【ガンダムビルドファイターズ連載】ガッツリ作り込んだホットスクランブルガンダムを見よ!(その2)~フクダカズヤ的、スクラッチ3つの方法~
月刊ガンダムエース(毎月26日発売)連載のガンダムビルドファイターズ外伝『ガンダムビルドファイターズA-R(アメイジング レディ)』は、既刊の『ガンダムビルドファイターズA』の続編としてユウキ・タツヤの新たなる戦いが描かれています。
本連載『ガンダムビルドファイターズD-R』は、『ガンダムビルドファイターズA-R』と連動し、その登場機体を外伝のシナリオを手がけるスタジオオルフェ 千葉智宏先生に解説していただきます。今月は、月刊ガンダムエースの別冊『ガンプラエース』に登場する、付録武器を装備したガンダムレッドウォーリアが解説されていますので、ぜひお読みください!
そして作例では、スクランブルガンダムの派生機であり、ガンダムエース10月号にも登場したホットスクランブルガンダムをフクダカズヤが製作! セミスクラッチとなったガチの作例をご覧ください。
1/144 ホットスクランブルガンダム(その2)
~フクダカズヤ的、スクラッチ3つの方法~
こんにちは。フクダです。まずは、今回の目玉となるホットスクランブルガンダムの特徴、ライフル、シールド、そしてフィン・ファンネルの製作をご紹介します。
スクランブルガンダムとホットスクランブルガンダム(以下ホットスクランブル)をパッと見た時の違いは、背中のバックパックとそれに接続されたフィン・ファンネル、武装類、そしてカラーリングです。
スクラッチか、キット改造かで悩む
ホットスクランブルの武装はνガンダムのそれらに類似していますので、もちろんHGUC 1/144 νガンダムから流用することから検討しました。スクラッチするかνガンダムを改造するか……。悩んだのには理由があり、ボクなりに考えたそのメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット
<キット改造>
- ギミックを流用できる。
- 分割されているので塗装が楽。接着してしまったら楽じゃないけど(笑)
<スクラッチ>
- 製作する原型はひとつ。
- 数がたくさんになっても後工程は仕上げのみ。
- レジンキャストで素材が統一されるため経過によるトラブルが起きにくい。
デメリット
<キット改造>
- サイズが違う。
- 同じ改造を同じ精度で複数行う。
- プラスチックにパテなど異なる素材を使用するためヒケや剥離といった経過によるトラブルや可動時の破損が起きる可能性。
<スクラッチ>
- シリコン型の製作の手間。
- パーツはムク(中が詰まっている)なので重量が増える。
結論として、シールドはパテの使用は控え、プラ板工作をメインにすれば軽量化もできると判断しνガンダムの改造で対応することにしましたが、それ以外のフィン・ファンネルやライフルなどのパーツは、トラブルや破損を避けたいのでスクラッチしてレジンキャストに置き換える。と、それぞれを対応することにしました。
スクラッチへのアプローチ
ボクの場合、スクラッチは手加工です。手で作る場合、「図面を引く」「直接材料を切る」「勘」とアプローチは様々です。今回の場合は全部やっています(笑)。
例えば、雑誌などの設定画で、誌面に印刷されているMSの全長が90ミリで、持っているライフルの長さが55ミリだった場合を想定しましょう。
まずは、そのMSのキットの全長を測ります。それが140ミリだったら、実際に作るライフルの寸法を計算するには……
「90:140=55:x」
といった具合の比例式を使います。
この計算で出た寸法を描けば「図面を引く」ことになります。ほかにも、
- この寸法で「直接材料を切る」方法
- 厚紙などを切って「ゲージを作り確認」する方法
- 計算では出しにくい曲面のものは「勘」でそのラインを厚紙に描き、それを切ってゲージを作り確認する方法
など、場合によって使い分けます。「フルスクラッチはこうだ!」という決まりはないんですが、ボクの場合は迷ったらゲージを作って確認する。という工程が多いです。
本作例のスクラッチパーツは、
- フィン・ファンネル……図面から
- ライフル……直接切り出し
- シールド……勘
- 機首……勘
- ブースターユニット……直接切り出し
といった感じで製作を進めました。スクラッチパーツが完成したらシリコン型を製作し、作例に必要な数で量産します。素材はレジンキャストです。
図面から作る例:フィン・ファンネル
●ワインポイントコラム(その1):重量問題にどう対応するか? 必要ならば、ナットも使う!
フィン・ファンネルの課題、それが「重量の問題」でした。ホットスクランブルは左右3基ずつのフィン・ファンネルの翼が背面に装備され、かなりの重量になります。
今回は、これを解決するために、フィン・ファンネルに工業製品などで使用される「インサートナット」という真鍮製の部材を埋め込み、ビスで締め込んで固定する方法をとりました。またバックパックとフィン・ファンネルをつなぐパーツもMS用、飛行形態用で固定されたものをレジンキャストで用意し、真鍮パイプで作ったスペーサーを圧入。ビス周辺を金属で固めることでレジンキャスト側に負担がかからないような工夫を入れています。
重量のあるパーツを取り付ける際の、参考になれば幸いです。
●ワンポイントコラム(その2):アクションベースも工夫しよう!
今回は、展示用のアクションベースにも工夫を施しました。ホットスクランブルガンダムは、レジンキャストのパーツ類によって背面側……というか上半身に極端に重心が移動しています。そのため、撮影やイベントなどの展示の際は自立が困難なためベースが不可欠になります。作例は1/144スケールなのですが、無難に1/100用の「アクションベース1」を使用しました。前述したように重心が上半身にあるので、通常股下にある3ミリ穴に取り付ける方法では不安定ですし、そもそも3ミリの棒1本で保持するに不安を感じます。
そこで取り付ける位置を背面に移す工作を行いました。アクションベース1に付属する「股間止め用パーツ」をU字プレート状に加工し、上半身と下半身で挟み込み固定します。重い上半身がU字プレートに乗り、そのままアクションベースで支えられることになり非常に安定します。
実はこの加工方法はアクションベース2でも製作可能でニャイアガンダムや、足を閉じたポーズで撮影したい作例(HGBF 1/144 トランジェントガンダム)でも取り入れていました。展示の際のポージングの幅も広がりますのでオススメです。
次回は、直接切り出し、そして、「勘」で作る例をご紹介します!
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