コトブキヤがフィギュア試作開発に3Dプリンタ「Form 2」を導入!開発サイクルが加速した事例や、採用のポイントをチェック

更新日:2018年2月17日 15:08

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Formlabsは、壽屋(コトブキヤ)がフィギュア商品の試作開発を目的に、光造形(SLA)方式3Dプリンタ「Form 2」2台を導入して活用していることを公開。フィギュアの開発サイクルが加速した、注目の事例として紹介しています。また、「Form 2」の採用ポイントなどもあわせて公開。3Dプリンタ選びに悩んでいる方もぜひチェックしてくださいね!

 

「Form 2」の発売元であるFormlabsはアメリカのボストンに本社を置く3Dプリントシステム開発メーカー。ドイツ、日本、中国に支社があり、3Dプリントソフトウェアや3Dプリント用の素材も独自開発しています。

 

●Formlabs Japan公式サイト

 

 

従来の産業用大型3Dプリンタは出力時間・コストなどがネック

フィギュアの開発は、“原型師”と呼ばれる造形作家が、何度も試作を繰り返しながら立体像を作り上げていきます。この試作は、以前はプラスチックパテや粘土などで造形するのが一般的でしたが、近年では3Dモデリングツールを使ってコンピュータ上で3Dデータとして作り込み、3Dプリンタで出力して立体物で仕上がりを確認するという手法が急速に広まっています。

 

壽屋では数年前からフィギュアの商品開発に3Dモデリングツールを本格的に導入し、立体の出力は産業用大型3DプリンタやFFF(熱溶融積層)方式の3Dプリンタを使用してきたそう。しかし、産業用大型3Dプリンタは精度が高いものの、出力時間が長いことや材料コストが高いこと、造形表面をなめらかにするための処理に手間がかかることがネックでした。一方、FFF方式3Dプリンタは精度が低いことや造形物の表面の粗さが問題でした。そこで同社のフィギュア商品開発部門は、光造形方式3Dプリンタ「Form 2」を2017年夏に導入しました。

 

 

「Form 2」で試作サイクルを早め、クリエイティブな作業に集中

同社は、「Form 2」が持つ、「導入コストが安い」「出力精度が高く出力速度が速い」「材料の光硬化樹脂(レジン)コストが安い」「造形物の表面処理が容易」、といった特長に加え、出力したいときすぐに出せる総合的な使い勝手の良さを評価。また国内のフィギュア造形作家の多くが「Form 2」を活用しており、運用情報が日本国内で豊富に得られることも重要なポイントだったそうです。

 

「Form 2」の導入で、造形作家が気軽に3Dデータを出力して形を確認できるようになり、造形作家が出力を待つ時間が大幅に短縮されました。1台目の「Form 2」導入後、試作サイクルのスピードが大きく向上し、「この3Dデータも「Form 2」で出力したい」という要望が社内で増加。その結果、1カ月後に2台目を追加導入し、作業がさらにスピードアップしたそうです。

 

こちらは、Formlabsの国内正規販売代理店であるYOKOITOが公開している「Form 2」の字幕付き紹介動画。どのように立体物が出力されるのか、流れをチェックしてみましょう。

 

●formlabs Form2 3Dプリンター 紹介動画(日本語字幕)

 

 

壽屋のフィギュア開発サイクルを加速したという「Form 2」採用のポイント

●導入コストおよび運用コストの安さ

産業用3Dプリンタに匹敵する出力精度を持ちながら、産業用3Dプリンタよりも圧倒的に低価格。造形材料コストも同様に低価格。メンテナンスなどを含めた運用コストも低い。

 

●出力が速く、安定している

素材となる光硬化樹脂(レジン)を適切に撹拌(かくはん)するワイパーや、レジンタンク内を最適な温度に保つ自動加熱式タンクによって、安定した出力が可能。レジンの自動充填システムにより出力中に手動での補充は不要。

 

●出力から造形に至る使い勝手の良さ

日本語にも対応した3Dプリントソフトウェア「PreForm」は、3Dモデルを最適なプリント位置に自動配置する機能や、サポート材の自動生成機能などを備え、出力の準備が容易。モバイル環境やコンピュータから出力状況をいつでも確認できる「Dashboard」も提供。

 

●造形物表面のなめらかさと加工性の高さ

高精細な光学機構によって、造形物はきめ細かくなめらかな表面を持ち、造形後の処理の時間やコストが短くて済む。処理が必要な場合でも加工性に優れている。サポート材の除去も容易。

 

●フィギュア造形における情報の豊富さ

日本のフィギュア造形作家たちに広く使用されており、フィギュアの出力におけるノウハウがSNSなどで共有されている。

 

 

壽屋からのコメントを紹介

壽屋の生産管理部とコンテンツ開発部の方からのコメントをお届けします。

 

●生産管理部 原型課 土屋知美氏

3Dプリンタで出力したものを製品に使うためには、表面をきれいにするために手で磨くという工程が必ず入ります。その作業は大変で、ベテラン造形作家が磨きの作業に時間を取られてしまうのが問題でした。「Form 2」なら、サポート材が付いていた部分をヤスリで磨くだけで済みます。表面処理が必要な場合も、加工性が良いのも利点です。

 

●コンテンツ開発部 コンテンツ開発課 主任・飯嶋瑞生氏

「Form 2」は、日本でフィギュア造形に使っている方が非常に多い。フィギュア作成に最適な3Dプリンタはどれか、という話になると「Form 2」が必ず話題に上るだけでなく、情報交換が断然やりやすい。そのような状況から、「Form 2」なら安心できると確信しました。

 

土屋氏と飯嶋氏によると、フィギュアの形の確認にはグレーのレジンを利用しており、ゴムタイヤのようなものを使う商品向けに柔軟性のあるフレキシブルレジンを試したり、フィギュア製造時に使う射出成形用の型(金型)を高温にも耐えるハイテンプレジンで試作したりするなど、さまざまな機能性レジンをテスト中とのこと。また飯嶋氏は、「いまは夢物語ですが、将来この業界では3Dプリンタで出力したものがそのまま商品になる可能性もあると思っています」とも語っています。

 

 

ちなみにFormlabs Japanは、2018年2月18日(日)開催の「ワンダーフェスティバル2018[冬]」(ホール4 エリアh)でパンフレット配布を予定しているとのこと。同社のTwitter(@formlabsjp)で告知が行われていますので、会場に行かれる方はチェックしてみてはいかがでしょうか!

 

 

●壽屋について

壽屋は1953年に玩具店として東京立川市に設立。その後、完全可動式のモデルキットを自社製品として発売し、モデルメーカーとしての立ち位置を確立しました。1995年にはアニメキャラを立体化し、フィギュアブームの火付け役となりました。創業から60年以上の間、雑貨からフィギュアまでさまざまなシリーズを展開し、世界販売もされており、商品の細やかさや立体技術の高さは国内外問わず愛されています。

 

●Formlabs(フォームラブズ)について

FormlabsはMIT Media LabとCenter for Bits and Atoms出身のエンジニアとデザイナーのチームが2011年に設立。Formlabsは世界中のエンジニア、デザイナーおよびメーカーのためにプロフェッショナル3Dプリントの業界標準を確立し、教育、歯科学、医療、ジュエリー、調査など、さまざまな業界でイノベーションを加速しています。Formlabsの製品には、SLA方式3Dプリンタ Form 2、SLS方式3Dプリンタ Fuse 1、3Dプリント自動化ソリューション Form Cell、3DデザインのPinshapeマーケットプレイスなどがあります。Formlabsは、クラス最高の3Dプリントソフトウェアに加え、3Dプリント用にさまざまな高性能の素材も独自に開発しています。

 

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