもありますし、実際にファンの皆さんからの応援のおかげもあって、『ロウきゅーぶ!』のシリーズがしっかりと会社から認められたというのも大きいですね。むしろ会社からは、「うさぎさん」シリーズで6年生はリリースが終わって、今回ウェディングドレスもやって、「じゃあ次は何をやるんだ?」って聞かれたぐらいですね。
担当A:
最初はやはり、智花のライバルということでミミを出そう、という話になったんですが、社長に「智花のライバルのミミ・バルゲリーというキャラがいまして……」と説明したところ「他にどんなキャラクターがいるのか? 他の子はやらないのか? 」と聞かれたので「やってみたいです」、と(笑)。
-- 6年生のときは1体1体発表・発売していたイメージがあったんですが、5年生は一気に5人やると言い切ってしまうんですね。
担当A:
まぁ、正直なところをいうと5年生でもミミをだして次にあの子を出して……みたいに、探り探りやろうかと思っていたんですけど、社長からは「2人目もやるつもりがあるんだったら、全員考えてみてはどうか」と言われました。なので、その場で5年生の他のメンバーの説明もしました。スタッフからは「かげつはひなたの妹なのか、お姉さんじゃないのか」って聞かれましたね(笑)。
蒼山:
(笑)。
担当A:
5人全員出すと決まれば、リリースする順番やポージングも最初に全部考えないといけないので今慌てて考えているところで。最初は冗談で「椿と柊はコンパチでいいでしょ!」みたいなことを言ってたんですが、さすがに実際に商品化するとなると、ちゃんと考えないといけないですから。
蒼山:
5年生全員の立体化はなかなか大変な道のりだとは思いますので、ぜひ今回の「ウェディングVer」のように色々と協力できればいいなと思いますね。
担当A:
それはぜひお願いできればと思います!
……今はフィギュアの基となるイラストを発注するところで、ポージングのざっくりとした相談をしているんです。5年生だけでまとまるだけではなく、智花とミミ、紗季と雅美、ひなたとかげつみたいに、現在発売中の6年生チームとも組み合わせて楽しめるようなアイテムにできればいいかな、と考えています。人によっては「紗季だけ買いました!」という紗季ファンの方もいらっしゃると思うんですけど、そういう方にも雅美を買ってもらって、一緒に飾ってもらえるような展開にしたいな、と。
ちなみに色は、前に要望があった水色にしようと思ってます。
蒼山:
ピンクと対になるイメージだし、すごくいいですね。
担当A:
まぁ……会社からはさらに「6年生はもういいのか?」って聞かれているんですけどね(笑)。それだとPMOAのラインナップが『ロウきゅーぶ!』だらけになっちゃうよ! って言う感じなんですけどね。
蒼山:
いや、いちフィギュアファンとしてはもう本当に願ったり叶ったりというか。
-- ちなみに蒼山先生がこういうフィギュアほしい、っていうのはあったりしますか?
蒼山:
いままでこれだけやってもらってこれだけでもありがたいんですけど、その上でお願いできるのであれば、スタンダードな制服とか体操服、あとはメイド服とかは見てみたいとは思います。作るの大変だとは思うんですけど(笑)。
担当A:
体操服や制服は、これまでも検討したことはあるんですよね。ただ慧心学園の制服って、シンプルなようで実は立体化が結構難しいデザインなので、造形面で悩みますよね。
蒼山:
制服はてぃんくる先生のデザインですからね。
担当A:
一方で体操服は服装としてすごく簡単ですから、逆に立体として如何に見せ場を作るか、という部分があって。
--やはり「スパッツに浮き出る下着のライン」的な?
担当A:
うーん、でも『ロウきゅーぶ!』だとスパッツを直穿きしてそうな子が何人かいそうなんですよね。智花はスパッツに下着のラインが浮き出ているけど、アレ、真帆にはそれがないぞ? みたいな(笑)。
蒼山:
真帆は直に行きますよね。……これは筆が捗りますね(笑)。
担当A:
(笑)。あとは……ウェディングVerも他のキャラクターがほしいという方が結構いらっしゃいます。僕のツイッターには「ひなたのドレスVerが出たら買います!」というご意見が寄せられたりしていますし……6年生の次については色々と考えている段階ですね。
最後に
--最後に、お二人から読者の皆さんへのメッセージをお願いします
担当A:
『ロウきゅーぶ!』やこれぐらいの年齢層(?)のキャラクターのフィギュア化を続けてきたことで、着実にブランドイメージが定着してきているので、ぜひこれからもこの方向性はどこにも負けないよう頑張っていきたいですね。
蒼山:
まずは今月(4月9日)に『天使の3P!』の短編集を発売させていただきましたので、よろしくお願いします。その前の巻で『3P!』は第一部が終わり、この短編集を挟んで、今年の秋には第二部をスタートしてさらに『3P!』も盛り上げていきたいと思ってます! すでに発表されていますが、ドラマCDや音楽ユニットの続報もお待ちいただいて、『ロウきゅーぶ!』と同じく応援してもらえると嬉しいですね。
担当A:
PMOAも将来的には『天使の3P!』もぜひフィギュア化したいと思っていますので、まずはそこに至るまで『ロウきゅーぶ!』を頑張り続けたいですね。
蒼山:
それはもう願ったり叶ったりというか。お話をいただければ「お願いします!」と2つ返事です!
というわけで、現在予約受付中の「湊 智花~ウェディングVer.~」についての対談をお届けしました。こちらPMOAならではのこだわったアイテムとなっていますので、まだ予約が済んでない……という『ロウきゅーぶ!』ファンは急ぎ予約を! 短編小説も読めますので。
また、5年生メンバーのフィギュア化も発表されるなど、まだまだ『ロウきゅーぶ!』とPMOAの勢いはとまりません。こちら、続報があり次第ご紹介していきますので、お楽しみに!
DATA
湊 智花~ウェディングVer.~
【ロウきゅーぶ!SS】
- PVC製塗装済み完成品
- 1/7スケール
- 全高:約23センチ
- 発売元:ピーエムオフィスエー
- 価格:12,000円(税別)
- 2016年7月発売予定
関連情報
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(c)蒼山サグ/アスキー・メディアワークス/TEAM RO-KYU-BU! SS