初代のプラモ制覇!!電ホビ版第1回――プロが行く!クリア塗装2つの道

更新日:2020年12月25日 19:32

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初代のプラモ制覇!!電ホビ版
第1回――プロが行く! クリア塗装2つの道

近年益々注目の高い、美麗なメタリック(キャンディー)塗装。
比較的初心の方もチャレンジする傾向があるようです。

 

綺麗なモノこそ油断大敵!

 

不透明な通常塗料と、透き通ったクリア系塗料とでは、

同じラッカー系塗料といえど、質的に大きな違いがあるのです。

 

透き通ったクリア系塗料は、粘度を下げる為のシンナーを使った普通の『薄め』だけでなく、

透明クリアを使った特殊な『薄め』が大事。

 

この2種類の『薄め』こそがクリア塗装の重要な2つの道なのです……。

 

 

 

それでは実際に道を進んでみることにしよう! まずは極々一般的な「シンナーで薄める」方の道、クリアレッドを使って普通に吹いてみる。

 

 

●クリアレッドを「普通に」塗ったときの問題点


クリア系に限らず、塗りムラを回避するために、

 

・奥まった部分から先に吹く

・一度に大量に吹くことは避ける

 

等は、エアブラシ塗装の基本。

 

そのためには塗料の濃さ(粘度)を下げるのが一般的。複数回重ねても塗膜が厚くならない、狭い部分を狙う細吹きが行ないやすい等の理由があるためだ。

 

 

▲しかしクリア系塗装の場合、そうは問屋が卸さない。

普段の調子で狭い部分を吹き、丁寧に吹き重ね、ムラを消し、均一な仕上がりを求めると……。

 

 

▲失敗なく丁寧に吹き重ねたことが逆に災いして色が暗くなってしまう。これこそがメタリック塗装最大の難問であり、クリア系塗料の性質自体による避け得ない現象なのだ。

吹き重ねるほどに暗くなってしまうこの独特の現象について、少し説明していくことにしよう。

 

 

●通常塗料とクリア塗料の違い

▲不透明な顔料を使った通常塗料の場合、一工程毎に、段階的に発色し、発色に比例して下地は隠蔽される。

完全に発色した3回目以降、発色に変化は見られない。何度も吹き重ねて仕上げる、顔料系塗料ならではの手順。

 

 

▲対して、固有の濃さを持たない透き通った染料を使っているクリア系塗料は、鮮やかな発色力に対し隠蔽力が非常に低い。

固有の濃さを持たないため、いつまでも下地が透けつつも、重ねるほどに濃く、暗くなる。何度も吹き重ねたい場合、色の濃さを下げることが重要になる。

 

 

▲クリア系塗料の場合、シンナーで倍程度薄めても、色の濃さにはそれ程の差が生じない。

つまりシンナーで薄める方法では、色の濃さを大きく下げるのは難しいと言える。

 

 

▲シンナーは色を薄める働きより、粘度を下げる働きの方が大きく、色の濃さに執心するあまり、塗料の根本性能を損なう程のシンナーを加えてしまっては本末転倒。

塗装の基本とも言うべき塗膜の形成自体が不可能になってしまう。

 

 

▲一本目の道が行き止まりなら、分岐点に戻って違う道を探す、ここからがもう一つの道だ。

『薄める』といっても、ここで薄めたいのは粘度を伴う濃さではなく、純粋な色の濃さ。であるならば、何もシンナーで薄めるだけが道ではない。色の全く付いていない塗料、つまり透明クリアーを混ぜることが『色を薄める』ことになりはしないか。

 

●もう一つの道、開始

▲透明クリアで色を薄め、シンナーで適切な粘度に更に薄めることで、顔料系通常塗料と同じ要領での吹きつけが可能になる。

 

それでは、『肝心な動画』で実際の吹きつけをご覧いただこう。

 

 

透明クリアで薄めているため、いきなり真っ赤になることもなく、丁寧に奥まった部分への吹きつけができる。次は写真で詳細に各段階の仕上がり状態を見ていただこう。

 

 

 

 

▲懐かしの「MAX塗り」にしても、1度や2度のミスタッチを許容するために発案された技法。この方法も同様に、ちょっとしたミスを致命的にしないための方法と言える。

 

 

この2つの道を自在に行き来してこそ、究極のメタリックに至る!

 

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(C)創通・サンライズ

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