ドンロボタロウのアップデート版が開発されるまで、のおはなし――バンダイ企画担当寺野彰氏×プレックス鶴巻拓也氏×バンダイ設計チーム岩木将一郎氏インタビュー

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取材・五十嵐浩司/文・太田祥暉(TARKUS)

現在放送中の『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』に登場する、ドンブラザーズ5人が変身・合体したドンオニタイジン。陣幕の前で軍配を握りしめ、毅然と振舞う姿に酔いしれたファンも多いはずだ。しかし、現在発売中のDXドンオニタイジンでは可動域の関係上、その姿が再現できない。残念……と思っていた方に朗報である。ドンロボタロウの可動増強版&陣幕オプションセットが発売決定したのだ!!

 

 

その気になる内容と企画経緯について、前回に引き続きバンダイ企画・開発担当の寺野彰氏とデザイン担当のプレックス・鶴巻拓也氏、そして設計を手掛けた岩木将一郎氏にお話を伺った(文中敬称略)。

 

――最初に情報を伺った際に驚いたんですが、このアイテムが出ることになった経緯はどのようなものだったのでしょうか?

 

鶴巻:皆様のおかげでDXドンオニタイジンが大好評いただきました。それを受けての商品化です(笑)。

 

寺野:まず、1号ロボ(のちのドンオニタイジン)の企画を進めていたときに遡るんですが、2号ロボ(のちの虎龍攻神)とのスーパー合体での安定性を優先で股関節の可動は制限していました。諦めというよりは企画担当としての割り切りの方が正しいですね。とはいえ、佛田(洋)監督が映像ではドンオニタイジンを座らせているし、パッケージでも座っている。それに、発売された後の反響を見ていると、足を引っこ抜いてまで座らせようとしている方が多く見られました。

 

――映像やパッケージイラストのようにドンロボタロウを座らせて遊んでいた方がいたんですね。

 

寺野:その気持ちは僕も分かりますから。その感想を見ながら、腰ブロックを改良したら座れるようになるんじゃないか、という話を設計チームとしたんです。主にアクションフィギュアが大好きなお客様に向けて、椅子や軍配、陣幕と一緒に出したらどうか、とそこから岩木と企画を練り始めたのがこのアイテムの始まりです。

 

▲「DXドンロボタロウ可動増強版&出陣オプション、というセット」に付属する椅子(床机)と軍配の設計用データ。

 

――ドンロボタロウの具体的な改良点は、腰から下の可動域ということですか。

 

寺野:はい。上半身は既存のドンロボタロウと一緒ですね。脚部の可動域を広くして、スカートが上に開くようにもなりました。脚を前に上げる動きも、より広く動くようにしています。

 

岩木:股間と膝関節はクリックの角度の刻みを細かくしています。また、大腿部のローリングはクリックではなくパーツ同士の渋みに変更しました。なので、より映像に近い表現ができるようになったと思っています。

 

鶴巻:最初からドンオニタイジンのみでアクションフィギュアとして成立させるとしたら、こうだっただろうなという姿ですよね。

 

寺野:もともとのドンロボタロウの股関節の構造は、太ももを上げていくとスカートを跳ね上げても太ももが干渉していたんです。それが原因でスカートを跳ね上げるだけでは美しく座ることが難しかったわけです。その関節の位置を下げることで、脚が前に出せるようになっています。これは1号ロボの設計に携わった岩谷(心太)の提案ですね。

 

岩木:岩谷さんの提案にヒントをもらいつつ、下半身の中のスペース的に難しい部分はさらに改良していきました。

 

 

――かなりライトに仰っていますけど、かなり作業は大変だったのではないですか?

 

岩木:これくらいのサイズの合体ロボで、股関節を左右に開く方向に可動させるというのは、これまでの戦隊ロボにはないことですよね。今もまだ作業中なんですけど(編註:この取材は7月初旬に行われた)、ハードルが高いと感じながら調整を繰り返しています。

 

寺野:試作品の股関節を何回折ったか分からないくらいで(笑)。強度を上げるように頑張っています。

 

▲股関節の設計データ。位置をズラすことで、DXドンオニタイジン以上の可動範囲を確保している。

 

▲可動増強版の下半身全体の設計データ。股関節位置の調整により、ここまで可動する範囲を広げることができた。

 

――手の差し替えパーツもつくんですよね。ますますアクションフィギュアのようなセットです。

 

寺野:ポーズを付けた平手パーツをラインナップしています。形状をどうしようかと迷っていたら、鶴巻さんがディテールを全部入れてくれました。

 

鶴巻:どうせやるんだったらと、いうことでたくさんディテールを入れさせていただきました(笑)。

 

寺野:軍配も必須でしたね。まぁ、あの映像を観たら、みんな欲しくなりますから。

 

――テレビで観ていたあのシーンが遂に再現できると。

 

鶴巻:お客様からしたら「最初から付けてくれよ」というお気持ちだとは思います。ただ、子ども向け玩具という制約が多い中で最初にお届けできるのはあのDXオニタイジンでした。それがご好評いただけたおかげで、こういった熱量の高いものをお届けできるようになった。これはひとえに皆様の熱い気持ちのおかげです。

 

寺野:今回、『ドンブラザーズ』のメインのDX合体ロボはDXオニタイジンとDX虎龍攻神(トラドラゴンジン)の2体でラインナップは完了となります。もちろんこれからもおもちゃは出ていきますが、合体ロボで遊びたい方はぜひこの二体をお買い上げいただければと思います。そこでさらに遊びたい方はこのアップデート版も手にいれていただければ嬉しいですね。

 

岩木:DXオニタイジンでできなかったことが、今回のドンロボタロウで実現できたと思います。ユーザーの皆さんが抱えている「こうなったらいいな」「あれはできないの?」みたいなことにしっかりと応えられたアイテムになりました。今回のドンロボタロウとはカバンに入れて一緒に出勤したいですね(笑)。

 

鶴巻:設計チームの方々はスーパー戦隊への偏愛っぷりが凄まじいんですよ。僕も大好きですけど、偏り具合が一段違うところにある。それだからこそ、こういった愛の詰まったアイテムが実現できたと思いますね。

 

――今後のスーパー戦隊アイテム展開も期待しております。本日はありがとうございました。

 

「ドンロボタロウ可動増強版&陣幕オプションセット、というセット」は8月27日よりプレミアムバンダイにて予約開始。映像表現に近いアップデート版アイテムを手に入れて、『ドンブラザーズ』合体ロボをさらに楽しもう!!

 

DATA

ドンロボタロウ可動増強版&陣幕オプションセット、というセット

  • 詳細は後日発表

(C)テレビ朝日・東映AG・東映

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