【A.O.Z Re-Boot特別編】ガレージキットHow to!「1/144 リハイゼ」を、メタリック塗装で作る!(その3)
空山竜司氏製作のリハイゼが、ガレージキット化! マイスター関田が、ガレージキットの製作方法を伝授しつつメタリック塗装で仕上げる連載第3回目です!
※バックナンバーも併せてご覧ください。
- A.O.Z. Re-Boot特別編 ガレージキットHow to! 「1/144 リハイゼ」を、メタリック塗装で作る!(その1)
- 【A.O.Z Re-Boot特別編】ガレージキットHow to!「1/144 リハイゼ」を、メタリック塗装で作る!(その2)
※これまでのバックナンバーも併せてご覧ください。
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ドーモ、マイスター関田です。
前回に引き続き、空山竜司さん原型のガレージキット1/144リハイゼの製作を進めていきます。
塗装前の工程
①パーツチェック
②パーツの洗浄
③大まかなバリ取り
④スジ彫りの彫り直し
⑤気泡、パーティングライン等の処理
⑥パーツの合いチェックと軸打ち
⑦最終表面処理と面構成の調整
⑧パーツの再洗浄
⑨持ち手付
⑩下地塗り
この内、⑥までが終了しています。ここからは、塗装開始に向けてパーツの処理工作を進めていきます。もちろん、未処理の気泡等その他やり残しがあれば、その都度処理作業を行います。
最終表面処理と面構成の調整
これまで、全てのパーツのヤスリ掛けは800番までしか行っていないため、実際の作業としては1000番で切削面を整えていくことになります。
今回のお題でもあるメタリック塗装の下地としては1000番より細かい目で仕上げてあれば、下地の塗装で簡単に光沢を出すことができ、光沢のある下地にメタリック系やパール系を重ねれば美しい反射が表現できるというわけです。
1500番、2000番といったより細かい目まで処理していってもよいのですが、1000番くらいのキズであれば塗料の樹脂成分で十分に埋めることができるため、あまり意味はないかもしれません。
このリハイゼも含め、空山竜司さんの原型の大きな魅力に「高い精度と豊かな表情を両立した面構成」が挙げられると、私は考えています。
キレイな面とキレイな面がキレイなC面を介して繋がり、左右対称を含めた精度の高い状態で立体を構成する。文字にするとそういうことなんですが、ただ精度が高いというだけでは言い表せない色気のような魅力が空山さんの作品には漲っています。そんな造形の魅力をダイレクトに感じることができるのが原型から直接複製されているガレージキットであり、今回のリハイゼとなっています。
これまで行った処理加工での切削も、こうした面構成を崩さないよう気を付けてはいたのですが、やはり乱れは生じており、また、複製によって歪んでしまっているパーツもあるため、加工の痕跡を消すための表面処理と併せて面構成の調整も同時に行います。
面構成の調整は慎重に、頻繁にパーツの状態を確認しつつヤスリ掛けすることで可能となります。とにかく集中力を必要とする作業。空山さんが「パーツ数が多くてテンションを維持するのがめちゃくちゃキツイ」と言われていたのを思い出しましたが、ここが踏ん張りどころ。しっかりとパーツを確認しつつ進めていきます。
なお、狙った角度で平面を出すことが苦手な方はこちらの書籍を一読あれ。
「プラモ工作法大全 実践作業編」(電撃ホビーマガジンHOW TOシリーズ)
私にとっては非常に大きなヒントになった一冊です。
パーツの再洗浄
一通りのパーツの表面処理が完了したら、再度パーツを洗浄します。
狙いは処理加工で出た削りカス、作業中についた汚れの除去にあります。また稀ではありますが、複製時にパーツの内側に巻き込まれた離型剤成分が時間の経過することで表面に浮き出てくることがあるため、塗装直前にもう一度洗うことには意味があると思います。
洗浄の手順は前回と同じ。浸け置きと歯ブラシによる洗浄です。
持ち手を付ける
パーツが乾いたら持ち手を付けて塗装の準備に入ります。プラモデルではまずお目にかからない重量のパーツもあるため、より一層しっかりとした持ち手付を心がけましょう。
下地塗り
持ち手が付いたら早速下地を塗っていきましょう。ウレタンレジン製のキットに塗装する場合、サーフェイサーかプライマーを塗ってから塗装することになるのですが、今回はプライマーを選択します。
サーフェイサーには体質顔料が含まれているのですが、この体質顔料はフラットベースのようなもので、どうしても表面の状態がツヤ消しになってしまいます。ツヤ消しになるということは、表面に微細な凹凸があるということで、その上にメタリックやパールを吹き付けても美しい反射は得られません。
そこで表面の状態に影響の出ないプライマーの出番というわけです。
プライマー吹き付け後、光沢のあるブラックで下塗りします。ブラックを選択したのは今回の作例では、鮮やかさや華やかさよりも、重厚感を重視したかったからです。
と、ここで下塗りしたパーツの表面にゆがみを発見。表面処理の際の見落としがあったようです。塗装をすると表面処理の段階では気付かなかった部分も見えてきます。十分に塗料を乾燥させてから再度ヤスリ掛けしてパーツを仕上げていきましょう。
ほぼすべてのパーツにプライマー→ブラックの下塗りをしたら、本番の塗装に移ります。このとき、ブラックの光沢が出ていればいる程、後から塗るメタリックやパールの反射が美しく仕上り易くなり、ここでどれくらい妥協したかが最終的な仕上がりに大きく影響してきます。
ある意味勝敗を分ける部分ではあるので、修正すべきはしっかりと修正していきます。光沢は、塗料が乾く前に表面張力で平滑になることで出やすくなります。そのためエアブラシの吹き付け条件を
- 濃度=薄目(シンナーの量多め)
- 空気=圧高め
- 距離=近く
- 吹き出し量=多め
- 手の動き=遅く
といった具合に調整することで増していきます。
こういった調整を加えるとタレや流れも発生しやすくなるのですが、光沢を得るためにはタレる寸前ギリギリが一番理想的な状態となります。ミストとの状態と吹き付けられたパーツ表面をよく確認しつつ吹き付け作業を進めていきましょう。
塗装
メタリック調の仕上がりが今回のお題ですが、メタリック調の演出にはパールを多く使っています。
グレーにホワイトパールを重ねればシルバーに見えますし、クリアレッドの下地にパールを吹いておけばメタリックレッドに見えるという寸法です。
フレーム色の塗装
リハイゼのハイエンド画稿を見ると若干紫がかったグレーメタリックという印象。グレーバイオレットに塗った後、パールを重ねてメタリック調にしていきます。
メインの装甲色
今回のようにパールを下地とした場合のみならず、メタリックレッドの下地にブラックはあまりお勧めできない色だったりします。色味が濁って紫方面にシフトしてしまうことが多いんですね。
今回は重厚感を意識して黒を下地にしたため、このまま色を重ねていくのではなくブラウンを重ねて下地を作っていくことになりました。
その他の部分も含めカラーリングデータは次回の完成編に掲載します。
エアブラシ塗装が終わったら、デカール貼り、クリアコート、スミ入れ、部分塗装を経て最終組み立てとなります。次回の完成編をお楽しみに。
では、また。
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