素組みでガンプラ!成形色を活かしたフィニッシュ~ウェザリングとマーキング~【後編】

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超基本からちょっとしたワザまで、ガンプラを素組みで作る“コツ”を、プロモデラー・桜井信之氏が指南する本コーナー。

 

前回はウォッシングやマーキングで、残ってしまった合わせ目痕やゲート痕をカムフラージュする方法を紹介。前回の時点で完成でもいいのですが、最後はハードでリアルなウェザリング塗装を用いて、残ったゲート痕などを処理していきましょう。

 

※バックナンバーもあわせてご覧ください。

 

まずは前回紹介できなかった武器関係を考えましょう。写真はザクマシンガンですが左側は通常カラーのもの、右側は前々回紹介したONE YEARS WAR版のマシンガンです。通常版はブルーグレーですが、ONE YEARS WAR版は若干茶色味のあるダークグレーで成形されています。武器関係だけ成形色の違うキットからトレードしてくるのも面白いでしょう。またバズーカはフレーム・関節などと同じライトグレーで成形されており、マシンガンとバズーカを両方持たせると武器の質感に違いが生まれてしまうので、今回はマシンガンのみを持たせることにします。

 

加えて「MG シャア専用ザク」に付属のマシンガンは、マガジンが正中線に対しオフセットされるアレンジになっています。当時は目新しかったのですが、やはりマガジンは中央にセットされた方が似合うと思うので、取り付けピンをカット、正中線上に接着し固定します。同時に45度回転させ、マガジン上部のモールドも設定と同じ角度に変更します。

 

頭部の構造は内部メカを挟み込む作りになっているので、首のポリキャップを挟む部分をカット、フレーム右側に移植します。そのあと頭部裏側を大きくえぐることで、頭部フレームに外部装甲をヘルメットのようにかぶせられます。「MG シャア専用ザク」発売当時、多くのモデラーが行った後ハメ工作です。

 

手首は可動式と、軟質樹脂の固定タイプが入っています。可動指に関しては近年の物とは大きく異なる、MG初期のものです。なので今回は固定式のタイプを使用します。武器の握り手は平手を使用。マシンガンのグリップになじむように、指先をゆっくり曲げてからマシンガンに接着します。

 

さて、ここからはハードな汚しを加えます。まずはチッピングのための塗料を使います。一般的にはエナメル塗料で行うのですが、今回は油性アクリル塗料(通称ラッカー系)を使ってチッピングを施します。「レッドブラウン」と「ブラックグレー」を混ぜて、甘ったるいグレーを作ります。

 

この塗料をキッチン用スポンジを使って、パーツのエッジ部分にのせていきます。パーツのエッジ部分を中心に叩くように色をのせていきましょう。近年はチッピング用の持ち手付スポンジなども発売されているので、それを使うのもあり。なお肩アーマー側面の階級章も、合わせ目隠しをかねて貼っています。

 

ただ、シャアピンクはとても華やかな色味ですが、チッピング色は超現実的な色です。そのため境目に違和感が生まれてしまうのは必然です。ピンクの成形色とチッピング色の差が気になる場合は、境目に「ウェザリングマスター」を塗って、境目をぼかしていくと自然な感じになります。

 

最後に、各部のエッジ部分、ディテールの頂点部分などにシルバー塗料を軽くのせていくとアクセントをつけられます。これらの塗装はマーキングのときと同じで、ゲート痕が存在するところを隠しながら、ほかの部分とのバランスを見て施してくといいでしょう。

 

 

完成!

これで完成です。今回全3回にわたってお送りした成形色を活かしたフィニッシュ方法ですが、この製作方法はかつて電撃ホビーマガジンでは「簡単フィニッシュ法」と呼び、何度も紹介してきた方法です。しかし簡単とはいうものの、実際の工作過程は慎重に手を動かさねばならず、言葉でいうほど簡単ではありません。

 

むしろ塗装フィニッシュのほうが工作作業自体はサクサク進められます。それは最終的にキズもヒケも白化もパテ埋め痕も、すべて塗装で覆い隠せるからです。言い方を変えれば、塗装は都合よく製作過程を隠蔽できる模型技術です。しかし模型製作においてテーマ(縛り)を設けることはとても有効な手段。とくに今回紹介した成形色を活かした製作は、今まで当たり前に身に付いていた工作技術を、さらに一段階も二段階もレベルアップさせてくれることでしょう。

 

塗装派のモデラーも、一度このフィニッシュ法で製作してみることをおすすめします。自分の意外な弱点に気づかされるかもしれません。今後もさまざまな技法を、ちょっとマニアックな視点で掘り下げて紹介してみようと思います。ではまた。

 

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