ドラマ『女子無駄』岡田結実さん×ビーノ先生の特別対談――バカ役に事務所NGは一切なし!?
『コミックNewtype』で連載中のビーノ先生による漫画『女子高生の無駄づかい』は、暇を持て余して青春を無駄づかいしている女子高生たちの日常を描いたコメディ作品。そして、岡田結実さん主演による本作のTVドラマ版が、テレビ朝日系にて好評放送中です(毎週金曜23時15分放送、一部地域で放送時間が異なります)。
ドラマ最終回(2020年3月6日)を前に作者のビーノ先生と、バカこと田中望役の岡田さんによる対談が実現しました。今回はドラマ化や役に決まったときのお二人の気持ちや、各キャラクター誕生秘話などが飛び出した座談会・前編をお届けします。
バカを女優さんが演じるのは予想外!?
岡田:よろしくお願いいたします! 先日は撮影現場にお土産を持ってきていただいて、ありがとうございました!
ビーノ:こちらこそ、よろしくお願いいたします! あれ、なんだかちょっと手が黄色いような気が?
岡田:今日の対談前の撮影でミカンを使ったので(笑)。
ビーノ:あ、撮影からそのままこの対談に来ていただいたんですよね? 先ほど、撮影したての動画を見せてもらいましたが、今回もすごかったです(笑)。
岡田:今回、原作にもあった、バカが体中に英語を書いて勉強するシーンの再現もしたので大変でした(5巻収録“なかま”より)。こっそり、英語の中にビーノさんのサインも混ぜたりしました(笑)。
ビーノ:本当に体に書いたんですか!?
岡田:水性ですし、メイクシートの上に書いたので大丈夫……なんですが、一部は油性で書いちゃって、漫画と同じで本当に「消えねーじゃん!」ってなってました。
岡田:そういえば、ビーノさんはこういった対談は何度もやられているんですか?
ビーノ:いえ、対談もそうですが、テレビ局に来るのも初めてなので、先ほど控室に書かれた自分の名前を記念撮影しちゃいました(笑)。
――初対談とは思えないほど、お話が盛り上がっていますね。この和気あいあいとした雰囲気のまま、取材に移らせていただけたらと思います。まずはビーノ先生に、お約束の質問ではありますがドラマ化が決まったときのお気持ちをお聞きできればと。
岡田:それは、私も気になります!
ビーノ:正直に言うと、「なんで?」って思いました。すでにアニメ化はされていましたが、実写映像化はキャストさんが演技をする部分もそうですし、原作がショートコメディの詰め合わせなので物語としても、「どうドラマ化するの、これ?」と困惑しました。そういう意味では、打ち切りから連載再開してアニメ化が決まった時よりも、今回のドラマ化のほうが困惑したかもしれません(苦笑)。
――岡田さんがバカこと田中望役と聞いて、さらに衝撃だったのでは?
ビーノ:本当に衝撃でしたね。岡田さんが女子高生だったころ某番組に出ているのを見ていましたし、CMにもたくさん出演されていて、ロングヘアーのかわいらしい方という印象がありました。女優さんとしての活躍も存じていましたが、バカを演じることがイメージできず……。そもそも、バカを女優さんが演じることが考えられませんでした(苦笑)。
――岡田さんは役が決まったとき、どんなお気持ちでしたか?
岡田:ずっと髪の毛を切りたかったので、「ヨッシャ!」と思いました。ショートカットにしたいと言っていたんですが、事務所からなかなかOKが出なくて(笑)。
ビーノ:そうだったんですか!(笑)
岡田:ただ、私は演技経験がまだ浅く、しかも個人的にコメディの芝居が一番難しいと思っているんです。“笑い”というのは、漫才やバラエティもそうですが一発でバシッと決まるからおもしろいという印象があって、それを“演じる”というのは難しいと思っています。そんなときにこの役がきて、「これは課題だ」と悩みながらも演じてきました。あと作品がおもしろすぎたので、「これはやらなければ!」「いや、絶対にやりたい!」という使命感のような気持ちも強かったです。
――ビーノ先生から「バカを女優さんが演じるイメージがない」というお話もありましたが、事務所NGが出てもおかしくない個性の強いキャラクターですよね。
ビーノ:本当にそうです。
岡田:事務所NGはなかったですね(笑)。なんならエクソシストとか、「これ原作にあったっけ?」というエピソードも増えています。私自身もバカから路線がズレない範囲でおもしろいことができるなら、いろいろ挑戦したいなと思いました。
ビーノ:素晴らしいです、本当に。
岡田:いえ、ビーノ先生の原作がおもしろすぎるんですよ! 実はあるスタッフさんがこの原作を見つけて読んだときに、バカを演じられるのは私しかいないと思ってくださったそうなんです。それも嬉しかったですね。
――確かに放送前のティザー映像の時点ですでに、岡田さんは生き生きと演じられていましたね。
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岡田:私もノリノリで演じましたし、監督、メイクさん、衣装さんも「ガンガン行こう!」という雰囲気で、おかげでより盛り上がって撮影ができたと思います。実は演じていて、ビーノ先生にお聞きしたいことがあったんです。バカやヲタ、ロボたちはみんな個性豊かですが、彼女たちはどのようなアイデアから生まれたんですか?
ビーノ:全員が分身と言ったら言い過ぎですけど、私の痛々しい部分を反映させている感じです。バカやヤマイのような部分もありますし、「女の子かわいい!」と思うリリィのようなところもあります。作家活動そのものはヲタに近いですね。各キャラクターに、ちょっとずつ自分を投影しています。物語のネタは悪ふざけというか、怒られるか怒られないかギリギリの辺りが好きなのでそれを漫画に落とし込んでいます。
岡田:本当におもしろくて、現場でもみんなで読んでいます。最新の7巻も、「お腹が死ぬ」ってくらい笑いました。
ビーノ:ドラマでは、7巻のネタもかなり拾ってくれていますよね。アニメではできていない部分だったので、すごく嬉しかったです。
岡田:もう1つ聞きたいことがあるんです。ヲタのツインテールやロボのロングは日常的にもある髪型ですが、バカの独特な髪型ってどこからきたんだろうと(笑)。
ビーノ:本当ですよね(笑)。
岡田:メイクさんと、いつか先生に会えたら聞きたいねって話してたんです。この前の撮影で聞きそびれてしまったので、ぜひ教えてほしいです。
ビーノ:人の印象は、髪型でかなり変わりますよね。バカは三枚目のキャラクターなので、かわいく見えすぎないようにしています。ヒロインというよりは、某有名少年漫画のような男性主人公感が出るようにしています。
岡田:言われてみたら、確かに! すごく考えられた髪型だったんですね。
ビーノ:ドラマ化が決まったときも、ロングでさらさらヘアーのかわいい結実ちゃんが、どうやってあの髪型を再現するのか気になっていました。ティザー映像のときよりも、ちょっと短くしましたか?
岡田:はい。少しもさもさ感が強かったので、すいて外はねにしています。前髪もM字だと二次元感が強くなるので透け感残しつつ、自然な感じで、でもバカらしくぐちゃぐちゃというセットにしました。バカの髪型だけは、いまだに掴めているのか……。
ビーノ:ばっちりですよ!
岡田:ありがとうございます! メイクさんにも伝えます。
ビーノ:メイクさんのおかげもあり、キャストのみなさん、本当に再現度が高くてありがたいです。
――岡田さんやキャストの方の演技を見て、ついついかわいく描いてしまうなど、原作に影響はありそうですか?
ビーノ:一切気にしていないです(笑)。なんならもっと個性を爆発させたら、ドラマの二期をやるときにどうなるだろうと思っています。もちろんこれは冗談ですけど、本当に気にせず好きに描かせてもらっています。
岡田:最高です(笑)。
岡田さんが役作りで参考にしたのはあの人気芸人
――今回コメディを演じるにあたって、岡田さんのご家族から何かアドバイスはありましたか?
岡田:家族からはとくにありませんでしたが、のびのびと楽しく演じられたのは血筋だと思います(笑)。
ビーノ:素晴らしい、サラブレッドですね(笑)。
岡田:どちらかといえば監督やプロデューサーなど、スタッフとの話し合いやアドバイスで役を作っていくことが多かったです。でも、リリィの前にバカがヌーンと登場するような感じのことを家でもやっていたら、母に「家でもバカの役が抜けていなくていやだ」と言われました(笑)。バカに呪われているというか、かなりしみついてきていますね。
ビーノ:次の現場までに抜かないと!
岡田:いえいえ、それが楽しいです。
ビーノ:私も結実ちゃんに聞きたかったんですが、コメディをやるうえで芸人さんや番組を参考にしましたか?
岡田:かなり研究しました。あくまで私の解釈ですがバカはハイというよりはむしろテンションは低めで、でもロボやヲタとはまた違った空気で生きているイメージです。おもしろいことを言おうとしているわけじゃないんだけど、発言したことそのものがおもしろくなってしまうのがバカなのかなと思っています。そのシュールさを忘れないようにしたくて、参考にしたのはナイツさん、オードリーさん、四千頭身の後藤さんなどの空気感ですね。
リズムネタや一発ギャグのように全力で笑わせようとしている感じではなく、ふっと言ったことがおもしろいのが、バカと通じるところがあるのかもと思って勉強しました。でも私自身がテンションが高い人間なので、現場に入ると勉強したものや役作りが崩れてしまうという(笑)。
ビーノ:研究しているのが素晴らしいし、結実ちゃんのよさが出ているバカなので。信じたものが正解です。ただ、黒歴史にならないといいなと思っています(苦笑)。
――確かにバカは、相手を笑わせているつもりはなさそうですよね。
ビーノ:そうです。笑われているんです。
岡田:あと役作りの際に、アニメ版でバカを演じていた赤﨑千夏さんのお芝居の印象も強かったです。撮影の最初のほうは私だけでなくキャスト全員がどうしてもアニメ版に芝居が寄りがちだったんですが、監督が「同じじゃなくていいよ」と言ってくれたんです。「原作のよさ、アニメのよさもあるけど、さらにドラマのよさを出さないとアニメだけでよかったじゃんとなる。オリジナリティを持たせていいよ」と最初の話し合いで方針が決まりました。
――アドリブなどはあったんですか?
岡田:ヲタ役のお恒(恒松祐里さん)やロボ役のなかちー(中村ゆりかさん)と一緒になると、自然にバカやヲタなど役が出てきてしまって、いろいろやっています(笑)。
ビーノ:Twitterで結実ちゃんとマジメ役の浅川梨奈ちゃんとのやりとりを見ていたら、「盆地かよ」がアドリブだったと書かれていて、すごくおもしろいと思いました。
岡田:ビーノ先生は、Twitterも見てくださっていますよね。ちなみに「盆地」は、友達のあだ名からいただきました。バカはもはや、ないというよりも、盆地かなと(笑)。先生が先ほど怒られるか怒られないかという話をしていましたが、アドリブもコンプライアンス的にどうだろうと瀬戸際をやっています。使われなかったら、シュンとしてますね(笑)。あとは原作やアニメから引っ張ったアドリブを入れています。
撮影現場が女子高化! 華やかと思いきや……
――キャストがそろうと自然と役になるというお話でしたが、女性が多い現場ということで華やかな雰囲気なんでしょうか?
岡田:いや、かっさかさですよ(笑)。
ビーノ:え、キラキラしてるんじゃないんですか?
岡田:控室でも、意外にみんな役に近いですよ。それぞれの役として出会ったせいか控室でも私がボケ、お恒がツッコミ、なかちーがボケ&ツッコミという形になっています。あと、男性が少ないため、いい意味でかっさかさで過ごしやすいです。
ビーノ:ほぼ女子校状態ですね(笑)。
岡田:そうなんです(笑)。そのためか衣装のときは教頭役の大倉孝二さんや、ワセダ役の町田啓太さんもカッコよく見えないんですよ。
ビーノ:それは、結実ちゃんにも言えるかも! いつもはとってもかわいいのに、衣装を着ているときはバカにしか見えないんですよ。本当にびっくりしました。
岡田:撮影現場でビーノ先生と最初にお会いしたときに、ジャンケンについてずっと話していて、今思うとバカなことしかやっていなかったなと思います。
ビーノ:両手を交差させて組んでひねって、その間から見える形で出すのを決めるという話をずっとしていて(笑)。女子校って、そんな感じだなと思いました。みんな衣装だと役にしか見えなくて、私服姿を見るとかわいくてびっくりします。女優さんってすごいですよね。
対談後編は3月6日掲載予定!
お2人が“おもしれー女コレクション”の話で盛り上がる座談会・後編は、ドラマ最終回が放送される2020年3月6日(金)公開予定です。お楽しみに!
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