素組みでガンプラ!νガンダムを100円ショップの道具を使ってモデリング【前編】

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超基本からちょっとしたワザまで、ガンプラを素組みで作る“コツ”を、プロモデラー・桜井信之氏が指南する本コーナー。

 

今回は、年末年始企画として100円ショップの道具を使ってガンプラを製作してみます。

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10年くらい前の100円ショップの工具はとても模型工作には不向きなものばかりでしたが、近年その進化は著しくきちんと材質や成分を確認してから使えば、プラモデルを素組みすることくらいは可能に。もちろん模型製作用に開発された専用の物とは比べものにはなりませんが、100円という価格のツールやマテリアルでどこまで可能かを検証してみます。小型で比較的安価なキットを仕上げてもその差はわかりづらいので、今回は「MG νガンダム Ver.Ka 」でトライしてみます。

 

※今回紹介する商品には満足度を5段階で表記してみましたが、あくまでも“模型製作に使用した場合の満足度・適合度”です。他の使い方や本来の用途に使用した場合、評価は変化するものとお考えください。

 

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模型製作と言えば何はともあれ、まずはニッパーでしょう。これは自宅から最も近くの100円ショップで売っていたニッパー。昔から一般的にニッパーと言えば電工用の物を指すので、このような模型製作ではあまり見かけない大味な物です。サイズも模型専用ニッパーに比べると2回りほど大きく、ブレードも大きく幅も厚いです。
■満足度:☆☆☆☆☆(0)

 

002526実際にこのニッパーでパーツをカットしてみましょう。刃先がとても厚く、角度もかなりの鈍角のため、パーツから離れた位置でカットしようとしても、刃先がパーツ側にスライドしてしまいます。結局カットできたのはパーツギリギリの箇所で、カット断面もかなりワイルド。

 

32これではパーツを傷付ける可能性が非常に高く模型製作には適さないことがひと目でわかります。大きさ・形状を見た瞬間に不向きなことはわかっていましたが……(ただし付属のタグの用途欄には「電気工作・木材加工・プラモデル工作」と表記されていました・笑)。

 

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その後6軒ほどさまざまな100円ショップを回って見て発見したのがこのニッパー。大きさ・形状ともに模型の入門者用ニッパーに酷似しています。エントリーユーザー向けのニッパーでも模型専用であればきちんとパーツカットは可能です。問題は切れ味なので早速購入して試してみることにします。

■満足度:★★★☆☆(3) 

※模型用と比較すれば(2)の評価ですが、100円という価格を考えると、その企業努力は(3)~(4)くらいかもしれません。

 

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近年流行りの“薄刃ニッパー”とは比べ物になりませんが、それでも先ほどの電工用ニッパーよりは薄く、パーツから離れた位置でアプローチすることができます。ニッパーの向きも表・裏どちらからでもゲートに余裕を持って刃が入り込むので、“2度切り”カットも可能。

 

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“2度切り”の2度目のカットをしてみます。今回はパーツギリギリでカットをしましたが切れ味も100円とは思えないほどきちんとカットできました(もちろん模型用・高級ニッパーとは別物ですが)。

 

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なお、電工用ニッパーのもう1つの注意点は、ニッパー自体の破壊力。切れ味も悪いため、ゲートのカット時に“パチン”という衝撃がかかり、その振動がほかのゲートにも連鎖します。そのためほかのゲートがその衝撃で外れることがあり、切れ味よりもそちらの方が危険と言えるでしょう。

 

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次に必要な物と言えばヤスリです。これは最初の電工ニッパーの近隣にあった金属ヤスリです。やはりタグには「木工・プラモデル工作」と書かれています。目の粗さを見た瞬間に試すまでもないと思ったのですが(笑)、何でも実験して確認してみましょう。……結果は削れますが、かなりワイルドで、削れ過ぎです。

■満足度:☆☆☆☆☆(0)

 

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こちらは「ダイソー」で販売しているダイヤモンドヤスリです。一般的な模型用の<中目>程度の感じでとても使いやすいです。何よりもダイヤモンドヤスリなので、ヤスリをどの方向に動かしても削ることができるのが利点。なお同じダイヤモンドヤスリの小型版は<中・細>のセット販売品も存在するようです。

■満足度:★★★☆☆(3)

 

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さて今回おすすめしたいのがこちらのガラスヤスリ。購入したのは「キャンドゥ」です。本来はネイル用品なので化粧品類のコーナーで探せば見つかるでしょう。目の形状はダイヤモンドヤスリと同じなのですが、材質がガラスでより繊細な切削が可能。目も<ソフト><ハード>の2種類が存在しているので用途に応じて使い分けるといいでしょう。

■満足度:★★★★★(5)

 

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ダイヤモンドヤスリとガラスヤスリ<ソフト>の削り跡を比較してみましょう。ダイヤモンドヤスリに比べて削り跡が細かいのがわかります。先ほどのダイヤモンドヤスリとセットで使いわけると粗・中・細と段階的に仕上げることも可能でしょう。

 

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こちらは「シルク」で売っていたスティッククッションヤスリ。番手は600番しか入手できませんでしたが(ほかの番手の販売は不明)、ウェーブのスティックヤスリ・ソフトに大変似た商品です。実際に使用してみるとクッションの弾力も似ていますが、600番という表記よりは粗い感じがしました(あくまで僕の主観ですが400~500番くらいの削り具合を感じます)。
■満足度:★★★★☆(4)

 

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こちらも同じく「シルク」で販売していたキューブ型ヤスリ。クッション素材のキューブ型ベースに、4面それぞれ240番(粗)・400番(中)・600番(細)・800番(仕上げ)のペーパーが貼りついています。クッション性は先ほどのスティッククッションヤスリよりも固めです。ただ、やはり番手の表記よりは粗く感じます。それ以前にモデラーの感覚では(中)→(粗)・(細)→(中)・(仕上げ)→(細)程度に考えたほうがいいでしょう。240番の(粗)はプラモデルの素組みでは使用しないほうが良いでしょう。
■満足度:★★★☆☆(3)
※スティッククッションヤスリと比べるとコストパフォーマンスとして劣ると判断しました。

 

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こちらも「シルク」で見つけたスポンジヤスリで400・600・800番の3点セット。「スポンジヤスリまで売っているのかぁ……」と感心して帰宅。3Mのようなスポンジヤスリの薄手版と考えていたので開封して裏返してみたら、スポンジヤスリにペーパーを貼りつけただけの物でビックリしました(笑)。材質表をよく見ると、<クッション部分・発泡ポリエチレン/研磨部分・紙>と記載してあります。今回学んだのは商品名ではなく、材質表をよく確認することでした(笑)。

 

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しかし実際に使ってみると、予想外の使いやすさと削り具合です。100円ショップの紙ヤスリはほとんどが木工用のペーパーで、180~320番がほとんどなので、模型用のペーパーとして使うならこれがベストかもしれません。まずは600番で磨いた状態です。

 

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続いて800・1000番で磨いてみたのがこの状態。やはり僕が認識している番手よりも100~200番程度粗い感じがしました。100円という安価な商品でJIS規格も付いていないので、これくらいの誤差はあるでしょうし許容範囲と言えます。という訳で意外な掘り出し物だったので評価は下記のようにしました。

■満足度:★★★★☆(4)

 

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これはネイル用品でファイルと呼ばれる爪を磨くツールです。これは「キャンドゥ」で購入したもので、形や色は違いますがどの100円ショップでも販売しているものです。
■満足度:★★★★☆(4)

 

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ピンクの面で磨いた後、裏の白い面でフィニッシュします。この2段階で磨くことで爪を輝かせるものです。これも使い方や材質はウェーブ・ヤスリスティック(フィニッシュ)に似ています。プラスチックのパーツでもご覧のとおり光るほどツルツルに仕上げることができます。

 

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サイコフレームやカメラなどクリアーパーツの磨きに使うと最適です。少々の傷ならこれ1本で透明度を再生することができます。

 

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今回ご紹介したツールだけで製作してみました。各道具の使い勝手は模型専用のものとは少々異なりますが、とくに問題なく組み上げることができました。次回はポイント塗装やスミ入れ、最後のトップコートなどを行い完成させてみます。

 

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