鉄道開業150周年記念!ラジオ・書籍などでおなじみ、鉄道好きライター・渡辺雅史氏の「第21回国際鉄道模型コンベンション」探訪記!

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鉄道模型関連のイベントとしては日本最大級の祭典「国際鉄道模型コンベンション」が、2022年8月19日(金)~21日(日)に東京ビッグサイトにて開催されました。コロナ禍により2019年の夏以来3年ぶりの開催となった今回のイベントは、2022年が日本での鉄道開業150周年という記念イヤーも相まって大盛況の3日間となりました。

その模様を、鉄道好きライターの渡辺雅史氏がレポート! このページでは、自身も久々の来場だったという渡辺氏の琴線と架線に触れたアイテムや展示などをご紹介します!

 


 

“乗り鉄”渡辺氏の心にグッときたブースなどを紹介!

私、渡辺は8月19日、東京ビッグサイト東1ホールで開幕したこのイベントの初日に訪問しました。

鉄道の中でも私が力を入れているのは乗る方、いわゆる“乗り鉄”と呼ばれているタイプ。ライターといっても、鉄道関係の知識や情報をみなさまにお伝えする鉄道ライターではなく、週刊誌や月刊誌などで鉄道と関係ない記事を書くのがメインなので、もし「昭和50年代といえばEF66が東京発のブルートレインを牽引した時代ですが」みたいな文章がこのあとに書かれていたとしても、「鉄道ライターじゃなくて、ただの鉄道好きだからな」ぐらいな感じで読み流していただけたらと思います。

 

まず訪れたのは企業出展のゾーン。10時の開場直後はこの会場でしか販売されない限定モデルなどを求めるファンで行列が出来るブースがあったものの、1時間ほどするとその日の限定商品が完売。じっくり商品が眺められるようになりました。

 

トミーテック

トミーテックでは12月に発売予定の機関車EF510-300形を公開。2023年より九州で運行が始まるシルバーの電気機関車。作り込み度合いをファンにアピールするため、展示はターンテーブルに乗せて行っていました。

 
こちらはキハ40型ディーゼルカーの国鉄カラーです。

 
キハ40型ディーゼルカーのJR北海道カラーは、床下のギミックを強調する展示がなされていました。

 

天賞堂

国内鉄道模型メーカーの老舗。1949年より主にHOゲージの模型を手掛ける天賞堂。銀座に本店を構え、宝飾品や高級時計を販売するメーカーだけあって、展示されているSLの作り込みはさすが。

 

 
そんな天賞堂の会場限定「特売品コーナー」をのぞいてみると……。

 

お値段もさすがです……!

 

KATO

未来を感じさせるワクワクするシステムを展示していたのはKATO。現在開発中の、模型の動きに連動した「走行音」を楽しめる装置を展示していました。

 
走行音は電車のほか、SLや電気機関車、ディーゼル機関車、ディーゼルカーなど41種類を販売予定。ドイツのICE4やスイスの氷河特急など、海外の車両の走行音もラインナップ。鉄道模型の車両だけでなく、線路や車両を動かすための電源といった「システム」も手掛けるメーカーらしい展示でした。

 

ディディエフ

ジオラマに欠かせない建物、樹木、人物、そして街を彩る電飾を得意とするメーカーも多数出展。ディディエフのブースにある巨大観覧車、YFSが自社で製造したミニチュア人形を使って再現した渋谷のスクランブル交差点は圧巻でした。

 



 

想いと技術が凝縮されたモデラーさんの出展ゾーンへ

続いて向かったのはモデラー出展のゾーン。制作するみなさんの鉄道模型に対するこだわりが存分に楽しめたエリアです。

 
 
苫小牧1975のブースは、1975年当時の苫小牧の建物をギュッと詰め込んだジオラマを展示。当時の写真を徹底的に収集して、苫小牧を象徴する工場や店舗、港の感じを再現し、1畳ほどのスペースで表現されていました。



制作者の青木さんに話を聞くと。

「自分が子供の頃に住んでいた苫小牧を表現してみたかった。会場で『私、ここで働いていたんです』と声をかけられて嬉しかったです。当時の苫小牧市営バスや、自家用車のカラーリングにもこだわりました」

苫小牧愛にあふれる作品です。

 

紙で作ったNゲージ!その制作時間&材料費は?

続いては「紙鐡 九粍會」。名前の通り、紙で作ったNゲージを展示するサークル。


 
台車と屋根の上のパンタグラフのパーツ以外は紙と塗料のみ。シンプルな材料でこのグレードに仕上げる技術は素晴らしいのひと言。

ブースの方に話を聞くと。

「制作時間はめちゃめちゃかかります。こだわろうと思えばキリがないので。でも、紙で作ってるので材料費は1両2000円程度です」

塗装作業に入る前に造形が気に入らなかった場合は簡単にイチから作り直せる。紙で作るからこその手軽さが、制作時間の長さにつながるのでしょう。でも、2000円で何時間も楽しめるなんて、趣味としては最高です。ただ、紙製ならではの悩みもあるようで。

「棚に飾っておいたら、地震が来て車両が落下。床でペシャンコになった車両が……なんてことも過去に経験しました」

ちなみに「車両が飼っている猫に見つかったらヤバそうですね?」「喫煙者の場合、じゅうたんを焦がしてしまう感じで作りかけの車両に……」との質問をぶつけたところ、苦笑いしていました。心当たり、あるんだろうな。

 

約50mの線路を敷いて肉体労働!?

会場の端に50mほどの線路を敷いてSLを展示していたのは「羅須地人鉄道協会」。1973年に結成された、線路幅2フィートのサイズのミニ鉄道を運行するサークル。昭和の時代に各地を走り、廃線となった軽便鉄道から車両や機関車や客車を譲り受けたり、独自に車両を整備し、列車の運転を楽しむという、模型趣味の域を超えた活動を行なっているそうです。



会員の方に話を聞くと。

「千葉県成田市の『成田ゆめ牧場』さんの敷地内に車庫を置かせてもらって活動しています。年に10日ほど運転会を行いますが、運転の前にまず、線路の整備を行わなければならないので、線路に敷く砂利をトラックで現場まで運んだり、砂利の交換や線路の歪みを確認する作業でかなりの体力を使いますね。ほかにも蒸気機関車を動かすための石炭の手配や運搬、機関車や客車の整備など、安全に動かすための作業が……」

 

もはや、鉄道模型というより、肉体労働な気が。

「でも、保線作業も運転も、すべて楽しいんですよね」

真っ黒に焼けた顔からこぼれる白い歯が印象的なこちらのサークルのSLは、開催3日間中の後ろ2日間、20日、21日に会場内で運行予定とのことでした。今回は取材日が19日だったため運行中の姿を見ることができませんでしたが、室内での運行になるので蒸気機関ではなく、圧縮空気を使ったシステムで運転されたそうです。

 

物販やトークショーなども盛況、レアな駅弁販売も

会場内の物販ブースでは、イベントを記念したタオルやシャツを販売。

 
イベントスペースでは、鉄道模型を使った登坂力コンテスト(20日)や、石破茂さん、前原誠司さんによる鉄道トークショーを開催。

 
さらに、飲食スペースでは、東京駅では入荷すると即売り切れ。駅弁大会でも並ばないと買えない、陶器製の釜を使ったバージョンの「峠の釜めし」を販売と、鉄道模型以外の楽しみも詰まった「国際鉄道模型コンベンション」でした。

 
今年は行けなかったという方は、ぜひ来年は会場まで足を運んで、自分なりの鉄道模型の楽しみ方を発見してみてはいかがでしょうか?

 
 

渡辺雅史 プロフィール

1975年2月1日生まれ、埼玉県出身。放送作家、ライター。現在ラジオでは『爆笑問題の日曜サンデー』(TBSラジオ他・毎週日曜13~17時)の構成を担当。近著に『アラフォーウーバーイーツ配達員ヘロヘロ日記』(ワニブックス)、鉄道関連の著作に『東京駅コンシェルジュの365日』(交通新聞社新書)、『銀座線の90年』(河出書房新社)など。
 

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