素組みでガンプラ!EXモデルの製作(基礎編)【後編】
超基本からちょっとしたワザまで、ガンプラを素組みで作る“コツ”を、プロモデラー・桜井信之氏が指南する本コーナー。
ここでは「EXモデル 1/1700・ムサイ級軽巡洋艦」を使用して、EXモデルの基本的な楽しみ方を紹介します。前編では、EXモデルの製作経験がない人でも簡単に楽しめるよう、“基本塗装は行わず、成形色を活かした製作”を行いました。後編となる今回は重量感を加える塗装方法について説明したいと思います。
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ここでは〈Mr.ウエザリングカラー〉を使って、色味に変化を加えていきましょう。写真は〈Mr.ウエザリングカラー・ステインブラウン〉と最近発売になった新色〈Mr.ウエザリングカラー・フィルタリキッド・フェイスグリーン〉です。どちらも油彩系塗料でスミ入れやウェザリングに適しており、特に〈Mr.ウエザリングカラー・フィルタリキッド〉はフィルタリングに適したカラーで〈フェイスグリーン(緑)〉〈シェードブルー(青)〉〈レイヤーバイオレッド(紫)〉が発売されています。
〈Mr.ウエザリングカラー・フィルタリキッド・フェイスグリーン〉をパネル状のモールドに塗ります。全体に塗布すればフィルタリング効果で色に深みを加えることができるのですが、今回は細かく区分けされたパネルを塗装し、色味に変化を付けることにします。大型艦船の外部装甲板は、ブロックごとに補修による交換や材質の違いによって、色味が微妙に変化しています。この状態を再現することで巨大感や重量感を演出できます。
適度に色に変化を持たせたいため、専用溶剤を使い〈Mr.ウエザリングカラー・フィルタリキッド・フェイスグリーン〉の色の濃さを調整し、ブロックごとに濃さに濃淡を加えていきます。
〈Mr.ウエザリングカラー・フィルタリキッド・フェイスグリーン〉だけでなく〈Mr.ウエザリングカラー・ステインブラウン〉を使って、茶系にシフトさせても面白い効果が得られます。
さらに〈Mr.ウエザリングカラー・マルチブラック〉を使い、パネルラインにシャドーを加えて、重量感を加えていきます。〈Mr.ウエザリングカラー〉は非常に“ノビ”の良い塗料なので、色の境目をぼかすような塗装も簡単できます。
最後に艦橋窓をクリアーオレンジで塗装します。面積が小さいので筆で塗装しても筆ムラを起こすことはほとんどありません。
艦橋正面から見える部分は、クリアーパーツの側面部分だけですが、全体をクリアーグリーンに塗るとこで、よりオレンジの発色を高めることができます。
さて、キットは「通常タイプ」と「シャア専用」の艦橋が付いていて選べますが、さらに「イグルー版」として製作するためのパーツが付属しています。また上甲板と艦橋後部のハッチも開閉選択式(交換可)も付いているので、こちらも仕上げておきましょう。
さらに1/1700のザクが三機付属しています。1センチ強なので、極細の面相筆を使って丁寧に塗り分けましょう。その際、足の裏からのランナーを切り取らず、クリップなどで挟むと塗りやすいです。指揮官用ザク(羽根飾り付き)一機は、通常のF型なので、指揮官用の一機はシャアカラーで塗装してみました。
完成!
▲〈Mr.ウエザリングカラー〉を使い、パネルごとに色味に変化を加えています。また船体左右のトラスアンテナは付属のエッチングパーツを使うことで、リアルな“ヌケ”表現が可能となります。
▲上甲板と艦橋後部のハッチは開状態のものがセットされています。
▲「通常タイプ」の艦橋左右のアンテナは、好みでエッチングパーツに交換できます。やはりエッチングパーツの方が繊細でリアルに仕上がります。
▲加えて「イグルー」版ムサイも製作できます。船体左右のモールドパーツと、艦橋下部にドロップタンクを3つ装着可能。
▲1/1700のザクが三機付属。指揮官タイプの一機はシャアカラーで塗装してみました。
これで完成です。EXモデルのムサイは1/1700という小スケールながらも、繊細かつ大胆なディテールが施され、リアリティのある完成品に仕上がります。全てのEXモデルがこのような超絶ディテールを施しているわけではなく、マゼラアタックなどジオン系メカにはこの傾向が強いように感じます。どちらにしてもMGやHGではキット化されないメカを多くモデライズしているシリーズなので、一歩進んだガンプラワールドを楽しむには最適なシリーズです。
皆さんもぜひEXモデルを手に取り、独特なリアリティを持つEXモデルの世界を楽しんでみてください。
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