素組みでガンプラ!【基礎】茶系塗料以外を使用したフィルタリング 前編
超基本からちょっとしたワザまで、ガンプラを素組みで作る“コツ”を、プロモデラー・桜井信之氏が指南する本コーナー。
ここでは「1/144 HGUC 量産型ゲルググ」を使用して、〈フィルタリング〉について紹介します。
以前、茶系塗料を使った一般的な〈フィルタリング〉を紹介しましたが、ここでは他の色を使った〈フィルタリング〉について説明します。ドイツ戦車に見られるダークイエローの車体に茶系塗料で〈フィルタリング〉を行うのは、同系色による色味の変化ですが、今回は「1/144 HGUC 量産型ゲルググ」を使い、グレーの機体に〈フィルタリング〉を施そうと思います。
まずは、全体にツヤ消しクリアーを吹いて、下地を整えます。ツヤを消しただけでしっとりとした印象になり、まるで全塗装をしたような質感になります。
ここで〈フィルタリング〉に使うのは、海外製の高級エナメル系塗料です。写真左は「アンモ・オブ・ミグヒメネス」のフィルタリング専用塗料。写真中央は「AKインタラクティブ」のウォッシング専用塗料。写真右は「AKインタラクティブ」の専用溶剤・ホワイトスピリット。どれもスペイン人モデラー、ミグ・ヒメネス氏が自身の経験から調色したウェザリング専用塗料です。
“FILTER”と“WASH”では塗料の濃度が異なっており、それぞれの技法に適した希釈率になっています。
今回は量産型ゲルググのグレーの機体に「アンモ・オブ・ミグヒメネス」のフィルタリング専用「Blue for Dark Grey」(グレーの本体色用・青塗料)を使用して〈フィルタリング〉を行います。本来はティガーⅠ・初期型といったジャーマングレーの車両などに似合うように調色されたエナメル系塗料です。〈フィルタリング〉に適した濃度に調整されているので、全体に手早く塗っていきます。
青系塗料での〈フィルタリング〉が終了した状態。淡いニュートラルグレーだった機体に、青の〈フィルタリング〉を施したことで陰影が付いているのがわかります。
作業前のものと作業後のものを比較すると違いがわかると思います。
ちなみにゲルググキャノンの頭部に茶系で〈フィルタリング〉をしてみました。青系で〈フィルタリング〉をしたものと比べてみると印象が異なっています。
茶系で〈フィルタリング〉したものは“汚し感”が強いのがわかると思います。AFVモデリングにおいて、グレーの車体に青系で〈フィルタリング〉を行うのは一般的な技法です。その後に茶系塗料でピンウォッシュをすれば、色味の変化と汚し塗装を両立させることができます。
こちらは足首ブロックに、青系と緑系でそれぞれ〈フィルタリング〉を施したものです。
スケールモデルでは、グレーの車体に青系か緑系(青緑系も含む)で〈フィルタリング〉を施すのがポピュラーな色選びですが、キャラクターモデルでは紫系で〈フィルタリング〉を行うのも面白いと思います。それぞれの機体に似合う色と個々のイメージで〈フィルタリング〉の色選びをして問題ありません。
グリーンの成形色の胴体は、茶系で〈フィルタリング〉をします。使用したのは「AKインタラクティブ」のウォッシング塗料。
ラベルに“WASH”と記載されていると、つい使用方法を限定してしまいがちですが、塗料の中身は濃度が異なっているだけなので、専用の溶剤で希釈すれば、〈フィルタリング〉にも使えます。
〈フィルタリング〉を施す前と後の比較です。手足のグレー部は青寄りに色味が変化し、胴体のグリーン部分は茶系にシフトしているのがわかります。〈フィルタリング〉を行っただけで“プラっぽさ”が消え、全体に重量感が増しています。
このようにフィルタリングを施すだけで、一気に雰囲気が良くなります。一般的に理解されている茶系塗料にこだわらず、さまざまな色で効果的な〈フィルタリング〉をしてみてください。
後編では、〈フィルタリング〉が終わった機体に、さらなるアクセントを加えていく方法を紹介したいと思います。
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