素組みでガンプラ!朽ちた機体を演出するサビなどの塗装表現【前編】

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超基本からちょっとしたワザまで、ガンプラを素組みで作る“コツ”を、プロモデラー・桜井信之氏が指南する本コーナー。

 

今回はU.Cハードグラフシリーズ「ジオン公国軍 ランバ・ラル独立遊撃隊セット」のザクの頭部を使用して、サビなどの朽ちた塗装表現の方法を紹介します。

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U.Cハードグラフシリーズは、1/35スケールというガンプラでは最も大きい縮尺キット。大型メカは、1/100や1/144などのスケールでは再現できない部分まで作り込まれています。また、キットに付属のフィギュアはそれぞれのキャラクターの顔までが判別できるほど精密。これらを組み合わせて戦場での情景を再現できるのがこのシリーズの特徴です。

 

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まずはパーツ構成から見ていきましょう。動力パイプが1つずつわかれているのはもちろんですが、本キットでは上下2パーツで1ブロックを構成しています。

 

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頭部の外装も複数のパーツで構成されているので、通常はスジ彫り処理される装甲板の継ぎ目などが、より自然な形で再現されています。

 

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外装だけでなく内部フレームも精巧に作られており、モノアイ内部などは本キットの見せ場の1つといえるでしょう。

 

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キットにはランバ・ラルやハモンなど、隊の個性的なキャラクターが多色成形で精密に再現されています。ゼイガンのバイクや小型火器なども付属していますが、今回は製作テーマの関係で使用しません。

 

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まずは内部フレームを組み立てます。頭部を可動させるためのシリンダー類まで再現されている点にも注目。ジオン系モビルスーツ最大の特徴といえる、モノアイの内部構造も非常に精巧ですね。この写真の状態に透明のモノアイシールドが付いて内部メカは完成となります。

 

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外装パーツは、バラバラの装甲をそれぞれ内部メカに取り付けていく構造になっています。しかし今回行う塗装方法を考慮して、メインブロックは各パーツを接着、1ブロックにまとめてから作業します。

 

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外装パーツの裏側を見ると、丸で囲んだ部分で内部フレームと外装パーツを固定する構造になっています。単純なダボではなく、メカニカルなディテールに差し込む構造で、外見を損なうことのないよう工夫されています。

 

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外装パーツ裏側のモールドを切り取って、内部フレーム上部からヘルメットのようにすっぽりと被せられるようにしましょう。動力パイプと口のダクト部もこの段階では接着せず、別々に作業をして最後に組み合わせます。

 

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まずは内部フレーム全体にGSIクレオス・Mr.ウェザリングカラー「ステインブラウン」を塗布し、ウェザリングの下地作り。大型スケールなので、意図的に大胆なムラを作るようにするとスケール感が生まれます。「ステインブラウン」はどんな成形色とも相性がいいので、ダークグレーの成形色にも独特の雰囲気を作ることが可能。

 

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外装に同じ「ステインブラウン」を用いても、全くニュアンスが異なります。こちらの色調変化はほかのスケールのガンプラと同じように汚し効果に加えて、グラデーションのような階調が付いています。

 

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平坦な面積が広いので、「ステインブラウン」を塗布する際には頭部の丸みを意識してムラをつけていきましょう。最終的にはこのムラが情報量を増やすことに繋がります。

 

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Mr.ウェザリングカラーは油彩系塗料なので、乾燥するまでの間、パーツの角やエッジ部分などにたまった塗料が自然と滲んで思いがけない効果を生むことがあります。こうした偶然も活用して作業を進めましょう。慣れるとこのような偶然もある程度はコントロールできるようになります。

 

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次に装甲板の継ぎ目部分にサビ塗装をします。スケールを考慮して、ただサビ色を塗るのではなく、表面の塗装膜がめくれてその下の地金が錆びているという表現を目指します。まずは鉛筆などでサビ塗装をする部分のアタリを描き込みましょう。

 

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めくる作業に使うカッター。左は通常のカッターの刃ですが、真ん中は刃の角度が30°のブレードです。右は同じ30°のデザインナイフ。先端が鋭角なカッターのほうが今回の作業に向いています。

 

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この鋭角なカッターの先端で、パーツ表面をめくる要領で加工しておきます。チョンチョンとめくっていくといいでしょう。

 

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めくるということを意識しすぎると、写真のように直線的でピッチの長いめくれになってしまいます。こうなるとスケール感が失われるので、細かいピッチで全体のラインは波打つようにめくれを作りましょう。

 

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これは、AKインタラクティヴのウェザリングカラー「ライトラスト」。高級エナメル系塗料でパウダー状のテクスチャーが混入されているので、塗装後に乾燥するとザラザラとしたサビが浮いたような質感を再現できます。

 

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さきほどめくれを作った内側に「ライトラスト」を塗っていきます。めくれ部分が立っているため、堤防のような役割を果たして少しラフに塗っても塗料ははみ出しません。

 

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これは側面の一定部分にこの加工と塗装を行った状態。「ライトラスト」が乾燥すると写真のような質感となり、簡単に赤サビ表現ができます。これからさまざまな塗装を重ねていきますが、その変化を注意して見てください。

 

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サビはそれほど単純な色をしておらず、加えて1/35スケールということを考えると、さらに複雑な色調をしています。そこで塗装の第2段階として、Mr.ウェザリングカラー「マルチブラック」を使い部分的にサビ色に黒いくすみを加えていきます。

 

 

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これは「マルチブラック」を2回ほど塗った状態ですが、サビ色の表面が非常にカサついているため、「マルチブラック」を吸収してしまいます。そのため数回に分けて「マルチブラック」を塗布する必要があります。「マルチブラック」を塗るたびに塗装個所を変えて、単調にならないようにするのもポイントです。

 

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次は同じくMr.ウェザリングカラー「ラストオレンジ」を使って、サビが流れ出た状態を描き込んでいきます。塗料がタレて流れるくらい大胆に塗っていいでしょう。その後、塗料が半乾きの状態になったら専用うすめ液で塗料を伸ばしていきます。

 

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これで第3段階終了。雨が降ってサビが流れたために、オレンジのスジが付いた状態を再現します。「どのくらいの年月、放置されていたか?」を考えて、ときには大胆にオレンジを塗布すると時間の経過を表現できるでしょう。

 

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拡大してみると、カッターでめくった効果とテクスチャーの入った「ライトラスト」の効果で、表面が凸凹しているのがわかります。装甲板の継ぎ目部分から塗料がめくれ、そのため露出した地金部分が錆びている感じです。

 

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さらににディテールの細部や逆エッジになっている部分に「グランドブラウン」を使い、ピンウォッシュ(ピンポイントのウォッシング)を入れます。ディテールを強調すると同時に、細かな部分にゴミなどが溜まって汚れた効果を加えます。

 

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第4段階終了。これでサビ表現はおおむね終わりです。次回はほかの汚し表現を加えて、さらに朽ち果てた感じを出していきます。

 

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