【A.O.Z Re-Boot特別編】ガレージキットHow to!「1/144 リハイゼ」を、メタリック塗装で作る!(その2)
ドーモ、マイスター関田です。ガレージキット「リハイゼ」に挑戦する連載第2回です。
以前この電撃ホビーウェブにて完成状態の記事がアップされたリハイゼですが、この度ガレージキット化したということで、私が得意とするメタリック塗装で仕上げることとなりました。
※バックナンバーも併せてご覧ください。
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前回に引き続き、空山竜司さん原型のガレージキット「1/144 リハイゼ」の製作を進めていきます。
塗装前の大まかな段取り
①パーツチェック
②パーツの洗浄
③大まかなバリ取り
④スジ彫りの彫り直し
⑤気泡、パーティングライン等の処理
⑥パーツの合いチェックと軸打ち
⑦最終表面処理と面構成の調整
⑧パーツの再洗浄
⑨持ち手付
⑩下地塗り
この内、③までは終了しているので、④以降の気泡、パーティングラインの処理にとりかかりましょう。同時に各部のパーツの合いや組み立ての順序を確認しつつ、必要に応じて歪んでいるパーツの補正や軸打ち(接続ピン)の設置をしていきます。
気泡埋め
ウレタレジンで量産されているガレージキットには、型の中から出し切れなかった空気がそのままパーツに残り「気泡」を発生させる場合があります。見た目に大きく影響するものなので一つ一つ対処していきましょう。
各種パテやサーフェイサーを使用して埋めていってもいいのですが、私の場合、単独の気泡に関してはプラ棒と瞬間接着剤を使って処理していくことが多いです。
理由は乾燥等の待ち時間がないことと、経年劣化に強いためです。瞬間接着剤だけをパテ代わりにして、気泡を埋めることもありますが、プラ棒を埋め込むことでナイフや紙ヤスリで削る等その後の処理が格段にやり易くなるのでオススメです。
早速、気泡を発見! エッジの部分にポツリとありました。
エッジは型の中で材料が流れ込みきらず気泡を発生させやすい箇所でもあります。
まずはナイフで気泡を広げつつ予備穴を開けます。
続いて予備穴をガイドに気泡より大きな径で手持ちのプラ棒がある径で穴を開けます。今回は1mm径のものを使用しています。深さは2mmもあれば十分でしょう。
穴が開いた状態です。
次に、瞬間接着剤をプラ棒の先端に少量着け、開けた穴に挿し込みます。この時、瞬間接着剤が溢れてきますが周囲のディテールに流れ込まない限りは放置でOKです。
1~2mmの長さを残してニッパーで大まかに切り取ったら瞬間接着剤が硬化するまでしばし待ちます。私のようにせっかちなモデラーは瞬間接着剤効果スプレーを使用して強制硬化させても良いでしょう。
瞬間接着剤が硬化したらデザインナイフ等でパーツの面に沿うように余分なプラ棒を削ぎ取っていきます。残し過ぎず削ぎ取り過ぎず、繊細な刃捌きが要求される作業です。ケガには十分気を付けましょう。
ある程度形が整ったら紙ヤスリで仕上げて気泡埋め完了です。
もしヤスリ掛けをしていてプラ棒とパーツの間に削りカスが詰まっているのが確認できたら、それは、隙間がある証拠です。塗装後にも残ってしまうので、削りカスを取り除き、瞬間接着剤を盛り、再度ヤスリ掛けして確実に痕跡をなくしましょう。
今回のリハイゼにはありませんでしたが、ある程度の面積にわたってスポンジのように密集した気泡がある場合は、その部分をある程度の深さまで削り取りパテを盛るなどの方策も必要になってくるでしょう。
ディテール上の気泡埋め
今回のリハイゼは、特徴的な形状のパーツに繊細なディテールが施されていますが、そのディテールの上にも容赦なく気泡が発生している場合もあります。
こうした部分の気泡は上述のようなプラ棒+瞬間接着剤で処理しても良いのですが、ここではディテールを作り直すという方法で対処してみましょう。
まずは、気泡が発生したパイプ状のディテールを丸々削り取ってしまいます。
削り取った底の部分がなるべく面と平行かつ平らになるように整形します。深さにも注意しましょう。ノギスなどを使ってディテールが収まる深さより0.3mm深くなるように調整します。穴の深さが安定したら底に2か所ピンバイスで丸穴を開けます。
底に開けた丸穴に少し溢れるくらいの瞬間接着剤を流し込み、ディテールの底と同じ寸法に切った0.3mmのプラ板を接着します。プラ板の表面まではみ出してきた瞬間接着剤は硬化後に彫刻刀などで削り取りましょう。
この部分のパイプ状ディテールは1mm径の半丸棒で再現できるので、寸法を測って切り出し、流し込み系の接着剤で接着します。
流し込み接着剤が十分に乾いたら半丸棒の両サイドにスジ彫りを入れて、ディテールの復活完了です。
プラ棒+瞬間接着剤、或いは、瞬間接着剤のみで気泡を埋めるとなると、周囲のディテールも埋まってしまい、ヤスリ掛けによってディテールの形状が変わってしまうといったリスクがあります。これを回避し、手順としても単純なため、この場合は有効な選択肢となるのではないでしょうか。
直接半丸棒を接着せずプラ板を一枚挟んだのは、瞬着などがディテールの上にはみ出すと処理が厄介で、はみ出した後も跡が残りにくいスチロール素材用の流し込み接着剤を使用したかったためです。
気泡埋めの作業は、パーツの形状や大きさ、気泡の大きさ・数、気泡の周囲の状況によって、また、得意とする充填素材によっても変えていくのが望ましく、どれだけ多くの選択肢を持っているかで苦難の度合いが大きく変わってきます。今回紹介した方法はその中のごく一部に過ぎません。みなさんも様々な方法を試して自分の得意パターンを構築していきましょう。
パーティングライン処理
ガレージキットのパーツもプラモデル同様、パーティングライン(型の合わせ目)が存在します。見た目に大きくかかわってくる要素なので確実に処理しておきましょう。
中にはエッジに沿って設定されているパーティングラインもあり見つけにくいものもありますので注意して確認しましょう。
パーティングラインを発見!
単に合わせ目が筋状に盛り上がっているだけのパーティングラインなので、ヤスリ掛けのみで問題ありません。
アクリル板に紙ヤスリを貼り付けた平面出し用工具の400番でまずはパーティングラインを消し、面を平らにします。その後800番で面を整え様子を見ます。
削り残しや、ヘコみがないことを確認してパーティングライン処理終了。
空山竜司さんの原型は全パーツにわたってキレイな面とキレイな面が素晴らしい精度で合わさることでシャープなエッジを形成しています。ヤスリ掛けでその面構成とエッジを乱さないよう、常に面の状態を確認しながら作業を進めることを心がけました。
今回はそれほど困ったパーティングラインはありませんでしたが、下の図のようなバリエーションも予想されますので適宜処理していきましょう。また、気泡とパーティングラインの合わせ技のような状態もないわけではありませんが、処理方法は変わりません。一つ一つ消していきましょう。
そして、気泡・パーティングライン処理と平行して、切りっぱなしだった湯口の処理も進めていきます。
組み立て確認
気泡・パーティングライン・湯口の処理が終わったら各パーツの組み立て手順とパーツ同士の合いを確認します。
このリハイゼは、複雑なパーツ構成となっている部分が多く、パーツ単体での塗装・仕上げ後に調整しなければならないなどという事態を回避するためにも、あらかじめ組み立て手順を確認しておくことは非常に重要です。
中には成形時の歪みがと取れておらず、パーツの合いが悪いものもあるでしょう。そういった部分を発見したら即、修正作業に取り掛かります。
写真のパーツは図のようにU字溝状のパーツに四角いパーツを組み込むようになっていますが、成形時の歪みにより入り口が狭くなってしまっているため引っかかってしまっています。
ウレタンレジン製のパーツは温めると柔らかくなる特性があります。修正の準備としてまず沸騰したお湯を用意し、その中にパーツを投入!
1分ほど浸けておくとパーツが柔らかくなるので、湯から取り出したときには組み込めなかったパーツも組み込めるようになります。スピード勝負なので手早く行いましょう。
※熱湯で火傷しないよう十分に注意してください。
パーツを組み込んだらそのまま冷水ですすぎ、組み込める状態のまま強制硬化させます。
そのまま、しばらく放置し歪みが再発していなければ修正完了です。
大きいパーツ、薄いパーツ、長細いパーツには歪みが発生しやすいようです。注意して各パーツの合いを確認しましょう。歪みを修正してなおパーツの合いが悪い場合は、それぞれのパーツを削り込むなどして組み立てに支障がないようにしておきましょう。
軸打ち
確認ができたら、必要に応じて軸打ち(接続ピンの再設置)を行います。
リハイゼは、組み立てに必要な軸と軸受穴はすべて原型に盛り込まれているので非常に楽ができるのですが、一部複製の際に再現されなかった軸や浅くなっている穴があるので、そういった部分には軸の打ち直し、穴の開け直しを行います。
軸打ちには真ちゅう線などの金属線がよく使われますが、私の場合1mm以上の太さであればプラ棒で済ませることが多いです。加工も容易ですし、なにより袋に入れてまとめてあるパーツの軸が他のパーツを傷つけないで済むのがうれしいです。出ている部分を短めにしておけば折れる心配もありません。
軸受穴の場所を変える、まったくない場所に軸受穴を開けるときは以下のような方法を取ることが多いです。
軸打ちあれこれ
2つのパーツを一度組み合わせ、パーツの境目に跨るように対角線となる4つのポイントを書き込みます。
4つのポイントを対角線で結び、その交わる点にデザインナイフや小径のピンバイスでアタリを付けます。
アタリを付けた部分に1.5~2.0mmの穴を開け、片方には対応した径のプラ棒を差し込み接着します。これで一組の軸打ち完了です。
子供のころから使ってきた手ですが形状によっては使えない場合もありますね。
もう一つのやり方は、お店でお客様から教えていただいた、持ち手付に使うペッタンゴムを使用した当たりの付け方です。
組み合わさるパーツの接合面に1mmくらいの穴を開けます。
穴を開けていないパーツの「大体この辺りだろう」という位置にペッタンゴムを小さくちぎった玉を張り付けておきます。
その状態でパーツを一旦組み合わせて、ゆっくりパーツを分けてみると、上手くいけば穴を開けていない方のパーツに予備穴の位置が転写されているはずです。
後はその位置に同じように予備穴を開け、好みの径まで広げて軸を接着すれば完了です。
今回はここまでとなります。
次回は工作の仕上げとして表面処理を行い、塗装に突入します。では、また。
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