平成ガメラシリーズ、誕生の秘密に迫る!「特撮のDNA」展開催記念スペシャルトークライブ!!

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現在、東京大田区蒲田にて絶賛開催中の「特撮のDNA~平成ガメラの衝撃と奇想の大映特撮」は、連日多くのガメラファンが訪れ、話題となっています。2020年1月10日(金)には、平成ガメラシリーズ3部作の脚本を担当された伊藤和典氏と、大の特撮ファンとしても知られる株式会社KADOKAWA代表取締役副社長の井上伸一郎氏による、「特撮のDNA」展の開催を記念したスペシャルトークライブが開催されました。

 

 

今回のトークテーマは「平成ガメラシリーズ、誕生の秘密に迫る!」。制作当時を振り返りつつ、平成ガメラシリーズの誕生から完成された作品について、ここでしか話せない話題が盛りだくさんで、井上氏から伊藤氏に質問をし、初めて披露されるエピソードもたくさんありました。特撮ライターの中村哲氏の進行で進められ、詰めかけた多くのファンを充分満足させる90分となりました。

 

 

盛大な拍手のなか、登壇されたお二人。冒頭、伊藤氏、井上氏は来場のお客様に次のように挨拶されました。

 

▲伊藤和典氏

 

伊藤氏:まさか、平成ガメラをテーマにしたこのような展示会が行われるとは夢にも思っていませんでした。自分でもうれしく思っています。今日は長い時間ですが、よろしくお付き合いください。

 

▲井上伸一郎氏

 

井上氏:KADOKAWAは、平成ガメラ、昭和ガメラなど旧⼤映作品のIP(知的財産)を引き継いでおりますが、そのなかの⼀環としてこのイベントにも関わっております。私も大の特撮ファンでいろいろなプロップを見ていたつもりだったんですが、初めて見るプロップもたくさん展示されています。たくさんの方々のご協力で貴重な資料をご提供いただき感謝しております。

 

 


両氏が初めて観たガメラ映画と昭和ガメラシリーズを振り返る

最初の話題は、お二人が初めて観たガメラ映画について。伊藤氏が昭和ガメラ、第一作から振り返ります。

 

伊藤氏:1本目のモノクロの『大怪獣ガメラ』(1965年)が最初に観たガメラです。当時5年生か6年生だったので、子どもに媚びた感じが少し嫌でした(笑)。最初に観た怪獣映画が『大怪獣バラン』(1958年)で、主に東宝特撮で育ってきているんです。東宝特撮は子どもを意識した作りにはなっていないんです。『モスラ』(1961年)や『怪獣島の決戦ゴジラの息子』(1967年)になるとまたちょっと違うんですけど……。大人向けの特撮映画を観て育ってきているので、子どもに甘い大人たちが気持ち悪くてしょうがなかったというのが、昭和ガメラの第1作を観た印象です。昭和シリーズは『ガメラ対大悪獣ギロン』(1969年)まで観ましたが、実家が映画館だったのでやっていれば観るくらいの感じでした。ギロンが真っ二つにした宇宙船をガメラが火炎放射で溶接するって「そりゃあないだろう(笑)」って。そこでガメラとは別れました。

 

2作目『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』(1966年)以降については――。

 

伊藤氏:(子どもが出てこない大人向けという点では)あれが昭和ガメラの原点だと思うんです。東宝特撮とは違う大映特撮の魅力で、斬られれば血を流す、怪獣も生き物である、作戦の多様性だったり。東宝特撮は穴を掘るか、高圧電線の二択だったりするんで(笑)、作戦の多様性では大映特撮の方が面白いなと思いました。3作目『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』(1967年)ではまた子どもが出てくるじゃないですか。ギャオーって鳴くから『ギャオス』って……うるせーって(笑)。

 

井上氏も初見のガメラ映画について語られました。

 

井上氏:私も小学一年のときに第1作のガメラを観ました。これは観るのに苦労したんです。当時父親があまり家にいなかったので、一緒にいた祖父母が厳しくて怪獣映画は観せないという方針だったんですが、テストでわざと悪い点数をとって反抗したんです(笑)。それで観せるしかないということになって……(笑)。小学一年生でしたから私は感動したんですが、とはいえ小学一年でも「Zプラン」は無理があるなぁと思いました(笑)。

 

2作目以降については――。

 

井上氏:リアルタイムでは『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』(第4作・1698年)まで観ました。それ以降はテレビ放映ですね。(見た中で好きなのは)やっぱり『ガメラ対バルゴン』です。欲の皮は突っ張らしちゃいけないなと、子ども心に「悪いことはしちゃいけないな」って思いました。

 

 

今だから話せるエピソードも交えて平成ガメラシリーズを振り返る

 

そして今回のトークテーマである「平成ガメラシリーズ、誕生の秘密に迫る!」について触れていくことになります。まずは平成ガメラ第1作『ガメラ 大怪獣空中決戦』(1995年)で、井上氏の関わりついて。

 

井上氏:実は平成ガメラに関わろうとしていたんです。当時は『月刊少年エース』という雑誌の準備をしていました。ガメラの新作をやるということを聞いていたので、コミカライズして創刊号から連載しようと思っていたんです。

 

※しかし、結果的にこのコミカライズの企画は、紆余曲折があって実現には至りませんでした。経緯やその紆余曲折部分はトークライブに来られた方のみの情報ということで、ここでは割愛させていただきます。井上氏がコミカライズしたかったという当時の熱意は来場の皆さんにも伝わったことと思います。

 

 

続いて伊藤氏が脚本家として平成ガメラシリーズに関わることになったきっかけでは……。思わぬ爆笑の例え話にもなりました。

 

伊藤氏:金子修介監督からかかってきた一本の電話がきっかけです。……以上(笑)。

 

井上氏:実はその前に、1993年かな、伊藤さんと幻の作品の企画について打ち合わせをしていたんです。(中略)そのときに来年ガメラ映画をやるという話を伊藤さんからお聞きしたんです。

 

伊藤氏:もちろんそこには樋口真嗣監督たちもいたわけで……。

 

井上氏:そのときの話題で、ガメラの本質は何だということになって、私はゴジラ=ジャイアント馬場説、ガメラ=アントニオ猪木説というのをとなえまして(笑)。なぜかといいますと、ゴジラ=ジャイアント馬場は圧勝であると、ガメラ=アントニオ猪木はやられまくってから大逆転して勝つということで。

 

伊藤氏:同じような話があって、最近思ったのはゴジラ=三船敏郎、ガメラ=勝新太郎(笑)。これ意外としっくりくるんです。それで言うと、『座頭市対用心棒』(1970年)ってあったじゃないですか。それなら『ゴジラ対ガメラ』っていいんじゃないかなってちょっと思いました(笑)。

 

井上氏:スター対決は大好きですね。まあ、そんなこともいろいろあったので、平成ガメラは近い気持ちでいるんです。

 

そして平成ガメラ第1作の記者発表のときの井上氏の思い出を。

 

井上氏:大映スタジオでやったときに、藤谷文子さん(3部作・草薙浅黄役)とお会いしましたが、彼女のお母さんがあまりにも綺麗でびっくりしました(笑)。そのときに見たガメラの着ぐるみがあまりにも緑だったのでそれもびっくりしましたが、可愛い顔をしていましたね。

 

伊藤氏:(シリーズが進むにつれて)顔がだんだん凶悪になっていくんだよね。

 

 

井上氏は本日のためにいろいろなものを見直してこられ、樋口監督が語っておられたエピソードを含めて自論を語られました。

 

井上氏:『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』(1999年)でのイリスの空中戦は、樋口監督が参考にしたのは『風の谷のナウシカ』(1984年)だったとのことで、平成ガメラはスタッフにしても発想にしてもアニメと切っても切り離せないなと思いました。伊藤さんがやられた『機動警察パトレイバー the Movie』が1989年に、『機動警察パトレイバー 2 the Movie』が1993年にありました。絵的には宮崎駿さん、構成とストーリー的には押井守さんと伊藤さんの遺伝子を継いでいると思うんです。

 

伊藤氏:樋口監督はアニメもやっているんで、絵づくりがアニメっぽいところはあるかもしれません。平成ガメラをやるまでは『八岐之大蛇の逆襲』(1984年に製作された自主映画作品)の特技監督をやったぐらいで、特技監督として大きな仕事としては平成ガメラが初めてだったと思うので、最初はアウェー感があったと思うんです。どの辺からしっくりいくようになったのかと樋口監督に聞いたことがあるんです。昨年、トークのときに聞いてみたんだけど、のらりくらりかわされちゃって(笑)。

 

しかし、そのしっくりいくようになったというタイミングを伊藤氏は樋口監督から聞いておられました。

 

伊藤氏:吊り橋のシーンで、吊り橋のミニチュアがあまりに小さかったので大丈夫かなと思っていたんです。ギャオスが旋回するシーンを撮るときに、(カメラの)手前に大きいギャオスをフレームイン、フレームアウトさせて、奥に小さいギャオスをフレームイン、フレームアウトさせるというのをやったんです。現場では上手くいくのかよ、という雰囲気だったらしいんですが、ラッシュを見たら上手くいっていたんですね。それから流れが変わったって樋口監督が言っていました。

 

井上氏:それもアニメ的絵づくりだと感じますね。

 

 

そして話は伊藤氏、樋口真嗣氏、三池敏夫氏らも参加した『ウルトラマンパワード』(日本では1995年に放送)の話題に。

 

井上氏:『ウルトラマンパワード』なんですが……。

 

伊藤氏:アメリカで大変苦労したという(笑)。

 

井上氏:そのフラストレーションというか反動で、平成ガメラがうまくいったんじゃないかと。

 

伊藤氏:その辺はよくわからないけど、今でこそハリウッドにも怪獣をわかる人はいるけど、あの頃は“怪獣”という概念がそもそもない時代だったので、その辺で苦労したっていうのもあると思いますね。(現場にいた)樋口監督は何もさせてもらえなかったし、何も口出せなかったと言ってましたね。

 

井上氏:それがあったからこそ、(平成ガメラで)ミニチュアセットを作り込もうというフィードバックがあったのかもしれませんね。それを考えれば、逆説的に『ウルトラマンパワード』の功績かもしれません。

 

伊藤氏:『ウルトラマンパワード』がなかったら(伊藤氏が)樋口監督と一緒に仕事していないかもしれませんしね。

 

 

そして第1作『ガメラ 大怪獣空中決戦』、第2作『ガメラ2 レギオン襲来』(1996年)について。井上氏から伊藤氏に質問もありました。それらを抜粋して紹介します。

 

伊藤氏:『ガメラ1』のときの(特撮班の)プロデューサーの土川勉さんが、「特撮がいつ終わるかわからない」って頭を抱えていました。

 

井上氏:この作品は、本編を先に撮ってから合わせて後から特撮部分を撮ったんですか?

 

伊藤氏:(特撮は)大きいセットを組むのではなく、カットごとにセットの配置換えをしているので、すごい時間がかかります。1日1カットしか回らなかった日があったというのは聞いてます。

 

井上氏:調べ直してみたら、東京タワーのシーンも一回撮り直していたということだそうなので驚きました。普通ああいう大きな壊しものは一発撮りなんですよね。

 

伊藤氏:『1』の頃はまだCGもそう使える時代じゃなかったので。

 

井上氏:東京タワーだけじゃなく、都市破壊の部分でも『パトレイバー』とつながっていると思うんですが、伊藤さんはひたすら都市を破壊するという点で、どうやったらビルが倒れるかというのを研究されてましたよね?

 

伊藤氏:してたかもしれない(笑)。都市機能を麻痺させる、停止させるためには何を壊せばいいのか(笑)。

 

井上氏:テロリスト的な(笑)。でもそういうところが第一作に跳ね返ってきているんだなぁと思いました。

 

伊藤氏:シミュレーションムービーとしては、『ガメラ2 レギオン襲来』の方が濃いですね。

 

井上氏:そうですね。『2』と言えば生態系から怪獣を発想するというのは、観ていて感動しましたね。

 

伊藤氏:大変でした。

 

井上氏:まず、アリの研究からだったんですよね?

 

伊藤氏:そうです。アリの本を読んでこれで行けそうだと思って、補強のためにハチの本を読もうと思ったんですが、時間がなくでできませんでした。

 

ミツバチの生態がヒントになって、ソルジャーレギオンのイメージができたエピソードを伊藤氏が語られました。

 

井上氏:だから大きいレギオンより、集団の小さいレギオンに弱いということなんですね。

 

伊藤氏:そう、だから数でこられると負けちゃう。

 

井上氏:草体との共生もアリを研究してからですか?

 

伊藤氏:研究(笑)……そうですね。

 

 

井上氏:『2』では一作目からのメインキャラクターとしては、浅黄ちゃんだけですよね?

 

伊藤氏:浅黄と浅黄の同級生ですね。

 

井上氏:他の人間は出そうと思わなかったんですか?

 

伊藤氏:『2』はちょっと毛色の違うものにしようと思っていたので、『1』は引きずらなかったですね。

 

井上氏:浅黄がちょっと大人になっていて、ガメラとのシンクロ率が弱くなっいているのが観ていてたまらない気持ちになりました。

 

伊藤氏:あなた、そういうの好きだねぇ(笑)。ガメラが浅黄との絆を断つ話ですからね。勾玉が壊れちゃうし。

 

井上氏:断たせようというのは最初から決めていたんですか?

 

伊藤氏:『2』を書き始める前にそれは決めていました。

 

井上氏:金子監督と打ち合わせして決めてたんですか?

 

伊藤氏:勝手に決めてました(笑)。

 

 

井上氏:『2』のときに3作目は決まっていたんですか?

 

伊藤氏:まだ決まっていませんでした。『1』が好評だったので『2』があるらしいよ、って早いうちから話があったんだけど、そのときに自分が調子に乗って「じゃあ3部作だね」って勝手に言ってただけです。

 

井上氏:でもキャラクターが前の作品から連続して出てくると嬉しいじゃないですか。

 

伊藤氏:むしろ『3』が『1』直結の続編ですね。

 

井上氏:長峰真弓とか出できますからね。

 

 

そして井上氏が伊藤氏に一番聞きたかったことが多かった第3作目の『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』についての深いトークが始まりました。かなりぶっちゃけた内容で、ここでは紹介できない裏エピソードも多々あるので、ここはトークを生で聴かれたみなさんだけのシークレットということで、一部だけの紹介にさせていただくことをお許しください。

 

井上氏:『2』のガメラの着地のシーンは、スライドしながらのところはかっこいいなぁと思ったんですが、あれは苦労して撮られたんだろうなぁと思ったんです。『3』は京都の街にくるところは工夫して撮られてるなぁと思いました。

 

伊藤氏:『3』はとにかく画が綺麗。それも愛着がある一つの理由かな。

 

井上氏:比良坂綾奈のストーリーラインと、長峰側の視点と、朝倉美都と倉田真也のラインがあって、もう一つ柳星張の話があって、それぞれが魅力的なんですが、尺の問題もあってか、いい意味で(笑)絶妙なバランスの悪さというか……。

 

伊藤氏:いい意味ではないですよ(笑)。最初は観ていて苦痛だったんですよ、そのバランスの悪さが。でもBlu-rayが出たときに観直したら、意外とかわいらしい映画じゃんと思うようになって、そこから見方が変わってきた感じがしました。

 

井上氏:私も最初に観たときは、うーん苦しいなぁ、と思ったんですが、あとで観直したら妙に中毒性のある映画だと思いました。何度観ても飽きないですね。

 

 

井上氏:最終決戦の場所は、最初は清水寺を舞台に考えていたそうなんですが、あまり画にならないので、樋口監督ができたばかりの京都駅で撮ろうと言われたそうですね。屋内で怪獣が戦うというのは新鮮でしたし、ビジュアルが素晴らしいですね。未だに京都に行くとホテルグランヴィア京都に泊まって駅を見ながら「ここにイリスが入ったのかぁ」と毎回感動しています(笑)。

 

伊藤氏:『1』で小さいギャオスを福岡ドームに入れるじゃないですか。あれの発展形的な感じで、駅の中でやるのは面白いなと。京都駅の構造自体が面白かったんですよ。空中回廊が通っていたりして。使ってくれと言わんばかりの建物だったんで。

 

 

井上氏:四神(青龍・白虎・朱雀・玄武)の設定を聞いたときにはすごく夢が広がるなぁと思ったんです。白虎はジャイガーじゃないの? 青龍はバルゴンじゃないの? とか(笑)。伊藤さんが書かれたときはどういうイメージだったんですか?

 

伊藤氏:玄武と朱雀だけで充分力尽きました(笑)。四神で言うと、真ん中もあるんです。

 

井上氏:麒麟とかですね。

 

※編集部注
四神は東の青龍、南の朱雀、西の白虎、北の玄武ですが、五行説に照らし合わせると中央に麒麟や黄竜を加え数を合わせて取り入れられています。

 

伊藤氏:浅黄、黄色じゃん。

 

井上氏:あーなるほど。

 

伊藤氏:じゃあそれを書くかと言われても書かないけど(笑)。

 

井上氏:また夢が広がってしまったなぁ。

 

 

続いて進行役の中村氏から、平成ガメラを作ることになったときに井上氏はガメラの設定についてどのように受け止められたのか質問。『小さき勇者たち~ガメラ~』(2006年)についてのトークへと変わっていきます。

 

井上氏:子ども向けにしない方がいいと思いました。平成ガメラはそれこそ大人が見たかったものとして観て感動しました。トト(『小さき勇者たち~ガメラ~』)のときはまだKADOKAWAが親会社になったばかりの頃で(当時は大映映画)、頑張っていた人たちがもう一回子ども向けにしたいということだったんですが……。

 

伊藤氏:あれは我慢できるというか。

 

井上氏:結果的には良質なジュブナイルになりましたね。

 

伊藤氏:ファミリー層向けだけど、そんなに子どもに媚びてはいないので。

 

井上氏:どちらかというとヒロインの夏帆ちゃんをもっと出してほしかったなぁと。

 

伊藤氏:それはあなたの好み(笑)。

 

井上氏:ジーダスも結構好きなんです。もっといろんな人にトトを見てもらいたいなと思います。ジュブナイル映画ってこんな感じなんだなぁと思ってもらえると思うので。

 

 

トークの内容はガメラの敵怪獣についてになります。

 

井上氏:レギオンは造形もそうですし、大きさの違う怪獣が結構好きなんです。打ち合わせをした感じのしない大きさの怪獣が良くて。『ガメラ対バルゴン』が好きなのは、バルゴンが体が長いので、普通にやったらガメラは勝てないなみたいなビジュアルなんだけど、ワニ系の怪獣のくせに水に弱いとか(笑)。こんな勝ち方があるのかと子ども心に愕然とした思いがあるんです(笑)。

 

井上氏から伊藤氏がガメラの前に『ウルトラQ』に参加するかもしれなかったというエピソードを出され、話題はマンモスフラワーへ。

 

井上氏:マンモスフラワーが発展して『2』の草体になったみたいな?

 

伊藤氏:あれはもう何をどうやってもマンモスフラワーになっちゃうんです(笑)。途中開き直ってああしたんです。

 

 

そのあとは、他作品の話題がいくつかあり、続けて猫好きの伊藤氏とイリスとのつながるエピソード、伊藤氏のシナリオについての井上氏の印象のお話になります。

 

井上氏:伊藤さんは有名な猫好きですが。

 

伊藤氏:最近は犬もいけます。

 

井上氏:イリスを最初に猫の名前にしようとしたのは伊藤さんですよね。

 

伊藤氏:そうです。

 

井上氏:猫の名前にした方が面白いと?

 

伊藤氏:そうそう。静寂の世界の描写があるじゃないですか。あのときに猫が置物になっているんですが、命のない世界をイリスは望んでいるんだ、というのをわかりやすくするのに猫の置物がいいのかしら、と。

 

井上氏:IQが高いですね(笑)。でもそれはわかりやすい例えですね。

 

伊藤氏:そこで初めて綾奈は拒否反応を起こすわけです。

 

井上氏:誰もいない世界で、印象に残りますね。あの置物は美術から持ってきたものですか?

 

伊藤氏:だと思います。

 

井上氏:伊藤シナリオで私が大好きなところは、プロフェッショナルがプロフェッショナルらしくするところです。『1』の好きなシーンでは、最初にギャオスが飛び立ったところで、ヘリコプターのパイロットが「いきます!」と。あの職業意識というか、あそこはめっちゃかっこいいですね。最初に観たときはしびれました。ああいうひとつひとつのプロフェッショナルの具体的な描写が伊藤シナリオの特色だと思います。

 

伊藤氏:たぶん自分がプロフェッショナルを好きだからだと思います。

 

井上氏:普段からいろんなプロフェッショナルな方を注視しているんですか?

 

伊藤氏:注意はしていないけど、自分はプロであり続けたいと思うし、仕事に誇りと責任を持っている人ってかっこいいじゃないですか。そういうものへの憧れもありつつ、できるだけ要所要所で拾っていこうっていうのはあります。

 

井上氏:『3』ですと、大迫ですか。ホームレスをしていて、長峰に再び出会って、仮設の居酒屋でビールを飲んでいるんですが、翌日からプロの刑事の顔になる。あそこの切り替えですね。守部少年を保護したり鼓舞したり、刑事のスキルを発揮する。そういうところもいいですね。

 

伊藤氏:『1』での大迫を見て、これで終わらせるのは、このキャラはもったいないなと思ったんです。だから『2』と『3』は完全に当て書きしています。前にもどこかで言ったけど、『1』のときに大迫を東京に連れてこなかったのが残念で、東京に連れてきたかったんです。それは後になって思いました。

 

井上氏:もし連れてきたらどんな役をさせたんですか?

 

伊藤氏:たぶん長峰の助手的な役でしょう。腐れ縁的な感じで。

 

井上氏:それも見たかったですね。

 

 

このあと、劇中で水中戦がなかった点については、平成ガメラは誰の視点なのかを大事にしてきたので、「誰が見ているのかわからない」という視点になる水中戦はやめた方がいいという伊藤氏の意見が語られました。

 

井上氏:イリスはデザイン的に水中戦仕様を考えて作られたのかなというところもあります。

 

伊藤氏:どうなんだろうな。二足歩行だからね。イリスのデザインだと、満月の前にフワって出てくるシーンがすごい綺麗ですね。

 

井上氏:映画の象徴的なシーンですね。

 

伊藤氏:『1』だと東京タワーに居座るギャオス。『2』だと炭化したガメラ。『3』は満月の前のイリス。

 

井上氏:それぞれ代表するカットが平成ガメラにはあるってことですね。

 


 

進行の中村氏から2015年「ガメラ」生誕50周年記念映像『GAMERA』についてその後について井上氏に質問がありました。

 

その映像の中で、ギャオスが大量に出現する場面があり、伊藤氏から平成ガメラシリーズに直結しているように思える部分について疑問がありましたが「話は全然違うんです」と井上氏は答えられました。

 

伊藤氏によると、ギャオスの大量発生は、元々は別企画で考えていたアイデアだそうです。樋⼝監督の「やっちゃいましょう」ということで『3』のときに採用されたとのことです。50周年記念映像『GAMERA』について井上氏は「本編を一本作るのは大変なんです。いまちょっとお休みしているところです」と答えられました。

 

このあとは、『3』のラストに登場したギャオスの大群は第一波で、そのあと第二波、第三波があると伊藤氏は語られました。いくつか他作品についてのことやアニメと実写の関係性など、お二人の興味深い意見が交わされました。

 

 

最後に井上氏からは、ご来場の皆さんへの感謝と、「平成ガメラ」で美術を担当した三池敏夫さんが特撮・VFX監督を務める3月6日公開の映画『Fukushima50』のPRがありました。伊藤氏からも皆さんへご挨拶。

 

伊藤氏:令和になってもまだ平成ガメラを愛してもらえるんだな、ということをとてもうれしく思います。今日はありがとうございました。

 

盛大な拍手の中で、ガメラファンにとっては貴重な思い出となる「特撮のDNA」展開催記念スペシャルトークライブは終了しました。

 

 

「特撮のDNA」展は2020年1月26日(日)まで開催中です。ガメラファン必見の貴重なプロップや資料が盛りだくさんで展示されていますので、まだご覧になられていない方はお見逃しなく!!

 

 

DATA

「特撮のDNA-平成ガメラの衝撃と奇想の大映特撮」

  • 開催日程:2019年12月13日(金)~2020年1月26日(日)
  • 開催時間:11:00~19:00 (土・日・祝は10:00開場/最終入場18:30)※最終日は16:30最終入場/17:00閉館
  • 開催会場:日本工学院専門学校 12号館1F ギャラリー鴻
  • 住所:東京都大田区西蒲田5-23-22
  • 交通:JR京浜東北線、京急多摩川線・池上線「蒲田駅」西口徒歩2分
  • 入場料金:入場料は、下記公式サイトをご覧ください。

 

(C)KADOKAWA NH/1995
(C)KADOKAWA NHFN/1996
(C)KADOKAWA TNHN/1999
(C)「小さき勇者たち〜ガメラ〜」製作委員会
(C)特撮のDNA

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