NゲージやZゲージなどが一堂に介した「第22回国際鉄道模型コンベンション」事後レポート!KATOやトミーテックほかメーカー製の新商品や、モデラーによる超絶展示などを一挙紹介!

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2023年8月18日(金)から20日(日)にかけて、東京ビッグサイト東1ホールにて開催された「第22回国際鉄道模型コンベンション」。ここからはモデラーによる出展作品と、レゴブロック「Lゲージ」の展示、そして会場内で実際に運行された本物の鉄道についてレポートしていきます。

 

モデラーが見せる鉄道模型・ジオラマの奥深さ!

企業ブースだけでもかなりの出展数で見どころ盛りだくさんでしたが、鉄道模型コンベンションにはモデラーの出展も多数あり、その一部で詳しく話を聞くことができました。ここからは、モデラーブースの一部をご紹介します。

まずは、Nゲージの3線式モジュールレイアウト規格「NTRAK」に準拠した「JANTRAK」のモジュールレイアウトを出展したJ-TRAK Society。メンバー13人中、今回は8人で出展し、各々のモジュールを1周つなげた巨大レイアウトでNゲージの運転が行われました。路面電車と交差するモジュールや、緑の山間部や銀世界、国鉄風の主要駅、さらには巨大な車両基地も。特に、車両基地奥の検修庫は、外からは見えない検修庫内部まで自作で作られています。

 

情景の作り込みも見事ながら、その中にいる人々にもストーリー性が込められています。「自分の車両が他の人の作ったモジュールを走行したり、他の人の車両が自分のモジュールに入ったりすることに楽しみや新発見がある」と、メンバーのお一方は話されていました。

 

次は、懐かしい情景を走る鉄道模型を独特の制御方式で運転した多摩温泉電鉄。路面モジュール規格で制作したジオラマをつなげ、小型電車が走るレイアウトを組んで展示走行していましたが、実はその一部には絶縁ジョイナーが仕込まれ、電気的に区切られていました。

 

それはなぜか? 小学生のプログラミング教室で使用される「Ichigojam」で作られたATS(Automatic Train Stop)システムにより、一つのセクション内に電車が1編成しか入線しないように制御していたからです。しかし、DCCの組み込みや車両への難しい加工はしていないとのこと。同じ線路上に複数の旧型電車が次々にやって来る光景は、レトロながらにぎやかで楽しいものでした。

 

激団サンぽーるのブースでも、団員それぞれが制作したジオラマが展示されました。中でも、「渓谷を行く」では、吾妻線の鉄橋や、陸羽東線が通る鳴子峡などを参考に、制作者自身の好きなダムを取り入れつつ自然豊かな渓谷を表現。鉄橋、水門、トンネルポータルや法面にレーザーカッターを使用し、構造物にオリジナリティを持たせつつ、高さのある情景が広がります。

 

「ちいさいおうち」は、同名タイトルの絵本『ちいさいおうち』(作・絵:バージニア・リー・バートン 訳:石井桃子、岩波書店刊)をモチーフに、ちいさいおうちと、にぎやかになっていく街並みを表現。建物はペーパーフルスクラッチで作成し、石畳は塗装したプラ板を細かく切って1枚ずつ貼り付けたとのこと。石畳の流れ方の変化や架線なども見られ、メルヘンチックな世界観の中に模型としてのこだわりも垣間見えました。

 

さらに、昭和から平成一桁代の農村部を走る鉄路をイメージしたというレイアウト「星ノ森鉄道日比津線」も印象的でした。建物がほとんどないのどかな情景ですが、草木の表現や色に様々なパターンがあり、自然に見入ってしまいます。ダブルデッカーの先頭車を連結した特急が駆け抜けていきました。

 

そして、ランドスケープPJにて展示されていた、新宿駅南口のジオラマも必見です。レーザーカットで切り出し・スジ彫りした紙で駅ビルを、模様や白線などを再現した印刷紙で道路を制作。細かい小物は3Dプリンターで作成しつつ、要所要所でチップLEDを使用した電飾も組み込まれており、「皆さんに楽しんでいただいている」と好評を得ていたようです。

 

ホームも同じように、紙や3Dプリントなどを駆使して制作され、駅ビル・甲州街道直下の部分には照明も設置されていました。一部の線路は走行用に通電しており、筆者が訪れた時にはE231系湘南新宿ラインやEF58形の客車編成などが見られました。すでに圧倒的な再現度を誇っているこのジオラマは今後も拡張予定とのことで、新宿駅周辺の情景がNスケールでこれからも拡大していくことにワクワクが止まりません。

 

中学・高校の鉄道研究部も参加、常設レイアウトも

社会人モデラーが多数を占める中、学校からの出展もありました。日本有数の鉄道学校として知られる岩倉高等学校の鉄道模型部は、「鉄道模型コンテスト」や「城南島LAYOUT AWARD」に出展したことのあるモジュール、そして、渋谷エクセルホテル東急の鉄道模型ルームに展示されていた東急電鉄のレイアウトを出展しました。

 

「第22回国際鉄道模型コンベンション」のテーマが電気機関車ということもあり、電気機関車のNゲージも多数見られました。

 

芝浦工業大学附属中学高等学校鉄道研究部は、会場の広さを活かしてHOスケールの車両展示・走行を行いました。関東・関西の名所を工作用紙や角棒で再現しています。電気機関車のテーマにちなみ、レイアウトには吹田貨物ターミナルも取り入れていました。

 

また、同校では子ども向けに運転体験も実施。E231系山手線、103系京浜東北・根岸線のどちらかを選び、生徒のサポートを受けながらHOゲージを運転する子どもたちの姿も見られました。

 

関東学院六浦中学校・高等学校鉄道研究部でも模型車両の運行を実施。顧問の先生が制作した江ノ電レイアウトで展示・走行が行われました。鎌倉駅から藤沢駅まで、江ノ電全駅とその周辺の景観をジオラマ向けにアレンジ。電気的にギャップを設けた上で、その上を新旧様々な江ノ電が走ります。

 

この列車たちを運転しているのは鉄道研究部の生徒。「電車でGO!」ワンハンドルマスコンを改造したコントローラーを握った彼らは、電気的に区切ったギャップの駅間でそれぞれ運転を担当し、江ノ電Nゲージを見事にさばいていました。

 

渋谷区立代々木中学校鉄道研究部は、公立中学校としては唯一(同校独自調査による)、常設の大型レイアウトを保有しており、PTAと有志による「渋谷急行鉄道の会」の支援のもと活動を行っているとのこと。「第22回国際鉄道模型コンベンション」においても、その常設レイアウトを出展。新幹線・在来線共に多数の列車が様々な情景を行き交いました。

 

これだけ大きなレイアウトでありながら、生徒らには「絶対にライトをちらつかせない」というこだわりがあり、線路のメンテナンスを徹底しているとのこと。実際に、どの車両もヘッドライトや室内灯がチカチカと途切れることなく走っています。電飾が組み込まれた駅・機関庫や街並みも見ごたえがありました。

 

レゴブロックで作る鉄道模型、「セノハチ」やHC85系など登場

一般的な鉄道模型以外にも、「Lゲージで作る鉄道模型」として、レゴブロックで作られた鉄道模型も人気でした。1985年くらいの情景の中、JR山陽本線の瀬野~八本松間 (※)、通称「セノハチ」を行く貨物列車などをレゴブロックで再現。EF60形が先頭に立ち、補機にEF59形2両を繋いだ編成を組んでいました。他にEF58形・EF66形やアプト式時代の碓氷峠の列車、ナローゲージなどマニアックな要素も多く、大人にとっても見ごたえ十分。

※本来は八本松駅から瀬野駅に向かうのが下り線ですが、補機のプッシュプルは上り線で行われていることから、この書き方で記載しています。

 

別のテーブルには現代風レイアウトが組まれ、かつて特急「ひだ」で活躍したキハ82系や、今まさに活躍しているHC85系などが走りました。特にHC85系は、新型車両ということもあって子どもたちに大人気。在来線の上には単線の高架線があり、阿佐海岸鉄道のDMVが周回しました。なんと鉄道・バスのモードチェンジも再現!

 

レゴブロックの他に、プラレールの巨大レイアウトも見られました。何層も高くそびえ立つレールの上をいろんな列車が走る姿には圧倒されるばかり。地上部分を見ても、広大な貨物ターミナルに停車中の貨物列車や、高架線を行き交うフル編成の新幹線など、徹底的に取り組めばプラレールの世界はこれほど壮大に広がることがうかがえました。

 

東京ビッグサイトでナローゲージ鉄道を体験!

会場内には鉄道模型どころか、本物の鉄道も登場! 羅須地人(らすちじん)鉄道協会が運行しているナローゲージ鉄道で、18日に車両展示、19、20日に乗車体験が行われました。

同協会は1973年に発足し、今年で50周年! 軽便鉄道の保存・継承を目的に活動しているとのこと。千葉県の成田ゆめ牧場内に軌間610mmのナローゲージ鉄道「まきば線」を敷設しており、これを拠点に年間約10日間の列車運行などを行っているそうです。

会場では、約50mの線路が敷設され、その上を8号機関車「BAMBINO」(イタリア語で少年)が走行しました。乗車体験は、機関車の運転台に添乗、または同機が牽引するトロッコに乗車の2種類。筆者は運転台に添乗しました。

 

会場では圧縮空気による走行でしたが、床下から伝わる走行音や振動が、身体の芯まで響いてきました。線路の脇には手旗を持った係員が立っており、緑色の旗を揚げ、旗を振って機関士に合図を送ります。

 

そして、列車は約50m先の終端部へ。車止め付近で停車した後、列車は後ろ向きで折り返して乗り場へ戻りました。往復合わせて2分程度の短い時間とはいえ、ミニ鉄道を東京ビッグサイトで体験できる貴重な機会となりました。なお、羅須地人鉄道協会は各日の終了時刻に機関車の汽笛吹鳴も行い、それに合わせて会場から拍手も上がりました。

 

以上、いろいろ紹介したつもりですが、本稿で掲載できたブースはこれでもほんの一部でしかありません。しかし、鉄道模型を心から愛してやまない人々が、それぞれ集めたものや作ったものに情熱を注いでいることが、3日間で十分すぎるくらい筆者にも伝わってきました。「国際鉄道模型コンベンション」は来年2024年も開催予定です。あなたもぜひ、鉄道模型を見て、そして触れてみませんか。

 

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