素組みでガンプラ!ミキシングビルドと缶スプレーを使用したキャンディ塗装【後編】
超基本からちょっとしたワザまで、ガンプラを素組みで作る“コツ”を、プロモデラー・桜井信之氏が指南する本コーナー。
今回はガズR/ガズL最大の特徴であるカラーリングの再現を行ってみましょう。
※バックナンバーもあわせてご覧ください。
まずはガズR/ガズLのメインカラーである銀塗装です。本コーナーは高価なエアブラシなどは使わず、お手軽な方法と、お求めやすい価格の工具で製作するのが大テーマなので、今回も缶スプレーを使って塗装を行います。GSIクレオスから発売されているMr.カラースプレーのシルバーはS-8「シルバー」とC-90「シャインシルバー」の2色なので、今回はS-8「シルバー」ですべてのパーツを塗装します。
ガズR/ガズLの銀はあまりギラつきのないプラチナシルバーのイメージ(あくまで個人的な印象ですが……)なので、S-8「シルバー」を吹いたままでもOKだと思います。しかし作例的に派手なほうがよりよいことと、さらなる塗装法を紹介するために、もうひと味加えてみることにします。S-8「シルバー」を吹いたあと、S-90「シャインシルバー」をオーバーコートします。するとS-90「シャインシルバー」独特の粒子が加わり、近年発売されている粒子系のギラついたシルバーに近い輝きになります。
さて、次はボディカラーの塗装です。ガズR/ガズLではそれぞれ青と赤でカラーリングが異なっています。加えて手脚がシルバーというメタリックカラーなので、これに似合う青と赤で塗装したくなります。そこで今回は、缶スプレーを使ってキャンディ塗装を行ってみましょう。まずは手脚と同じようにS-8「シルバー」を吹いたあと、S-90「シャインシルバー」をオーバーコートしておきます。下地のシルバーがギラギラしているほうが、キャンディ塗装の効果はより高くなるからです。
その後、Mr.カラースプレーS-50「クリアーブルー」を吹き付けます。オーバーコートする青に濃淡(ムラ)が出ないよう注意しながらパーツに吹き付けていきます。すべてのパーツの色味が揃うように吹きすぎに注意しながら作業を進めていきましょう。
関節などの部分は装甲と差がついたほうがおもしろいので、ここはメタリック塗装は行いません。使用したのはガンダムカラースプレーのS-15「MSファントムグレー」です。モビルスーツの関節などに使うポピュラーな色ですが、もっとも暗く色の濃い「MSファントムグレー」を使うことでほかのメタリック塗装をより引き立てることができます。
スプレーした塗料が乾燥したらパーツを組み上げていきます。シルバーとキャンディ塗装したメタリックブルー、加えて暗く重い印象のMSファントムグレーが組み合わさりゴージャスなイメージのボディが完成しました。
延長するつま先も足首に接着後に塗装するとマスキング作業が必要になるので、先に塗装を済ませてから銀の足首ブロックに接着するようにします。
ガズR/ガズLは2機そろってロイヤルガードなので、ガズLの赤いボディも同時に製作しました。塗装法はガズRとほぼ同じで、S-8「シルバー」を吹いたあと、S-90「シャインシルバー」をオーバーコート。そのあとにS-47「クリアーレッド」を吹き付ければ完了です。本来は2機揃えて並べたいのですが、旧キットのガズR/ガズLが2つ入手できなかったのでサシカエで製作です(泣)シリコーン&レジンで複製してもよかったのですが、それでは一気に製作のハードルが上がってしまうので、今回は見合わせることにしました。
最後にオリジナルの武器、ヒートランサーです。こちらは旧キットからそのまま使用していますが、せっかく缶スプレーのキャンディ塗装を紹介したので刃の部分はクリアーイエローを使ってキャンディ仕上げとしています。なお写真の右端に写っているのは頭部に付くツノパーツです。
そのツノパーツを取りつけた頭部。強度を増させるために0.3ミリの真ちゅう線で軸打ちし取り付けています。加えてモノアイもシルバーで塗装後、Mr.クリアカラーGX「クリアピンク」を筆塗りし、この部分も地味ながらキャンディ仕上げとしてみました。
完成!
これで完成です。先ほどもお話ししましたが、本来は2機同時製作をして並べてお見せしたかったのですが、ガズR/ガズLのキットがもう1つ入手できなかったため今回はサシカエで製作しています。市場でガズR/ガズLを見かけることがほとんどないのは、僕と同じようにHGUCベースでガズR/ガズLの製作を考えている人が多いのかもしれません(笑)。
前回もお話ししたようにベースとなった旧ガルバルディβのキットも非常にできのよい商品のため、今でも皆さんが購入していると思われます。オリジナルキットの完成度を示す現象といえるでしょう。カービングに関してはキットに付属のデカールではニュアンスが異なってしまうので、今回は使用せずに完成させました。カービングを彫ってもいいのですが、エアブラシの仕様と同じで製作の難易度が一気に高くなってしまうので、素直にメタリック塗装を終えたところでフィニッシュ。
今回はガズR/ガズLを製作しましたが、同じようなバリエーション機はほかにも存在します。“出ていない物は自分で作る!”という模型製作の根本原理に帰って、みなさんもミキシングビルドを楽しんでみてはいかがでしょうか。
【追伸】
プレミアムバンダイからガズR/ガズLの発売がアナウンスされました。完成した直後に発売が決まる……。昔から模型界に伝わる“あるある現象”ですが、それが“粋”な模型ライフというものですね(笑)。
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