『キャプテン・アース』デザインの現場 柳瀬敬之(その1)

更新日:2014年8月25日 16:35

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『キャプテン・アース』に深く関わるデザイナーの皆さんに本作品をデザインという視点から語っていただく「デザインの現場」。第3回は天狼星や猛攻兎など、地上戦を彩ったマシングッドフェロー(MGF)を担当した柳瀬敬之氏でお贈りします。実はMGF以外にも多くのデザインを手がける柳瀬氏の想いをここに。

 

インタビュー:電撃ホビーマガジン編集部(2014/7/2)

※インタビューで語られる画稿は電撃ホビーマガジン2014年9月号に掲載されています。

 

<PROFILE>

コヤマシゲト(こやましげと)
デザイナー。1975年/東京都出身。04年、OVA『トップをねらえ2!』に参加したのをきっかけに、多数のアニメ作品にかかわる。五十嵐卓哉監督作品では前作『STAR DRIVER 輝きのタクト』のサイバディデザインに引き続き、『キャプテン・アース』ではエンジンシリーズデザイン・メインデザインワークスを担当する。

 

柳瀬敬之(やなせ・たかゆき)
メカニックデザイナー。1974年/京都府出身。ゲームでのデザイン業を経て、独立。『交響詩篇エウレカセブン』から、アニメにもデザイナーとして本格的に携わる。代表作に『機動戦士ガンダムOO』シリーズのMSデザインなど。現在、ガンダムエースで連載中の『機動戦士ガンダム逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』にも参加している。

 

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『メカをデザインしたら、その格納庫までデザインしたい性分なので。

 

―柳瀬さんがデザイナーの道へ進んだきっかけは、なんでしょうか。

 

柳瀬敬之(以下、柳瀬):最初は建築系の会社に就職していたんですけど、「この業界はあわへんな」と3ヶ月で辞めたんです(笑)。それから漫画家になろう、と東京に出てきたんですが、この頃は1年半くらいで職を変えてましたね。

 

―どのような仕事を?

 

柳瀬:まず、本屋のアルバイトを1年半。それからドリームファクトリーというゲーム会社で3Dモーションの仕事を1年半ほどやってから、同じゲーム会社のフロムソフトウェアに転職しました。

 

―ゲーム業界が多いんですね。

 

柳瀬:でも、そこも2年弱くらいで辞めてしまって、そこからはもうフリーですね。その後「ガンダムエース」で美樹本(晴彦)さんのアシスタント業を紹介してもらいましたが、そこから今度は美樹本さんに出渕(裕)さんを紹介していただいたんです。その時に「何かありましたらお願いします」と言って今までの作品を出渕さんにお渡ししたんですが、もうガッチガチに緊張しました(笑)。

 

―美樹本さん、出渕さんといったらもう大御所ですもんね。

 

柳瀬:そしたら出渕さんが『交響詩篇エウレカセブン』と漫画版『MS IGLOO』を紹介して下さったんです。それがアニメのデザイナーとして最初の仕事になりますね。『エウレカセブン』の時に、武半(慎吾)さんにゼロからデザインを教わったのですが、あの時は本当に勉強させてもらいました。

 

コヤマシゲト(以下、コヤマ):武半さんは「設定はこう描かないと伝わらないよ」っていう、テクニカルなところを全部教えてくれましたね。むしろ僕の方は『エウレカセブン』では主にキャラやプロップのお手伝いをさせて頂いてたので、吉田(健一)さんにいろいろと教わりました。で、柳瀬さんとはその後、しばらく一緒の作品をやる機会がなかったんですよね。そういえば今回は、アースエンジンのコクピットの設定を、齋藤(将嗣)君という新人のデザイナーに手伝って貰っていて、ぼくもあれこれと教えながらやってるんですけど、やっぱり彼も初めてチャレンジすることが多いのでなかなか上手く行かないこともあるんです。そんなとき、打ち合わせで柳瀬さんが「こういうところをしっかり描くといいよ」とアドバイスしてくださってて。丁度『エウレカセブン』のときとまったく同じ構図なんですが、ああ、代が変わったな、って(笑)。

 

柳瀬:そうですよね、変わってますよね。もう10年経っちゃってるから。恐ろしい話ですよ。当時の武半さんと、いまの僕が同じくらいの年齢ですから。

 

コヤマ:時間の流れを思うとひっくり返っちゃいますよね(笑)。

 

―『キャプテン・アース』にはどういった経緯で関わることになったのでしょう。

 

コヤマ:企画初期の、今回のデザイナーを誰にお願いしましょうか、という打ち合わせを五十嵐監督や榎戸さんとしていた時期に、僕としては柳瀬さんにまた参加してもらえるなら、もっと大きいセクションのデザインしてもらえないか、と思っていたんです。前回の『STAR DRIVER』では”電気棺”周りだけだったので、もったいない! という気持ちが強かったので。劇中の勢力が分かれているなら、その一方は柳瀬さんにやってもらえないかな、と。キルトガングの地上版がマシングッドフェロー(MGF)だから、柳瀬さんと浅井さんのつながりを考えると、そこもリンクして面白いんじゃないかな、という気もして(笑)。そういう経緯があって、今回は柳瀬さんにお願いしたい、と。

 

―浅井さんとのリンクですか?

 

コヤマ:浅井さんと柳瀬さんはかなり昔からのお知り合いなんですよね。

 

柳瀬:高校生だった頃に地元のガレージキットメーカーであるボークスでアルバイトをしていたのですが、そこで原型師として研修中だったのが浅井さんだったんです。一時期ですが、一緒に商品の箱詰めもしていたんですよ(笑)。

 

―柳瀬さんは、MGFを含めるマクベス・エンタープライゼス側の多くをデザインされていますね。

 

コヤマ:柳瀬さんのデザインが持ってる硬質なラインは、高倉(武史)さんのラインともちょっと違うので、敵側をデザインしたらカッコ良いな、ということでお願いしました。最初はMGFだけだったのですが、それを運用するトレーラーや格納庫、マクベス・エンタープライゼスのビルとか、結果的にじわじわと柳瀬ワールドが広がる感じでデザインして頂きました。

 

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柳瀬:メカをデザインしたら、その格納庫までデザインしたい性分なので仕事としてはすごく楽しかったですね(笑)。

 

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(8月12日につづく 1/4)

 

<関連情報>

キャプテン・アース公式サイト

その1:『メカをデザインしたら、その格納庫までデザインしたい性分なので。』

その2:『この作品は手描きの持ち味を大事にしていますから、そこにはとても気を使いました。』

その3:『運用面では意外と考えて設定させてもらいました。』

その4:『コンテや演出だけでは作れないその世界で違和感のないモノを作る。』

 

(C)BONES/キャプテン・アース製作委員会・MBS

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