『ヒロアカ』キャラクターの“個性”を演出するAR表現が楽しめる「S-FIRE」フィギュア。「セガならでは」と豪語するその裏側をのぞいたら納得の理由があった

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取材・撮影・文●キャプテン住谷 /PR

セガの新商品ブランド「S-FIRE」から発売される、TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』緑谷出久と爆豪勝己のフィギュアが2021年11月30日(火)で予約締切となります。世界中のファンから支持される『ヒロアカ』はその熱気に応えるように、非常に高いクオリティのフィギュアが各メーカーから多数発売されており、今後も続々とリリース予定。そのなかでも新参となる「S-FIRE」は、群雄割拠の『ヒロアカ』フィギュア界においてもさらに目を引く完成度を誇りながら、なんと専用アプリによってAR(拡張現実)による様々なエフェクト表現を楽しめるという、他にはない大きな特徴を備えています。

 

電ホビでは以前、そんな「S-FIRE」が発足した経緯や、ブランドのコンセプトについてインタビューできる機会がありました。「フィギュア+AR表現はセガだからこそ実現できた」というコメントがあった一方で、「今後発売されるフィギュアすべてに実装するかは未定」と、あくまで実験的な運用であることにも触れられた本機能。そのお話を聞いてから「他メーカーには真似できないほどの技術を投入しながら、ブランドの基幹コンセプトとしてではなく、あくまで“オマケ”とするにはあまりにも豪華すぎないだろうか?」という疑問が浮かんだのも確かです。本稿では、そんな贅沢すぎる「フィギュア+AR」機能実装の裏側を探るべく、さらなるインタビューを敢行しました。

 

▲今回お話をうかがったセガMD市場開発部の江口秀明さん(左)、技術本部の永松正さん(右)。

 


 

TVアニメを全話見返して作り込んだエフェクト表現

――本日はよろしくお願いします。まずは、それぞれのお仕事のご担当についてうかがえますでしょうか。

 

永松さん今回のプロジェクトでは、ARアプリ開発のプロデュースを担当しております。どういうアプリにするのかといったことや、フィギュアに対してエフェクトをどう作ればいいのかというところも私のチームから提案させていただいています。

 

江口さんMD市場開発部という部署に所属しています。私の役割としては商品企画と言いますか、ハイクオリティフィギュアのブランドを立ち上げようといった話が出た時に、他社さんに負けないような付加価値を生み出せないかというところで今回のAR機能のようなベースとなるコンセプトを発案させてもらっています。

 

――となると、まずは江口さんから永松さんへ企画の持ち込みがあり、AR機能開発がスタートしたのでしょうか?

 

永松さん私の所属は技術本部の技術統括室というところで、普段からゲーム用に最新技術を開発したり、またそれらの技術を色々なことに応用したり、考えるような仕事をしています。それで、MD市場開発部から「今までにない、AR表現を使ったフィギュアの演出って何かできませんか」と相談を受けて。そこから、セガでやるなら「驚きのある新しい演出をARで見せるのがいいだろう」という方向に話がまとまっていきました。

 

――本企画について、実現の手応えを感じたタイミングなどはあったのでしょうか。

 

永松さん企画の相談があった後、実際に社内向けのサンプルを作ってみたところで「ああ、これは行けるかも」という実感がありました。それと同時に細かい課題なんかもあらかた見えたので、プロジェクトのGOサインが出たのはこの段階ですね。

 

――実際にARエフェクトを作り始める段階になって、まずはどういった作業から着手されましたか?

 

永松さん作品内での表現をいかに現実的なものに落とし込むかというところが課題だったので、とにかくアニメと原作マンガを読み込みました。開発チームの各人が動画配信サービスをチェックしたり、単行本を全巻買って読んだりと、それぞれに研究を行いましたね。私もアニメは全話チェックしました。その上で、今回の場合はエフェクトを乗せる対象となるフィギュアがモノとしてあったので、彩色見本を見ながら「ここはもうちょっと光らせた方がいいよね」といった感じでイメージの統一もしやすかったです。

 

 

「フィギュア+AR」を可能とした“セガならでは”のノウハウ

――単刀直入にお聞きしますが、「フィギュアにAR機能によるエフェクト表現を乗せる」というのは、技術的には難しいものなんでしょうか?

 

永松さん例えばすごく一般的な、ARマーカーをカメラで読み込んで、それで何らかの画像や映像を表示させるというくらいの機能ならそれほど難しくはないんです。ただ、もうそれってありふれた技術になっているので、誰が見ても驚かないんですよ。どうせウチ(セガ)がやるなら、今まで見たことのないものにしたいという思いもありましたので、今回用意した機能は難易度が高めになっています。

 

――ちなみに、どういった要素がその難易度を高めているのでしょうか。

 

永松さんすごい簡単に言うと、緻密な計算によってフィギュアの造形をかなり正確に捉える処理というか。トラッキングと言うんですが、画面越しに本当にそこで“何か”が起こっているようなリアリティといいますか、その現実感の再現に重きをおいています。そこの作り込みはなかなか難易度が高いのかなと。

 

――その精度の高さというのが、社内でゲーム開発も行われているセガさんならではのポイントであり、他のメーカーさんではなかなか真似できない部分になるわけですね。

 

永松さんそうですね。実際、ゲーム開発のノウハウや最新技術が結構入ってるんですよこのアプリ。QRなんかを読まなくても、どの角度からでもエフェクトが楽しめるというのは見る人が見たら「え?これどうなっているの?」と感じてもらえる部分だと思います。

 

 

ゲームエフェクトとARエフェクトの明確な違いとは

――そもそも全てがプログラム内で完結するゲームのエフェクトと、実物に対して作用するARエフェクトでは根本から違うものだとは思うのですが、それでもあえて違いを挙げるとしたらどういった部分になりますか?

 

永松さんやはり、実物に合わせた処理をする必要があるというところですかね。ゲームでのエフェクトはある意味いかようにもできるんですが、フィギュアは違う台の上に置いたり、ショーケースに入れてたりとシチュエーションも様々ですから。そういった現物に合わせた光り方というか、見え方ですよね。エフェクトを現物に被せて見た時に、本当にそこにあるように見える調整をしないといけない。ただの合成だと、嘘臭く見えるじゃないですか。被写体に合わせてデータを作り込むというか、見栄えを良くする工程が重要だったのはゲームとは違うところでしたね。

 

江口さん光の照り返しなんかもそうですよね。画像を貼っただけじゃなくて、そこにある光がちゃんと存在するであろうっていう形の見せ方です。

 

――合成の嘘臭さというのは、どのようにすれば消せるものなのでしょうか。

 

永松さんARは現実を拡張するという意味合いのある言葉なんですが、その対象となるもの、今回の場合ならフィギュアですね。それに対していかに馴染ませるか。今までだったら、フィギュアを光らせるのであれば内部に電飾を仕込んだりする必要があったと思うんですけど、「本当にそこにあるかのように見える」までとにかく作り込んでいくっていう感じですかね。

 

――明確な方法論があるわけでなく、ひたすらに「そう見える」ようになるまで調整を続けているのですね。

 

永松さんそうですね。とにかくそこのリアリティを追求しています。これまでは電飾を仕込むことでしか再現できなかった発光表現なんかを、ソフトウェアやCGで付与することが一般的になれば、フィギュアの楽しみ方も変わっていくんじゃないかと思っています。

 

――そのほか、開発を進めていくなかで新たに浮上した問題点などはありませんでしたか?

 

永松さん「デクvsステイン」(僕のヒーローアカデミア スーパーシチュエーションフィギュア 緑谷出久vs.ステイン)の、フィギュア自体の情報量が多いのには驚きましたね。次から次へと出てくるフィギュアに対して、いろいろ工夫するのが難しいだろうなというのは感じています。どんどんすごいフィギュアを作ってくるでしょうから……。

 

――そんな「デクvsステイン」にも、ARによるエフェクト表現は実装予定だそうですね。

 

永松さんはい。「S-FIRE」から発売されるフィギュアすべてにAR機能を実装するかはまだ検討中で、ユーザーさんの反応次第ではありますが、やりたいことはいっぱいあるのでぜひご期待いただければと思います。実際に見ていただければセガの本気を感じていただけると思います!

 

――ありがとうございました!

 


 

ヒーローフィギュア好きであれば、自分で撮影したフィギュアに画像編集ソフトを用いて必殺技のエフェクトを足した、いわゆる「デジラマ」的な写真をSNSに投稿している人たちを見たことがあるかも知れません。「S-FIRE」の提案する「フィギュア+AR」表現は、今までそんな高度な環境やスキルを備えた一部の人たちにしか作れなかった写真を、誰でも気軽に撮影し、楽しめる可能性を秘めています。他社よりもさらに前へ抜きん出るため――まさに“プルス・ウルトラ”の精神で、多大なる労力と技術力が注ぎ込まれた本機能は、間違いなくセガの総力を結集したものとなっていました。「緑谷出久」「爆豪勝己」フィギュアはそれぞれ「S-FIRE」公式サイトにて11月30日(火)まで予約受付中。一般店頭には並ばない限定生産品となるため、ぜひお見逃しなく。

(C)堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会

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