【A.O.Z Re-Boot特別編】ガレージキットHow to!「1/144 リハイゼ」を、メタリック塗装で作る!(その1)

更新日:2016年12月13日 14:38

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作例製作・解説文●マイスター関田/編集●電撃ホビー編集部

ドーモ、マイスター関田です。今回はガレージキット「リハイゼ」に挑戦します。

 

以前この電撃ホビーウェブにて完成状態の記事がアップされたリハイゼですが、この度ガレージキット化したということで、1回の作例として終わらせるのはもったいないと思い、私が得意とするメタリック塗装で仕上げることとなりました。

 

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▲空山竜司が製作したリハイゼ。その製作のもようは、「『機動戦士Zガンダム』外伝『ADVANCE OF Z』立体化計画 リハイゼ編1~3」をご覧ください。

 

※これまでのバックナンバーも併せてご覧ください。

 

この製作企画が立ち上がったのは、5月に私が店長を務めるホビーショップ「模型ファクトリー」で開催された、「空山竜司氏立体作品展示会」において先行展示されたリハイゼに私がベタ惚れしてしまったことがきっかけとなりました。

 

複雑なパーツ構成や、独特のシルエットの多いAOZ関連作品たちの中でも、ご自身が「集大成」とされたリハイゼは突出した迫力を誇っており、多くのお客様の目をくぎ付けにしていました。私に至っては、ここまでの造形力を持つ空山さんに強烈な嫉妬を覚えたほどです。

 

そんな私が他の作品で塗ったメタリックレッドのパーツを空山さんにお見せしつつ「このリハイゼ、メタリック・パールを駆使して塗ってみたいですねぇ」と持ちかけたところ、空山さんご自身から「ぜひ! せっかくだからガレージキット製作のHow toも併せて記事にしましょう!」と受け止めていただきこの作例が実現しました。

 

確かに、AOZのハイエンド画稿は独特の光沢と反射を纏った外装で表現されており、空山さんの完成イメージにもメタリック表現という選択肢はあったとのこと。

 

この素晴らしい造形と私の得意技でもある光沢、メタリック、パール表現の組み合わせがいかなる作品になりますか。請うご期待です。

 

記事内容のお話をするときに空山さんから「関田さん、これ本当に大丈夫ですか?! 〆切アリで作るの相当キツイですよ!?」と10回くらい(笑)忠告いただいた気がしますが、気合でなんとかしましょう!

 

 

製作の段取り

メタリック表現に焦点を当てていくとはいえ、塗装まではガレージキット製作のセオリーに沿って進みます。気を付けるべきはやはりパーツ数。パーツ毎、あるいは、部位毎に塗装直前まで仕込んでいくやり方は、それぞれの作業の準備と片付けが繰り返されるため効率が悪く、士気・集中力の低下も懸念されます。ここは同じ作業を全てのパーツにひと通りこなしていくことで、作業の準備を何回も繰り返すことを避け効率アップを図りましょう。

 

段取りとしては…

①パーツチェック
②パーツの洗浄
③大まかなバリ取り
④スジ彫りの彫り直し
⑤気泡、パーティングライン等の処理
⑥パーツの合いチェックと軸打ち
⑦最終表面処理と面構成の調整
⑧パーツの再洗浄
⑨持ち手付
⑩下地塗り

 

といったところです。

 

 

パーツチェック

これはガレージキットといわずすべての模型製作でも変わらないことですが、まずは説明書を見つつパーツが全部あるかどうかチェックしましょう。この時点で大まかにでもいいので、どの部位に使うパーツなのか見ていきます。今回はパーツ一覧をいただいていたので、確認したパーツと付け合せて丸印をつけていく方法を取りました。

 

今回は全てのパーツが揃っていましたので問題ありませんが、イベント限定のガレージキットではパーツ請求期間が限られていることもありますので、購入したガレージキットはすぐにパーツチェックをすることをおすすめします。

 

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①パーツとリストを付け合わせてすべてのパーツがあるかチェック
②細かいパーツもひとつ残らずカウント

 

 

パーツ洗浄

パーツチェックが終わったらいったんパーツを洗浄しましょう。

 

ガレージキットに使用されているウレタンレジンはシリコーンゴムの型を使って生産されますが、型にはパーツを取り出しやすくするための離型剤が塗られています。

 

離型剤はシリコーン系やフッ素系の素材などがありますが、程度の差こそあれ接着剤、パテ、塗料等の喰い付きを妨げてしまうものなので本格的な作業に入る前にしっかり落としておきましょう。私の場合、洗浄は浸け置き洗いとブラシ洗いの二段階で行います。

 

まずはパーツを大きめの洗面器に入れ私の場合は「入れ歯洗浄剤」をパーツ量に応じて多めに入れていきます。入れ歯洗浄剤には界面活性剤が配合されているため浸け置くことで離型剤をパーツから浮かせ、取り除いてくれます。

 

入れ歯洗浄剤を入れたらすべてのパーツが浸るくらい水を注ぎます。薄いパーツは浮いてしまうこともあるので、洗面器とセットで買った水切りを重ねてすべてのパーツが洗浄液につかるようにしましょう。

 

パーツは浸けた状態で1時間もすれば十分に離型剤が浮いた状態になりますが、私の場合は大体一晩浸けてしまうことが多いです。

 

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①パーツと入れ歯洗浄剤を大きめの洗面器に投入。
②すべてのパーツが浸かるくらいまで水を注ぎます。
③上から水切りを重ねて浮いてくるパーツもしっかり洗浄液に浸からせます。
④中性洗剤とクリームクレンザーを混ぜたペーストでパーツをブラシ洗いします。

 

浸け置きができたら、次は歯ブラシでパーツを洗います。歯ブラシには食器用の中性洗剤と液体クレンザーを1:1で混ぜたものを付けています。

 

ここで注意すべきは、

 

  • 細いパーツや薄いパーツを破損しないようにすること。
  • パーツをなくさないように注意すること。

 

の2点。

 

特に折れたパーツが排水溝に飲み込まれでもしたら、その精神的なショックは計り知れません。洗面台や台所で洗浄を行う場合は排水溝にネット等を仕掛けておき、万が一に備えましょう。

 

浸け置きが終わったら中性洗剤とクリームクレンザーを混ぜたペーストでパーツをブラシ洗い④します。

 

ブラシ洗いが終わったら、水切りにパーツを入れ水ですすぎます。この時も水切りの隙間からパーツが脱落しないよう気をつけましょう。

 

すすぎが終わったらタオルや布で大まかに水をふき取り、十分に乾かします。塗装直前というわけではないので、タオルや布のホコリがパーツに付着することに関しては気にしなくても大丈夫です。

 

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①洗い終えたパーツは水でしっかりすすぎます。
②すすぎの後は大まかでいいので布やタオルで水分をふき取ります。

 

 

大まかなバリ取り

洗浄が終わったパーツをランナーのような大きなバリから切り取ります。ここはプラモデル同様ニッパーを使い、パーツから少し離れたところを切り取っていきます。バリを残すのはギリギリでカットしてしまうとパーツ本体までえぐれてしまう可能性があるからです。

 

全てのパーツに同じような切り取りを行った後、得物をニッパーからデザインナイフに持ち替え少しバリを残す程度に削ぎ落としていきます。

 

場所やパーツの形状によっては彫刻刀の平刀なども活用していきましょう。今回はありませんでしたが薄く膜が張っているようなバリもここで削ぎ落としておきましょう。

 

この段階でヤスリや紙ヤスリを使ってバリの切り取り跡を完全に消す必要はありません。ニッパーで一周、デザインナイフで一周。少し残すつもりで割と気楽にいきましょう。

 

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①ニッパーでパーツを切り取る際は、パーツから離れたところを切ります。
②デザインナイフで少しずつ削ぐようにバリを小さくしていきます。

 

 

スジ彫りの彫り直し

さて、大まかなバリ取りが終わったら、レジンキットならではの気泡やパーティングライン消しといった作業に移りたいところですが、その前に、ヤスリ掛けを行うことで消えてしまいそうな繊細なスジ彫りや、塗装後にシャープなスミ入れを行いたい段差などを彫り直しておきましょう。

 

特にスジ彫りは一度消えてしまうと、デザインや左右対称の位置関係などを確認しつつ彫り直さなければならないので、その手間を省く意味でも一度ここで深くしておき、安心してヤスリ掛けができるようにしておくとよいでしょう。

 

使用する工具はスジ彫りの彫り直し用としては雲母堂本舗のスジ彫り用エッチングのこぎり「ライナーソー」シリーズの0.15mm厚のモノをメインに使用しています。スジ彫りの定番工具「BMCタガネ」や「スジ彫りカーバイト」といった工具を使うにはウレタンレジン素材は柔らか過ぎるため今回はこの選択となりました。

 

作業のコツはとにかく「脱力」。これに尽きます。

 

そして、つねに一方向に向けて工具を動かし、進入角度のブレを押さえること。のこぎり状の工具とはいえ前後に動かすと、どんどんブレてスジ彫りの幅が一定ではなくなってしまいます。

 

最後に、深さは浅めで。こちらはどんなスジ彫り加工にも言えることですが、太さが均一にならない、ストローク数増大によるはみ出しのリスクなど良いことがないので常に戒めたいところです。

 

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①雲母堂本舗「ライナーソー」。デザインナイフの柄につけて使用します。
②スジ彫りを彫り直す時は一方通行で
③彫り直し前と彫り直し後のスジ彫り

 

段差の彫り直しには荒い形状出し、スジ彫り・カンナ掛け等に使える万能工具「キサゲ」を使用。こちらの注意点もスジ彫りと変わりません。よだれが出るほど脱力しましょう。

 

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①ホビーナイフ系の切削工具「キサゲ」。様々な用途に使用できる便利な工具だ!
②彫り直し前の段差と彫り直し後の段差

 


 

さて、ここまで終わりましたら、次は気泡・パーティングラインといったレジンキットならではの処理工作に入りますが今回はここまで。次回の更新をお待ちください。

 

では、また。

 

関連情報

 

(c)創通・サンライズ

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