パーツをシャープに加工!【冬休み特別企画】マイスター関田の実験プラモLABO Vol.003
電撃ホビーマガジンに連載された「マイスター関田の実験プラモLABO」は、プロモデラーであり、新宿の模型ファクトリー店長でもあるマイスター関田が、見習い店員ホセとの掛け合い形式で、プラモデル作りのハウトゥを紹介する記事でした。電撃ホビーウェブでは、冬休み特別企画として連載の中から選りすぐりの記事を掲載! プラモデル作りのレベルアップに、お役立てください!
パーツをシャープに加工
角やスパイク、パーツの輪郭等は、安全上の配慮からあえて丸く設計されているものが多い。しかし、設定や実物がシャープになっていると(場合によってはそうでなくても)、見栄えの観点から、やはり尖らせたくなるもの。今回は作品の印象を引き締めるパーツのシャープ化について、代表的な方法と注意点を紹介していく。
シャープ化加工3つのポイント!
- パーツの形状に応じて、「そのまま削り込む」方法と「付け足して削り込む」を使い分ける。
- 面をひとつずつ処理する。
- 尖らせたあとの表面処理まで気を抜かない。
登場人物
マイスター関田……模型店「模型ファクトリー」店長にして本誌ライター。10年余の店員経験から、工具材料に関しては不必要に広い知識を持つ。
ホセ……マイスター関田の元で修業を積む模型店員見習い。モデラーとしても初心者だが様々な課題にぶつかりつつ成長中。
このパーツの先端を尖らせたいんですけど、ヤスリで削れば大丈夫ですか?
よし、順を追って見ていこう。まずは今あるパーツを「そのまま削り込む」方法だ。
ポイントは面を一つ一つ処理していくことだな。それと、ヤスリだけでなくカンナ掛け用の工具も使えるようになれば格段にスピードアップできるぞ。
ほら、作例記事とかで見たことあるだろう? 先端に何か「付け足して削る」ってやつ。
あーー。見たことあります! プラ板とかプラ棒とかの出番ですね!
そうそう。これならむしろ長くなるからさらにシャープな印象になるな。
これはイイ! でも、こっちのやり方の方が手間も時間もかかりますね。
そう、それが「付け足してから削る」のデメリットだ。パーツ一つならともかく、数があるとなると、面倒くさいな。
いやぁー、その辺りは根性でカバーっす! では、早速。って、ああああああああああああ!
ん? おお、付け足した部分が取れたか。単純に接着剤の強度不足だな。瞬着を強度重視の物に変えれば解決だ。万全を期するなら、無理にでも金属線で補強するという方法もアリだな。
これはほぼ全ての作業に言えることだとも思うんだが、付け足した部分の境目とか、削り込んだヤスリの傷とか、そういった作業の痕跡を表面処理できっちり消すことだよ。目指すのはそのパーツが「初めからそうであったかのような自然な仕上がり」だよ。ほら、カッコ悪いだろ。改造した個所がバレバレなのって。
どこでOK or NGのラインを引くかだよな。塗装の段階でアラが見つかったときに、塗装作業を止めて修整するか、「ま、いいか」とやり過ごすか。妥協しなければ完成度は上がるけど、妥協しないと完成しないことがあるからな。まぁ、これは塗装との兼ね合いもあるから、どの程度妥協したら仕上がりに影響が出るのか場数を踏んで判断していくしかないな。
いつも通り実践あるのみですね! よし、やってみます! ガリガリガリ
実践解説
平面パーツをシャープに
★付け足して削る
1.エッジとなる部分の先端を削り落とし平坦にする。
2.適当な大きさに切り出したプラ板を接着。接着力の強い接着剤を使おう。
3.ニッパー等で大まかに形状を出す。あくまで尖らせるのはヤスリがけで行うので切り過ぎに注意。
4.元々のパーツの輪郭の延長になるように、延長した部分の面を一つ一つヤスリがけしていく。
★そのまま削り込む
1.エッジがシャープになるラインを決めカッターナイフなどで軽くアタリを入れておく。
2.金属ヤスリや板を当てた紙ヤスリでアタリのラインがパーツの輪郭になるようにパーツを削る。
スパイクをシャープに
★付け足して削る
1.スパイクの先端を削り落とし平坦にする。
2.適当な大きさに切り出したプラ棒を接着。ここでも接着力の強い接着剤で。今回はアロンアルファ木工用を使用。
3.ニッパー等で大まかに形状を出す。あくまで形状を出すのはヤスリがけになるので切り過ぎに注意。
4.元々のパーツの輪郭の延長になるように、延長した部分をヤスリがけしていく。
★そのまま削り込む
1.先端が尖るようにスパイクの側面をひたすら削り込む。
2.削り込む際に曲線的に尖らせるには紙ヤスリで、直線的に尖らせるには鉄ヤスリや板を当てた紙ヤスリで削る。
エッジを刃物のように
上記の手順を応用し、様々な形状のパーツをシャープに仕上げることが可能だ。
注意!
改造の跡が見えるとせっかくのシャープさも魅力半減。最後まできっちりと処理しよう。
■形状を出すために使った粗いヤスリの傷が残ってしまった……。
→表面処理をやり直し粗い番手のヤスリ機ヤスリ傷をしっかり消し直せばOK!
■付け足した素材とパーツの間に隙間が……。
→パテや、瞬間接着剤などで隙間を埋めて再度表面処理で解決!
関連記事
関連情報