『スター・ウォーズ』3.75フィギュア、37年の歴史を振り返る！【後編】大きな転換期〜造形技術の進歩

公開日：2015年12月26日 15:00

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電撃ホビー編集部

『スター・ウォーズ』のフィギュアといえば、1978年にケナーが発売し、後にハスブロに受け継がれた3.75インチ・サイズのフィギュアです。もちろん最新作『スター・ウォーズ／フォースの覚醒』も商品化されており、映画の公開に先駆けて続々とリリース中。そこで今回は、37年におよぶ3.75インチ・フィギュアの歴史を振り返ってみたいと思います。

※これまでのバックナンバーも併せてご覧ください。

『スター・ウォーズ』3.75フィギュア、37年の歴史を振り返る！【前編】誕生秘話～ブーム到来

文／TAKUYA KUBO

＜2002年＞

2002年に公開された『スター・ウォーズエピソード2／クローンの攻撃』に併せて始まったシリーズで、3.75インチ・フィギュアは大きな転換期を迎える。

それまでは棒立ちで、基本的には首、肩、股しか動かなかった仕様が改められ、劇中の印象的なポーズが採用されるようになったうえ、何かしらのギミックが仕込まれるようになったのだ。またドロイドの一部をのぞき、3.75インチ・フィギュアは過去の商品からパーツが流用されたことはなかったのだが、徐々にそういった商品が増えていき、名作フィギュアのパッケージのみを変更した商品まで作られるようになる。

なぜこのような大胆な仕様変更が行われたかというと、ひとつには造形技術の進歩があげられる。つまり、フィギュアの再現度が高くなったぶん、同一キャラクターのフィギュアを作り直しても大きな変化をアピールすることが難しくなってきたのだ。またフィギュアがリアルになったぶん、本来のメイン・ターゲットである子供たちが手に取らないような商品になってしまっては、本末転倒である。そのため、ギミックの導入は避けられなかったのだ。

またこの頃から、シリーズ名とパッケージ・デザインは1年ごとに改められ、商品には年ごとの通しナンバーが打たれるようになったのも大きな変化と言える。これは1995年のリニューアル発売から17年も経った結果、すべてを集めきるのが困難になってきたファンが増えたことを考慮し、1年ごとにシリーズを完結させることで、新規ファンの獲得を狙ったためである。

＜2003年〜2005年＞

『スター・ウォーズエピソード3／シスの復讐』が公開される前の2003年は、ラインナップにちょっとした変動があった。シリーズ名は「THE ORIGINAL TRILOGY COLLECTION」。タイトルどおり、旧3部作のキャラクターで占められていたのだが、なんと全38種中、新作フィギュアはわずか5体のみで、その他は過去の商品の再販だったのだ。

実はこの年、旧3部作が初めてDVD化され、全ライセンシーが一丸となってこれを盛り上げるという方針がとられたのだが、3.75インチ・フィギュアでは有名どころは商品化され尽くしており、このようなラインナップにせざるをえなかったのだ。だが、旧3部作公開当時のものに似せたパッケージ・デザインはコレクターたちの人気を呼び、翌年2004年初頭にはシリーズ名を取り払って新3部作のキャラクターも加えたものが16種追加されている（こちらも半分は再販）。なお、この頃国内の発売元が、トミーから輸入商品を専門に扱うグループ会社のトミーダイレクトに変更された。

そして2005年、当時は最後の映画作品と言われていた『スター・ウォーズエピソード3／シスの復讐』が公開され、商品は同作一色となり、3.75インチ・フィギュアも単体発売されたものはすべて同作のキャラクターで占められることになる。

この時のシリーズの特徴は、クローン・トルーパーをはじめ、いくつかのフィギュアが、あらゆる関節が動くフルポーザブル仕様になっていることだ。かつては5箇所しか動かなかったことを考えると、これは大きな変化と言える。また同年、短期間だがテレビ・アニメ『スター・ウォーズクローン大戦』の3.75インチ・フィギュアも展開。初めて複数の新作フィギュア・シリーズが並行してリリースされた。

＜2006年〜2014年＞

2006年から2007年かけてリリースされた「THE SAGA COLLECTION」は、大別して3種類のフィギュアをバランスよくラインナップしている。完全新作、再販、そして過去のフィギュアをリデコレーションしたものである。

この傾向は、次のシリーズにも継承され、2007年の『スター・ウォーズ』生誕30周年を記念した「THE 30^th ANNIVERSARY COLLECTION」は、このうち、完全新作フィギュアとリデコレーション・フィギュアで構成、再販品は「SAGA LEGENDS」というタイトルの別シリーズでリリースされた。

ところが、2008年～2009年の「THE LEGACY COLLECTION」は一変して完全新作が大半で、過去のフィギュアを流用したものも元ネタが一見わからないものばかりなうえ、マニアックなキャラクターばかりをラインナップ。またテレビアニメ『クローン・ウォーズ』のフィギュア・シリーズもスタートする。しかしこの年、トミーダイレクトの業務をタカラトミー本社内に戻すことを契機に、残念ながらハスブロ製『スター・ウォーズ』の取り扱いも休止されることになる。

その後アメリカでは、2010年にブランド名としてケナーの名を復活させた「THE VINTAGE COLLECTION」がスタート。3年にわたって展開されたこのシリーズは、やはりツウ好みの仕様のものや初商品化のキャラクターが多く、今になって探している方も多いようだが、世界的に『スター・ウォーズ』の熱が冷めていた時期の商品だけに生産数が少なく、入手が困難なものも少なくない。

この「THE VINTAGE COLLECTION」と並行し、2012年には『スター・ウォーズエピソード1／ファントム・メナス』の3D版の公開にあわせ、『MOVIE HEROES』もスタート。国内でも、タカラトミー・グループのタカラトミーアーツからファースト・ウェーブのみだが発売された。

同シリーズは、2013年に第2弾も展開されたのだが、短期間で終了。さらに同年、『クローン・ウォーズ』のテレビ放送も終わると、ハスブロはまたもや大胆な改革を行う。凝った造形で関節がフルポーザブル、大人のためのコレクションを目指した「THE BLACK SERIES」と、関節は昔のフィギュアのように5箇所しか動かないが安価な「SAGA LEGENDS」という両極ともいえるシリーズをスタートさせたのだ。なお、後者のスタイルは、2014年に始まったテレビアニメ『レベルズ』のフィギュアにも取り入れられている。