素組みでガンプラ!MG 1/100 フリーダムガンダム Ver.2.0~マスターグレードの製作法~後編
超基本からちょっとしたワザまで、ガンプラを素組みで作る“コツ”を、プロモデラー・桜井信之氏が指南する本コーナー。
ここでは、「MG 1/100 フリーダムガンダム Ver.2.0」を取り上げて、MG(マスターグレード)の基本的な工作法を紹介します。
前回(⇒素組みでガンプラ!MG 1/100 フリーダムガンダム Ver.2.0~マスターグレードの製作法~前編)はフレームを中心に、“省エネモード”でマスターグレードを製作する方法を紹介しました。後編となる今回は、装甲と各種武装を中心に見ていきたいと思います。
1 工作に進む前に、改めて「MG 1/100 フリーダムガンダム Ver.2.0」の特徴を見てみましょう。まず目につくのは肩関節が通常の可動に加え、肩・胸ブロックごと前方にスライドするシステムです。
2 このスライド可動は当然、胸の装甲も一緒に移動するために、ガンダム系MSの特徴でもある胸のルーバーまで前方にスライドします。これによって従来のマスターグレードよりも大胆なポージングが可能になります。
3 同じく股関節ブロックも可動軸ごとさらに外側へとスライドします。これも従来のマスターグレードにはなかったシステムです。
まだ製作中なのでポージングさせていませんが、フルバーストでのポーズジングは大きくプラスに作用するのではないでしょうか。
さて、マスターグレードに限らず模型を製作する際、完成後の状況を確認したり、作業すべき箇所を把握するために“仮組み”したりするのが通例です。
この時、スナップフィット方式であることがとても助かるのですが、ピンがきつ過ぎると再分解・再組み立ての際にピンを破損してしまう原因にもなります。そこでピンを短めにカット、もしくはピン穴を若干大きく広げてパーツを外しやすくする方法があります。
4 ピンを短く切る方法では先端を斜めにカットするだけで、ピンのホールド力が弱まり、パーツを外しやすくなります。
ピン穴を大きくする方法については、組み上げ時には接着が必要になる場合があります。写真で使用したドリルは直径3.0ミリと直径1.5ミリです。このサイズで開孔した場合、ぎりぎりピンのホールド力は残っていましたが、やはり接着したほうが良いでしょう。
5 装甲パーツはこのようなピンでフレームに装着することが多いので、ここのホールド力を弱めたい場合は、先端を若干切る方法があります。しかし、装甲の取り付け力が弱まることは決して良いことではないので、本当に必要と感じた場合のみに作業しましょう。
6 プラモデルにとって避けて通れない現象の一つに“ヒケ”というものがあります。
これはプラの肉厚のため、パーツ表面が若干凹んでしまう現象です。発生箇所は、取り付けピンの裏側(パーツ表面)に現れることが多く、スナップキットのように取り付けピンが多いキットにはどうしても避けられません。
7 写真は“ヒケ”をわかりやすくするため、ブラウン系のサーフェイサーを吹き、800番の紙ヤスリを軽くかけた状態です。
“ヒケ”は他の部分に比べ凹んでいるので、ブラウンのサーフェイサーが残っているのがわかります。この“ヒケ”を消すにはパーツ全体にペーパーがけを行い、同じ高さに揃える必要があります。下の写真では“ヒケ”部分までペーパーが当り、平滑なパーツ表面になりつつあるのがわかります。塗装をしない「素組み」の場合はサーフェイサーを使わないので、この作業を成形色のまま目視しながら進めてください。
8 ただし、ツヤ消し仕上げにする場合はツヤ消し塗料の効果で、パーツ表面に当る光が乱反射するので、通常よりも“ヒケ”を認識しにくくなります。しかし、これは決してヒケがなくなったわけではありません。
最終的な仕上げ状態(ツヤの状態)に応じて“ヒケ処理”を行ってください。
9 クスィフィアス・レール砲のパーツには、“合わせ目消し”が必要な箇所があります。可動部が挟み込みになっているので、悩ましい部分ではあるのですが心配はありません。この部分の合わせ目処理を行っても、可動部の取り付けはストレッチして開くことで、後ハメすることができます。
10 この部分の“合わせ目消し”をしない場合は、“モールド” (スジ彫り)として加工してしまう方法があります。方法はパーツのつなぎ目部分をデザインナイフなどでカンナがけを行い、パーツのエッジを落としてしまえば完了です。
この作業は左右両側のパーツに行ってください。パーツを合わせた時点で、断面形状がV字のスジボリモールドになります。
さらに精度の高いモールド処理の方法を紹介しましょう。スジ彫りではなく、「段落ち」状のモールドにする方法です。
11 使用する工具はスジボリ堂の〈タガネ〉です。写真は先端形状を確認してもらうために「1ミリ」「0.7ミリ」「0.4ミリ」と3種類並べました。実際に使用したのは、一番下にある0.4ミリです。
パーツ片側を堅く平らな台に乗せ、パーツ外周部を〈タガネ〉でケガいていきます。図をご覧いただくと一目瞭然なのですが、この作業を行うとV字とは違ったモールドを作ることができます。
12 最後にウイング基部の可動軸ものパーティングラインが存在しますが、この部分は合わせ目が“段落ち処理”されているので、パーティング処理後に挟み込めば問題ありません。親切な設計とデザイン処理が施された部分といえます。
完成写真はコチラ!
これで終了です。必要以上の手間をかけないマスターグレードの攻略法をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?
“作業すべき箇所”と“作業しなくてもよい箇所”を見極め、適切に最短コースの作業をすれば、決して難易度の高いキットではありません。フレームの存在やパーツ数に尻込みせず、みなさんもマスターグレードキットに挑戦してみてください。
次回はマスターグレードの簡単フィニッシュを行ってみたいと思います。
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DATA
MG 1/100 フリーダムガンダム Ver.2.0
- 1/100スケールプラスチックキット
- 価格:4,860円(税込)
- 発売元:バンダイホビー事業部
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