神出鬼没連載!?ホロライブプロダクションのメンバーが自分の好きなものについてひたすら熱く語るコラム!~第8回・夜十神封魔『とある魔術の禁書目録(インデックス)』編~

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

毎回ホロライブプロダクションのメンバーが登場して、“ジャンルの垣根なし・なんでもアリ”で「自分が好きなものについて熱く語るだけ!」という、オタク全開早口推奨のコラム連載第8回! 今回はホロスターズ所属ユニット「UPROAR!!」のリーダーで妖の万屋、夜十神封魔さんに、『とある魔術の禁書目録』について熱く語っていただきます!

 

夜十神封魔、『とある魔術の禁書目録』を語る!

ホロスターズ所属ユニット「UPROAR!!」の夜十神封魔です! 今回は、僕が大好きなライトノベル作品、「とある魔術の禁書目録」シリーズについて語らせていただきます!

はじめに、「そのシリーズ読んだことないよ!」という方に少し解説をさせていただくと、シリーズの中核である『とある魔術の禁書目録』は、鎌池和馬先生による学園異能バトル小説で、現在58冊(下記参照)も刊行されている超ロングラン作品です。

物語としては、超能力や兵器など、オーバーテクノロジーてんこ盛りの「科学サイド」と、聖書や魔術といったオカルト要素で構成された「魔術サイド」の対立を描く、いわゆる“能力バトルもの”に近い内容で、本当に「男の子の好きなものをぜんぶ詰め込んだような」作品になっています!

 

電撃文庫『とある魔術の禁書目録』既刊状況

2023年9月現在、合計58巻。スピンオフシリーズ(後述)やコラボ作品は含まず。

  • とある魔術の禁書目録:22巻
  • とある魔術の禁書目録SS:2巻(13巻の後日譚などショートストーリー)
  • 新約 とある魔術の禁書目録:23巻
  • 創約 とある魔術の禁書目録:8巻(2023年10月9日現在の最新刊。現行シリーズ)
  • とある魔術の禁書目録SP:1巻
  • とある魔術の禁書目録 外典書庫:2巻

 

さらにスピンオフ作品やアニメ、コミック、ゲーム、ラジオなど多岐にわたって展開していて、それらの総称として『とある』シリーズとも呼ばれています。スピンオフ作品である『とある科学の超電磁砲(レールガン)』や『とある科学の一方通行(アクセラレータ)』は、本編に肩を並べるほど人気のある作品なので、「読んだことはないけどタイトルは知ってる!」という人も多いんじゃないでしょうか?

これらのすべてをあわせると、紙媒体だけでも優に100冊を超えていて、今なおコンスタントに新刊が出続けているという、ファンにとっては非常に追いかけがいのあるコンテンツなんです。

▲いわゆる「無印」から「新約」「創約」と続く『とある魔術の禁書目録』。2023年10月9日現在の最新刊は、同年5月に発売された『創約 とある魔術の禁書目録(8)』。

 

そんな『とある』シリーズに僕がはじめて出会ったのは、深夜に放送していたアニメ版の『とある魔術の禁書目録』でした。アニメを見終わって、続きが気になっていたところに、「どうやら原作小説があって、それで続きが読めるらしいぞ」と知って、それならばと読みはじめたのがハマったきっかけでしたね。

実は僕、『とある魔術の禁書目録』を読むまで、ライトノベルを読んだことがなかったんですよ。そういうジャンルの本があるということも認識していなかったというか、普通の小説との違いもあまりわかっていなかったんです。

それが読んでみたら、会話が多くてテンポよく進むし、挿絵でイメージをつけてくれるから、状況もすごく想像しやすい。さらにメディアミックスで展開しているアニメを見ているから、自然とキャラクターの声が入ってくる……というように、まるでアニメの延長のように読むことができたんです。その「普通の小説とは違う感覚」がとても新鮮で、一気に『とある魔術の禁書目録』、ひいてはライトノベル全体にハマってしまいましたね。

ライトノベルにハマってからは、『とある魔術の禁書目録』だけではなく、『ソードアート・オンライン』『アクセル・ワールド』『魔法科高校の劣等生』『化物語』など、『このライトノベルがすごい!』に載っているような定番作品や、電撃文庫さんの人気どころなどからドンドン読むようになりました。一番読んでいたころは、月に50冊とか読んでいたんじゃないでしょうか(笑)。

作品と一緒にイラストレーターさんのファンになっていったり、帯に「アニメ化決定!」と書いてある作品を読んだときは「このキャラの声優さんは誰になるんだろうな~」と想像したり……。そういうふうに、小説がいろいろなものとリンクしている感じがすごくワクワクしましたね。

さらに言うと、僕は『とある』シリーズにハマるまでは、いわゆるオタク文化にそれほど触れてこなかったんですよ。『名探偵コナン』などは好きでしたけど、作品として好きというか、「〇〇をガチで推してます!」みたいなハマり方ではなかったんです。

なので、『とある』を読んだことで「ラジオもあるのか……」「ボイスドラマっていうのがあるのか……」と、コンテンツの中で枝葉を伸ばしていく楽しみ方を知っていったり、声優さんに興味を持ちはじめたり、推しキャラができたりと、いうなれば僕に「オタクのいろは」を教えてくれた教科書のような作品でもありますね(笑)。

 

瞳の中の「しいたけ」は衝撃でした

そうやってライトノベルにのめりこんでいった僕は、『とある』シリーズに関していえば、現在ではスピンオフや外伝、SS・SPなども含めてすべて網羅しています。作品のイラストレーターである、はいむらきよたか先生の画集まで買いそろえてしまうくらいのハマりっぷりです(笑)。

そんな『とある』シリーズの魅力をあげていくならば、なにより多彩なキャラクターじゃないでしょうか。『とある』シリーズには、鎌池和馬先生の作品のなかでも、一番多いんじゃないかってくらいにキャラクターがドンドン出てきて、毎巻毎巻情報が更新されていくんです。また、そのキャラクターたちがつかう特徴的な語尾や言い回しも「誰が話しているのかが一発でわかる!」と斬新でしたね。「語尾でこんなにも印象が変わるものなのか!」と。

さらに、そのキャラクターひとりひとりが「主人公になれるんじゃないか?」というくらいに設定が詰め込まれていて、奥行きがあり、実際にエピソードの主人公になったりもするんです。たとえば、最初は小者の敵キャラでしかなかった「浜面仕上」というキャラクターが、のちに主人公格で描かれたり、「一方通行(アクセラレータ)」にいたっては、先ほど挙げたスピンオフ作品『とある科学の一方通行(アクセラレータ)』で、本当に一作品の主人公になってしまいました。

特にこの一方通行(アクセラレータ)は、作品の枠を超えて名前が一人歩きするくらいに大人気で、いろいろなところで良くも悪くもネタにされていましたね(笑)。僕も例にもれず大好きなキャラクターで、最初に出てきたときは「これはもう引き返せないだろ……」というくらいにガッツリ悪のポジションだったので、物語が進んで主人公目線にピックアップされたときは、「こんな描き方もあるのか!」と驚いたことを覚えています。「こんな感じのダークヒーローってちょっといないよね」というくらいに振り切れつつ、決して正義のヒーローにはなりきらない……そういうキャラクター描写がすごく魅力的でしたね。

そのほかには「食蜂操祈」という女性キャラも印象的で、このキャラはもう、僕が見てきた全部の小説やアニメ・マンガの中でも一番じゃないかってぐらい好きなキャラクターです。特にビジュアルが斬新で、当時ファンの間で「しいたけ」と呼ばれていた、瞳の中に星が描かれている表現は衝撃でした。

この時期、他の作品でも瞳の中に星が描かれたキャラクターをたくさん見ましたが、僕は食蜂操祈の影響だと思っています(笑)。また、彼女は白い手袋をしているんですけど、「こういうアイテムを加えるだけで、こんなにも清楚感が演出できるのか!」と、そこにも衝撃を受けた記憶がありますね。

▲夜十神さんが「全部の小説やアニメ・マンガの中で一番じゃないかってぐらい好き」と語る食蜂操祈。画像はTVアニメ『とある科学の超電磁砲T』公式サイトより。

 

あと、キャラクターのお話でいうと、近年は「人気が出たキャラクターにフォーカスがされやすくなっているのかな?」という気がしています。この食蜂操祈もすごく人気のキャラなんですが、物語の中でも活躍する場面が増えたり、表紙を飾ったりと、かなりフォーカスされていて、きっと「読者の反応もきちんとチェックしていて、満足するような展開を考えてくださっているんだろうな~」と勝手に思ったりしています。

 

「設定」を堪能するならやっぱり小説版!

さらに『とある』シリーズの魅力を語る上で外せないのが、壮大なスケールの世界観を描くための「設定」だと思います。みなさん、「設定」好きですよね? 僕も大好きです(笑)。

僕が最初にグッときた設定は、やはり主人公たちが暮らす「学園都市」で、もう、この単語だけでいろいろなイマジネーションが膨らんじゃうくらいのキラーワードですよね、これは。そこに「能力を持つ230万人が暮らしている」「能力はレベルで序列づけられていて、頂点であるレベル5には7人が君臨している」「無能力者もいる」「能力を打ち消す力」etc……みたいな設定がのってきて、これ以上ないくらいに中二心をビシバシくすぐられます。個人的に「レベル」や「序列」みたいな設定にすごく弱いので、バッチリと心をつかまれてしまいましたね(笑)。

そして対立組織である「魔術サイド」に目を移せば、こちらは西洋風な雰囲気でレベルとかはないんですが、「聖人」といわれる生まれながらにめちゃくちゃ強い人がいたり、その人数も限られていて……といった感じに、やはり中二心をくすぐられる設定で隙間なく固められています。科学サイドと一味違った設定で、ファンタジーライクな世界観が好きな方にはたまらないんじゃないかなと思いますね。

また、物語に登場する「能力」もすごく考えられていて、王道バトルマンガのような楽しみ方もできるというか、「能力バトルもの」が好きな人は絶対にハマる内容だと思います。これは「あるある」だと思うんですが、僕もどっぷりとハマっている時期には「自分が考える最強の能力」みたいものを妄想したりしていました(笑)。「防御不可のイメージがある“闇”属性で、一番強い自然能力が“電撃”……ということは、“黒い雷”が一番強いんじゃね?」みたいな(笑)。

ほかにも、折につけて世界観についての解説がバーッと十数ページにわたって書かれていたり、「まずは設定からどうぞ!」といわんばかりの文字情報の羅列がたくさんあって、こういうところは文字媒体ならではの醍醐味だと思っています。

あるときは最新のステルス戦闘機についての説明が何ページも書かれていたりして、これも衝撃的だった記憶がありますね。それで、その長~い英語の名前の戦闘機を検索してみると、「本当にこういう戦闘機があるんだ!」ということがわかったり、さらにそのジャンルにもマニアの方々がいらっしゃるということを知ったり(笑)。そうやって『とある』を起点にして、さらにいろいろなものに興味を持つきっかけになりました。

あと、これは本筋とは関係ありませんが、小説版を読んでいると、「アニメではこうだったけど、原作ではこうでさ~」みたいな話もできたりして、知識マウントではないですが、それもちょっとうれしかったりします(笑)。

 

大人になったからこそわかる描写も

ほかにも、ちょっとダークな部分や、込み入った心情が描かれているところも小説版の魅力のひとつだと思います。登場人物の多くは学生だけど、「この過去きつー!」というつらい経験もしていたりして、そこを乗り越える姿やストーリーは思わず応援したくなります。そもそも主人公である上条当麻も、物語の冒頭で一切の記憶をなくしているのに、それを笑ってとりつくろっているわけですから……。

そのあたりでいうと、登場人物たちの感情の描かれ方が、「おとなが抱く感情」に近いものが多いというか、たとえば小学生が読んで、このシーンの「切なさ」を想像できるのかな?というような表現が多い気がします。これは作者の鎌池先生が意図して書かれていることだと思うんですが、そういう部分は、むしろ大人になってから読んだほうがちゃんと理解できる気がしますね。

たとえば劇中で「隣に運のいいやつがずっといて、横でずっとハズレを引かされるやつの気持ちはどうなんだろうな」みたいなセリフがあるんですが、たしかに、たとえば“志望校に合格して、いい会社に入って、宝くじに当たって……”みたいにずーっと幸運が続くやつが隣にいて、「それが自分ではない」という心情って辛いだろうし、なんだったら現実に似たようなことがあると思うんですよ。そういう表現って、やっぱりある程度の人生経験を積んでからじゃないとわからないと思うし、歳を重ねるごとに受け止め方が変わると思うんですよね。過去に『とある』シリーズをすでに読んだという方も、そういうところに注目して再読してみると、あらたな発見があるんじゃないかなと思います。

▲夜十神さんが好きなキャラクターとして挙げている、一方通行(アクセラレータ)。画像はTVアニメ『とある科学の一方通行』公式サイトより。

 

最後に劇中で好きなシーンを挙げるとすれば、これはアニメにもなったので有名だし、さきほどの「運がいいやつの横でハズレを引かされ続けるやつの話」とつながるところがあるかもしれませんが、『とある魔術の禁書目録』第20巻で、一方通行(アクセラレータ)が「打ち止め(ラストオーダー)」という小さな女の子を助けるために、自分が死ぬ覚悟で頑張るところですね。

その中で女の子を助けられない自分の不甲斐なさを、なかば逆切れ的に“ヒーロー”である主人公の上条当麻にぶつけるシーンがあるんですが、そのとき上条当麻が一方通行(アクセラレータ)にした、

「お前が何を守りたくて、どんな風に傷ついてきたかなんて詳しいことは知らない。でも、その子を守りたかったんなら胸を張って守れよ!! 今この時、守りたいって思える事を誇りに思えよ!! お前の人生だろ、お前が決めろよ!! 自分の手で守りたいんならそうすれば良いし、見捨てたいんなら全部持ち去ってやる。でも、お前自身は何をどうしたいんだよ!! 本当にそれで良いのかよ。大して知りもしない人間を勝手に持ち上げて、そいつに自分の一番大切なものを預けて、それで全部満足できんのかよ!!」(『とある魔術の禁書目録(20)』p.322~323)

「このままお前の手で守り続けるのか、他人に全部預けて逃げるのか、それとも俺の手を借りて協力して欲しいのか!!」(同、p.326)

「傲慢だろうが何だろうが、お前自身が胸を張れるものを自分で選んでみろよ!!」(同、p.326)

という“お説教”は、今思い出しても胸が熱くなります。

また、そのラストで、それまでずーっと描かれてきた一方通行(アクセラレータ)の“黒い翼”が白くなって天使みたいに描かれる描写があるんですけど、そこもすごく感動するんですよ。本当に名場面だと思うし、実際にその時期のファンアートも、そのシーンを描いたものがすごく多かったように思います。

 

WEB CMをやってみたい!

本当に『とある』シリーズからは、いろいろな影響を受けましたね。声優さんを好きになったのもこの作品からだし、ラジオを聴くようになってからは、「声でお仕事をする楽しさ」や「みんなの前でおしゃべりすることの楽しさ」みたいなものを教えてもらったりしました。そう考えると、僕が今、VTuberというお仕事をやっていることのもとをたどっていくと、『とある』シリーズにたどり着く説があります(笑)。

▲初配信で「ライトノベルを書いて出版したい!」という目標を掲げていた夜十神さん。画像は「【初配信】妖の万屋…現る!!!!夜十神封魔【#アップロー/#ホロスターズ】」より。

 

あと、初配信でも少しお話させていただいたんですが、僕は「いつか自分でライトノベルを出版してみたい!」という野望をこっそり持っていまして、そのためというわけではないのですが、「いい表現だな、いい言い回しだな」と思ったものをメモするようにしているんです。この習慣がついたのも、思えば『とある魔術の禁書目録』を読んでからでしたね。本当に、この作品からいろいろなものに興味を持ったり、人生でいろんなことをするにあたってのインスピレーションをたくさんもらったように思います。

もし今後『とある』シリーズを扱った配信をすることができるなら、ちょっと大喜利チックな企画とかやってみたいですね。以前「とあラジ」(2008年にはじまったインターネットラジオ番組『とある“ラジオ”の禁書目録』の愛称)のコーナーでやっていたんですが、視聴者の方に自分の能力(特技)を報告してもらって、僕がその能力をレベルで判定するというような。「君それレベル2~!」みたいな(笑)。

あと、これは初配信から言い続けてるんですが、いつかライトノベルのWEB CMに出れたらすっごい嬉しいです。早口で「〇〇とは一体~!?」みたいな感じで物語の解説をして、右下に「ナレーション:夜十神封魔(ホロスターズ)」と入ってるような(笑)。これは絶対に叶えたい目標ですね!

 

夜十神封魔 PROFILE

やとがみ・ふうま。7月13日生まれ、初配信日は2022年3月29日。ホロスターズ内ユニット「UPROAR!!」を立ち上げた妖の万屋。「UPROAR!!」の1stアルバム『Prologue』がホロライブプロダクションオフィシャルショップなどで発売中!

 

(C) 2016 COVER Corp.
(C)鎌池和馬 2023 イラスト/はいむらきよたか
(C)2018 鎌池和馬/冬川基/KADOKAWA/PROJECT-RAILGUN T
(C)2018 鎌池和馬/山路新/KADOKAWA/PROJECT-ACCELERATOR

関連情報

 

関連記事

上に戻る