『銀河漂流バイファム』よりROBOT魂<SIDE RV>開発中のトゥランファムを考察する! 【連載】電撃ロボラボPLUS Vol.7

更新日:2016年2月16日 12:07

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今回はRVトゥランファムについて、電撃ホビーマガジンではどのように考証されていったのかを振り返る内容でお届けします(電撃ホビーマガジン2014年10~12月掲載)。
連載ではバイファム、ネオファムなどの開発を経て、ハード、ソフトの両面に大幅な見直しを受けてトゥランファムが設計され、既存モデルからの変更点、機構面の特色は……といった部分が具体的に議論、解析されていきました。
また終盤では、新たにこの考証結果がどう次に結びついているかといった状況もお伝えしていきます。

 

※これまでのバックナンバーも併せてご覧ください。

RVの腕部(おもにヒジ関節など)についての考察 【連載】電撃ロボラボ PLUS Vol.1

RVの腕部、胴体の機構及び内部構造についての考察 【連載】電撃ロボラボ PLUS Vol.2
続・RVの腕部、胴体の機構及び内部構造についての考察 【連載】電撃ロボラボPLUS Vol.3
ROBOT魂<SIDE RV>ネオファム監修現場レポート! 【連載】電撃ロボラボPLUS Vol.4
「魂ネイション2015」にROBOT魂ネオファム&トゥランファムが展示! 【連載】電撃ロボラボ PLUS Vol.5
ROBOT魂<SIDE RV>ネオファム&トゥランファム監修レポート2 【連載】電撃ロボラボPLUS Vol.6

 

 

【電撃ホビーマガジン2014年10月~12月号より】

 

■股関節・スカートの構造について
「股間周りはどんな構造? というのがひとつキモだとは思います。関節周りなどカバーされている部分が多くてバイファム等と比べると、また違った構造が想像できるかなと」

 

「今回は立体でちょっと様子を見ようと過去作例を持ってきました。腰のスカートが独立可動する仕組みで、股間部分に1軸で取り付けてスリット部分でくびれる方式になっていて、これだけでも意外と可動に対応しますね」

 

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「スカート部に特に可動範囲を広げるような分割がないですね。宇宙用と考えるとこのくらいまで動けば十分な気もしつつ、もっと動かしたいような欲求にも駆られます」

 

トゥランファムで他の地球側RVからの変化が最も目に付くのが腰のスカート部。なぜこのような仕様になったのか、研究員一同、想像を膨らませていきます。

 

「開発側が股関節の仕様変更も考えたものの、基本はバイファムやその他と一緒にしたのではないかと。信頼性が求められる部分だと思うので、あの短い期間では変えないでしょうね」

 

「スカートは被弾率に対するひとつの回答でしょう。ヒジやヒザよりも破損した際のダメージが尾を引く部分だとは思いますし」

 

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「このパーツ(スカート)がワンピースというのは現実的ではない気がしますね。この大きな部品を一発抜きで作るというのが大変。宇宙戦艦内で生産されたという資料本の記述を参考にすれば、構造の簡略化、コンパクト化が進んでいるのではないかと。機構もエプロンみたい……というか、単純な仕組みの取り付け方法だと思います」

 

■モモ~ヒザ、足先の構造について
なんとなくスカート部分の機構や理由付けが見えてきたところで、話はさらに下半身へと。

 

「モモ~ヒザの機構はこれまでのRVより培った技術の完成度が高く、大きな変更の必要がなかった……という状況が想定できます。変化としてはちょっとしたアップデートくらいで。スネは外側のバーニア基部が回転すると面白い機構だとは思いますが、レイアウト的に推進剤タンクを内蔵しているので可動は難しいかもしれません」

 

「スネまではバイファム等の考証に合わせた考え方ですんなり行きそうなのですが、足首形状が気になるかな? 側面のバルジに、ツマ先とカカトの可動……機構を考えるうえで難しい要素が集中しているというか」

 

「バルジはこれ自体が足首のフレーム基部と考えてもいいのでは? ここを軸に足首が横の動きに対応するようにして。ツマ先とカカトは設定画を見た感じクリアランスがないように見受けられるのでスライドして動かすような方式ですかね」

 

「人でも歩行の際に、本来は下向きにツマ先をクチバシみたいに閉じるより、反らせる方が大事なんです。靴も下向きには曲がらないでしょう」

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■腕部の構造について

ツマ先のアクションも思ったより悩まずに解析できそうということで、話題の目は腕部へと向けられます。

 

「上腕形状のシンプルさで迷うのですが、構造、ロール可動の入る位置とか想像しにくいですよね?」

 

「回転は……上腕の根本でパーツが割ってあるイメージ? 横にある番号プレート下で独立しているような」

 

「いや、回転はヒジ関節との接続部分でいいでしょう。上はモーターなど駆動系の機関部がそのまま収まっていていいんじゃないですか」

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「ヒジのジャバラ部分、ここに関節が詰まってるにしては細身すぎるかな。あとカバーってゴム製? でもそれじゃ宇宙では使えませんよね?」

 

「金属で昔の電気スタンドの軸の様な……、いや無理がある。実はこれそのものが軸の表面で、一見ジャバラのように見えるけどそれはあくまでディテール……みたいな解釈はどうでしょう」

 

「ああ、そのほうがカバーよりも説得力が出る。膨らんでいるディテール部の中には関節機構が少し含まれてて、曲げるための基部については前腕の中に少し埋まっているような構造でと」

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「ネオファムの時の関節はカバーされていて引き出し機構で……みたいな考え方ですよね。トゥランファムでは、ネオファムからバイファムへの改良の際に軽量化のために露出させた部分を再びクローズド型にしつつ、しかもネオファムほど重量過多にならない最新仕様にしたと考えると、RV開発の地道な進化みたいな要素が感じられますね」

 

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▲上がネオファム、下がバイファムのヒジ関節の機構。作中の開発順はネオファムが先で、そのあと作られたバイファムではヒジ周りが大きく露出されています。これを軽量化のための改良である、と据えると、そのあとのトゥランファム開発に至る進化の流れが、わかりやすく説明がつきます。

 

 


 

 

電撃ホビーマガジン掲載時は、このような議論が行われていたトゥランファム。現在商品化に向けて企画が進められているROBOT魂試作は、これらの考証内容をフィードバックしたうえで作られています。さらにより完成度を高めたいと、直接ロボラボスタッフより細かなアイデアや助言を受け、監修を受ける体制での取り組みが行われています。
ここからは、トゥランファムが前回の監修を経てどのようになったのかを、最新バージョンの立体出力品を交えて紹介します。まずは一次監修時の様子を振り返ります。

 

【2015年10月6日 試作品監修 サンライズにて】

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海老川兼武(以降海老川):基礎としてはある程度まとまっている印象ですが、いくつか考証時の内容との食い違いがあったり、気になる部分がありますので挙げていきますね。

 

海老川:まず考証時とスカートの分割方式が異なります。ロボラボ的には、いわゆるふんどし部分とスカート前面が一体化し、サイドの部分で分割ラインが入って割れる仕組みです。

 

NAOKI:フロントスカートの接続を前出の方式にした場合、ヒンジ+ボールジョイントでの対応が望ましいかと。ヒンジ形状をクランク型にするなどの工夫も取り入れたい。

 

海老川:脚部の可動部分が、外観再現を崩さずにという形で引き出し関節等の処理になっている部分が多いですが、切りかきやスライド方式などを含めた可動調整が必要になりますね。

 

NAOKI:関節の配置も重要になるかと。例えばモモ側に引き込むようにするか、または軸をヒザ下に逃がすか……という仕組み次第で可動範囲と見映えが変わると思いますよ。

 

海老川:ヒザ裏の処理、フクラハギ上のスキ間も気になりますね。それとスネ横のバーニア部に無理に回転可動を入れていますが、基部がゆるく楕円形なので綺麗に回らない。これをどうするか?

 

NAOKI:関節が入って腕が伸びたので上腕が細く見える。前腕とヒジ関節のスキ間もすごく気になる部分。トゥランファムはラインがシンプルな分だけ目に付きます。細身な印象は上腕形状が一番影響していると思うので、太さの見直しやディテールの追加などで変化の様子を見たいですね。

 

NAOKI:ヒジと上腕の繋ぎ目で一段凹んだ部分も影響しているのかも。関節クリアランスが深く取られているようなので、それも華奢に見える要因ですかね。可動よりもややフォルム優先で軸の設定を考えたほうがいいかとは思いますね。引き出し関節も軸位置自体を前側にオフセットさせる形にできれば、スキ間が軽減できて違和感が解消されると思います。

 

海老川:スリング・パニアーが画に合わせたのか小さくなってしまっているので、バイファムやネオファムと同じくらいの大きさにはしたいですね。

 

といった感じで修整案がいくつか出され、魂ネイション後に改修が加えられることに。

 

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▲議論中に指摘され、あぶり出された気になる部分の数々。暫定仕様ゆえに作りの詰めの甘さや構造に迷いがあるところを中心に修整指示が入りました。

 

【2015年11月10日 第2回 試作品監修 サンライズにて】

オカモト:まず前回からの修正点ですが、脚部がヒザの内側、ヒザ裏(フクラハギのカバー可動)。胴体はスカートの分割を前後に。頭部はセンサー内部にディテールが入りました。スリングパニアーの大きさも見直しています。腕部は胴体と上腕の接続部分の軸形状を調整。上腕とヒジのジャバラ部を前回より太くし、前腕部は中の関節軸の位置を変更して可動範囲を見直しつつ、スキ間が見えるのを軽減しています。内側の切り欠き部分なども調整しています。それと全体に細かいモールドも追加しました。

 

海老川:前回の修正点はほぼ反映されていますね。ちょっと動かした感じ、足首の可動がスタイル合わせであまり動かないという感じですね。横の張り出しが干渉しているので、内側を削るかオフセットした形状にするなどして調整できればと。それとスネのバーニア付け根の処理が気になるので、ここは一考したいですね。

 

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▲ほぼ指摘されたポイントには改修が入り、前回監修での気になった点が解消されています。まだ多少改善の余地があるので、追加修整を行ってさらなるクオリティアップが図られる予定です。

 

ほぼ気になる点は解消されたものの、まだ一部に見直したい点があるということと、海老川氏により新たなディテールが追加されたので、反映した後に今後あらためてチェックが行われることになりました。
次回は再びバイファムの振り返りにスポットを当てる他、トゥランファムのさらなる情報などについてもお伝えしていく予定です。

 


 

<ROBOT魂担当コメント>

皆様こんにちは。オカモトです。

 

今回はトゥランファムについての内容でしたね。スタッフの皆さんの知識や情熱、バイファム愛には毎回唸らされます。忙しいところを色々見てもらい、協力していただいているご恩に報いるべく、そしてラインナップ充実を待ち望むユーザーの皆様に早くよい知らせを届けるべく、オカモトはただいま商品企画が軌道に乗せられるように頑張っております。

 

そしてお待たせしました! 年を跨いで1月にはツインムーバー装備のバイファムが店頭に並びます! ぜひともお手にとっていただき、ロボラボ記事を読みながら「あの考察は、こういったカタチに落とし込まれているんだ」と動かして楽しんでいただけますと幸いです。

 

今回はパッケージデザインをお見せいたします! 来年2016年1月まであとホンの少しだけお待ちください!!

 

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それではまた次回!!

 


 

次回「電撃ロボラボPLUS」は2015年12月25日更新予定!

 

<関連情報>
ROBOT魂 バイファム(ツインムーバー装備)|魂ウェブ
魂ウェブ
魂ウェブ商店|プレミアムバンダイ

 

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