観賞注意!児童虐待(!?)なゾンビ映画『ゾンビスクール!』

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大のオトナが子供を相手に暴力行為となれば大問題になること必至。でも、小学校の生徒たちがゾンビになってしまったら? ゾンビならばしょうがいないじゃない、とばかりにやりたい放題。けしからん、不謹慎な、とは思いつつ、やれやれ、やっちまえ! という気持ちが沸き上がります。このヘタをすれば、B級、C級にもなりかねない作品を主役で支えるのがイライジャ・ウッド! ゾンビ映画に質を求める向きにも一見の価値アリな作品です。
※一部解説にネタバレを含んでます。

 

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ストーリー

小説家志望のクリントは、アメリカン・ドリームを夢見てニューヨークで過ごしていたが、結局行き詰って故郷に舞い戻り、母校の小学校で臨時教師をすることになった。しかし、出勤初日からイマドキな子供たちに手を焼き、個性的な同僚にもなじめない。悶々とする中で迎えた給食の時間。今日は子どもから大人まで大人気のメニュー、チキンナゲット!! 大喜びでナゲットにむしゃぶりつく子供たちだったが、その中の一人シェリーが突如ツインテールを振り乱しながら、イジメっ子のペイトリオットに咬みついた。クリントがシェリーをペイトリオットから引き離すが、シェリーは教室から脱走してしまう。

 

クリントは幼なじみで同僚のルーシーに、最近の子供事情への愚痴をこぼしたりと呑気にしていたが、彼らの気が付かない間に事態はものすごいスピードで進展していた。シェリーに咬まれた子供たちが次々に凶暴化。校内は瞬く間に阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた。

 

ようやく、このトンでもない事態に気が付いたクリントたちは、生き残った教師たちと合流し、小学校からの脱出を目指して奮闘を開始する!

 

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解説

まずは注意事項から……。冒頭、いきなり事件の原因となるチキンナゲット製造過程が描かれるわけだが、養鶏場で(しかも、なぜかかなり不衛生な感じに描写されて)原料のニワトリを縊り殺し、工場でミンチにされ、成型され、揚げられということを、オープニング・ロールの間、しつこいくらいに延々と映していく。基本的には、ここで製造されたナゲットのひとつに怪しげな薬品が混入してしまった……、という描写なのだが、たぶん、大多数の人にはナゲットそのものが“気色悪い”食品に見えてしまうに違いない。元凶となるナゲットは見るからに悪いモノが混じった的な色をしているのだけど、ここの演出自体、ナゲットという食品に対して、なにやら敵意のようなものさえ感じる。特に“ミンチ加工系”のナゲットはしばらく食べる気を無くすかもしれないので、ナゲット好きな人はくれぐれもご注意ください。

という感じで、“子供も大人も大好きなチキンナゲット”に端を発するゾンビ映画。舞台は小学校。ゾンビは全員小学生。それが、この『ゾンビスクール!』なのだ。

 

この史上最小にして最悪なゾンビ軍団に立ち向かうはめになったのは、もちろん、日頃ガキ共に手を焼かされている教師たち。日頃のうっ憤を晴らすが如く、バットで殴り飛ばし、蹴り倒し、振り回して投げ飛ばす!! 普段なら、絶対に“体罰”だのなんだのと世間の非難、親たちのクレーム、PTAからの圧力に屈するところを、今回は「ゾンビだから」すべてが許されるという爽快感が味わえるのだ!!

 

それに対する子供たちもゾンビとはいえ、ただヤラれてばかりではない。ガキはガキなりに“知恵”があるので、電話線を食いちぎってみたり、ケータイは全部踏み壊したりして、大人たちの思い通りにはさせてくれない。せっかくお迎えにきた両親には、普段の笑顔を装って近づきガブリ!! 孤立した教師たちをさらに絶望の淵に追い込んでいく。

 

さらに、本作はいろいろな映画に関してのネタも満載。あまたあるゾンビ映画へのオマージュやパロディはもちろんのこと、映画好きにはピンとくるセリフもあれば、主演がイライジャ“フロド・バギンス”ウッドだったりもするので、当たり前のように“ホビット”扱いを受けたりもする。とにかく、これでもかというほど種々雑多なネタが放り込まれているのが楽しい。

 

もちろん、ゾンビ以外のキャラクターも良い。いろいろなゾンビ映画の定番キャラをもじったような設定の人物ばかり。金髪女性は、主人公の初恋の人で今はマッチョ体育教師の恋人だし、変人の理科教師がなぜか事件の裏事情に精通してる風だったり、美術教師がオネエだったり、副校長は当然のように“嫌なヤツ”だったり。中でも注目なのが、用務員の日系人ミスター・ハタチ。演じるのはピーター・クォン。『ゴールデン・チャイルド』などの映画や数々のTVシリーズで活躍してきた名脇役。本作では“謎の日本人用務員”役で意外な大活躍を見せるぞ!

 

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金髪美女を演じるのは『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』にも出演していたアリソン・ピル。基本おバカだけど、優しく優等生な女性教師役で、久しぶりに出会った幼なじみクリントに惹かれるという、まさに定番キャラ。ちびっ子ゾンビに囲まれて、なおかつマッチョとダメ男の間で心揺れるなんて、かなり、どうしようもなく不幸な女かもしれない。

 

 

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小学校からの脱出を決意し装備を固めた教師一行。アメフト装備やホッケーのスティック、顔面を守るためのマスクも各種取り揃えだ。とりわけ役立ったのが野球練習用のピッチングマシーンだったりもする。とりあえず校内で手に入るいろいろな道具を身に付けてゾンビに対抗するのだ。

 

 

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ゾンビ映画だから、当然人間が喰い散らかされる残虐シーンもあるにはあるが、どうみても子供が遊んでいるようにしか見えない。結構楽しそうに腸を引きちぎったりしていたり、寄ってたかって食い破っていたり。描写が明るいだけに、つい微笑ましく見てしまうのだが、よく考えるとかなり残酷なシーン……。なので、グロ描写苦手な人は、一応それなりの覚悟をしましょう。

 

 

<DATA>

ゾンビスクール!

  • 監督:ジョナサン・ミロ、カリー・マーニオン/製作総指揮・共同脚本:リー・ワネル/製作総指揮:ヘイデン・クリステンセン/
  • 製作:イライジャ・ウッド、ほか
  • 出演:イライジャ・ウッド、レイン・ウィルソン、アリソン・ピル、ジャック・マクブレイヤー、リー・ワネル、ほか
  • 提供・配給:プレシディオ/協力:松竹
  • 上映時間:88分
  • 2月20日全国ロードショー公開

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