「ファーストガンダムは奇跡」漫画家・安彦良和の半生を追ったエッセイ『原点 THE ORIGIN』のトークイベントレポート!

更新日:2017年4月17日 18:04
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『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』など数多くの漫画作品を手掛がけ、現在は同作品の総監督を務める・安彦良和さん。安彦さんの青森県時代の体験等を綴った『原点 THE ORIGIN』が、2017年3月10日(金)に岩波書店より発売されました。

 

本書は青森県の新聞、「東奥日報」に斉藤光政さんが執筆した連載記事をベースに、安彦さんの書き下ろしを加えたもので、安彦さんの原点や人間観が凝縮された1冊となっています。この発刊を記念して、3月14日(火)に岩波書店本館1Fロビーで安彦良和さんによるトークイベントが開催されました。

 

当日はこの本の誕生のきっかけなどとともに、安彦さんがメインスタッフとして参加したアニメ『機動戦士ガンダム』についても言及。安彦さんにとってファーストガンダムは「やはり愛着のある作品ですけど、きわどい部分もある」そうで、自ら漫画化した『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』への想いを語られました。

 

1▲岩波書店の会場には、カバーイラストの原画展示も行われました。

 

2▲安彦さんがカットを描いた、青森県弘前市のタウン誌『Q都』など貴重な資料も見ることができました。

 

安彦良和さん:お好きな方には申し訳ないんですけど、僕にとって『ガンダム』とはファーストガンダムだけで、『機動戦士Zガンダム』以降は個人的には関心がないんです。それは個人的に関心がないというだけで、それぞれ好きな方がいらっしゃっていいと思うんですけどね(笑)。個人的には「ニュータイプとは何か?」というのは『ガンダム』のテーマではないと思っていて、「人は分かり合えないもので、だからこそ分かり合えたら素晴らしいのに」ということがメッセージだったと思うんです。ところが『Zガンダム』の頃からニュータイプの解釈なんかがどことなく排他的になっていき、「人間は地球圏に住むべきではない」というメッセージまで出てきた。このままでは粛清の論理になってしまいかねない。だから「危ういな」と感じたということですね。そういう危険なものを後世に遺すわけにはいかないと思って、のちに漫画でリライトしたのが『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』なんです。

 

また4月1日(土)にはジュンク堂書店池袋本店にてトークイベント&サイン会が開かれ、こちらは安彦さんとともに共著者の斉藤さんも登壇。本書ができあがるまでの裏話や、安彦さんが『機動戦士ガンダム』の監督・富野由悠季さんに本書を贈ったエピソードも明かされました。

 

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▲左から、本書の編集担当である大山美佐子さん、安彦良和さん、斉藤光政さん。

 

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▲ジュンク堂書店の会場より。熱心なファンの質疑応答に回答する安彦さんと斉藤さん。

 

安彦良和さん:ファーストガンダムは、やはり大元をこしらえた富野さんのプランが非常に秀逸で、『THE ORIGIN』としてなぞっていくたびにその中に存在する深み、味わいがどんどん見えてくるんです。ファーストガンダムはある種奇跡のような作品で、だから「あんな作品をもう1回作れ」と言われても、たぶん無理なんですね。そういう意味では、非常に類い稀なものを自分は富野さんと共有できているわけで、それはとても幸せなことだと思います。富野さんにはこの本をいの一番で送ったんですけど、そうしたらハガキでお返事がきて、「ありがとう。ただザッと読んだところ、1点だけ間違いがある。俺は映画人として『2001年 宇宙の旅』は信奉しているけど、キューブリックの信奉者ではない」と書かれていました(笑)。

 

本書では、安彦さんの生い立ちから若かりし頃に参加した学生運動、アニメ・漫画界での出会いや模索が語られ、トップアニメーターから漫画家へと転身した理由も、安彦さん自身の言葉で赤裸々に語られました。当時の学生運動の現場や、アニメブーム黎明期の雰囲気を読み取ることができる歴史的な証言集としても、貴重な1冊となっています。

 

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DATA

原点 THE ORIGIN-戦争を描く、人間を描く

  • 仕様:四六判 352ページ
  • 定価:1800円+税
  • 発行元:岩波書店

 

関連情報

 

(c)創通・サンライズ

2017年4月16日(日)

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