素組みでガンプラ!νガンダムを100円ショップの道具を使ってモデリング【後編】

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超基本からちょっとしたワザまで、ガンプラを素組みで作る“コツ”を、プロモデラー・桜井信之氏が指南する本コーナー。

 

今回はスミ入れやトップコートなど、塗装のカテゴリーも可能かどうかを検証してみましょう。

 

※バックナンバーもあわせてご覧ください。

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前回までは100円ショップで販売している工作用ツールを使って、その使い心地や実際にプラモデル製作に適しているかを検証。その結果、近年の100円グッズでもツールを選び、使い方を工夫すれば模型製作は可能ということがわかりました。では、塗装のカテゴリーも可能かどうかを検証します。

 

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こちらは「セリア」で購入したマニキュア。マニキュアはグロスだけではなく、マット・スウェードタイプの物も種類はわずかですが存在しています。マット……つまり模型的な表現をすればフラットタイプのマニキュア。専用のうすめ液も発売されていますが、主成分はどちらも同じ酢酸ブチル・酢酸エチル・ニトロセルロースで、一部の模型用塗料やサーフェイサーにも使用されている成分と同じです。

マニキュア

■満足度:★★★★☆(4)

うすめ液

■満足度:★★★☆☆(3)

※模型用うすめ液に対して割高なので(3)にしました。

 

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まずはガンダムの目の周り、いわゆる“隈取り”をマットブラックで塗ってみます。マニキュアはハケや筆で塗る塗料なので、塗料の粘度は高いのでビンのまま塗ることが可能です。もちろんビンに付属のハケで塗るのではなく筆で塗装しましょう。はみ出した部分はうすめ液で拭き取ります。

 

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マニキュアは成分的に模型用エナメル塗料に近いので、問題なく塗装できました。ちなみに塗装に用いた面相筆はさすがに100円ショップには売っていませんでした。しかし模型店で最も安価な税込108円の物を使用。レギュレーション的にギリギリセーフということで(笑)。拭き取りに使用した綿棒も100円ショップのベビー用綿棒。軸はプラタイプではなく、腰がしっかりしている紙軸タイプを選びましょう。

 

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次はスミ入れにチャレンジ。マニキュアの濃度を下げるので、本来の使用法で専用うすめ液を使います。通常エナメル塗料でスミ入れするときと同じくらいに希釈します。エナメル塗料と異なるのは乾燥(うすめ液の揮発)が早いことです。これはマニキュア本来の用途を考えれば納得できることです。マニキュアの乾燥を丸1日も待てませんからね(笑)。

 

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まずは腰の赤い部分や、本体のダークブルーのスジ彫りにマットブラックのマニキュアを流していきます。はみ出した部分の拭き取りは先ほどと同じく、うすめ液と綿棒で行います。

 

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次はダークグレーのスミ入れを行います。しかしダークグレーのマニキュアは入手できませんでした(販売はされているかも知れませんが、100円ショップではありませんでした)。そこでグレーのマニキュア(同じくマットタイプ)に先ほどのマットブラックを加えてダークグレーを作ります。同じ成分のマニキュアなので混色も可能です。

 

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先ほどと同様に希釈して、メインカラーの白の装甲にスミ入れしていきます。ブラックではキツく感じるので、マニキュア同士を混ぜてベストな色を作るといいでしょう。

 

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スミ入れが終わったらツヤを整えます。これは「ダイソー」で入手したアクリルスプレー。アクリルスプレーと書いてありますが、缶の正面にも成分表にも“油性”と書いてあります。ということは、我々が“溶剤製アクリル塗料”、つまり“ラッカー系”と呼んでいる塗料と同様の成分ということです。そこでいつもどおりに吹いてみましょう。見事にツヤが消えました。

■満足度:★★★★★(5)

 

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最後にデカールを貼りましょう。デカール貼りに必要な工具はピンセットです。金属製で先端の尖ったピンセットも発売されていますが、今回はデカールを傷めないようにプラスチック製のピンセットを使ってみました。先端精度はそれほど高くありませんが、なんとかデカールを貼ることもできました。

 

ただし、これ以上小さいコーションマークなどは正直つらいでしょう。金属製ピンセットの先端を削って使用したほうがいいかもしれません。(注:ちなみに本来デカール貼り後トップコートを吹くのですが、今回は解説順の関係で先にツヤ消しトップコートを紹介しています。作例では通常のセオリーどおりデカール後にツヤ消しを吹いています)

■満足度:★★☆☆☆(2)

 

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サイコフレームの裏側に使用するホイルシールも何とか貼ることができました。デカールよりも位置決めがタイトなので、この作業がギリギリ可能圏内で、これ以上デリケートな作業には向かないかもしれません。

 

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最後に接着剤を紹介します。古くから瞬間接着剤だけは100円ショップのものを使用する人も多かったのですが、最近は低粘度・高粘度・ゼリー状と粘度もさまざまなタイプが発売されています。セメダイン社など一流メーカーの商品もあるので、こちらを選択すれば確実でしょう。なかには小量パックの使い切りタイプも発売されていて、選択肢はかなり広がっています。

■満足度:★★★★★(5)

※プラスチックや金属の接着に問題ありません。ポリパテなどに混入して使うなどの場合、若干使い勝手が違うかもしれません。

 

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ファンネルや武器関係の細かいパーツはセメダイン社の瞬間接着剤で固定してみましたが、ひと昔前の粗悪な瞬間接着剤と違い、何の問題もなく接着することができました。

 

完成!

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さてこれで完成です。とりあえずは何の問題もなくMGキットを完成させることができました。ニッパーやピンセットなど、上を見ればキリがないほど精度と価格が高いツールは、比べてしまうとさすがに満足するほどではありませんが、100円という価格を考えるとその企業努力には頭が下がります。逆にヤスリや瞬間接着剤などの消耗品は、少々クセはあるものの100円ショップの物でも問題なく使用することができました。

 

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今回この企画で複数の100円ショップを回って感じたことは、<模型用><精密作業用>などの用途表記に惑わされないことでしょう。ヤスリの<粗目・細目>などの表記にしても、我々モデラーと工具の製造・販売メーカーの“模型製作”への考え方の隔たりを感じます。世間が認知しているよりも本格派のモデラーは繊細で緻密な作業をしているのですから……。もう1つ大切なことは商品名ではなく<材質記載・成分記載>を見て、実際に使えるかどうかを判断することでしょう。今回は組み立て~部分塗装を行ってみましたが、また機会を見てさらなる利用方法をご紹介してみたいと思います。

 

それでは皆さまよいお年をお迎えください。

 

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