明貴美加氏による「MS少女」の最新作品集「MIKA AKITAKA’s MS少女NOTE」受注締切迫る!制作の裏側に迫るスペシャルインタビュー!【後編】

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WEB連載「MS少女NOTE」の書籍化を記念して、その著者であるデザイナーの明貴美加氏にお話を伺っているこの特別インタビュー。今回は後編として、気になる書籍『Mika Akitaka’s MS少女NOTE 0079』の情報はもちろん、デザイン論やMS少女の未来について語ってもらっています。これらを総まとめしたイラスト作品集「Mika Akitaka’s MS少女NOTE 0079」の受注締切は2021年6月27日(日)!

 

 

メカ少女が巷にあふれてる今だから、新しいことを始めたかった

●NOTE版のデザインの話

――今回書籍になります「MS少女NOTE」についてもう少しお聞きしたいです。「新しいMS少女」がテーマだと思いますが、いままでのMS少女とはデザイン的にどう変わっていてどう新しいのでしょう?

明貴美加(以下明):明確な決まりごとをカッチリ作ってはいないんです。モビルスーツのデザインによって変わる部分もあるので。ただ、最初から決めていたのは、”どこまで無くして成立するのか?”ということです。

――無くすというのは、NOTE版のザクに動力パイプがなくて、本来動力パイプがある部分に白い破線のマーキングが施されている……みたいなことでしょうか。

明:その例がわかりやすいですね。顔と腰と脚の動力パイプはザクのチャームポイントなので、それまでのMS少女ではだいたいパイプを付けていたんです。でも、どうしても女の子のスーツというにはシマらないデザインになってしまいがちで。パイプというのも、ロボットだとしたら意味はあるんですが、スーツとして考えたら、なにか別に意味を持たせないと変なんですよ。

――記号として動力パイプがあれば確かにザクにはなりますが、記号以外の機能も考えなくてはいけない、というわけですね。

明:もともとザクとグフにしか動力パイプはないんですよ。ゲルググでは内蔵式になったというのがガンダムでの設定でも、じゃあMS少女に内蔵ってどうするの?っていう(笑)。

――既存の記号を省略というか、変換していくことがNOTE版のポイントなのですか?

明:記号の残し方のバランスのとり方は直感的にやっている部分です。だけど、ザクのデザインがあのカタチにできなかったら、他のデザインは難しかったかもしれないです。

――逆にガンダムは、パーツの形はRX-78のガンダムと全然違うのに、V字アンテナやビーム・サーベル等の記号がしっかりしてるからガンダムに見えます。

明:それは色のせいもありますよ。あの色で塗るとガンダムに見えるので。「どのガンダムにも似てない」って意見もありましたけど、元々どれにも似せてない新しいガンダムとしてデザインしたから、それでいいんですよ(笑)。

――ザクも肩アーマーこそ元デザインがしっかり残ってますが、他の部分はアニメのザクとは全然違うのにザクにしか見えませんね。

明:それも色の力が大きい(笑)。じつはガンダムのデザインって、胸の黄色いダクト部が重要というのがあるんです。

――MS少女NOTE版のガンダムは、胸アーマーダクト部の黄色い面積が小さいですね。たしかにあの黄色は特徴的な部分だと思います。

明:歴代のガンダムのデザインでも、胸のダクトはいろんな人が試行錯誤をしてきた部分ですから。実際、Zガンダムの段階であのダクトとは違う形を攻めてるじゃないですか。

――そこで、NOTE版のテーマである、記号を省略する話になるわけですね。

明:そうです。胸ダクトがガンダムの特徴なら、そこを違う形にしたガンダムを描いてみようって挑戦なんです。

 

●NOTE版モビルアーマーの話

――たしかにNOTE版でのモビルスーツは、確かに新しいラインに挑戦されているデザインですが、モビルアーマーはちょっと違いますよね。

明:モビルアーマーに関してはラフをずいぶん描いて悩みました。最初は女の子に鎌とブースターを付けたザクレロのラフを描いてみたんですが、それでは「モビルアーマー少女」になってしまって。

――そこから決定デザインのザクが乗り込むビークル型という発想になったんですね。

明:ガンダムの元の設定で、モビルアーマーは「全領域汎用支援火器」という位置づけだから、そこをうまく解釈してみた感じです。

――NOTE版のデザインは、そういうガンダム的な設定とのすり合わせがちゃんとありますよね。いわゆる擬人化と違うのは、Gアーマー少女やホワイトベース少女は描かれてないことからもわかります。

明:ホワイトベースはあくまでもガンダムたちを搭載する母艦であるべきなので、巨人のお母さんみたいにするわけにもいかなかったんです。NOTE版のホワイトベースを描いても、多分アニメ版のままだと思います。

――なるほど。Gアーマーもそうですが、モビルスーツと違ってモビルアーマーはオリジナルデザインの部分が残ってます。

明:元のデザインが強いですから。ラフ案でのエルメスやブラウ・ブロは乗り込み型とは変えようと思って、もっと服みたいに描いてたバージョンもあります。エルメスはトンがり帽子を被せて魔女っ子のようにしたり。

――両方ともニュータイプ用MAというあたりに、なにか意図があったことを感じます。

明:ただ、そういったアレンジをやり過ぎて、エルメスにもブラウ・ブロにも見えなくなってしまったんです。結果的にザクやドムなどのMS少女をコアにしたパワードスーツ型というか武装強化型という感じに落ち着きました。今回の書籍には、その魔女っ子エルメスをクリンナップした描き下ろしも載せているので、見てほしいですね。

 

●「メカ少女」というジャンルの今

――MS少女というか大きく括ってメカ少女でもいいですけど。近年ではガンプラのアニメの時にひとつ大きく盛り上がったピークがあったと思います。あれはどう見てらっしゃいました?

明:あまりブーム的に盛り上がると反動が出るじゃないですか。そのアニメや商品だけじゃなくて、他のコンテンツにまで「終わった感」が広がってしまう危険性があるので、そこは怖かったですね。

――確かにブーム的な勢いがあったとはいえ、メカ少女というジャンルはしっかり市民権を得た感じがします。

明:擬人化系とも共存している部分もあって、大きくて強いジャンルになっていると思います。一過性で終わらなくて安心しました。だけど、今はそこに中国のプラモ少女という新しい敵が現れてきたじゃないですか。

――プラモデルはたしかに見かけますね。あれはあちら独自のソシャゲーのキャラと聞きました。

明:最初は日本のものにそっくりだったのに、短期間で変わってきているのが興味深いです。あの独自のデザインがどんどん生み出されて、どんどん商品化されているエネルギーはすごいです。

――中国の例もそうですが、真似ができるというのは、メカ少女化する作法というかフォーマットがしっかりあるからこそだと思います。それこそ明貴さんが長らく描き続けたことで確立した作法が。そこが根強いというか、逆に「作法を守らないとメカ少女っぽくない」となっているとは感じませんか?

明:う~ん。メカ少女ってコンテンツ全体として、そういうフォーマットも全部内包できるものだから「懐が深い」とも言えると思うんです。

――島田フミカネさんをはじめ、プロもアマチュアもたくさんのイラストレーターさんがメカ少女を描いてて豊かな状況ではあります。

明:たくさんの絵描きがいる中だからこそ、突出したことをやらないと、「たくさんの中のひとり」で目立たなくなってしまうこともあるんじゃないでしょうか。今の時代、他人と同じことやってちゃだめじゃないかな?と思う部分があります。

――先頭を走っている明貴さんや島田さんがフォーマットを確立した世界だから、そこを超えていく新しいアイデアを持たないといけないということですか。

明:何の世界でも突出する人は、斬新なこと、新しいことをするものですから。

 

●そしてMS少女の未来

――今回の書籍化を皮切りに、MS少女NOTEが商品展開をするなんてことはないんでしょうか?

明:どうでしょう? 展開があったらうれしいですが、ガンダムであることは大きな武器であると同時に越えるべきハードルもあると思うので。簡単なことではないと思います。

――ゲームに参戦なんていうのはありそうな話だと思います。

明:WEB連載を3年近くやってきましたが、今回の書籍の告知をYahoo!ニュースで見たことで「MS少女NOTEを初めて知った」という方もいるんですよ。連載中はTwitterで告知をしていて、その都度反応はいただいてましたが、ネット全体ではYahoo!ニュースにまでいって、やっと知られるんだなって最近身に染みてわかったところです。やっぱり情報を広めるには送り手側の努力が受け手にわかりやすいような工夫も含め必要だと思います。時代はどんどん変わってますよね。とくに若いアニメファンにはガンダムが昔ほどは響きにくいし、アニメを見てスタッフが誰かなんて気にする人も少なくなってる感じがします。

――自分たちのころはデザイナーはもちろん。各話の作画監督を気にしてたものですが。

明:だから本当は、ガンダムに寄り掛かるだけじゃない、次へのステップが踏めるのが健全なのかもしれないですけど……。とはいえ、やっぱりここまで続けてきたMS少女は大事にしたいです。

――ちょうど「MS少女の未来」って話題をしようと思ったのですが、なにかアイデアがあるんでしょうか?

明:いろいろなことは考えていますけど、それよりもWEB連載の「MS少女NOTE」を続けていきたいと思って調整をしているところです。

――今、WEBの「矢立文庫」では、「帰ってきたMS少女NOTE」として0080編を連載されていますが、さらなる展開ということでしょうか?

明:そうです。ガンダムの世界とおなじようにMS少女NOTEの世界も広げていけたらイイな、と。彼女たちが活躍する世界観をもっと感じられるようにと考えています。

――それは楽しそうですね! いつからの予定でしょうか?

明:いずれ発表できると思いますので、それまでは書籍『Mika Akitaka’s MS少女NOTE 0079』を見て待っていただきつつ、告知を楽しみにしてていただければ。

――なるほどわかりました。では最後に、明貴さんにとってMS少女というのはなんでしょうか?

明:ゆるくフワフワとずっと続けていきたいなって存在ですね。

――ゆるく……ですか?(笑)

明:そうやってライフワーク的に続けていけることが、一番よいことだと思います。30年前に仕事はじめた時は、こうなるとは想像してなかったですけど。でも今、結果的にこのカタチになっているということは、MS少女こそが自分のライフワークだったんだな……と思っています。

DATA

Mika Akitaka’s MS少女NOTE 0079

  • 仕様:A4サイズ、全116ページ
  • 発行:サンライズ
  • 発売:メディアパル
  • 価格:4,290円(税込)
  • 受注期間:2021年4月23日(金)~6月27日(日)予定
  • 2021年8月27日(金)発売予定
  • 取扱店舗:プレミアムバンダイ、ムービックJP、アニメイトオンライン、Amazon、セブンネットショッピング、e-honほか

※掲載しているページデザインは制作中のもので、実際の書籍では変更になる場合があります。
※予約開始日時は店舗によって異なる場合があります。
※今後開催されるイベントで販売が行われる場合があります。
※本商品は海外で販売の可能性があります。

 

この書籍は「完全受注生産限定アイテム」ですので、欲しいと思ったなら即予約を! プレミアムバンダイ・Amazon・ムービックJP・アニメイトオンライン・e-hon・楽天ブックス・セブンネットショッピング等、各通販サイトで【MS少女NOTE】で検索してご予約ください。

(C)創通・サンライズ

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