バキバキにアレンジした超ハイクオリティなトランスフォーマーを海外でのみ販売している「FLAMETOYS」って何者?その成り立ちや商品開発のこだわりを明らかにするブランドインタビュー

企画・取材・文●キャプテン住谷

FLAMETOYS(フレイムトイズ)というホビーメーカーをご存知でしょうか? 2016年に設立されて以降、主にトランスフォーマーの超ハイクオリティな完成品やプラモデルを製作・販売している会社です。そのどれもがエッジの効いたアレンジのもと立体化されており、海外の熱狂的なファンの心をわしづかみにしています。

 

しかし、SNSでも日毎に存在感を増しているものの、一部のセレクトショップを除き日本国内ではその商品を見かけることはありません。公式サイトでは日本語での商品説明を確認することができる一方で、そのほとんどが国内での取り扱いをしていないという、少々不思議に見えるメーカーさん。はたしてその正体とは?

 

いちホビーファンとしても見逃せないFLAMETOYSの成り立ちや商品開発のこだわり、さらには今後国内販売を予定しているという商品について、ディレクターの横関隼人さん、企画・開発の齋藤歩さん、販促企画・営業の米田崇人さんの3名にお話を聞くことができました。本稿では、そのインタビューの模様をお届けしていきます。

※2021年8月13日更新:記事掲載時に記載していた内容に一部誤りがございましたので、修正対応の上、更新いたしました。

 


――まず始めに、それぞれ担当されているお仕事や、人となりを知るために好きなロボット、もしくは初めて買ってもらったおもちゃなどを教えていただきたいです。

 

横関さん:僕はディレクター・マネージャーというか、取りまとめのポジションになります。アイテムの全容やそのスケジュールを把握したり、原型代やロイヤリティといった予算の管理、あとはマーケティングや販促・広報に関する最終的な承認を社長に上申するような仕事です。好きなのは勇者シリーズですね。特に『ゴルドラン』が好きです。昔からロボットモノは好きでしたが、僕が小学生くらいの頃にやっていたシリーズで、アニメが見やすい時間帯だったということもあって、入り口としてはそこかもしれないです。

 

齋藤さん:自分が一応、企画の進行というか、開発担当をしています。好きなロボはトランスフォーマー全般なんですけど、基本メカモノならなんでも好きですね。カッコいいものならなんでもという感じです。最初に買ってもらったのは『ビーストウォーズ』のコンボイとメガトロンですね。

 

横関さん:僕たちの場合、商品開発に関しては全員で和気あいあいと考えることが多いんですけど、彼には「これを商品化したら面白いんじゃないか」という出だしの部分というか、大脳的な役割を担当してもらっています。

 

米田さん:自分も商品開発のディレクションを担当していますが、メインは販促関係ですね。イベントや新商品の告知を担当しています。僕はロボというと、スーパー戦隊をずっと追っていたのでその印象が強くて。世代的には『メガレンジャー』からです。

 

横関さん:彼は“オモ写”っていうジャンルの写真を撮るのが好きで、ポートフォリオを送ってきてくれて入社したんです。「豆魚雷」のフォトコンテスト(※)で賞にノミネートされたこともある実力者です。

※キャラクターショップ「豆魚雷」が開催し、TwitterやInstagramといったSNS上で参加を募るフォトコンテスト。高い技術やユニークなアイデアが光る“オモ写”が多数ノミネートされ、ホビー系フォトグラファーにおける一種の登竜門となっている。2021年1月31日まで第4回の作品募集が行われ、大賞には豆魚雷でのお買い物チケット10万円分と副賞などが贈られた。

 

――それはすごい!私も“オモ写”が好きなんですが、いかんせん下手なので教えてもらいたいです(笑)。ひと通り自己紹介していただきましたが、御社の商品ラインナップ的にもトランスフォーマーを数多くリリースされていますし、その“大脳”である齋藤さんについてもっと知りたいと思うのですが、そもそもトランスフォーマーが好きになった原体験のようなものはあるのでしょうか?

 

齋藤さん:基本的におもちゃが好きで、アメコミも好きなんですよ。そうなると、おのずと重なり合ってくるのがトランスフォーマーで。映画の『ロボコップ』とかを観て、アメリカのヒーローが気になり始めたのが最初だったと思います。そこから自分が遊んでいたトランスフォーマーも、「海外だとコミックスがあるんだ」って。

 

横関さん:彼は結構、この業界でも筋金入りのコレクターです。色んな人の話を聞きますけど、彼ほどの人はなかなかいないですね。2階建ての家に住んでいるんですけど、その全部屋がダンボールでパンパンです。給料のすべてをおもちゃに充ててるんだよね?

 

――ええ!?

 

齋藤さん:そうですね。トランスフォーマーだと「G2」(※)以降のものは、相当なレア物でない限り大体はそろえています。「マーベルレジェンド」は全部持ってますね。

※玩具のみで展開されたトランスフォーマーの企画。アメリカでは1992年から1995年に、日本では1995年に商品が発売開始となった。

 

横関さん:興味の幅が本当に広くて。戦隊系のロボやガンプラに加えて、「セボンスター」っていうカバヤ食品さんが展開している少女向けの食玩とかも全部そろえてるんですよね。カバヤさんからは「トランスフォーマーガム」っていう食玩シリーズも出ていましたね。

 

――思っていた以上に濃いエピソードが連続で飛び出してきて、ビックリしています……。今回お話を聞いてみたいと思ったのは、そんな齋藤さんの情熱が込められたトランスフォーマーのフィギュアがとてもカッコ良かったからという点に尽きるのですが、まずはFLAMETOYSというブランドの成り立ちから教えていただきたいです。実はインタビューをお願いするために情報を集めていた段階で知ったのですが、美少女フィギュアで知られるウイングさんのブランドということになるんですね。

 

横関さん:ウイングはもともと美少女フィギュアの製造やOEM(※)を請け負っているメーカーです。それとは別に、ディレクションや設計でBANDAI SPIRITSさんの「METAL BUILD」や千値練さんの「RIOBOT」「RE:EDIT」シリーズに携わっている、ケミカルアタックという設計チームが所属しています。これまでそういった商品を手がけてきたメンバーたちなので、ちょっとアレンジを加えたフィギュアが好きな人間が集まっていたんですね。それでウイングからもオリジナル商品を発売しようと思い、色んな版権元さんにお声がけしたんですが、どうしても肌色の多い美少女フィギュアの印象が強くてお断りされることが多かったんです。なのでブランドを立ち上げて、そこから新たにやっていこうということになりました。

※企業が委託者のブランド(商標)で販売するという条件で、製品・部品を受託生産すること、または受託生産メーカーをさす産業用語。英語のoriginal equipment manufacturingまたはoriginal equipment manufacturerの略語である(日本大百科全書(ニッポニカ)より抜粋)

 

――電撃ホビーウェブで記事を掲載した時の反応的にも、アレンジが加えられたフィギュアには国内のホビーファンはもちろん、それ以上に海外ファンから好評を博している感触があります。現状はFLAMETOYSから発売されている商品のほとんどが海外専売という形になっているかと思うのですが、そもそもブランド立ち上げの狙いとしては、そういうアレンジフィギュアの海外人気を受けてのことなのでしょうか?

 

横関さん:実は海外向けに商品を展開していこうと思っていた訳ではなくて、たまたま最初に許諾をいただけたのがハズブロさんだったから(※)なんです。正直こういうアレンジが海外で人気というのは、いざ発売してみるまで全然知らなかったですね。

※ハズブロはトランスフォーマーやパワーレンジャーなどの海外販売商品における許諾窓口。

 

齋藤さん:「僕たちが欲しいと思えるものを作っていこう」という思いが元々あったんですけど、どちらかといえば最大のパフォーマンスを発揮できる分野が「デザインアレンジと可動ギミック」だったというのが正しいかもしれません。いざ商品をリリースしてみてからのユーザーさんの反応を見て、「もっと(アレンジを)やっても大丈夫なんだ」と思いました。メガトロンに羽をつけたりしたのも、そういう反応を得てからですね。

▲背中の羽がかなり印象的な「鉄機巧 TRANSFORMERS #05 MEGATRON」の場合、戦闘機の翼部分が腕部の武器となる原作コミックスのイメージを踏襲し、腕のキャノンが背中へと接続・羽を形成するギミックへとアレンジされています。

 

 

横関さん:海外のユーザーさんの反応という面では、香港やアメリカの展示会に商品を持ち込んだばかりの頃、とにかく「価格が高い」という声はすごく届いていました。最初は35,000円くらいの価格帯で出したかったんですけど、クオリティを突き詰めていった結果サイズも大きくなったり、ギミックの数やそれにまつわるパーツ数・金型数も当初とは比較にならないくらい多くなり、42,000円ほどの価格になってしまって。でも、香港のディストリビューター(※)経由でお客さんの声を聞いてみたら「高くても納得できるものであれば俺たちは買う」っていう意見も多くて。なんでも、アジア圏で売れるアイテムには「ダイキャスト・デカい・光る」っていう3つの必須条件があるらしくて、これらの要素を組み込んだ「鉄機巧」のドリフトを出したら、依然として価格が高いっていう声もあるなかで「これなら納得できる」っていう肯定的な評価が増えました。そこからさらに改善点を洗い出して、第2弾のターンを発売したんです。

※卸売業者や販売代理店のこと。

 

 

――私がFLAMETOYSさんのことを知ったのも「鉄機巧」のターンがきっかけでした。SNSでも話題になっていましたよね。

 

横関さん:ターンは僕らからしても本当に至高の出来で、多くのユーザーさんから好評をいただけました。このキャラクターはファンの間でもすごく人気が高いんですけど、公式からは当時商品化されておらず、僕たちも初めは許諾を取ることができなかったんです。でも、「鉄機巧」のドリフトをリリースしたところハズブロさんにも大変好評をいただけまして、ターンの商品化を許諾していただける流れとなりました。そういった実績もあって、『パワーレンジャー』のメガゾード商品化などにつながっています。

▲合体変形をコンセプトとした「合機巧」シリーズ第1弾となるダイノメガゾード(Animation-Comic-Game Hong Kong 2021での展示)。

 

――そんなハイエンド向け完成品である「鉄機巧」に対して、価格をグッと抑えたプラモデル「風雷模型」シリーズも展開されていますよね。やはりアレンジが加えられたデザインのものは完成品として発売されるイメージが強く、「風雷模型」のようなコンセプトのキットは珍しいのではないかと思います。

 

横関さん:「納得できるものであれば価格が高くても買う」という反応が多かったアジア地域に対して、欧米のユーザーさんからは「高くて買えない」という意見の方が圧倒的に多かったんですよね。現地の声を聞いてみても、デザインや品質の問題ということではなくとにかく高いと。それで、どうやったら買ってもらえるのかを考えた結果、価格をだいたい4,000円から5,000円くらいに抑えられるプラモデルに行き着きました。アメリカのディストリビューターからもプラモデルがブームになっているというのは聞いていたので、試しにいくつか発売してみたら「あれ出してくれ! これ出してくれ! この金額なら買うぞ!」という意見がどんどん集まるようになりました。そういった評判も相まって、欧米でもハイエンド系商品の受注が伸びるようになりました。

▲ニューヨーク・コミコン2018での展示

 

▲上海ワンフェス2019の様子

 

――アジアと欧米のユーザーさんの反応について紹介していただきましたが、トランスフォーマーのなかでもシリーズやキャラクター単位で好みの傾向や違いなどはありますか?

 

横関さん:そこに大きな違いはなさそうですね。強いて言うなら、『ビーストウォーズ』は欧米の方がやや人気かなといった感触です。欧米ではとにかくプラモデルの勢いがすごくて、問屋さんからの問い合わせも増えました。

▲ニューヨーク・コミコン2018の会場にてFLAMETOYSの物販に並ぶファンたち。

 

――ここからは商品開発についてお聞きしたいと思います。そもそもデザインの方向性などはどういう風に決めていくのでしょうか?

 

齋藤さん:初めはデザインを担当していただく方にお任せすることが多いです。その際に、例えばオプティマスプライムなら正義の味方で、司令官で……といったキャラクターの特徴はすべて伝えます。具体的には、足や腕、胸なんかはベースにしたいデザインがあったりするのである程度お伝えして、同時にキャラクターとして守ってほしい部分も説明します。オプティマスの2本角とか、トラックのグリルにあたる部分だとか。その上で、デザイナーさんの感性で大ラフを描いてもらって、そこから徐々に話を詰めていく感じです。ただ、皆さん1発目から描き込みの量が多くて驚かされますね。人によってはこのままGOサイン出しちゃうんじゃないかってくらい、最初から完成度が高いです。そこにアレンジを加えるとさらに良くなるっていうポイントが見えてくるので、そこを明確にしていきます。

 

――人気が出やすいデザインの傾向を考えた時に、腰がキュッと細めになっているだとか、肩がガッチリしているだとか、いちファンとしてなんとなく抱いている印象はあるのですが、齋藤さんはどういった要素が欠かせないとお考えでしょうか?

 

齋藤さん:まずはカッコいい“S字立ち”ができるかどうかですね。商品開発の際に三面図を作るんですけど、三図面って直立の状態で描かれることが多くて。FLAMETOYSの場合は、まず三面図の段階からS字立ちを基本にして作ります。つまりは“全身のシルエットがカッコよく見えるかどうか”ということなんですが、S字立ちはそのために欠かせない要素です。

▲齋藤さんが第一に重視する“S字立ち”。トランスフォーマーならではの、「ロボットでありながら生命体」という特徴がより際立つポーズとなっています。

 

横関さん:製作チーム内でS字立ちのイメージをより固めるために用意しています。外注でお仕事をお願いしているデザイナーさんに三面図の製作を依頼することもあるんですが、その際もS字立ちを基本にお願いしています。

 

――その“カッコいいS字立ち”を可動フィギュアとして成立させるためには、どういった要素が必要なんでしょうか?

 

齋藤さん:S字立ちとダイナミックなアクションポーズを両立させるために、全ての可動部の軸位置を緻密に計算しています。例えば股関節は、軸位置を前の方に配置しています。こうすることで、S字立ちはもちろん、脚を上げた状態でも太ももがフロントスカートに隠れず、脚をより長くスタイリッシュに見せることができるようになるんです。

▲足のつけ根が一般的なアクションフィギュアとは異なり、前の部分に位置しています。

 

▲スカート部分には股関節の動きにあわせてせり上がるギミックがあり、可動域と見栄えを向上させています。

 

▲膝を曲げると各パーツが連動し、隙間が見えないようになっています。その上で、膝関節にあたる部分も違和感なく足の一部として見えるような配慮も。

 

――上半身はどうでしょう?

 

齋藤さん:前屈の動きが満足にできるかどうかですね。鳩尾(みぞおち)の部分が可動するようになっているんですけど、動きにあわせて隙間ができないように配慮しています。

▲トラック状態でフロントグリルに該当する箇所が、前屈姿勢を取らせた動きにあわせて可動。

 

▲肘から先の腕部には軸可動のギミックがあり、自由に表情をつけることができます。

 

――なるほど。S字立ちという観点から見ると、腰がキュッとなっている方がメリハリが効いてより見栄えが良い気がします。S字立ちのほかに製作上のこだわりはありますか?

 

齋藤さん:やっぱり顔の造形ですね。元のキャラクターの面影を残しつつ、ある程度今風にカッコ良く仕上げるようにしています。オプティマスなら、六角形になっている初代アニメ版の目のイメージを大事にしながら、正面から見た時に優しい顔に見えるように仕上げました。その一方で、目線を下げていくとにらみを効かせた今風のロボットの顔にも見えるようにしています。

 

横関さん:彼の中には言語化できていない莫大なデータがあって、例えばIDW(※)っていうコミックスだと、ひとつの作品に何人か作者の先生がいる文化じゃないですか。そのなかでも、ファンにとっては「この作品のこのキャラクターだったらこの先生」っていうのがあるんですよ。彼はそういうポイントを全部先回りしてて、僕らは後から気づくっていうパターンも多いです。

※IDWパブリッシングが発行している、アメリカを中心とした国々で販売されているコミックシリーズ。

 

齋藤さん:トランスフォーマーって年代によっては何パターンもデザインがあるし、そのなかでもオプティマスとメガトロンは本当に種類があるから、人によってイメージが全然違うんですよね。だから商品化にはかなり苦労しました。歴史のあるキャラが一番大変です……。

逆に新しいキャラの場合、イメージは絞られるのですが資料が少ないというパターンもあって。ターンのケースでは、仮面の下の素顔はコミックスでも顔がしっかりと描写されたことはなかったので、商品化にあたって原作者のアレックス・ミルン先生にコンタクトを取ったんです。「顔のデザインはありますか?」と聞いてみたら「特にない」っていう返答だったので、「フィギュアを作るために描いていただけませんか」とお願いしてみたらちゃんと描いてくれて。ターンの場合は、その描いてもらった顔の通りに作りました。その後に、コミックスでもターンの顔が登場したんですよね。

 

――ここまでは主にデザイン上のこだわりについて伺いましたが、今度はアクションフィギュアとしてのポイントによりフォーカスしていきたいと思います。先ほども少し話題にあがりましたが、フィギュアの動きにあわせて隙間が見えなくなるようにアーマーが可動するギミックなどは、原型師さんの担当という認識で良いでしょうか?

 

齋藤さん:そうですね。そこは美少女フィギュアと一緒です。美少女フィギュアでも分割線が見えないように原型師さんが工夫してくれたりするので、「本物のトランスフォーマーを作る」っていう意気込みでやってくれています。基本的には僕から注文をしなくてもやってもらっているんですけど、デザインの段階で「ここが可動するといいね」みたいな話はします。

 

――先ほど、アジア圏で売れるアイテムの条件として「ダイキャスト・デカい・光る」があるというお話でしたが、ここまで可動にこだわったアイテムに発光ギミックを仕込むのは大変ではないかと思います。

 

横関さん:そこは原型師と工場が頑張ってくれています。工場に日本語も話せて設計にもめちゃくちゃ詳しい現地スタッフがいるんですが、データを納品した時なんかに「これじゃあ電池ボックスが仕込めない」というようなやりとりがウチの設計担当と直接できるんですよ。それが結構他社さんとは違うところで、ウチの強みかなと。他社さんだったら原型は原型、メーカーはメーカー、生産は生産と分かれているところが、僕らはワンシームみたいなものなんです。データを修正するにしてもワンクッション挟まないので、極限まで突き詰めることができるんですね。その結果、必要となるパーツ数や金型も段違いに多くなってしまってはいるのですが、価格に見合うだけのものは送り出していると思っています。

▲4つのLEDが内蔵されており、目とマトリクス(胸)部分で発光時の雰囲気が異なります。

 

▲両肩よりも内側、首の後ろにあたる部分に発光ギミックのスイッチがあり、ビジュアル的に違和感のない仕上がりに。肩関節の部分も、胸を張った際に隙間が見えなくなるように可動します。

 

――彩色についてはいかがでしょうか。

 

齋藤さん:同じ赤色でもオプティマスの赤、スターセイバーの赤、SGドリフトの赤、ロディマスの赤と、そのキャラごとのメインカラーにはかなり気を配っています。トランスフォーマーも生き物なので、それぞれの色が違うんですよね。商品化にあたっての色味を決める時は、彩色担当の方と何度も打ち合わせを重ねて、メイン箇所から細かい箇所の色合いも入念に最終確認をしています。

▲左からスターセイバー、オプティマスプライム、SG(シャッタードグラス)ドリフト。いずれも赤色をイメージカラーとするトランスフォーマーですが、それぞれに色味が異なります。

 

――先ほどあがったコミックスにおける顔のデザインに通じるところがあると思うのですが、そういった色味はコミックスやアニメ、玩具などからキャラクターにあわせて最も印象的な色を選んでいるのでしょうか?

 

齋藤さん:そうですね。このSGオプティマスなんかは、基本的に元になったおもちゃにあわせた色になっていますが、元のおもちゃのパープルをベースに最も全身が効果的に見える配色に調整しています。

 

――シレッと仰いましたが、元のおもちゃ自体がかなりのレア物なのでは……?

 

齋藤さん:シャッタードグラスの初期のものなので、13年くらい前に発売されたものじゃないですかね。国内流通はしてなくて、ボットコン(※)の限定品ですね。

※1994年以降、アメリカで毎年開催されていたトランスフォーマーのファンイベント。

▲ボットコンで販売されたというSGオプティマスプライムのカラーをベースとした「鉄機巧 TRANSFORMERS #09 SG OPTIMUS PRIME」。紫色も箇所によって異なる色味をしています。

 

――ここからは、今後の展開について伺いたいと思います。なんでも国内流通予定の新シリーズがあるとか……?

 

米田さん:はい。「TECHKAISER(テッカイザー)」というシリーズです。

 

横関さん:「TECHKAISER」は「鉄機巧」よりもサイズを小ぶりにして、アクション性を重視したフィギュアシリーズになります。

 

米田さん:金額も「鉄機巧」よりは抑えた価格帯でのリリースを予定しています。

 

横関さん:その「TECHKAISER」から、『スパイダーマン』のレオパルドンをリリースします。これまでにもFLAMETOYSでデザインをしていただいた雨宮哲監督が『スパイダーゲドン』の描き下ろしカバーを担当されたのを見て、これはやるしかないと。MARVELさんに連絡したところ許諾をいただけて、国内ではあみあみさんでの流通となります。

 

――ほかにも今後、国内で流通する予定の商品はあるのでしょうか?

 

横関さん:今年30周年を迎えた「スーパーロボット大戦」シリーズから、『スーパーロボット大戦OG』のアルトアイゼンを「鉄機巧」で商品化することが決定しています!

 

齋藤さん:「鉄機巧 アルトアイゼン」にはこれまでに培ったノウハウを投入し、ユーザーさんに「FLAMETOYSのフィギュアはこんなところも動くんだ!」と驚きを与えられるような可動フィギュアに仕上げたいと思っています。

 

米田さん:また、『スーパーロボット大戦OG』からはアルトアイゼンのほかにもういくつか進行中の企画がありますので、こちらについては今後の情報解禁をお待ちいただければと思います。

 

――最後に、ブランドとしてこれからの展望や目指すところを教えて下さい。

 

横関さん:やっぱり、国内のメーカーだという認知は広めていきたいですね。今までは海外専売の商品が多かったですが、これからは国内の商品比率もどんどん上げていける予定です。原型師さんが足りなかったりもしたんですけど、ご協力いただける方も増えてきたので、色々と取りかかっていきたいです。でも変にブレずに「そうそう、これこれ!」とユーザーさんに言っていただけるような商品を変わらず作っていきたいですね。

 

――本日はありがとうございました!


 

「どうやらとても魅力的な商品を作っているメーカーさんがいるけど、ホビーメディア等で調べてみても全然情報がヒットしない」ということを不思議に思い、いっそのこと本人たちへお話を聞きに行こうと思い立ったところからスタートした今回のインタビュー。FLAMETOYSのオリジンとも言えるアレンジへのこだわりと、それをアクションフィギュアとして立体化するための努力が海を超え、多くのロボットトイを愛するファンを熱狂させているのだと知ることができました。個人的には、OEMメーカーたる出自こそが極限まで商品のクオリティを高めることを可能としているというバックグラウンドを垣間見ることができたのも、非常に興味深い体験でした。

 

本文中でも触れられていますが、今後はより求めやすく、さらにアクション性を追求したシリーズ「テッカイザー」や、「鉄機巧」でも国内流通アイテムの発売が予定されています。その一方で、これまで通り海外専売となるアイテムも順次リリースされていくとのこと。現状、海外専売アイテムの入手方法は独自に入荷をしている一部セレクトショップや、海外通販サイトを利用しての個人輸入に限られます。個人輸入をする際は少なからず存在する通販詐欺サイトに細心の注意を払い、USドル基準の上代をしっかりとご確認ください。

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