『機動戦士ガンダムNT』のBlu-rayが5月24日発売!記念企画第1弾 脚本 福井晴敏氏スペシャルインタビュー!

更新日:2019年5月21日 18:06
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2018年11月に劇場公開された『機動戦士ガンダムNT』。宇宙世紀を舞台とする完全新作映画として制作された本作は、『機動戦士ガンダムUC』の1年後を描くと同時に、「UC NexT 0100」プロジェクトの第1弾となる作品です。今回は、2019年5月24日(金)のBlu-ray&DVDの発売を記念したインタビュー第1弾として、脚本を手がけた福井晴敏氏にお話を伺いました。

 

『機動戦士ガンダムUC』から『機動戦士ガンダムNT』へ。ニュータイプ神話、そして宇宙世紀の行く末とは?

 

とにかく走り抜けることに専念しました

 

――今回の『機動戦士ガンダムNT』(以下『NT』)は『機動戦士ガンダムUC』(以下、『UC』)の一年後となる宇宙世紀(U.C.)0097年が舞台ですが、前作の直後をストーリーの始点にされた理由をお聞かせください。

 

福井晴敏氏(以下、福井):U.C.0096はもうファンに馴染んだ年代なので、次の話を始めるには、翌年のU.C.0097だと一番わかりやすいかな、というのが理由のひとつです。あとは主人公のヨナやほかの登場人物の年齢設定を考えた際に、この年代だと都合がよかったというものあります。U.C.0097より後の時代になると冒頭のシーンのように、一年戦争の開戦時に子どもではなくなってしまうんですね。そうした年齢設定や前作との繋がりを考えると、このあたりかな、と。あとは、1年後だと、本作にも登場するバナージたちの新しいキャラクターデザインを起こさなくて済む、という消極的な理由も……(笑)。

 

――小説『不死鳥狩り』と本作では、かなり要素が変更されていますが、それは意図的なものでしょうか?

 

福井:小説の『不死鳥狩り』は、『UC』の裏で起こっていた話です。もともと『NT』の企画は「ユニコーンガンダムの立像も建つことだし、新作を1本作ろう」というところから始まったんです。そのタイミングで『不死鳥狩り』の映像化の話を持ち掛けられました。たしかに設定もある程度決まっていますし、時間もそれほど長くなる作品ではないんですが、アニメになるということは、それが「正規のストーリー」になってしまいます。これから次に繋げていこうというタイミングで「外伝を作っている場合じゃない!」というのが自分の感触でした。そこで、『不死鳥狩り』をベースにした続編にすることを決めたんです。そうして登場する旧作のキャラクターや黒幕など、色々な要素を盛り込んでいった結果、『NT』が小説の映像化ではなく、完全新作となったんです。

 

――それほどのボリュームのものを90分にまとめる、というのは相当大変だったでしょうね。

 

福井:実際、書いているときは90分では無理だな、と思っていました。吉沢俊一監督のスピード感だからこそ、あのボリュームのストーリーを90分にまとめられたのだと思います。複数のことが同時に起こっているというのは、シナリオ段階から盛り込んでいましたが、それぞれの要素を際立たせようとすると時間がかかってしまう。でも、要素だけ伝われば、あとは見た人の頭の中で膨らんでいくから何とかなる。初めて見ると、ついてこられないかもしれないけど、二度見れば絶対伝わるという自信はあったので、とにかく一気に走り抜けることに専念しました。だからこそ90分に収まったんでしょうね。そういう意図もあったから、ある種のジェットコースター的な雰囲気は出せたのだと思います。スピード感とテンポ感もシナリオの段階からもちろん盛り込んでいました。それでも、90分はちょっと無理だと思っていたので、結果に自分でも驚いています。『UC』と比べてもテンポが早いのは、意図したことではなく、そうせざるを得なかった結果とも言えます。でも、『NT』をじっくりやっていたら重たい話になっていたかもしれませんから、結果的にこれでよかったのかもしれませんね。今度出るBlu-rayはすごく変わってグレードアップされていますから、楽しみにしていてください!!

 

――制作にあたって、吉沢監督とどのようなやり取りをされましたか?

 

福井:「こういう感じでやろうと思う」ということに対して、そのままやらせてくれた感じですね。吉沢さんは前作の登場人物が出てきたときに、今回の主人公たちの存在が希薄になることを危惧していたので、そこはすごく気を付けました。だから、バナージが登場しても揺るがないほど、ヨナたち3人の物語を積み上げて、カメラもあの3人から離れないようにしました。

 

――カトキハジメさんとはどうでしたか?

 

福井:カトキさんとのやり取りはそれほどありませんでした。でも、ナラティブガンダムが「やせっぽちのガンダム」というところに対しては抵抗があったようです。そこで、どう格好良くするか話し合った結果、「着せ替えガンダム」というコンセプトになりました。特に最後に登場したC装備(サイコ・パッケージ)は、最初は骨組みだけになる予定でした。でも、自分の想定としては「ナラティブガンダムはユニコーンガンダムの弟」であるというイメージだったため、それがはっきりわかるビジュアルが欲しいという意見に対して、カトキさんがマスターグレードのユニコーンガンダムのサイコフレームを外装として貼ったものを作ったんです。それだと「予備資材で作った」という設定にも合いますし、見た目の説得力とインパクトもありました。サイコフレームの色については、自分の中では赤しか考えられなかったから、それを採用しました。

 

あの時点で宇宙世紀の物語は終わっていたと思う

 

――「UC NexT 0100」プロジェクトに繋がる宇宙世紀の歴史において、本作はどういった立ち位置の作品だとお考えでしょうか。

 

福井:一番手ですね。『UC』を起点に考えると違ってきますが、このプロジェクトを立ち上げての第1弾が『NT』であることは間違いありません。なので、第1弾にふさわしい内容にしようと心がけました。実は「UC NexT 0100」という言葉は『NT』を作っている最中に出てきたんです。だから、一年戦争の振り返りのような出だしも、意識したわけではありません。でも、結果的に「これだけ見てもわかる、数少ないガンダム」になったのではないでしょうか? 『UC』の方が話の流れなどは丁寧に作っているつもりですが、「ガンダム」を何も知らない人が初めて見たときに『UC』より『NT』の方が分かりやすいのではないでしょうか。『UC』は、「ガンダム」を知っていたらもっと楽しめる、余白みたいなものがあるのかもしれません。

 

――今作は『UC』と同じく、「ニュータイプ」という存在に一歩踏み込んだ作品と言えますが、ニュータイプにこだわられる理由は?

 

福井:一歩どころかダイブしてますよね(笑)。『UC』の最後をああいう風に描いた以上、それをなかったことにして続きを始められません。電気や核エネルギーがある中で、人間の精神のエネルギーを物理的な力に転化するというテクノロジー――サイコフレームがサイコミュの開発をしているうちにできてしまった。コックピットの周囲に入れただけで、アクシズを押し戻すほどの力を発揮する素材で、MSを作ってみたらとんでもないことになった。ユニコーンガンダムは腕の一振りだけでエンジンを解体したり、時間を巻き戻したりするという、人類の想像を絶するパワーを発揮しましたよね。結果的にバナージが戻ってきたからよかったですが、あのままユニコーンガンダムと一体化していたら、あの時点で宇宙世紀の物語はおそらく終了になっていたと思うんですね。地球圏の全兵器を使えなくすることもできるし、過去に戻って争いそのものをなくすこともできる。でも、そんなことをやられた日には、世界はめちゃくちゃになってしまいます。おそらく今の三次元プラス時間というものすら維持できなくなる可能性もある。あの時代に生きている人たちにとってはアクシズ・ショック以上の脅威になっただろうし、みんな血眼になってその元を探したんだろうな、というところまで想像を膨らませて、それに小説の『不死鳥狩り』を合体させたら今回の話になったという感じです。サイコフレームやユニコーンンガンダムというのは、一歩間違えたら次元そのものが崩壊する代物です。だから、それを封印するためにフェネクスを使うし、最終的にフェネクスが力を発揮できるように時をさかのぼって、ヨナやミシェルにも種をまいておいた、というのが『NT』の話なんです。そう考えると、実はものすごい「SF」なんですよ。オカルトっぽく見えるんですが、一作目の『機動戦士ガンダム』から「ガンダム」の世界において魂は存在するということが描かれています。それをさらに一歩踏み込んで、設定を考えたうえで今回、「あの世からの介入」を描いてみました。

 

サイコフレームがあったおかげで、あの世からの物理的な介入が可能になった

 

福井:今までの「ガンダム」でのSFらしさというと、ミリタリズムと混同されていた部分も大きかったと思います。でも、宇宙を舞台にしたSF作品として考えると、立派なサイエンス・フィクションですよね。死んだ人が生きている人に語りかけるシーンが描かれていながら、それを突き詰めていなかった今までの方がファンタジーな状態に置かれていたわけです。死んだ人の幻を見て勇気づけられるとか、マンガやドラマの演出と混同しているから「それもアリだろう」ってなっていたんです。そうしたものと『機動戦士ガンダム』が決定的に違うのは、ララァの声を聞いたおかげでアムロはホワイトベースの全乗組員を脱出させられたし、『機動戦士Zガンダム』でもZガンダムが本来の出力以上のビームを発生させて敵を倒している。つまり、「あの世からの物理的な介入」というのが『機動戦士ガンダム』の時点から描かれているんですよね。その段階の先として、今回のフェネクスという存在あり得る、という発想ですね。サイコフレームというものがあったおかげで、それを器としてあの世からの介入が可能になった。本当にSFとして作られていながら、その部分は『機動戦士ガンダム』の頃から隠していたんですよね。

 

――『UC』や『NT』では、ニュータイプが突き詰められていきましたが、この先、どう描かれるのでしょうか?

 

福井:ゾルタンの乗ったIIネオ・ジオングが封じられて、これでめでたしめでたしのはずなんです。でも、解体されたはずの1号機が残っていることが最後に明らかになってしまいましたからね。今後1号機をどうするかが焦点のひとつになるでしょうね。1号機と2号機――バンシィ――は、封印、解体するという約束をビスト財団と地球連邦は取り交わしています。実際、立会いの下、封印、解体したとも言っていますが、実際はそうではなかった。だから、当然バンシィも残っているでしょうね。そこは「そう(解体する)は言ったけど取っておこう」ってなったんじゃないですか(笑)。でも、それは多分、連邦政府の偉い人も知らないってことで、今回はBlu-rayの豪華版の方にはドラマCDも付けるんですけど、ローナン・マーセナス(リディの父)でさえもよくわかってないみたいなところも少しですが描かれています。だから、今後、ユニコーンガンダムやバンシィがどうなったかということもどこかで描かれるかもしれませんね。

 

 

『NT』から10年以内に何かあったんじゃないのかな

 

――宇宙世紀も100年を過ぎると「ニュータイプ」という言葉が使われなくなりますが、そこについても何らかの決着がつけられるのでしょうか?

 

福井:「ジオン」という名称も使われなくなりますね。本作の3年後のU.C.0100にはジオン共和国は自治権の返還が決まっています。それを目前にして今回登場したモナハン・バハロはイニシアチブを取りたいと思っているはずです。その手段としてサイコフレームを利用する可能性は大いにありますね。ミネバはそれを食い止めようと思っているはずなので、そのあたりの衝突やせめぎあいはあるはずですよ。歴史の中に「ジオン」が埋もれていったのと同じく、「ニュータイプ」というのも、思想そのものが捻じ曲げられて「パイロット属性のある人」のことになっていた。そうなった理由はわかりませんが、もはや本質にたどり着けなくなっている。これはよっぽどの強権を発動して思想狩りをしなければそうはならない。でも、宇宙へ出た側への管理すら出来ていない連邦政府にそれはできないでしょう。となると、もうその言葉を口にしたくもない、耳にもしたくないというような恐ろしい出来事が、どこかで1回起きたのかもしれませんね。そう考えると『NT』から10年以内に何かあったんじゃないのかなって。たぶん、ジオンの自治権返還前後でしょうね。だから、今回の話は第1弾というか、終わったかと思いきや……なんですよね。

 

本能的にシャットアウトしたくなるようなことが起こる……かもしれません

 

――では、本作を起点として「10年以内」にも、ニュータイプが物語の中心としてなんらかの役割を担う、ということでしょうか?

 

福井:「NT(ナラティブ)」という名前自体が「ニュータイプを物語る」というダブルミーニングで、今回だけのものになっています。実存が明らかになったニュータイプやサイコフレームというのが何を引き起こすのかが、今後の焦点のひとつになっていくでしょうね。それまで仮にも「ニュータイプ」というのはジオン・ダイクンの思想で、スペースノイド独立のための礎として、ジオニズムの根幹だったものじゃないですか。それを誰もが口にしなくなったというのは、一度怖いこと、恐ろしいことを目の当たりにすると、情報など統制するまでもなく忌避されていくというのを、われわれは実際に例として見ているわけなので。本能的にそれをシャットダウンしようというね。……何が起こるんでしょうね(笑)。

 

 

>>機動戦士ガンダムNT Blu-ray発売記念インタビュー第2弾 監督 吉井俊一氏 編はこちら<<

 

DATA

機動戦士ガンダムNT Blu-ray特装限定版

  • スペック:173分[本編BD約95分(本編約89分+映像特典約6分)+特典BD:約78分]、カトキハジメ描きおろしスリーブケース、金 世俊(アニメーションキャラクターデザイン)描きおろしジャケット
  • 価格:9,800円(税別)
  • 特典:ドラマCD、本編原画集(48p)、完全設定資料集(32p)、特製ブックレット(16p)
  • 映像特典内容:『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』トレーラー、PV①、劇場特報、劇場本予告、ロングPV、CM集
  • 音声特典内容:DTS Headphone:X(本編音声)、スタッフ&キャストオーディオコメンタリー
  • 特典Blu-ray DISC内容:「公開目前イベント~PRELUDE TO NARRATIVE~」トーク&ライブパートダイジェスト、初日舞台挨拶、ゾルタン様の3分でわかる宇宙世紀!
  • 2019年5月24日(金)発売予定

 

DATA

機動戦士ガンダムNT Blu-ray通常版

  • スペック:95分[本編約89分+映像特典約6分]、カトキハジメ描きおろしスリーブケース、金 世俊(アニメーションキャラクターデザイン)描きおろしジャケット
  • 価格:7,800円(税別)
  • 特典:特製ブックレット(16p)
  • 映像特典内容:『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』トレーラー、PV①、劇場特報、劇場本予告、ロングPV、CM集
  • 音声特典内容:DTS Headphone:X(本編音声)、スタッフ&キャストオーディオコメンタリー
  • 2019年5月24日(金)発売予定

 

DATA

機動戦士ガンダムNT DVD

  • スペック:95分[本編約89分+映像特典約6分]、カトキハジメ描きおろしスリーブケース、金 世俊(アニメーションキャラクターデザイン)描きおろしジャケット
  • 価格:6,800円(税別)
  • 特典:特製ブックレット(16p)
  • 映像特典内容:『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』トレーラー、PV①、劇場特報、劇場本予告、ロングPV、CM集
  • 音声特典内容:スタッフ&キャストオーディオコメンタリー
  • 2019年5月24日(金)発売予定

 

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