戦隊×時代劇の構想を後押しした監督の言葉とは?20年越しの京都撮影に燃えた心境についても聞いた『忍風戦隊ハリケンジャーでござる!シュシュッと 20th anniversary』塩谷瞬さん・長澤奈央さん・山本康平さんインタビュー!

更新日:2023年6月16日 23:06

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取材・撮影・文●キャプテン住谷

『忍風戦隊ハリケンジャー』の20周年を記念して制作されたVシネクスト『忍風戦隊ハリケンジャーでござる!シュシュッと 20th anniversary』が、2023年6月16日(金)よりいよいよ上映開始となります。5月17日(水)には新宿バルト9にて本作の完成披露が行われ、そのイベント登壇直前となるタイミングで塩谷瞬さん(ハリケンレッド/椎名鷹介/鷹之介役)、長澤奈央さん(ハリケンブルー/野乃七海/なみ役)、山本康平さん(ハリケンイエロー/尾藤吼太/吼太郎役)たち3名にインタビューを実施することができました。お客さんに初めて本作を披露する機会を前にしたハリケンジャーの3人に、企画構想の段階から関わってきた想いを聞きました。

 

 

ハリケンジャーはマンガだから

──本日はこの後、『忍風戦隊ハリケンジャーでござる!シュシュッと 20th anniversary』の完成披露を控えています。初めてお客さんに本作を見てもらう場となるわけですが、まずは率直な感想をお聞かせください。

 

長澤奈央さん(以下、長澤さん)ドキドキだよね! 緊張しない?

 

山本康平さん(以下、山本さん)緊張するようなしないような……なんだろうね。

 

塩谷瞬さん(以下、塩谷さん)今までイベントはずっとやってきたので、自分たちの中の自信とかイメージはあるんですけど、ただ本当に映画を見てもらうのが今日が初めてなので……今日の反応次第で、この映画が成功するのかしないのかっていう、天下の分かれ目ですから。

 

長澤さんそういう意味では、ちょっと緊張します。

 

──『ハリケンジャー』の場合は企画段階から制作に関わっているということもあり、完成披露はひとりの役者さんとして参加するのとはまた違った緊張感があると思います。

 

山本さんそうですね。『10 YEARS AFTER』に続き、今回もアソシエイトプロデューサーをやらせてもらいました。想いをめちゃくちゃ込めて作っているし、出来上がりを見ても本当にハリケンジャーだって感じがあるし。大人から子どもまで楽しめる作品を目指して、本当にそういう出来になってると思います。俺はすっごい弱気な人間なんですけど、ここは強気に「面白いんだ!」って思ってようって(笑)

 

長澤さんなるほどね、確かにそうだよね。いつもはさ、もっと心配するのにさ(笑)

 

塩谷さんそうそう。

 

山本さんこの作品に関してはね? 俺自身の芝居じゃないよ? 作品に関しては自信を持って面白いものができたと思っているので、そこはぜひみなさんに見ていただきたいと!

 

塩谷さん康ちゃん本当にやりきったよね。

 

山本さんコンセプトとしては「時代劇として京都の歴史のあるものと、戦隊モノを合わせたらどうなるか」というもので、そこが最初のチャレンジでした。『ハリケンジャー』だからこその合わせ方が、このように仕上がったんですね。元々、渡辺(勝也)監督が20年前に作ってる時にも言われてたのは、「この作品マンガだから」って。

 

塩谷さん監督自身、『赤影』とか忍者が大好きだったんです。

 

山本さん「ハリケンジャーはマンガなんです」って俺たちにも言ってて。

 

長澤さんだから芝居とかもね、分かりやすくコミカルに! みたいな。

 

──先ほどお話にあがった、時代劇と戦隊のかけ合わせというアイデアはどのような流れで生まれたのでしょうか?

 

山本さん俺たちは10周年記念作品をやらせてもらっているし、そのうえで20周年の新作をやるっていうところで、普通にやるのはもういいだろと。そこを崩していくために何かないかとプロデューサーさんたちと考えていた時に、じゃあ京都でやってみるというのはどうだろうって。ディスカッションをするなかで、忍者で時代劇はどうだろう、と出てきたものなんです。

 

塩谷さんこれって、本当に奇跡的な出会いがつながってできたことなんです。本作のプロデューサーの塚田(英明)さんが、『ハリケンジャー』が最初のプロデュース作で……

 

長澤さんスーパー戦隊でね。

 

塩谷さんそう、今回それぞれが企画を考えて提案してなかなか通らないなか、京都での撮影のアイデアを聞いた時に降ってきたものがありました。本作の打ち合わせをしている時はコロナ禍で、映画を撮るっていう行為自体が良いのか悪いのかってところがすごい難しい時だったんですけど、前作の時もそうだったのですが、こんな時こそ、人の力になる作品が創りたい。って気持ちがありました。コロナ禍で撮影が全部ストップして、京都撮影所も撮影ができなくなったりして。今ってドラマでも映画でも、時代劇って少なくなってきたじゃないですか。だから“今”、時代劇を作ることには地域復興の意味もあるし、今の子どもたちやファンの方々に時代劇いいなあ、忍者かっこいいなあと思ってもらえたら、今の時代に作る意味があるなと思い「これだ!」って思いました。当時、次の戦隊から京都周りが始まって、「俺たちもやりたい!」と思っていたことが20年越しに叶った瞬間でもありました。時を超えて江戸の時代に忍者を演じるというのもすごく感慨深いなと。

 

 

台本が真っ黒になるほど書き込まれたアクションシーンのプラン

──本作は20年分の積み重ねを経て、京都で撮影できなかったことへのリベンジ作でもある訳ですね。そんな京都での撮影ですが、素面でのアクションシーンがボリュームたっぷりにありました。私自身これまで色んな周年記念作品を見てきましたが、こんなにキャストさんが体を張った記念作は見た記憶がありません。

 

長澤さんおじさんなのにね、みんな(笑)

 

塩谷さん『10 YEARS AFTER』から引き続き、今はもう戦隊のアクション監督からは引退されている竹田道弘監督に担当していただきました。竹田さんは頭のなかで「こいつはこういうアクションだろ」っていうのを本当に寝ないでずっと考えてくれて、だから台本が真っ黒なんですね。すごい色んなプランを書いて、書き潰して、「鷹介はこう、七海はこう、吼太はこう」っていう、最後に残った1個になっています。10周年の時も「台本のここからここまで全部忘れてください。俺が考えて現場で作るから、お前らついてこいよ」って言ったんです。そんなことができる人って今の現代すごい少ないと思うんですけど、そんな竹田さんの愛情が今回も詰まっていたので、僕らはその期待に応えるっていうところで自然にアクションができたなって感じてます。

 

長澤さんもう必死でしたけどね! 私は(笑)

 

塩谷さんいや必死必死! 限られた時間のなかで撮るしかないっていうのがあったんで、本当はもっと撮りたかったけど、そのなかでできるベストを現場で尽くしました。

 

山本さんまさにその通りだと思うし、アクション監督と俺たちとの関係性が20年前と変わってないというか、20年前に戻るというか。やれと言われたらやるという関係性で、それは信頼のもとじゃないですか。信頼があるからこそなんですけど、それをただ体現していったらああいう風になってて。逆にこっちからしたらもっとやりたいくらいだったし、竹田さんも「もうちょっとやらせたかった」と言っていたくらいなので、その熱量が伝わっているなら嬉しいです。

 

長澤さん限られた時間のなかで、みんなの見せ場をちゃんと作っていただいたのは竹田さんの愛情だなって思っています。

 

──長澤さんは“水面走り”のアクションが特に印象的でした。

 

長澤さんまさか京都にクレーン車が来るとは思ってなくて……「私何させられるんだろう」って思ってたら、朝から吊っていただいて。

 

山本さん吊っていただいて(笑)

 

長澤さんこの歳でワイヤーなんて普通、経験できないじゃないですか!

 

山本さんでもやれって言われたら?

 

長澤さんやります、やらせていただきます! っていう感じで頑張って(笑)  だから嬉しかったです。でもみんなのアクション見てるのも楽しかったですし、姜ちんが上を飛んできたらみんなで「頑張れノブー!」とか言いながら応援したり。本当に一体感がすごかったよね、アクションの撮影の時は。

 

塩谷さんすごかったね!

 

長澤さん暑いなかだったのに、本当みんな頑張っていたと思います。

 

──あれだけのハードなアクションを久々にこなすのにあたって、肉体的な変化は感じませんでしたか?

 

塩谷さん僕たちは20年前も、一番現場に入って頑張ってたストイックな戦隊だったと思うんですけど、この20年でみんなが舞台とか映画とか……奈央は本当の意味でアクション女優になってるし、裕二郎だって時代劇とかやったりしてキレキレになってましたから。逆にパワーアップしてるんじゃないかなって思います。

 

山本さん経験を積んではいたかな。

 

塩谷さん10周年の時にみんなで集まったのがターニングポイントだった気がします。あれでまた、みんながヒーローを続けていく覚悟を新たにしたというか。今までは「卒業したからもうできないけど、またやりたいね」っていう夢だったのが、もう1回ちゃんとヒーローとしての命が芽生えたような。僕のなかにもあるし、みんなにもあるんじゃないかなって。今回も撮影を楽しめたよね。

 

長澤さんそうだね。

 

 

変身シーンではまさかのNG連発で……?

──久しぶりの変身シーンについてはいかがでしたか?

 

長澤さんも~先生(塩谷さん)が……

 

山本さんNGだらけで……

 

塩谷さんはっはっは(笑)

 

山本さんクセって怖いもんで、「忍風!シノビチェンジ!ハーッ!」までを流れでやるように(体が)できちゃってるんですよ。20年前からそれで覚えちゃってるから……

 

塩谷さん体がね、覚えてる……

 

山本さん今回は「忍風!シノビチェンジ!」で止めろって言われてたのに、まーったく止められなくて。次の動き全部入っちゃうんですよ!

 

長澤さん3回もやりましたからね、それ!

 

塩谷さん「ハーッ!」って言っちゃうんだよ……

 

長澤さん感動とかも何もないです、もう!(笑)

 

山本さん「塩谷先生止めてくれ~」って思ってました(笑)

 

長澤さん「ハーッ!」は5人で並んで撮るから、3人(ハリケンジャー)は「シノビチェンジ!」で止めてくれって。だからそういう感動はあまり感じられなかったです(笑)

 

山本さんそれとは別に、スピンオフで『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』とコラボしたりもあったんですけど、普通に「シノビチェンジ!」から始めるよりも、(塩谷さんのかけ声から始まる)「みんな、行くぞ!応!忍風!シノビチェンジ!」って合わせたら、いつでも合うってことに気づいて。

 

長澤さん20年経って気づいたよね。それも体に染み込んでる。

 

山本さんだからいつでもできるんだけど、途中で止めるのは無理なんだよね(笑)

 

塩谷さん体がね、なかなか……。そういう意味では老人になってたなって(笑)。その上で今回、鷹介のシノビチェンジと鷹之介のシノビチェンジがあったので。

 

長澤さんね! あったもんね鷹之介。いいなぁ。

 

塩谷さんあれすごい悩んでて。現場で竹田さんと監督に「シノビチェンジどうします?」って僕が真剣な顔で聞きに行ったら、「普通にやって」っていう反応だったんですけど、台本には「シノビチ~ェンジ!」って書いてあったんです。

 

長澤さん伸びてたね。

 

塩谷さんやっぱり鷹介と鷹之介の違いも出したくて。歳は似たようなものかも知れないですけど、鷹之介は堪え苦しんでいたところから初めてヒーローに変身するところなので、僕らが20年前に初めてやったシノビチェンジみたいな勢いというか、煌めきみたいなものが欲しいなって思っていました。それで僕から別パターンもやっていいですかと提案したら、監督が「それやってみようよ」って採用してくれて。

 

──当初は鷹介と鷹之介のシノビチェンジに変化をつける予定ではなかったんですね。

 

塩谷さんそこは変えなくていいんじゃないかって話だったんですけど、でもなんか……やっぱり、想いってデカいじゃないですか。なので、4人がつないでくれたタスキを鷹之介が受け取って、「やってみろ」って任せてもらって、爆発するところを表現したいなって思いました。

 

 

「物を大切に扱う」ことについては、僕らは最初から叩き込まれている

──ハリケンジャイロを始めとする撮影プロップを扱うのも久しぶりだったのではないかと思いますが、久しぶりに触れて感じたことはありますか? または、撮影に用いる道具についてTVシリーズ当時の思い出などあれば教えてください。

 

塩谷さん「ひとつひとつの物には魂がこもっていて、大切に扱うんだよ」っていうのは、僕らは最初から叩き込まれていました。僕らは特に、素面が出るマスクだったからスーツも他人のものじゃなくて、その全部がオーダーしてもらった大切なものなので。自分たちの物は大切にするし、アクターさんのスーツでも、僕ら現場終わってからも付き人みたいに面をつけたり外したりもしてたので、思い入れが深いんですよ。そういう裏方の想いって(視聴者に)伝わるんじゃないかなって思って、今回もやらせてもらいましたね。

 

山本さんシノビメダルって着脱可能だったので、メダルが飛んでいくことが多くて(笑)。「気づいたらない!」っていうことが現場でもあって、でもなかったら大変なことになっちゃうんで、すごい気にしながら芝居をしてました。(演技を)やる前に、ちゃんと確認するっていうのはよくやってました。どこかにぶつけたり、当たって外れちゃったりして、俺がシノビメダルを結構飛ばしてたから……。そういうのはすごい気にするようになりました。そういう意味で大事にしてたかなっていうのはありますね。

 

長澤さん私たちは変身アイテムを常に身につけてるんですよね。戦隊によっては、変身の時だけ出したりするんですけど。

 

山本さんそうだね、俺らはずっとつけてる。

 

長澤さん朝準備する時、自分の靴のところに必ずジャイロと革手袋が一緒になっていたので、支度ができた瞬間から常にジャイロを身につけてる。とても大事に扱ったよね。

 

山本さんだから、外れやすそうだなって思ったら両面テープで固定したり。

 

長澤さんそうそう、向きが変わらないようにね!

 

塩谷さんあれクルクル回っちゃうから(笑)

 

長澤さんあとは忍者装備だったので、刀も常に身につけてましたね。そういうのも自分で背負えるようになったしね。

 

塩谷さん忍者刀の巻き方ってすごい勉強したよね。

 

長澤さん10周年の時にも、自分たちで巻けたもんね。10年ぶりでも。

 

塩谷さん若いスタッフさんからは「どうやって巻くんですか?」って聞かれたりして。ただ巻くだけじゃなくて、(刀が)動かない巻き方もあるんですよ。僕ら走ったり転げ回ったりするんで、その時でも動かない巻き方をしないと。ただつけてるだけだと、すぐ動いちゃうからね。

 

長澤さんそういうのって、感覚で身についてるんだなって。「できるできる!どうやってるのかは説明できないけどできる!」みたいな(笑)

 

──最後に、上映を楽しみにしているファンへ向けてメッセージをお願いします。

 

長澤さん今回、『ハリケンジャー』が20周年ということで新作が上映されます。(TVシリーズ)当時も出ていた西田(健)さん、高田(聖子)さん、シュリケンジャーの声をやっていた松野(太紀)さん。私たち5人のレギュラーメンバーに加えて、本当のレギュラーがみんなそろった作品になっているので、当時見ていた方からしたら懐かしい、でもパワーアップしてる! っていう心を掴む作品になっていると思います。劇場に足を運んでいただいて、楽しんでいただけたら嬉しいなと思います。

 

山本さん20周年の作品を上映できるっていう……10周年の時は劇場での上映はできなかったので、本当に感慨深いなと思っています。そして吼太郎というもうひとつの役・先祖の役をいただいたことによって、ハリケンイエローと共演させていただけるっていう、本当に普通では考えられない絵面が繰り広げられています。『ハリケンジャー』の魅力のひとつである悪役の女性……TVシリーズではウェンディーヌとフラビージョがいたんですけど、今回はオイランダという、とんでもなく魅力的な女性の敵幹部というか。ウラ七本槍が出てきていますので、そのへんも本当に魅力的です。今回の作品、ぜひ楽しんでいただけたらなと思います。よろしくお願いします!

 

塩谷さん本当にこの『ハリケンジャーでござる!』、新作に生まれ変わっております。鷹之介をはじめ新しい命が生まれて……陽月華さんのオイランダもそうですし、おぼろさんには助手がついて、江戸には姫様がいて……っていう新しい魅力が詰まった作品になっています。僕たちはこの作品をさらに育てていきたいと思っているので、一緒に劇場やDVD、配信などで見ていただきたいです。たくさん見てSNSで交流したり、(上映期間が)終わってからも、またみんなで一緒に見るみたいなことができたら楽しいなと思っております。そんな夢を抱えてこれからやっていきますので、ぜひ応援よろしくお願いします!

 

DATA

Vシネクスト『忍風戦隊ハリケンジャーでござる!シュシュッと20th anniversary』

  • 2023年6月16日(金)より期間限定上映
  • キャスト:塩谷瞬/長澤奈央/山本康平/白川裕二郎/姜暢雄/羽瀬川なぎ/木村葉月/乃村健次(声)/陽月華/松野太紀/高田聖子/西田健
  • 原作:八手三郎
  • 脚本:谷慶子
  • 監督:渡辺勝也
  • 配給:東映ビデオ

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