『フレームアームズ』レイダオ・ジィダオを使って、仕上げ方の違いを考える。<その5>~完成編~
2016年10月下旬に発売された『フレームアームズ』(以下、FA)の新作「JX-25F ジィダオ」「JX-25T レイダオ」。作品世界の中で新型主力量産機と設定され、共通化された多くのパーツ組換えと一部パーツの変更によって、汎用主力機と砲撃特化機という用途の違う2種類の機体として発売中の本キットを、ちいたわからし氏が製作。
長らく更新が止まっていた本連載もようやく最終回! 初回の「ゲート後の処理をして塗装した」だけの状態と、今までの連載で作ってきた作品を比べながら工作、仕上げの違いを語っていきましょう……というハズでしたが、おや? ちいた氏の様子が……。
第1回:『フレームアームズ』レイダオ・ジィダオを使って、仕上げ方の違いを考える。<その1>
第2回:『フレームアームズ』レイダオ・ジィダオを使って、仕上げ方の違いを考える。<その2>~ディテールアップ編~
第3回:『フレームアームズ』レイダオ・ジィダオを使って、仕上げ方の違いを考える。<その3>~可動範囲拡張編~
第4回:『フレームアームズ』レイダオ・ジィダオを使って、仕上げ方の違いを考える。<その4>~オプションパーツ加工編~
ちいた:さて、やっとこさ最終回になります。
編集部:今までで最長でしたね。
ちいた:キットレビューとは何か?って感じになりますな!
編集部:おまえが言うな!
ちいた:へへへ、申し訳なさを感じつつ、残った製作工程を説明していきます。前回の段階からパーツをバラして洗浄、塗装していきます。
編集部:はや! 塗装するときのコツとかそういうのはないんですかね?
ちいた:ホワイト部分にグラデーションを加えたこと、黄色の色調を変えたこと以外は初回で塗装したものと違いがないので……。強いていえば分割を増やしたので、その分細かい塗り分けが増えましたかね。
編集部:初回記事とパーツ数を見比べてみてもおもしろいかもしれませんね。
ちいた:塗装込みで工作した部分の説明もしていきたいと思います。
ちいた:レイダオ頭部パーツです。レンズっぽいディテールがあるので開口して金属球を入れました。
ちいた:そのままブワァーっと塗装します。金属にはプライマーなどを吹かないと模型用塗料がのらないので、乾燥後に針などを使って傷つけないようにカリカリと剥がします。
ちいた:すんなりと剥がれるので爪楊枝などで剥がしてもいいかもしれません。最後にエナメルカラーでレンズ部にクリアーレッドをいれて仕上げます。
編集部:仕上げのエナメルは剥がれないのですか?
ちいた:強く引っ掻けば剥がれますが、完成後にここだけピンポイントで引っ掻くこともないのであまり気にしていません。気になる方はプライマーを塗っておいてもいいと思います。
ちいた:ライフル部分にも金属球を入れていますが、ここは金属色が出ると悪目立ちしそうなのでプライマーを吹いてから塗装し剥がさないことにしました。
編集部:事前に金属球が露出する部分を決めておくんですね。
ちいた:金属色は映えるのですが、その部分がうるさくなりがちなので慎重に使用してます。
ちいた:メインスラスター部や重レーザー砲の爪などにクリアカカラーで焼き色を入れます。あらかじめ意図をもって工作しているので「ココは熱くなる」っていう意図を明確にしていきます。
編集部:焼け色って「汚し」塗装のハズなのにキレイですよね。
ちいた:汚し塗装ってネーミングからして「汚くする」って思われがちですけど、その機械が「どのように使用されているかを表現する」ってことが本来の目的なので、必ず汚くなるわけじゃないんですよね。全体の塗装が終えたら一度ツヤありでクリアコートしてスミ入れをしていきます。
ちいた:明るい配色の機体なのでスミ入れに使う色も「影の表現」であることに気を使って塗り分けていきます。
編集部:あまり効果のなさそうなコダワリのようにも思えますね……。
ちいた:なにおぅ! それでは現在の状態で見比べてみましょう。
編集部:これはもう完成で終了ということでよろしいですかね?
ちいた:そういうことじゃないです! シールド部分を比較してもらうとよくわかると思うのですが。
編集部:こんな感じですかね?
ちいた:ですです! ちゃんと比較してみるとわかりやすいでしょ?
編集部:「パーツごとに色を変えよう」っていまいち伝わりにくいですが、同じキットで処理前、処理後がで比べるとわかりやすいですね。
ちいた:加工した箇所の意図をもっと明確にしていきたいのでデカールを貼っていきます。
ちいた:デカールは各社から色々発売されていますが、デカールの内容が書いてあるものを選ぶと作業が楽です。
ちいた:今回はメイン推進器をジェットエンジンとして工作したので現用戦闘機にみられるインテークを示すマークを貼りました。
編集部:「デカールを貼る位置がわからない」というような悩みも聞きますが、工作時点で意図をもった機能に設定することで、貼る位置もおのずと決まってくるんですね。
ちいた:むしろこのデカールが貼りたくてジェットエンジンにしたといっても過言ではないですわ。
ちいた:排気部には「触るな熱いよ!」という旨のデカールを貼ってそれらしい雰囲気にしてます。ひと通り貼って、ツヤ消しを行った状態を見てみましょう。
編集部:グッと情報量が増しましたね。
ちいた:加工した箇所と相まって無加工のキットに比べて引き締まった印象になったと思います。……が、いまいち加工した箇所の情報量が少ない気がするので汚し塗装を足していきます。
編集部:まだやるんすね……。
ちいた:エナメルの黒、茶色、クリアオレンジを使って排気汚れを描き込んでいきます。
ちいた:排気部分にブワッっと吹いて、不要な部分を拭き取っていきます。吹きすぎたらエナメル溶剤で拭う、拭きすぎたらもう1回吹くと繰り返して意図した汚れになるまで繰り返します。
編集部:背面のインテーク部にもインテークデカール貼ってるんですね。
ちいた:意図を明確にできる部分はここぞとばかり強調しています! さて、ひと通りの作業が完了したので完成状態を見ていきましょう!
ジィダオ形態
レイダオ形態
ストレート組み状態との比較
編集部:外観は変わってないですが各所の工作が活きて機械としての説得力が増しましたね。なんとなくですが、スケールモデルみたいな現実味をもたせたような雰囲気でしょうか?
ちいた:フレームアームズって組換えで形状を変えて楽しむことが現在の主流だと思うんですが「キット単体と向き合う」といいますか、「俺にはこういう機械に見えた!」っていう製作法も俺ームアームズの楽しみ方だと思うんですよね。
編集部:「組換えだけが俺ームアームズじゃないぞ!」といいたいわけですね。
ちいた:や、そこまで極端じゃないですが、今回の作り方って地味で目立たない工作の塊だと思うんですよね。SNSなどで色々な方の作品とか見ていると「フレームアームズって組み替えなきゃいけないんだ」って固執したイメージを持たれる方を見ることがあるので「こういう作り方をする自由もあるよ!」 ってことをいいたかったってのはありますね。そういう主張をするのにこのレイダオジィダオはちょうど良かったといいますか。
編集部:(その割には時間かかったな……)
ちいた:さて、なんか余計な心の声が聞こえた気がしますが、最後にカラーリングの元ネタとなったバーゼラルドと並べてみましょう!
編集部:ん? なんか余計なものが写ってますけど……。
ちいた:あ、しまった、これですね。
フレームアームズ モデリングガイド2 俺ームアームズの作り方
編集部:「あ、しまった」じゃねーよ! 確信犯じゃねーか!
ちいた:新紀元社さまより絶賛発売中です! こちらでは「俺ームアームズの作り方」と題してオリジナルFAを作るときの考え方などを中心にオリジナルストーリー等も交えて紹介しています!
編集部:無視して宣伝してるんじゃないよ!……今回の組換えをともなわない作例に対して組換えで自分のオリジナルの機体を作っていく方法を紹介しているんですね。
ちいた:ご協力ありがとうございます! 比較に使用したバーゼラルドが載っているフレームアームズモデリングガイド1もあるよ!
編集部:コラッ! 調子にのるんじゃない!
DATA
JX-25F ジィダオ
- 1/100スケール プラモデル
- 全高:約16センチ
- 設計:田村 充伸
- 価格:4,200円(税抜)
- 発売中
- 発売元:コトブキヤ
JX-25T レイダオ
- 1/100スケール プラモデル
- 全高:約15.5センチ
- 設計:田村 充伸
- 価格:4,200円(税抜)
- 発売中
- 発売元:コトブキヤ
関連情報
- コトブキヤ 公式サイト
- JX-25F ジィダオ 製品ページ
- JX-25F ジィダオ 販売ページ
- JX-25T レイダオ 製品ページ
- JX-25T レイダオ 販売ページ
- コトブキヤ フレームアームズ JX-25F ジィダオ 全高約160mm 1/100スケール プラモデル
- コトブキヤ フレームアームズ JX-25T レイダオ 全高約155mm 1/100スケール プラモデル
- フレームアームズ モデリングガイド
- フレームアームズ モデリングガイド2 俺ームアームズの作り方
(C) KOTOBUKIYA
3,200円
3,298円
3,456円
3,456円