『機動戦士Zガンダム』外伝『ADVANCE OF Z』立体化計画 リハイゼ編-1
AOZ立体化計画の第二弾として、『A.O.Z Re-Boot』の本丸とっても過言ではないレジオンの旗機「リハイゼ」を製作していきます。製作は第一弾の「TR-6 ウーンドウォート」と同じく、空山竜司氏が手がけました。
設定では「ハイゼンスレイⅡ」をベースにレジオン独自の技術で改修したという機体ですが、手足の一部がハイゼンスレイⅡになっているだけでほぼ別物と言っていい機体になっています。
今回もベースとなるキットが存在しない事から完全なスクラッチモデルとなります。
設定画から図面へ
パースのついた斜めのカットから、部分アップ、羽のような突起物を強調した決めカットなど、それぞれの設定イメージ画稿のポイントとなる良いところを最大限取り入れ、立体として矛盾の少ない最大公約数的な解釈をして図面を描くことから製作は始まります。
このリハイゼは装甲同士が複雑に絡み合った箇所が点在しているため、全身の前後カットだけではそれらを読み解くのは難しいのですが、各部をユニットごとに解説した設定画をデザイナーの藤岡建機氏に用意してもらい構造を把握する事ができました。
リハイゼの各種画稿。各所にバーニアが点在した大型の肩部に加え、腰部に装着されたブースター、さらには胴体や脚部など、極めて複雑なパーツ構成となっており、この設定画稿のみでその全体像を把握することは困難です。
設定画稿を踏まえて作成された各部の構成図。上半身と腕部、下半身と脚部、さらにブースターの取り付け位置や取り付け箇所の形状など、各部のディティールも書き込まれています。装甲の形状が複雑な機体のため、パーツ構成を把握するためにもこうした図は必須といえます。もちろん図はデザイナー藤岡建機氏の手にもよるもの。
製作に必要な図面の作成
基本的には側面図、平面図、正面図と製作に必要とされるものを割り出していくのですが、それに加えて、
- スケールサイズに合った材料の選定
- パーツ同士の干渉部の割り出し
- 直立時の間接強度や可動域の確保
- このディテールの最下層は何ミリ奥になりプラ板積層をどの面まで積み上げるのか
- 手持ちの道具で再現できるディテールを作成する行程順序
- 複製を見越したパーツ分割
これらの具体的な項目も常に念頭に置きながら図面を作成していきます。
構造図をベースに作成した図面。図に起こすことでスケール感や必要な素材、パーツの取り付け位置なども確認できます。これが事実上の設計図となります。
肩部の造形
ブースターをはじめ様々なパーツで構成される肩部は、独特なシルエットを持つリハイゼの中でも特徴的な部位といえます。こうした箇所が多いリハイゼの立体化では、構成図の作成が極めて重要なポイントとなります。
図面をベースに作成した肩部。図面を描く事で正中線からの「断面図」が見えるようになり、それが製作する上での最初の足掛かりとなります。白い部分はプラ板の箱組や積層からの削り出しで、黄色い部分はポリパテ、グレーとベージュはレジンブロックからの加工です。
機体の特徴を踏まえた造形
このリハイゼは設定上「変形MS」なのでスライドディティールを全身に入れて、変形しそうな雰囲気を強調しています。
図面を描くことで解決する箇所もあれば、実際に手を動かしてみないと見えてこない問題もあります。図面上では追い込みきれなかった各パーツの接続部はエポパテを用いて強引に繋げ、そこから干渉部を割り出すこともあります。
頭部や胴体をはじめ、各部の作業途中。こちらも様々なマテリアルを使用しています。また、構成図などにもない部分や立体独自の解釈などは、実際に造形する中で盛り込んでいきます。
全身像の完成
作成したパーツを組み合わせた全身像。手足と肩、背面ブースターは左右共通なので、シリコン型を作成し複製して全パーツを揃えます。
立体にすることで、後ろに張り出したブースターの大きさなどがよくわかります。
ハイゼンスレイIIとの比較
設定上はハイゼンスレイIIと頭頂高が同じですが、前後のボリュームは似ても似つかぬ形状になっています。
肩部やブースターなどのパーツが増設されたことで、ハイゼンスレイIIと比較しても大幅にボリュームが増していることがわかります。
次回は細かなディテールの作成行程や、専用ライフルなども紹介します!
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