目指すのは筋書きのないドラマ、新たなプロデュース体験の提供!配信者として活動するアイドル候補生3名が登壇した「PROJECT IM@S vα-liv(ヴイアライヴ)発表会」レポート
2022年12月末に行われた、「アイドルマスター」シリーズにおける初のカンファレンス「PROJECT IM@S カンファレンス」。その場にて発表された新規アイドルプロジェクト「PROJECT IM@S vα-liv(ヴイアライヴ)」が、いよいよ本格始動となります。
同シリーズが展開する5つのブランドすべてが東京ドームに集った「THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!!!!! 2023」という大きな節目を迎えて、「PROJECT IM@S」は次なるステップ「3.0 VISION(サードビジョン)」へと踏み出しました。その根幹となる取り組み「“MR”-MORE RE@LITY-プロジェクト(MRプロジェクト)」を推進する役割を担うという「vα-liv」の詳細や今後の展開が明かされた発表会が、4月14日(金)にバンダイナムコ未来研究所内のMIRAIKEN studioにて開催されました。
この記事では、本プロジェクトのプロデューサーとなる勝股春樹さん、また「vα-liv」のアイドル候補生3名が登場した発表会の模様をお届け。登壇者に対する質疑応答も実施したため、最後までお見逃しなく。
この日の司会を担当するのは、“わかちこP”の愛称で知られるバンダイナムコエンターテインメントの狭間和歌子さん。挨拶も早々に、本プロジェクトのプロデューサーを務める同第3IP事業ディビジョン 765プロダクションに所属する勝股春樹さんを呼び込みました。
勝股さんはこれまで『アイドルマスター ミリオンライブ!』は1stライブから、765プロダクションは9thライブからと興行事業に携わってきた経歴があり、狭間さんとのつきあいは長いんだとか。そんなライブエンターテインメントの最前線で活躍してきた勝股さんが手がける「vα-liv」は、アイドルプロデュース体験を拡張させる切り込み隊長的なポジションにあるとのこと。そのため、あえて「アイドルマスター」の冠はつけず、「PROJECT IM@S」名義になっていることを説明しました。
「vα-liv」は、視聴者(=プロデューサー)参加型の公開アイドル育成オーディションであり、展開はYouTubeを起点とした配信活動となることが明言されました。アイドル候補生たちの成績情報はアイドルマスターポータル上に公開・可視化され、視聴者は投票機能や、今後実装が予定されている様々な支援機能で候補生たちを評価・サポートしていくことになります。2023年4月をチュートリアル期間と定め、本格始動は5月から。2024年2月に控える最終審査の結果を受けて、候補生たちはアイドル昇格か、または活動終了が決定します。さらに、視聴者はプロジェクト自体の評価も行うことが可能で、支持されない場合はプロジェクト自体が終了となることも明かされました。
「こういう刺激的な設定はアーケード版からあったよね」と話す狭間さんに対し、勝股さんは「そこは意識しています。「vα-liv」はシリーズ公式の研修生制度であり、配信という筋書きのない物語を通してみなさんに新鮮な楽しみや、新しい可能性を提示できるようなものにしたいです。また競争の要素が強く見えたかもしれませんが、頑張れば全員がデビューできるような、自己実現型の競争にしたい」と応えました。
ここからは、本プロジェクトでアイドルデビューを目指す候補生がいよいよ登場。灯里 愛夏(ともり まなか)、上水流 宇宙(かみずる こすも)、サラ レトラ オリヴェイラ ウタガワの3名が姿を見せ、配信を見守る全国のプロデューサーに向けてそれぞれに挨拶しました。
灯里 愛夏(ともり まなか)
- 誕生日:7月1日
- 身長:158cm
- 血液型:B型
- 星座:かに座
- 出身地:福岡県
- 趣味:アイドル研究、カフェで読書、ミュージカル
- 特技:料理、利きアイス
上水流 宇宙(かみずる こすも)
- 誕生日:9月12日
- 身長:162cm
- 血液型:B型
- 星座:おとめ座
- 出身地:東京都
- 趣味:イラストを描くこと、ゲーム、食べること
- 特技:書道、地獄耳
サラ レトラ オリヴェイラ ウタガワ
- 誕生日:11月11日
- 身長:159cm
- 血液型:O型
- 星座:さそり座
- 出身地:埼玉県
- 趣味:寝ること、ネイル・メイク、雑貨集め
- 特技:歌、古着リメイク
候補生3人への最初の質問として、「好きな食べ物はありますか?」と狭間さん。愛夏さんは「アイスが好きです!なんでも(どんなアイスでも)大丈夫なんですけど、ご飯の代わりに食べるくらい好きです。利きアイスが得意なので、みんなでやりたいですね」と回答。宇宙さんは「小さい頃からカヌレが好きでした。母が洋菓子好きで、いろいろな味を食べさせてもらいました」と家族との思い出を交えながらトーク。レトラさんは「辛いもの、辛旨なものが好きです。家のコチュジャンとか、すぐなくなるんですよー」と親しみを感じるコメントで返しました。
ここで、プロジェクトの本格始動にともない、キャラクターデザインを担当したイラストレーター・森倉円さんが用意したという候補生たちの“アー写”が公開されました。感想を問われると、「ここから私たちの一歩目が始まるんだって、実感がわいてきました。ドキドキしています(愛夏さん)」「改めて見ると感動です。私もあまり(活動開始する)実感がなかったのですが、やっとわいてきました(宇宙さん)」「私、盛れてるなぁ~(レトラさん)」と三者三様に語りました。
具体的なプロジェクトの展開としては、1カ月ごとに目標を設定し、プロデューサーからの評価が最も高かった候補生を「マンスリークイーン」として定めるとのこと。月初には公式レッスン番組を配信し、様々な講師を招いて候補生たちをレッスンするんだとか。勝股さんによると「とにかくすごい講師陣」が控えており、また講師たちも候補生を評価する審査員であるそう。このマンスリークイーン制度のほかには、3ヶ月ごとに中間評価を発表する機会を設けることにも言及されました。チャンネル登録数をはじめ、様々な評価軸でインセンティブが与えられる予定です。そのほか、直近では候補生それぞれによるショート動画や企画動画の投稿を皮切りに、いろいろな種類の動画を順次公開予定であることが明かされました。
発表会の最後には「宇宙ちゃんとレトラさんと、みんなで楽しみながらやっていきたい。やったるぜハッピー!(愛夏さん)」「2人と一緒にデビューできるよう、2月まで頑張ります。プロデューサーのみなさん、応援よろしくお願いします(宇宙さん)」「3人で頑張ろうと思います!みんなで歩みます!(レトラさん)」と、それぞれに意気込みを語りました。
発表会終了後は、勝股プロデューサーと候補生3人に向けての質疑応答の場が設けられました。
勝股プロデューサーへの質疑応答
──勝股さんはライブ興行を担当した経験が豊富とのことですが、ご自身の経験をどのように本プロジェクトに活かしていくおつもりでしょうか?
勝股さん:私はこれまでライブを始めとする、メディアミックス展開を主に担当してきました。その経験を活かし、アイドル候補生たちのタレント展開を軸に、360度ビジネスを目指したいと思います。2017年から「THE IDOLM@STER MR ST@GE!!」を手がけ、その世界観で活動するアイドルたちに夢見てきました。本プロジェクトのアイドル候補生たちを通して、みなさんに新たな楽しみを提供できればと思っています。
──気の早い話かと思いますが、新たな候補生を追加する予定は?
勝股さん:今後1年間は発表された3名を主軸とする予定ですが、公式の研修制度としての展開を目指していますので、今すぐという訳ではありませんが検討はしています。
──本プロジェクトを思いついた時期や、インスピレーションを受けたことは?
勝股さん:やはりコロナ禍の経験が非常に大きいです。過去に「THE IDOLM@STER MR ST@GE!!」のアンコール公演がコロナによって中止になったことがありました。その後、星井美希による生配信などを行い、当時はリアルでの交流が主だったプロデュース体験に新たな可能性を感じました。
──アイドルデビューとは具体的にどういうことでしょうか?
勝股さん:いわゆるアーティストのような形で、CDリリースやライブなど、タレントとして売り出していくことを予定しています。
──既存の配信者・ライバーとのコラボ予定はありますか?
勝股さん:できたらいいなと思っています。そういったみなさんとの営業活動もできたらいいですね。
──プロジェクト自体への評価方法として、いいね数のほかにはどういうものがありますか?
勝股さん:基本的には投票が分かりやすい指標になりますが、たとえば今後、企画でプロデューサーが参加するコンテンツなど、総合的に見られるような設計を進めています。
──アイドル候補生の審査の基準は、今後明確に提示されますか?
勝股さん:審査基準はオープンにします。チュートリアル期間が明けた後に発表を予定しています。
──候補生たちへのスーパーチャット(投げ銭)は可能ですか?
勝股さん:収益化の基準もありますし、候補生たちの配信を楽しめる要素は随時拡張していきたい。
──本プロジェクトを公開オーディションとしたことや、その期限を設けていることの狙いを教えてください。
勝股さん:候補生がアイドルを目指すという過程そのものがドラマチック。期限を設けたのは、展開の基準を作りたかったからです。その方が、分かりやすく臨場感をもって応援してもらえるんじゃないかと思いました。
──アイドルマスター各ブランドとのコラボ予定は?
勝股さん:(アイドルマスターの)他事務所とのコラボは、直近では予定はありません。ですが同じ世界観ではあるので、ご一緒できたらなとは思っています。
アイドル候補生への質疑応答
──(アイドルマスターに限らず)憧れの先輩はいますか?
愛夏さん:五十嵐響子さんが大好きです! 響子さんへの愛と憧れについて語った動画が近いうちに出るので、ぜひ見て欲しいです!
宇宙さん:アンティーカのみなさんが憧れです。ゴシックなコンセプトがオタク心に刺さります。私も、ああいう衣装を着てみたいです。
レトラさん:(ゲーム実況YouTuberの)ユニさんという方です。歌が上手くて、耳が幸せになります。
──みなさんが初めて会った時のエピソードや印象を教えてください。
愛夏さん:実は昨日、初めて会ったばかりなんです。緊張している私に対して2人は落ち着いていて。あまりに緊張していて、帰り道で「大丈夫?送っていこうか?」と言ってもらっちゃいました(笑)。頼りがいのある、頼もしいおふたりです。
宇宙さん:愛夏さんは同い年ですけど、「目を離したら駄目」と思わせるハムスターみたいな感じかな。レトラさんは見るからに陽キャで、最初は警戒していました。話してみると良い方です。
レトラさん:2人ともかわいすぎて、愛夏ちゃんは綿菓子みたい!(そうそう、とうなずく宇宙さん) 宇宙ちゃんはクールビューティーって感じで、美しいなと思いながら見ていた。それぞれにジャンルが違う3人だなと思います。
──アイドルを目指したきっかけや、どんなアイドルになりたいかを教えてください。
レトラさん:音楽活動を続けるか、就職するかと悩んでいたところ、(本プロジェクトを)やってみないかとチャンスをもらいました。私の歌を全国民に届けられるようなアイドルになりたいです。
宇宙さん:実は魔法少女に憧れがありまして……私は芸能活動を長くしてきたんですが、上手くいかなくて。でも諦めきれなくて、最後のチャンスとして参加しました。自分の名の通り、キラキラと誰よりも輝くアイドルになりたいです。
愛夏さん:ボランティアで子どもたちと接することがあって、一緒に遊んだり、私が何かすることで笑顔になってくれたのを見て「私にも誰かを笑顔にできる力があるのかな」と思いました。小さい頃から前に出れない、そんな自分を変えたいと、一歩踏み出す勇気を持つことにしました。私自身もみんなと笑顔になりたい、ハッピーになりたい、ヤッピー(やったるぜハッピー)になりたいです!
──このプロジェクトを最後のチャンスと決めたのはなぜですか?
レトラさん:(言葉に詰まる)
宇宙さん:私から行きましょうか。私は長いこと芸能活動をしていて、もうすぐ10年になります。このプロジェクトは私が活動を続けていくのかを判断する、私なりの集大成です。でもアイドルへの挑戦が最後というだけで、芸能活動自体は続けていくつもりです。
愛夏さん:私は宇宙ちゃんとは立場が真逆で、アイドルを目指し始めてやっと2年目です。16歳って、アイドルを目指すには遅いスタートだと思うんです。人の前に出られない性格はアイドルとしては壁になりますし、そういう自分を変えるために頑張るぞ!と。私は追い込まれないとできないので、ラストチャンスと決めました。
レトラさん:私は19歳で最年長ですし、専門学校にも通っていました。これからどうしていくのかを迷っていたところ、運良くこのプロジェクトに参加できました。オーディションなども年齢制限があることが多いので、年齢的にもラストチャンスなのかなと。
2022年末のカンファレンスで発表され、いちプロデューサーとして個人的にも気になっていた「PROJECT IM@S vα-liv」の全貌が明らかになりました。YouTuberの活動が盛り上がる昨今、「ついにアイドルマスターもその領域に踏み込む時が来たか」と思うとともに、デビューを賭けたリアリティーショーとしての側面もあり、プロデューサーたちの関心を集めそうなコンセプトだと感じます。
本プロジェクトの初報が伝えられてから注目していたこととして、「キャラクターの声を担当する人物の存在が明かされるのか」という点がありました。結果として今回の発表では明かされることはなく(そして今後触れられることもおそらくないと思われる)、そのせいなのか、候補生への質疑応答の場ではこれまでに感じたことのないリアリティがありました。記者たちからの質問に答える候補生たちの言葉を聞き、その様子を目の当たりにしているうちに「今話をしているのはキャラクターの設定なのか、それとも“中の人”の経歴なのか?」という、境界線が曖昧になる瞬間を感じました。
「アイドルマスター」はシリーズとしても長く、いわゆるいくつかの“お約束”が存在するコンテンツで、それをプロデューサーたちが共有する楽しみもある作品です。「PROJECT IM@S vα-liv」は勝股プロデューサーが語った通り、私たちに「新たなプロデュース体験」を提供してくれるに違いないコンテンツであることを確信した発表会でした。
THE IDOLM@STER™& (C)Bandai Namco Entertainment Inc.
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