「ギガンティックアームズ01 パワードガーディアン」(コトブキヤ)をFAガールを乗せて仕上げる<その2>

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

製作・文●ちいたわからし/編集●電撃ホビー編集部

コトブキヤより発売されているモデラー御用達様々なサポートグッズ「モデリングサポートグッズ(M.S.G)」より、新たに登場した「ギガンティックアームズ」。
ギガンティックなサイズゆえ単体でも充分なボリュームの本キット「パワードガーディアン」記事の第2回は、模型工作のお約束、合わせ目消しと後ハメ加工を中心に、ちいたわからし氏が製作・解説していきます。

 

第1回:「ギガンティックアームズ01 パワードガーディアン」(コトブキヤ)をFAガールを乗せて仕上げる<その1>

 

n20160925pg_001

 

編集部:さて、第2回目ですが……。

 

ちいた:冒頭でも触れていますが、今回は基本工作を中心にお届けします。まずはパワードガーディアンのみで表面処理や各種加工を終えた状態を見てみましょう。

 

n20160925pg_002

▲素組み(左)と、加工後(右)

 

編集部:……どこか変わりました?

 

ちいた:変わらん言うな! 細かい処理をしっかりやってるわ!!
ちなみに左が素組み、右が加工後です!

 

編集部:強いて言えば肩の向きが違いますね。

 

ちいた:個人的にコッチの向きのほうが、しっくりして好みなので。

 

編集部:何だか写真が山のようにあるので、サクサクいきましょう。

 

ちいた:そうっすね。各パーツだけを使うユーザーさんも多いと思うので、部位ごとに区切って説明していきます。

 

 

脚部

n20160925pg_003

 

ちいた:まずは脚部です。

 

編集部:説明書だと、胴体からですよね?

 

ちいた:いや、脚部(下)からだんだん組みあがってく感じがいいんじゃないですか……。

 

編集部:はぁ、そんなもんですか(とりあえず好きにさせておこう)。

 

n20160925pg_004

 

ちいた:最初につま先のシャベルっぽい部分。背面の肉抜き穴をエポキシパテ(以下、エポパテ)で埋めます。

 

n20160925pg_006

 

ちいた:ロボ形態でいうと膝下部分。センターにある合せ目が気になるので……。

 

n20160925pg_007

 

ちいた:分割を変更して「そういう構造の機器」というイメージにしています。

 

編集部:何だか複雑な構造になってますね。

 

ちいた:ちょっと変則的な分割にしたので、作業工程を細かく説明しますね。

 

n20160925pg_008

 

ちいた:まずはディバイダーで、左右等間隔にスジ彫りします。

 

n20160925pg_009

 

ちいた:エッチングノコで、筋彫りに沿って分割していきます。

 

n20160925pg_010

 

ちいた:真ん中の板を残して分割位置を変えたいのですが、画像のような位置はとても分割しにくいのです。

 

編集部:気にしなければいいんじゃないですかね?

 

ちいた:いや、ディテールを複雑にしたほうが色々な構造材が組み合わさってる感じがして、リアルな深みが出るんですよ……。

というわけで、こういう箇所の切り取り方を紹介しますね。

 

n20160925pg_011

 

n20160925pg_012

 

ちいた:切り出したい箇所にナイフで切り込みを入れます。薄いパーツだとコレだけで切り取れることもありますが、今回は厚みのあるパーツなので無理にナイフだけで切ろうとすると切断面が荒れやすいです。

 

n20160925pg_013

 

ちいた:それを避けるべく、ある程度切り込みを入れたら、ピンポイントでエナメル溶剤を垂らします。

 

編集部:ぁー……。エナメル塗料でスミ入れをするときになるような、強い浸透力でパーツが脆くなるエナメル溶剤の性質を利用するんですね。

 

ちいた:YES! 溶剤を垂らしたらもう一回ナイフで傷を深くしていきます。
傷を入れた箇所に浸透していくので、余計な個所まで傷をつけないよう注意しましょう。

 

n20160925pg_014

 

ちいた:少しずつ傷を広げて、最終的にパキッと折ります。

 

n20160925pg_015

 

ちいた:あとは切断面を整えて完成です。
ちなみにエナメル溶剤が乾くまではパーツが脆い状態が続いていますので、切断面を整えるのは乾いてからにしましょう。

 

 

n20160925pg_016

 

ちいた:次は肘関節です。
ここもセンターにある合わせ目が気になるので、片側に寄せています。

 

n20160925pg_017

 

ちいた:腿のフレーム部分。
中央の隙間は、ムーバブルクローラー時には気になりませんが、パワードガーディアンの状態だと気になるので、モールド入りプラ板で塞いでおきました。

 

n20160925pg_018

 

ちいた:腿装甲のボルトらしきパーツは整形時に邪魔だったので、削り落として市販パーツに置き換えてます。

 

n20160925pg_019

 

ちいた:腿の関節部です。

5ミリ軸径のポリパーツが気になりますね。

 

編集部:気になりますか。

 

ちいた:気になりますね(2回目)。

というわけで、プラパーツで軸部分を隠します。
キットの状態だとパーツを入れ込む隙間がないので、ポリ軸をやや短くして隙間を作ります。

 

n20160925pg_020

 

ちいた:ポリパーツは柔らかく真っ直ぐに切るのが難しいので、治具(じぐ)を作ります。
プラ板(残したいポリ軸の長さ分の厚みのあるもの)を用意し、ポリ軸を通す穴を開けます。

 

n20160925pg_021

 

ちいた:ポリ軸を差し込んで周囲から回すように切っていきます。

 

編集部:せっかく治具があるんだから、一発でガッと切っちゃダメなんですか?

 

ちいた:ポリが柔らかいので、一発で切ろうとすると刃先に引っ張られて、切り口が平行にならないのです。

 

n20160925pg_022

▲加工後(右)

 

ちいた:意図した長さに切ることができました。

 

n20160925pg_023

 

ちいた:空いた隙間にマイナスモールドをはめ込んで完成です。
胴体とのジョイント部も隙間が気になるのでエポパテで埋めておきました。
これで脚部の主要な加工箇所は終了です。

 

編集部:そろそろ終わりですか?

 

ちいた:まだ脚部が終わっただけですよ!

 

編集部:お、おぅ。長くなりそうなので、私も手を動かしてますね(何かを取り出す)。

 

ちいた:邪魔だけはしないでくださいよ……。

 

 

武器

n20160925pg_024

 

n20160925pg_025

 

ちいた:クローラー附属の機関砲です。
アウタージャケットや銃身の放熱部を開口し、銃身と機関部は塗り分けしやすいように分割しました。
インナーバレルは真鍮パイプを差し込んで再現しています。

 

n20160925pg_026

 

ちいた:同じくクローラー附属のサブマシンガン。
マガジンを外せるようにし、上部のセンサーらしきパーツは開口してクリアパーツをはめ込んでいます。
キャラクターモデルにおいてこういう実物を感じさせる部品は、実物にならって作り込むとリアリティが増して引き締まります。

 

 

腕部

n20160925pg_027

 

ちいた:お次は腕部です。

 

n20160925pg_028

 

n20160925pg_029

 

n20160925pg_030

 

ちいた:手のひら風ガトリング部分です。
肉抜き穴が気になるのでエポパテで埋めています。
また左右共通パーツなので、使用しない穴はメタルパーツで埋めておきます。

 

n20160925pg_031

 

ちいた:前腕部(機関部?)も他と同じように片側に合せ目を寄せています。

 

n20160925pg_032

 

ちいた:機関部の穴がちょっと気になるので、開口しディティール入りプラ板を入れています。

 

編集部:ディテール入り?(がさがさ)

 

n20160925pg_034

 

ちいた:すのこ状のディテールの入った板パーツです。これを画像右下のように加工して使用します。

 

n20160925pg_033

 

n20160925pg_035

 

ちいた:円形の部分に這わせるように貼り付けるので、あらかじめ棒などでクセをつけて、パーツに合うように曲げておきます。
無理に曲げると折れてしまうので、ゆっくりと緩やかに曲げましょう。

 

n20160925pg_036

 

n20160925pg_037

 

ちいた:二の腕のフレームは、円柱の部分を削り落として合わせ目を消し、整形後に真鍮線を差し込んで「本来はこうしたかったんじゃないか?」という形状に変えました。

 

n20160925pg_038

 

n20160925pg_039

 

ちいた:肩の部分もセンターにある合せ目を片側に寄せています。
その際にフック受けらしき棒の部分が邪魔になるので一度削り落とし、M.S.GのフックⅡをサイズ調整して差し込めるようにしています。

 

n20160925pg_040

 

ちいた:肩に接続するフレーム内側の肉抜き穴は、完成後もチラチラ見えそうなのでエポパテで塞ぎました。
丸い可動部らしき内側も、2ミリの真鍮線で塞いでいます。

 

n20160925pg_041

 

ちいた:腕部ラスト、肩装甲です。
1パーツ成型の大きなパーツで、各形態で内側がよく見える部分。
内部にリブなどがありますがディティールとして寂しい感じがするので、メカっぽいパーツを作っていきます。

 

n20160925pg_042

 

ちいた:メンソレータム等でしっかり離型処理し、エポパテを埋めていきます。

 

n20160925pg_043

 

ちいた:完全硬化一歩点前辺りでエポパテを外します。

 

編集部:なぜ完全硬化まで待たないんです?(パチっパチっ)

 

ちいた:奥まった箇所に埋め込んでいるので、完全硬化してしまうと柔軟性がなくなり外せなくなるのです。

 

n20160925pg_044

 

ちいた:ヤスリで軽く整形した状態です。
この段階で綺麗に磨いてしまうと後の作業がやりにくくなるので、180番のヤスリで表面がザラザラな状態のうちに止めておきます。

 

n20160925pg_045

 

ちいた:彫っていくディティールを鉛筆で書き込みます。
表面がザラザラだと、鉛筆の色が乗りやすいです。

 

n20160925pg_046

 

ちいた:下書きに沿って彫り込んで、パーツにハメた状態です。

 

編集部:おぉ、いい感じですね(カチャカチャ)。

 

ちいた:……さっきから、何かしながら雑にコメントするのなんなんです?

 

編集部:まぁまぁ、気にしないで解説を続けてください。

 

ちいた:変な横やり入れられるよりいいですが……。
では、このエポパテパーツだけではまだ寂しい感じがするので、さらに手を加えていきます。

 

n20160925pg_047

 

ちいた:プラ平棒を貼り付けてデコレートしました。

 

n20160925pg_048

 

ちいた:装甲側の隙間にはモールド入りプラ板を貼り付けて、何かを放出するようなフィンモールドっぽい仕上げにしています。
干渉しないようにモールドを追加したので、腕部ガトリング部分にはめることもできます。

 

胴体

n20160925pg_049

 

ちいた:ラストスパート! 胴体部分です。

 

n20160925pg_050

 

ちいた:この側面部の合わせ目が気になります!

 

n20160925pg_051

 

ちいた:前側は接着、後側は分割位置を変更しています。

 

n20160925pg_052

 

ちいた:フレーム部分は片側をT字の接続部分を削りI字にすることで、後ハメ可能になっています。

 

n20160925pg_053

 

ちいた:分割線を整理したことで、機械として違和感のないラインになったかと思います。

 

n20160925pg_054

 

n20160925pg_055

 

ちいた:パワードガーディアンの顔になる部分。
こちらも分割線の位置を変更しています。

 

n20160925pg_056

 

ちいた:さて、最後はFAガールなどのパイロットと繋がるジョイント部分。

 

n20160925pg_057

 

ちいた:挟み込み部分で分割位置を変更。

 

n20160925pg_058

 

ちいた:ハンドルやステップがつく部分は後ハメしなくてもそのまま塗れそうでしたので、穴埋めや筋彫りなどの整形を丁寧に行います。

 

n20160925pg_059

 

ちいた:FAやM.S.Gのパーツが装着しやすそうな3ミリ軸のあるフレーム部分も、分割位置を変更しています。

 

n20160925pg_060

 

ちいた:胴体上下を繋ぐドラムフレームっぽいパーツは、画像手前部分にモールド入りプラ板を貼り付けてデコレート。
接続が真鍮パイプに変わってますが……特に意味はないです。

 

編集部:意味はないんすか……(さては壊したな)。

 

n20160925pg_061

 

n20160925pg_062

 

ちいた:ステップにあるシリンダー部分のリブらしきものが気になったので開口。
ステップは複雑な個所にパーティングラインがガッツリ入ってるので、泣きながら彫り直しました。

 

編集部:ふぅ……。あ、ぼちぼち終了ですかね?(何かをやり切った顔)

 

ちいた:もう少しねぎらってよ!?

何をしてたのか知りませんが、これですべての加工が終了しました。
改めて、加工後のパワードガーディアンを見てみましょう。

 

n20160925pg_063

 

n20160925pg_064

 

n20160925pg_065

 

n20160925pg_066

 

編集部:不思議なもので、ここまでの工程を読んだ上で見ると、最初に見たときとは印象が変わりますね。

 

ちいた:塗装段階や塗装の仕上がりに影響する加工ばかりなので、現時点での地味さは否めないですけどね。
読者がその効果のほどを実感してくれれば幸いです。

 

n20160925pg_067

 

編集部:これは?

 

ちいた:いや、真面目な解説ばかりだったのでちょっと遊びたいなと。
胴体の部分だけでこんな虫みたいな感じにもできますよ、というプレイバリューの紹介的な。

 

n20160925pg_068

 

ちいた:こんな感じで今回は終わりということでですね。

 

編集部:ちょっと待った!

 

ちいた:ちょっ。スティレットちゃん放り投げないで?!

 

n20160925pg_069

 

ちいた:ふぁっ!?

迅雷 Indigo Ver.!!
さっきからコレ作ってたんすか!!?

 

編集部:ふふ、君がチンタラ説明している間にコトブキヤからテストショットが届いたのだよ。
君は以前のスティレットちゃんで誤魔化そうとしていたようだが、そうはいかん!
この迅雷ちゃんを作るのだ!!

 

ちいた:えぇ……、第一回で何も触れてませんし、タイトルでも「FAガールを乗せて仕上げる」としか書いてないじゃないですか……。
今回の記事でもTOP画像に迅雷ちゃんの「迅」の字もないですし、今さら……ねぇ?

 

編集部:はいはい、どうせゴチャゴチャ言うと思ってましたよ。
コレでいいんでしょ、コレで。

 

n20160925pg_070

 

ちいた:ちょっと!

迅雷ちゃんが撮影に間に合わなかった欠席者みたいになってる!
どうせならもっとちゃんと並べてあげてっ!!

 

編集部:あぁもう、注文が多いですね……ホラ、これで寂しくないでしょ。

 

n20160925pg_071

 

ちいた:ショ○カー! じゃなくて俺ーッ!!
このネタ分かる人いるんですか!
迅雷ちゃんが活きず、ボクが悪目立ちしてるんで取ってくださいよ!!

元ネタはこちらへ

 

編集部:そう言われればそうですね……はい、もうこれでいいね。

 

n20160925pg_072

 

ちいた:いぇ~ぃ、俺が活きて(生きて)いない……ってやめなさい!
はいはい、迅雷ちゃん作ればいいんでしょ。せっかくFAと組み合わせて、メカ推しで仕上げたかったのに……。

 

編集部:おいぃぃぃぃぃいいい! やっぱりまた勝手なことを画策して!

凝った挙句、また納品遅れるの勘弁っすわ!!

 

 

というわけで、迅雷 Indigo Ver.を急遽追加したパーワードガーディアン製作記事。
次回は迅雷ちゃんの製作記事を中心にお送りします。
ブリッツガンナー、ムーバブルクローラーと同じ10月発売ということで、ちょうどいいですね!

 

n20160925pg_073

 

編集部:読者の諸君は次回更新まで正座待機だ!

 

ちいた:(遠回りにプレッシャーかけるのやめてください。)

 

 

<DATA>

ギガンティックアームズ01 パワードガーディアン

■NONスケール プラモデル
■全高:約260mm
■価格:4,800円(税抜)

■発売中

■設計:丸家 裕之介

■発売元:コトブキヤ

※実際の商品に「ギガンティックアームズ01 パワードガーディアン」以外の商品は付属しません。

 

ギガンティックアームズ02 ブリッツガンナー

■NONスケール プラモデル
■全高:約125mm
■価格:2,400円(税抜)

■発売日:2016年10月発売予定

■設計:丸家 裕之介

■発売元:コトブキヤ

※実際の商品に「ギガンティックアームズ02 ブリッツガンナー」以外の商品は付属しません。

 

ギガンティックアームズ03 ムーバブルクローラー

■NONスケール プラモデル
■全高:約200mm
■価格:2,400円(税抜)

■発売日:2016年10月発売予定

■設計:丸家 裕之介

■発売元:コトブキヤ

※実際の商品に「ギガンティックアームズ03 ムーバブルクローラー」以外の商品は付属しません。

 

フレームアームズ・ガール 迅雷 Indigo Ver.

■NONスケールプラスチックモデル

■全高:約150ミリ

■価格:4,300円(税抜)

■発売日:2016年10月発売予定

■原型製作:清水康智、桑村祐一

■発売元:コトブキヤ

 

<関連情報>

(C) KOTOBUKIYA

上に戻る