素組みでガンプラ!成形色を活かしたフィニッシュの基本工作【前編】

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超基本からちょっとしたワザまで、ガンプラを素組みで作る“コツ”を、プロモデラー・桜井信之氏が指南する本コーナー。

 

今回は「MG ゲルググ Ver. ONE YEAR WAR 0079版」を使用して、成形色を活かした製作の基本工作を改めて紹介します。

先日久しぶりにONE YEAR WAR 0079版キットが再生産されました。このシリーズは通常版キットとは成形色が異なり、ゲーム画面に登場するMSに準拠した成形色で作られています。通常版と違い成形色が中間色系にシフトし、全体として淡い印象を受けます。目新しさもありますが、この成形色が無塗装フィニッシュを行うには、とても適した色とも言えるのです。今回は各工作方法と注意すべき点に絞って進めましょう。

 

まずはランナーからパーツの切り離し。パーツから2~3ミリほど離れた部分で余裕を持ってカットします。これはニッパー切断時にクラックが入ってしまったり、切断時に余計な力がかかりパーツが白化するのを避けるためです。全塗装を行う製作よりも慎重にカットしましょう

 

その後、残ったゲートを切れ味のいいニッパーでカット。ここでもゲートを完全にカットしてしまわず、0.5~1ミリ程度残しておきましょう。ゲートの2度切りは基本テクニックですが、成形色を活かしたフィニッシュの場合さらに慎重なカットを心がけましょう。

 

次に棒ヤスリを使い残ったゲートを削ります。このとき使用するのは、金属製でもヤスリスティックなど紙ヤスリを使用した物でも構いません。どちらにしても平面出しができるような棒状や平板に貼りつけたヤスリを使いましょう。

 

その後、600~1000番くらいまでの紙ヤスリを使い、削り跡の傷を丁寧に磨いて消していきます。ゲート跡の凸凹と傷がなくなり滑らかな状態になればOK。

 

次にヒケの処理を行います。裏側に取り付け用のピンや、その受け穴がある箇所には、程度の差はありますがほとんどの場合ヒケが存在。平面出し用のヤスリではヒケの凹んだ部分にはヤスリ面が当らないので、ヒケが見えるようになります。

 

一見ヒケがあるようには見えなくても、平面出し用のヤスリスティックなどで撫でることでヒケがはっきり見えます。ヒケがなくなるまで丁寧にヤスリがけをしましょう。

 

パーツのエッジやコーナー部分も一見平坦に見えますが、このような部分はパーティングラインが隠れているので、その周辺はきちんとした平面が出ていないことも。普段見逃しがちな部分ですが、このような箇所にも気を遣い仕上げることが大切です。

 

同じようにヤスリをかけることで、表面の歪み・凸凹が見えるようになります。このような箇所も丁寧にヤスリをかけ、平滑でフラットな面を作ります。

 

これは脚部・スソの裏側部分です。このパーツは左右分割されていて、合わせ目が段落ち処理されているので、合わせ目を消す必要はありません。しかし左右のパーツで若干高低差があるので、パーツを合わせた状態で軽くヤスリを当てて、左右の高低差を揃えておきましょう。

 

先ほどのスソ部分はアールがついているので左右パーツの段差はさほど気になりません。しかし前腕・モモ・ヒザ周辺などは2つのパーツが平面で繋がる構成になっており、このような箇所は平面出しを必ずしてきれいな面を作りましょう。

 

まずはヒザ周辺のパーツ。ここは単純な面構成なので、ヤスリスティックなどで2つのパーツの高低差を揃えればOKです。高低差が揃ったら、先ほどと同じように1000番程度までヤスリをかけて傷を消していきます。

 

次はモモパーツ。ここにはプレート状の凸モールドが存在します。しかもその凸モールドの中央にはパーティングラインが存在。そこでまず凸モールド上のパーティングラインを削ります。

 

次に取り付け用のピンを少々カットしてから前後パーツを組み合わせます。これはあとからパーツの取り外しを容易にするための加工です。ピンの先端を斜めにカットすると、よりパーツの取り外しが簡単になります。

 

その後、前後パーツの高低差を消していきます。中央の凸モールドを避けるように、まずは凸モールドの上側からヤスリがけ。

 

次に凸モールドの下側をヤスリがけします(パーツを逆さまに持ちかえているので、写真では上側になっています)。このように凸モールドを挟んで2段階にわけて削るといいでしょう。

 

このように前後(左右)で組み合わせるパーツは、段落ち処理してあるからと言って安心せずに、必ずパーツの高低差を揃えて平滑な面を作るようにしましょう。パーツ単位で見るのではなく、前腕・モモなどブロック単位でパーツの構成をとらえることが重要。

 

これは前腕外側に付く、熱核ジェットのパーツ。先端と後方が開口されていて、内部のスラスターが見える構造になっています。左側の矢印で示した部分に、わずかながらバリが存在しています。ちなみに右側はバリを取り除いたパーツです。

 

このような薄いバリはデザインナイフで慎重に切り取るといいでしょう。バリを切り取った後は、やはりヤスリをかけて切り口を整えるとなおよし。

 

これはその熱核ジェットの内部メカパーツです。先ほどの開口部から見えるスラスターモールドの中央にはパーティングラインが存在するので、ここも丁寧に処理していきましょう。

 

まずはスラスター内部のパーティングラインを処理。紙ヤスリを2つ折りにして、スラスターの内部をヤスリがけしていきます。1段ずつ丁寧に作業しましょう。

 

その後、ヤスリスティックでスラスターの上面や、スラスター正面を整えながらパーティングラインを消していきます。このとき平面出しだけでなく、エッジが鋭くなるように心がけヤスリがけしましょう。

 

フレームや内部メカのパーツはついつい見落としがちですが、開口部などから見える部分は外装パーツと同じようにきちんと処理しましょう。

 

基本的な作業手順は以上です。この「MG ゲルググ」は合わせ目がほとんど出ない構造になっているので、今回解説した方法でほぼすべてのパーツ処理ができます。しかし頭部をはじめ、一部のパーツには合わせ目が存在。次回はそれらの処理をしてみましょう。

 

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