DX虎龍攻神(トラドラゴンジン)、そしてスーパー合体・トラドラオニタイジンはどのように生まれたのか――バンダイ企画担当寺野彰氏×プレックス鶴巻拓也氏×バンダイ設計チーム松尾博史氏×岩木将一郎氏インタビュー

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取材・五十嵐浩司/文・太田祥暉(TARKUS)

今なお人気を集めるDXドンオニタイジンに続き、『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』から2号ロボとなるDX虎龍攻神(トラドラゴンジン)が発売される。

 

 

ドンロボゴクウにドンロボボルトが乗り込むような形で完成するDX虎龍攻神には、DXドンオニタイジンとスーパー合体するギミックも備わっている。金メッキの使用や大胆な変形の仕方なども注目される点だが、果たしてどのようにこのアイテムがデザイン&設計されていったのか? 気になるポイントについて、バンダイ企画担当の寺野彰氏とデザイン担当のプレックス・鶴巻拓也氏、そして設計を手掛けた松尾博史氏・岩木将一郎氏にお話を伺った(文中敬称略)。

 

――DX虎龍攻神とDXドンオニタイジンが合体するトラドラオニタイジンは、デザインがかなり大胆ですよね。特に上半身はどうやって思いついたのか分からないほどに、これまでのスーパー戦隊玩具のセオリーとは異なるものだと感じました。

 

寺野:まず大枠として2号ロボ(のちの虎龍攻神)のデザインから決定されています。虎と龍が合体するというものですね。そして、ドンオニタイジンとは異なってパワードスーツを装着するような合体方法にしようということは決まっていました。

 

鶴巻:DXドンオニタイジンがかなり理想的なプロダクトになったため、そのまま踏襲すると【二号ロボ】ではなく【オニタイジンⅡ】的な存在になってしまうという懸念がありました。そのため、DXドンオニタイジンとは合体・変形方法を明確に変えていこうという気持ちでDX虎龍攻神のデザイン作業を進めています。DXドンオニタイジンで良かったところは踏襲しつつ、【二号ロボ】としてのオリジナリティが出るように、メッキパーツも装飾的にゴージャスになるように加えていきました。そこから設計チームにデータをお渡しして、DXドンオニタイジンへの合体を検証していただいた流れです。意図せず大きくなりすぎたDXドンオニタイジンへ、さらに同じくらいのロボが合体するということで企画当初はかなり慎重になっていました……。企画の初期段階ではいつも夢見がちなことをデザイナーとしては言ったり描いたりするのですが、今回ばかりそのあまりのボリューム感に流石にいつも通りとはいきませんでしたね(笑)。

 

▲DX虎龍攻神。あえてドンオニタイジンとは明確に合体・変形方法を変える方向で進められたという。

 

――つまり、そこからが設計チームの死闘の始まりと……。

 

松尾:そうなりますね(笑)。デザインを見た際の最初の感想は、あまりバラせるところがないな、というものでした。できたとしても、上半身と下半身、腕の三分割。そう考えながら何日かCAD上でこねくり回した結果、ドンロボゴクウの顔を胸に来るように配置して。それが決まれば後は早くて、下半身で左腕を作ろう、下駄を履かせよう、とどんどん決まっていきましたね。

 

寺野:キジブラザーロボタロウの配置場所は悩みましたよ。どうやってもキジブラザーの頭が前を向かないんです。真正面じゃないにしても下は向かせたくなかったですから、そこもプレックス・設計チームと調整していきました。

 

――そもそも、1号ロボであるDXドンオニタイジンとの合体については、元々考えられていたことだったんですか?

 

岩木:DXドンオニタイジンを進めていくうえで懸念になっていたのは、まずコストでした。できるかぎりコストに対処するような形でできないか、というお話から設計を始めていたんですよ。その後にDX虎龍攻神とのスーパー合体があるという話を聞いたんですよね。でも、もう機構的なところは完成していたので、頭の片隅にはあったけれど、ほとんど合体に関する機構を盛り込むことはできませんでした。あとは2号を担当している松尾さんにお任せするしかないと(笑)。

 

寺野:とはいえ、設計チームの事前の策として、DX虎龍攻神も大きくてゴツイものになることは想定されていたので、DXオニタイジンに腕としてサルブラザーロボタロウを付けるときには、3つジョイントが付くようにしてくれました。これならば重さにも耐えられるだろうと。

 

松尾:合体してトラドラオニタイジンになると、左腕として虎龍攻神の下半身が付くじゃないですか。しかもそこにサルブラザーロボタロウが合体する。その重みに耐えられるかどうかは、DX虎龍攻神の調整段階になってから、商品を生産しているタイの工場でチェックしました。現地で相談しながら決めていって、なんとか耐えられるようにしていきましたね。

 

――一番のハードルは重さだったんですね。

 

松尾:設計を担当してほしい、と言われたときは、重さのことを何も考えていなかったんですよ。自分の中でカッコいいなと思うパターンをいくつか考えてから腕の形状を決めていったんですが、そこでようやく重さというハードルに気付いて……。

 

鶴巻:1号ロボのボリュームが出た時点で、2号ロボも同じくらいにはなるだろうとデザイナーとしては考えていました。合体するとなれば、各部の接続は大丈夫かなと心配だったのですが……。最終的には松尾さんにタイ工場にも行っていただき、調整の結果ちゃんと自立するプロダクトに仕上げていただきました。

 

松尾:最初はトラス状のフレームのようなデザインでしたけど、強度的な問題もあって今のような感じになったんですよ。金メッキも衝撃に弱いという特性があるので、フレームのパーツにメッキを重ねる形にして使うことで耐久性を上げました。

 

▲トラドラオニタイジン。DXドンオニタイジンとDX虎龍攻神が合体した姿である。ドンボゴクウが右腕、ドンロボボルトの上半身が胸部に、下半身が左腕へ、腕がドンオニタイジンの脚部にそれぞれ合体している。ちなみに、どちらのDXロボも余剰パーツは一切存在しない。

 

――完成したスーパー合体をご覧になって、ご心境はいかがですか?

 

鶴巻:DXドンオニタイジンの時にも試作で遊んでもらった息子(5才)がいるのですが、DX虎龍攻神もDXドンオニタイジンと合体して遊んでもらったら、やはりその巨大さと派手さに驚いてもらえて(笑)。設計チームの方たちも余剰パーツなくまとめてくださったので感謝しかありません。

 

松尾:余剰は出したくなかったので(笑)。オニタイジンで腹筋パーツを付けると胸のマークが出る岩木さん渾身のアイデアがありましたから、トラを合体させるとロボの顔が出てくるギミックを入れたかったんですよね。自分としてもかなり自信のあるアイテムです。ずっと戦隊ロボを設計したかったので、その夢が叶ったという意味でも、一生モノのアイテムになりました(笑)。

 

岩木:1号ロボ担当としては、サルブラザーロボタロウをそのまま左腕に付ける発想をはじめとして、僕からは出ない斬新なアイデアだなと感じましたね。パーツが大きくて分割も多いのでスーパー合体させるのは大変ですけど、だからこそ味わえる面白さもありますよね。それが今回のロボの魅力だと思いました。

 

寺野:スーパー合体後にこれだけのボリュームになるのなら、素立ちでも誰も怒らないと思うんですよ。なのに、「寺野さん、肩回るようにしておきました!」って報告を受けたんです。これは松尾が若いことに尽きると思います(笑)。スーパー合体前のDX虎龍攻神も腕脚の各関節が可動します。普通は入れ子合体って、物理的に股関節が動かないデザインが多いです。でも、中に入るのが人型ではなく虎ということもあり、松尾が股間の軸と肘の軸を同じ軸線上に設計したことで各関節を動かすことに成功したんです。

 

――鶴巻さんがDXドンオニタイジンに引き続き担当されているパッケージイラストも、素晴らしい外連味を感じます。

 

鶴巻:良かったです!! DXドンオニタイジンのときに一生懸命描きすぎて軽く地獄を見たので、若干二の足を踏んでいたというか……(笑)。構図や色設計でもかなり悩んでいました。どうしても【五体合体】と【二体合体】では描くモチーフが少なくなったり、ボリューム感が少なくなってしまうので、できるだけDX虎龍攻神を大きく見えるように、エフェクトを派手にしたり、反射光を入れてみたりと並んで見劣りしないように調整しました。店頭でDXドンオニタイジンと二つのパッケージが並んでいたときに、お客さまの目を奪えるように願っています。劇中のスーツも大変カッコよく作っていただけたので、比較しながら楽しんでいただくのも良いかと思います。

 

寺野:佛田(洋)監督が本編で斬新なアクションをさせていますからね。トラドラオニタイジンも、これまた佛田監督渾身のとんでもない演出が予定されています。こちらもご期待ください!

 

▲DXドンオニタイジンに続き、プレックス鶴巻さんが熱筆したDX虎龍攻神のパッケージアート。より鬼気迫る仕上がりとなっている!! DXドンオニタイジンと並べると迫力が倍増する!!

 

「DX虎龍攻神(トラドラゴンジン)」は8月27日発売予定。紫と黄金色の巨神を手に入れて、ぜひそのボリュームを実感してほしい!!

 

DATA

DX虎龍攻神(トラドラゴンジン)

  • セット内容:虎龍攻神(トラドラゴンジン)一式……1
  • 発売元:バンダイ
  • 価格:9,680円(税込)
  • 2022年8月27日(土)発売

(C)テレビ朝日・東映AG・東映

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