ステップバイステップで究極の「ビルトビルガー」を作る!<第4回>【電撃スパロボ No.049】
「ビルトビルガー 高機動型」を徹底的に改造中の「電撃スパロボ!」。第46回に続いて、今回は武装に手を加えていきます。少し古めのキットであるため、ここに手を加えるとかなり効果的ですよ。
※これまでの製作の過程は、以下のバックナンバーをご覧ください。
第1回:ステップバイステップで究極の「ビルトビルガー」を作る!【電撃スパロボ No.041】
1/144 ビルトビルガー④ 武装改修
製作・文:KuWa(FRAMEOUT MODELS)
前回まででビルトビルガー本体の工作作業はほぼ完了しましたので、ここで武器のほうも仕上げてしまいましょう。
ビルトビルガーの魅力は、大きなハサミである「スタッグビートル・クラッシャー」のようなエグい近接武器やコールドメタルソード、M90アサルトマシンガンに3連ガトリング砲といった遠近取り揃えた装備でしょう。いずれもキットのものは、基本的な形状はなかなかカッコイイので、丁寧に合わせ目や整面の処理、ディテールアップをしていくことで、よりその完成度を向上させることができます。
⑲武器のディテールアップ
3連ガトリング砲から手を入れていきましょう。こちら、ご覧いただくとわかるのですが、スジ彫りが太いというか、スジ彫りのエッジが丸くなっているため、どうしてもシャキッとした印象になっていないません。ここを直していきます。
一度スジ彫りをパテなどで埋めて彫り直す、というのもよいのですが、元のディテールを活かしつつ手軽に作業したいという時にいつも使う手が、シアノン系瞬間接着剤(ココではウェーブの黒い瞬間接着剤を使用)で埋める方法です。
まずは修正したいところに瞬間接着剤用硬化促進スプレーを吹きかけます。ココで使用しているのは「シアノンプライマースプレー400」。量も多めで使用時の臭いも比較的少ないので愛用しています。
ちょっと分かりにくいのですが、デザインナイフの刃先に黒瞬着を適量出し、そのままスジ彫りに押し付けます。固まるまで少し待ってからデザインナイフを動かして外します。まだ固まっていないようなら再度スジ彫りをなぞるように押し付けたり、押し付けたまま上から硬化促進スプレーを吹きかけたりして待ちましょう。
デザインナイフを外すとこんな感じに。スジ彫りの左右に瞬着を盛りつけたかたちですね。
これをヤスリで均すと、こんな感じでもとのスジ彫りを活かしたまま細くすることができました。昔、よくトイや食玩など、塩化ビニール製の部品のディテールを修正のなどに使っていた技です。
スジを修正したら、凸ディテールを1mmプラ板で作り直したり、後方の突起部に1mmプラ板を貼ってボリュームアップしたりしました。
もう少し太いほうがイイかな、というのとスジ彫りが少々大げさなこともあって、3連ガトリング砲の砲身を作りなおそうと思います。キットが4.5mmぐらいなので5mmぐらいにしましょうか。
使用するのはウェーブの5mmプラパイプ(肉厚)と同6mm(肉薄)です。砲身になるのは5mmのほうですね。6mmのほうは、砲身のディテールを彫るのに使用します。
そのまま置き換えるだけならば簡単なのですが、気になるのは3本に入っている途中のディテールの再現。同じ位置に彫り、かつナナメのディテールも入れねばなりません。ちょっと手軽にできる範囲で考えてみましょう。
まずはノギスでディテールの必要な位置を確認し、軽く印をつけます。このままノギスでコリコリ一周する手もあるのですが……。
3本もあるので6mmプラパイプを治具として使ってみましょう。ウェーブのパイプはうまいこと内径と外径が合うようにできているので、5mmプラパイプは6mm(肉薄)にキレイに入ります。
6mmプラパイプの下から予備の5mmプラパイプを差し込んで……。
上から砲身パーツを差し、6mmプラパイプの上端にスジ彫り位置を合わせ、下から差し込んだ5mmプラパイプをストッパーにして固定しました。ストッパーの5mmプラパイプの固定はテープで行いましたが、本来は必要な分だけ短くカットして瞬間接着剤などで止めたほうが確実でしょう。
あとはスジ彫り道具でコリコリ彫るだけです。ココではクレオスのラインチゼル(2mm)を使いました。
横線は完成。次はナナメのディテールです。
あんまりひねりがないのですが、こちらは単純に数学を使って対応。5mmパイプの円周は5×3.14で≒16mm。マスキングテープをその長さでカットしました。ナナメ線は8本ぐらいでいいかな、と8等分の(≒2mm)印をつけ……。
プラパイプに巻きつけます。ナナメに引きたいので、上下で印の位置を1mmずらして貼りました。あとは点と点をデザインナイフで繋いでいく作業です。
こうして出来た砲身は、3mmのプラ棒を使用して本体に接続して完成です。0.5mm程度の大型化ですがちょっと迫力が出たかな。
右腕のスタッグビートル・クラッシャーは、ビルトビルガーの代表的な武装ということもあってかなり完成度が高く、無改造です。今回の作業で唯一の無改造かもしれない……。ただ、ヒケや面がうねっている部分が多いので全ての面を一度ヤスリがけしています。上が作業前、下が作業後。全体が梨地になるまでヤスリがけをすれば面のうねりが消えた証拠です。
こうした平らな面の整形にはウェーブのスティックヤスリソフト、おもに400番を使用しています。というかプラモもガレージキットも原型仕上げも、ほとんどの作業をこの400番でこなしているのですが。平らな面にヤスリを貼るタイプの工具は結構ありますが、貼り替えが面倒なのとヤスリ面があまり硬いものはニガテ、という自分の好みでこの”ソフト”が愛用品です。こうした使い捨てタイプはヤスる場所に合わせて必要な大きさに切って使えるのも魅力です。
腕部の武器を固定する籠手のようなパーツ。このままでもよいのですが少し単調に見えるので、◯部分を別パーツにして立体感を出します。
◯部分を取るのですが、少し小さく、また少し◯の位置を下げたいので、ドリルで少し下に3mm程度の穴を開け、様子を見つつ右端の「リーマ」という道具で徐々に穴を広げていきます。実測で4.5mm程度かな。
このリーマは穴を広げる道具で日曜大工センターなどで販売しているものです。
穴が決まったらフチをナナメに削るのですが、中央の切削ビットを使いました。本来はリューター用ですが、こうした丸い穴のエッジを整えるのに便利です。
◯パーツは以前にも使ったウェーブのフラットバーニア1から、5mmのパーツを使います。
◯パーツを下げたので籠手のフチに1mmプラ板を足してこちらも下げておきます。
丸いパーツの凹みをポリエステルパテで埋めて、本体の曲面にあわせてなだらかに整形すれば完成です。
本体に合わせるとこんな感じです。
M90マシンガンです。左右2パーツ構成で、全体的にややあっさりとしているというか、省略されたディテールが多いので、ちょっと気合を入れてディテールアップしてみます。
銃口部分はウェーブ3mmプラパイプ(肉薄)でちょっぴり太く、またマズルブレーキの穴を抜きました。下の円筒も3mmプラ棒、ウェーブ・フラットバーニア1の3mm、2.5mmで作り直しました。
上部は切り離して内側のシリンダーをくり抜いて4mmプラパイプに置き換え、各部を薄くしたりプラ板で
作り直したりでシャープにしました。
グレネード発射筒もウェーブ4mmプラパイプ(肉厚)に変更。キットのグレネードもちゃんと入る内径です。
修正後の各パーツはこんな状態。これを組み付けると…
という感じで、M90マシンガンも完成。パーツが増えたので、より立体感がでましたね。この後塗装の際に単色で塗っちゃうのはもったいない感じです。
こうした武器の加工は、正直言ってわりと面倒に感じる部分ですが、メカの精密感やリアルさを表現しやすいパーツでもあります。ちなみにグリップ部は、今回手首を小さいものに変えたので削りこんで少し前後・左右幅を減らしたり親指付根が当たる辺りを設定画のように削りこんだりしています。
⑳工作終了……?
これでほぼすべての加工を終えました。
最初はできるだけピンポイント改造で~と思いながら進めていて、実際作り直しのような大改造はしていないんですが気づけばほぼ全てのパーツに手が入ってしまいました……あれぇ?
とはいえ、全部いじらなくても、大きなところでは胸、フトモモと爪先の工作に、余力があれば頭部とフロントスカートの加工を押さえれば結構雰囲気が変わると思います。
さて、ビルトビルガー高機動型の改造作例はいかがでしたでしょうか?
このキットに限らず使える、プラモデル改造のちょっとしたアイデアや自分なりの方法を盛り込んだつもりなので、これまでの記事が皆さんの参考になれば幸いです。
さて工作はこれで終わりで、あとは仕上げと塗装ですよね……?
DATA
ビルトビルガー 高機動型
- 1/144スケールプラスチックモデル
- 全高:約150ミリ
- 価格:3,200円(税抜)
- 発売中
- 発売元:コトブキヤ
※現在店頭在庫のみ
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