【集中連載】「TL-COLOR(紫外線発光カラーインク)」で塗装してみよう!
前回、その概要をお伝えしたタカ マテリアル アンド システムズ研究所の塗料「TL-COLOR(紫外線発光カラーインク)」。すでに印刷用インクとして、国内外の政府機関、民間企業と多くの実績を残していますが、ついにAmazon.co.jpにて「TL-COLOR 紫外線発光カラースプレー」が販売開始となりました。今回は実際にプロモデラー・桜井信之氏に、そんな「「TL-COLOR 紫外線発光カラースプレー」」のその使い心地を試していただきました。
※これまでの連載は、以下のバックナンバーをご覧ください。
【集中連載】「光る」模型に新機軸!「TL-COLOR(紫外線発光カラーインク)」をご紹介!
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模型用塗料として、これまでに類を見ない性能をもつ「TL-COLOR」ですが、基本的な使い方はこれまで皆さんが使用してきたスプレー(クリアーなど、光沢系塗料)と違いはありません。いくつかのキットを使用して、本アイテムを使用したときのイメージや、使い方をご紹介していきましょう。
上の写真のように、対象から15~20センチ離して使用します。塗料が一部分に厚く乗らないよう、缶を左右に動かしつつ吹き付けていきましょう。ちなみにこのとき使用したキットはコトブキヤ「真ゲッター1」、使用したカラーは「TL-COLOR」の「ブルー」です。
上が吹付け終わった状態です。一見、何も変わっていないように見えますが、これこそが通常環境下では無色透明である「TL-COLOR(紫外線発光カラーインク)」の特徴です。このランナーに紫外線ライトを照射(※)すると……。
※紫外線ライトは325um~
このようにとんでもなく光ります。塗料そのものが発光しているので、ムラなく吹き付けることでパーツそのものが均一に発光。これは電飾では得られない効果であり、「TL-COLOR」の最大の強みと言えます。
コトブキヤの「真ゲッター1」のクリアーパーツの裏面には複雑なモールドが施されており、その下に配置されたシルバーパーツがそのモールドを際立たせていました。それが「TL-COLOR」の輝きによってより鮮明に浮かび上がり、ただキットを製作したのでは得られない、独特な雰囲気を楽しむことができるようになりました。
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さて、そんなTL-COLORですが、このようにキレイに発光させるためにはコツがあります。先ほども少し触れましたが「ムラなく均一な塗膜」が必要不可欠なのです。ここからは同じくコトブキヤの「汎用ヒト型決戦兵器 人造人間 エヴァンゲリオン初号機 夜間戦闘Ver.」のグリーンで成型されたランナーを使用していきましょう。
まずは塗料が垂れないように「グリーン」を一回吹きます。この段階では、塗膜表面はスプレーミストが目立ち、美しいとはいえない仕上がりとなります。
さらに紫外線ライトを当ててみたのが下の写真です。光が強いところ、弱いことろ、ブツブツと飛沫状に光るところ……発光部分にもムラがあるのがわかります。
これでは美しい発光は望めないので、20~30分の乾燥時間を取った後、再度「TL-COLOR」でオーバーコートしていきます。これを合計3回繰り返した状態が下になります。
無色透明なので、パッと見は違いがわかりませんが、パーツ表面の拡大写真を見ると、かなりツヤが整い、美しい光沢仕上げになっているのがわかると思います。さて、この状態で紫外線ライトを照射すると……。
このように、強烈に発光します。ちなみにこの塗装したパーツを組み込み、紫外線ライトを照射した状態が下のようになります。
もともとその商品名通りに“夜間戦闘シーン”をイメージした暗めの成形色となっている「汎用ヒト型決戦兵器 人造人間 エヴァンゲリオン初号機 夜間戦闘Ver.」ですが、グリーンのパーツが発光することで、より劇中イメージに近い仕上がりとなります。このように、塗装するものがクリアーパーツでなくても十分な威力を発揮する「TL-COLOR」。もし、同じくコトブキヤから発売中の「汎用ヒト型決戦兵器 人造人間 エヴァンゲリオン初号機 覚醒Ver.」の赤いランナーを「TL-COLOR」で塗装したら……と、想像したらワクワクしませんか?
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さて、先ほどから通常環境下では無色透明、というポイントを強調してまいりましたが、使い方を間違えると、そうもいかない場合もあります。ここからは「ダンボー クリアーVer.」(※)を例にして、説明していきます。
※現在は販売終了しています。
上は「ダンボー クリアーVer.」の足パーツに、まずは一回だけ「レッド」をスプレーした状態です。塗布した塗料が少ないため、塗料のミストが影響しクリアーパーツの透明度が下がり半透明状態になってしまいました。このように、キチンと塗装できていない状態だと、通常環境下で見てもわかるほど、仕上がりに影響を及ぼしてしまいます。当然、この状態で紫外線ライトを照射しても……。
紫外線ライトを照射しても発光部分がブツブツ+十分発光せず、と、良い結果は得られていないのがわかります。そこで先ほど同じように、上から「TL-COLOR」を塗り重ねていきましょう。
合計3回ほど塗装した状態が上になります。クリアーパーツは元の透明度を取り戻し、光沢も出て仕上がりもかなりキレイになりました。この状態で紫外線ライトを照射すると……。
このように美しく、鮮やかに発光します。
「TL-COLOR」を使用する場合は、通常のツヤありのクリアー塗料を使用するのと同じように、塗料が垂れないようギリギリのラインを狙いつつ、塗膜表面が平滑でツルツルになるように吹くのが良いでしょう。使用状況によって変わるでしょうが、概ね、模型用途においては3回塗り重ねるのが、発光量などのバランスにおいて、この「TL-COLOR」の性能をもっとも良く活かす方法だと思われます。
……と、このように今回は、使用方法のご紹介ということで、プラの成型色の上から、直接「TL-COLOR」を使用してみました。これだけでも、使うモデラーの発想次第で、いくらでも活用できる塗料であることが、わかっていただけたかと思います。
今後は、塗装の上から「TL-COLOR」を吹く場合の下地塗料との相性や、上から「ツヤ消しクリアー」などでオーバーコートした場合、スミイレなどを行った場合など、模型で使用される一般的な技法との組み合わせなどを検証していきたいですね。
(製作・文:桜井信之)
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現在「TL-COLOR 紫外線発光カラースプレー」はAmazon.co.jpで発売中ですので、ぜひ一度使用して頂いて、その目で圧倒的な発光を確かめてみてはいかがでしょうか?
次回は実際に今回塗装したアイテムをじっくりお見せしつつ、この塗料のレビューを行っていきたいと思います。
お楽しみに!
<DATA>
「TL-COLOR 紫外線発光カラースプレー」
■全3色(レッド・ブルー・グリーン)
■8月24日より発売開始
■発売元:タカ マテリアル アンド システムズ研究所
<関連項目>
タカ マテリアル アンド システムズ研究所
(C)1998 永井豪・石川賢/ダイナミック企画・「真ゲッターロボ」製作委員会
(C)カラー
(C)KIYOHIKO AZUMA/YOTUBA SUTAZIO